こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- ボイトレ教材の選び方やコツ
- <テーマ・対象別>おすすめのボイトレ教材・教則本10選
本記事の筆者
この記事を書いている私は、これまでにプロ・アマ問わず100名以上のボイストレーニングを手がけてきた現役のボイストレーナーです。R&B/Soul系バンドのヴォーカリストとして活動する傍ら、過去には大手音楽教室のレッスンカリキュラム企画・立案などにも携わっていました。
今回は、おすすめのボイトレ教材・教則本10選というテーマでお話していく予定です。
「どのボイトレ本・教材を選んだら良いか分からない」という人にこそ読んでほしい記事になっています。
この記事では、対象やテーマを分けておすすめのボイトレ本・教材を紹介しているだけでなく、何を基準にボイトレ本・教材を選べば良いかが分かるので、あなたにとって最適なものを選ぶことができますよ。
それでは、前置きはこの辺にして、さっそく本題に移りましょう。
ボイトレ教材・教則本の選び方やコツ
Amazonで「ボイストレーニング」と検索すると、346件もヒットします。この中にはボイトレグッズも含まれていますが、その殆どがボイトレ本です。
ボイトレ本はまず、必ず読者のターゲット層を考え、何かしらテーマを設定して作られています。著者は大学教授や医師、ボイストレーナーや有名な歌手など様々です。残念なのが、多くのボイトレ本が著者のカラーや理論を前面に出しすぎていたり、適切な発声理論や方法論が提示されていなかったりして「まともな本」が少ない点です。
本記事をご覧になっているのは「どんな本や教材を選ぶべきか分からない」、すなわち「選ぶ基準やポイント」を知りたい方だと思います。ここでは4つに分けて、選ぶ基準やポイントをお伝えしていきます。
分かりやすさ
ボイトレ本を選ぶ上で最も重要な基準が「分かりやすさ」です。
ボイトレ初心者の場合、身体の構造や使い方をひたすら文字で説明されてもイメージが沸きにくいです。ボイトレ初心者にとっておすすめなのはイラストや写真で図解がある本がおすすめです。図解で説明してくれているとイメージが沸きやすく、理解しやすいので、Amazonのなか見!検索などでチェックすると良いでしょう。
また、説明が理論的過ぎるものや抽象的過ぎる本も基本的に避けた方が良いです。
「輪状甲状筋を云々」、「◯◯Hzの高さで鼻腔の奥×センチに声が共鳴するように」といった説明も、「お腹から声を出して!」、「1万人の前で歌う姿を想像して力強く歌って!」といった説明も、合う人合わない人が分かれます。
あなたが勉強したり何かを教わる際、どういうアプローチが自分にしっくり来るかを踏まえて選ぶのが重要です。
練習音源・動画や参考音源・動画の有無
分かりやすさと通ずるところがありますが、練習音源があるかどうかも非常に重要です。練習音源がないと知識があっても練習しようがないからです。
また、練習音源に見本の声が入っているかも重要です。大事なのは「良い声」を出すことなので、声の見本がなければどんな声を出すべきか分からないからです。
ちなみに、市販されているボイトレ本の中には音源や動画がない本が目立ちます。今回私が紹介する本は1冊を除いて全て音源や動画が用意されているのでご安心ください(その1冊は、音源や動画の有無を越えて有益なボイトレ本なので自信を持って紹介させて頂きます)。
実績
先ほど触れた通り、ボイトレ本の著者は大学教授や医師、ボイストレーナーや有名な歌手など様々です。
本を出すタイプ音楽関係者はもっともらしい実績や経歴を掲げる傾向にあるため(笑)、この見極めはなかなか難しいです。
しいて言えば、音声学や発声理論を専門とする大学教授や医師、大手スクールや有名歌手を指導してきたボイストレーナーなどは信頼性が高いかなと思います。
本の対象とテーマ
ボイトレ本は、出版するに際して必ず「ターゲット設定」、すなわち「どんな人を対象にするか」を定めた上で書かれています。ボイトレ初心者を対象にした本もあれば、発声理論やある程度の技術がある中〜上級者を対象にした本もあります。
また、「発声全般」、「高音発声」、「ミックスボイス」、「発声理論」、「歌唱表現」といったように、何かの「テーマ」も必ず定められています。
あなたが今現在どういうレベル感で、どういう目的で本を探しているかによって、あなたにとって最適な本は定まってきます。
おすすめのボイトレ教材・教則本【初心者向け】
ここでは、主に初心者を対象にした、ボイストレーニング全般を学ぶことができるボイトレ本を紹介します。
『“歌う力”をグングン引き出す ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術(CD付き)』
分かりやすさ | ◯ 説明がシンプル |
主なテーマ | ボイトレ全般、ミドル(ミックス)ボイス |
対象 | 初心者〜中級者 / 英語で洋楽を歌いたい方 |
音源・動画の有無 | ◯ 練習用CD付 / 見本あり |
内容
私が最もおすすめするボイトレ本はこちらです。ボイトレ業界では「ロジャー本」というあだ名が付くくらい有名な本です。著者のロジャー・ラブは世界的に有名なアーティストのトレーニングを手掛けている著名なボイストレーナーです。
「ロジャー本」の特徴は説明がとてもシンプルでわかりやすく、しかも練習用CD音源のコンテンツが充実している点です。また、音源の最後には男女別に20分程度、通しであらゆる発声をする「デイリーエクササイズ」が収録されています。「とりあえず歌いながら読み進められるような本」、と言っても過言でないほど、分かりやすく実践しやすい内容となっています。
何気に必見なのが「ミドルボイス(日本ではミックスボイスと呼ばれがちな高音発声のこと)」の分かりやすさです。多くの発信者がムズカシイ話をして説明したあげく本人が喉声という残念なパターンもある中、ロジャーはアッシャー、ノラ・ジョーンズ、クリスティーナ・アギレラの歌を原曲キーで実践しながらミドルボイス(一部ヘッドボイス)の素晴らしさを説いています。「声の説得力」において最強の一冊は間違いなくこの本だと断言します。
対象
ロジャー本の対象は主に初心者から中級者です。いかんせん、直感的に分かりやすく楽しい練習が多いので取り組みやすいです。また、英語で洋楽を歌いたい方は、ロジャーが英語で解説(和訳付きです!)しながら歌ったりしていることもあり、ダントツでおすすめの一冊です。
著者
著者のロジャー・ラブは世界的に有名なアーティストのトレーニングを手掛けている著名なボイストレーナーです。特に洋楽好きの方にとってはルーサー・ヴァンドロスやアッシャー、エミネムといった歌手のエピソードも続々登場するので必見ですよ。
DVDでみるみる上達! 基本のボイストレーニング
分かりやすさ | ◯ イラスト、写真での解説が充実 |
テーマ | ◯ ボイトレ全般 |
対象 | 初心者、中級者 |
音源・動画の有無 | ◯ 教則・練習用DVD付 / 見本あり |
内容
全国展開している人気音楽教室「シアーミュージック」が監修したボイトレ本です。
ストレッチや呼吸といった歌う前の準備から発声の仕組みまで、さらにファルセットやミックスボイスといった歌唱技術やヒット曲を歌うレッスンまで幅広く取り扱っているのが特徴です。イラストや写真での解説も充実しているので説明もかなり分かりやすい内容となっています。
また、本だけでなく、75分に及ぶ教則・練習DVDが付いていて、映像からも学べるのがおすすめポイントです。
対象
基本的は初心者から中級者の方が、「ボイストレーニングとはどんなことをするのか」という全体像や発声理論や体の使い方全般を学ぶのに適しています。
著者
ボイトレコースの人気が特に高い音楽教室「シアーミュージック」が監修しています。
全国に90校近く展開していて、講師採用率5%以下、平均研修時間300時間以上という難関を通過した講師が指導していることから、レッスンの質に定評があります。
シアーミュージックについては「シアーミュージックの口コミ・評判は?料金や特徴も徹底解説【ボイストレーナーが語る!】」にて詳しく解説しているので気になる方はチェックしてみてください!
改訂版 プログラムCDつき 奇跡のボイストレーニングBOOK―声美人・歌上手になる
分かりやすさ | ◯ まずは声出していこう!という実践重視なスタイル |
テーマ | 発声重視、ファルセット(裏声)、ミックスボイス |
対象 | 初心者、中級者 |
参考音源・動画の有無 | ◯ 練習用CD付 / 見本あり |
内容
ボイトレ本で最も定番なのはおそらく本書です。ボイトレの世界では先の「ロジャー本」のように「弓場本」と呼ばれているほどロングセラーを誇るボイトレ本です。
そんな「弓場本」の特徴はなんと言っても「(音源の)マネをするだけ」というスタンスが徹底された「YUBAメソッド」です。YUBAメソッドはシンプルな発声理論、音楽理論に基づいて作られたもので、まず裏声を鍛えていき、次に地声と裏声を行き交う練習をし、最終的に地声と裏声を混ぜた「ミックスボイス」を目指すというメソッドです。
「付属の音源CDに合わせて歌っていくのみ!」というシンプルかつ実践重視なスタイルと、やたらと結果てきめんという効果の高さが相まって口コミの評価が高いのが定番となっている要因です。
ただ、「読み物」としての機能はあまり高くないので(笑)、ちゃんと身体の仕組みや発声理論、ボイトレ全般を学びたいという方はこちらと別に、発声理論重視のボイトレ本を買うことをおすすめします。
対象
初心者から上級者まで幅広いレベルの方が対象です。「(理論はそこそこに)とにかく声を出したい!」と思う方はおすすめですよ。また、中〜上級者は練習のバリエーションを増やすのにうってつけです。
著者
著者の弓場徹さんは耳鼻咽喉科や音声学を専門とする三重大学名誉教授です。自身の専門分野での知見を元に構築された「YUBAメソッド」は国内外で親しまれており、いわゆるヴォーカル向けのボイトレだけでなく、音痴矯正や未就学児の歌唱指導、ナレーションや声優の声作りなど幅広く利用されています。
おすすめのボイトレ教材・教則本【中〜上級者向け】
現代的なヴォーカルスタイルのための 改訂版 ザコンテンポラリーシンガー CD付
分かりやすさ | △ 多少堅苦しいものの、譜面や音源が圧倒的に充実している |
テーマ | ボイトレ全般、体調管理やステージング全般 |
対象 | 中〜上級者、プロ志向、理論や譜面重視の方 |
参考音源・動画の有無 | ◯ 練習用CD付 / 見本あり |
内容
本書は世界でも珍しいポピュラーミュージックを専攻出来るアメリカの音楽大学が手掛けている、ボイトレ全般について詳しく学べる本です。本書の特徴はまず、生バンドの演奏による臨場感溢れる練習CDが付いている点です。しかも、見本の歌は上手すぎて聴き惚れてしまうほど。この音源だけで費用を回収出来るんじゃないかと私は思います。
また、ボイトレ全般を明瞭にトピック分けし、それぞれの解説の質・量が圧倒的に優れているのも見逃せない特徴です。本書で紹介されている知識がちゃんと頭に入っていればボイストレーナーも出来るんじゃないかというほど充実しています。
そして、ステージングやマイクパフォーマンス、健康管理といったセミプロ〜プロレベルで通用するノウハウも沢山収録されているのも特筆すべき特徴です。本書は2冊目以降に手に入れるべきボイトレ本として最もおすすめ出来る一冊です!
対象
中〜上級者やプロ志向の方が主な対象となります。なんとなく腹式呼吸が出来て、なんとなく周りの人よりは楽に、きれいに声が出せるようになってきた方。もっと発声理論やボイストレーニングを深く、体系的に知りたいという方におすすめです。
また、プロになりたい方はこの本を通して自分が摂取する食べ物や飲み物、生活習慣から歌の練習の仕方やステージングを学ぶことが出来るので絶対に読むべきです(他にその辺を言及している本がないので)。
筆者
Anne Peckham(アン・ペッカム)はバークレー音大の教員である他、声楽家、ヴォイス・インストラクター、合唱指揮者です。本書は世界でも珍しい、ポピュラーミュージックを学べるバークレー音大のヴォーカル学科の必修科目「Elements of VocalTechnique」で使用されている教科書の翻訳です。
「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム―いまの発声法であなたののどは大丈夫ですか
分かりやすさ | × 医学に基づいた専門書なので難解 / 写真やイラストは充実 |
テーマ | 発声理論の専門書 / 発声のメカニズムが最も理論的 |
対象 | 中〜上級者、プロ志向、指導者 |
参考音源・動画の有無 | × 発声理論の専門書なので実演なし |
内容
本書は今回紹介するボイトレ本の中で唯一の発声理論の専門書です。
声の仕事をするあらゆる専門家が駆け込む「はぎの耳鼻咽喉科」の院長・萩野仁志さんと声楽家・後野仁彦さんが、萩野さんが医学の見地から発声理論や身体の構造を説明し、要所要所で後野さんが声楽の見地から解説しているのが特徴です。
悪い発声や良い発声をしている時の声帯の写真や発声器官の構造のイラストなどがたくさん掲載されており、それを元に発声法や腹式呼吸を詳細に解説しているので、発声理論や正しい声の出し方、特に腹式呼吸や「喉が開くとはどういうことか」を深く正確に理解出来るようになります。
また、ポリープや声枯れといった声のトラブルの原因と対処法も症例の写真と共に掲載されているので、ボイトレをしている方に限らず、ナレーターや声優といった方にも役立つ内容です。
対象
発声理論を学ぶべき中〜上級者やプロ志向の方、指導者は必携の一冊です。
著者
■萩野仁志
医師。東海大学医学部医学科卒業、はぎの耳鼻咽喉科で専門医をする傍ら東海大学医学部非常勤講師。東海大学医学部付属病院にて音声外来担当。昭和音楽大学非常勤講師(音声学)。
■後野仁彦
声楽家。東京芸術大学音楽学部声楽科卒業後、イタリア・ミラノに留学。地村俊政、高丈二、A・ロフォレーゼ、V・ボローニの各氏に師事。ヤマハ音楽院専任講師。
おすすめのボイトレ教材・教則本【高音発声】
ボイトレ本の中に多いのが、多くの方が憧れる「高音発声」、つまり高い声の出し方にテーマが特化した本です。高い声を出すには良い発声としかるべき共鳴が必須条件なので、必然的に発声や共鳴に特化していている傾向があります。
ボーカリストのための 高い声の出し方 ~ミックスボイス・ホイッスルボイスをマスター!!~
分かりやすさ | ◯ イラストと発声の見本が充実している |
テーマ | 高音発声 / ミックスボイス / ホイッスルボイス |
対象 | 初心者〜上級者、高い声を出せるようになりたい方 |
参考音源・動画の有無 | ◯ 練習用CD付 / 見本あり |
内容
本書は2008年に発刊されてから長らくAmazonのボイトレ本ランキング第1位だった人気のボイトレ本です。
本書の特徴は、まず「高い声の出し方」がどのボイトレ本よりも明確に提示されていることです。ストレッチをして腹式呼吸を練習して、という基礎をしながら、高い声を出すために必要な声の響かせ方や喉や声帯の感覚の説明が明らかに分かりやすいのが魅力的なんです。
また、説明が分かりやすいだけでなく、付属のCDに収録された著者本人の声も発声上手で「良い声の見本」が分かりやすいのも魅力的です。チェストボイス、ミックスボイス(ミドルボイス)、ヘッドボイス、ファルセット、ホイッスルボイスといったあらゆる種類の声の出し方をここまで分かりやすく解説しているのは高音発声の本の中で一番かなと思います。
対象
初心者から上級者まで幅広いレベルの方が対象です。高音発声に必要なのは呼吸や発声といった「基礎」+高音ならではのコツです。「基礎」の部分も明瞭であるため、初心者にもおすすめ出来ます。
また、高い声を実例付きで学びたい方も本書が最もおすすめです。他にも色々ありますが、高音発声系の本を買うならまず本書を手に入れて、さらに飽きたらなければ次に紹介する「決定版!高い声で歌える本」や、ここでは紹介しませんが「フースラー本」や弓場さんの高音発声系の本を買うことをおすすめします。
著者
DAISAKUさんはロックやメタル系を得意とする歌手・ボイストレーナーです。実は私も交友関係があって以前はよくライブにもお邪魔していたのですが、高音の声量や声の抜けの良さで右に出る方はほとんどいないのではないかという超実力派です。
いつもサングラスをしてらっしゃって怖そうな見た目をしているのですが(笑)、めちゃくちゃに優しくて気さくな方で大好きなヴォーカリストのひとりです。本書の質は著者の知人である私が保証します。
決定版!高い声で歌える本
分かりやすさ | × 発声理論のボリュームが多く難しい |
テーマ | 高音発声 |
対象 | 中〜上級者、指導者、ボイトレオタク |
参考音源・動画の有無 | ◯ 練習用CD付 / 見本あり |
内容
最もボイトレ本を出しているのは高田さんか弓場さんか(もう一人いますが内容に癖があるため名前は出しません)。そんな高田三郎さんの得意分野である高音発声に特化したのが本書です。
「喉に負担をかけずに、確実に発声音域を広げるためには、声帯の構造や発声の仕組みを知り、科学的な根拠にもとづくトレーニングを行なう必要がある」という信念のもと書かれただけあって発声理論の説明に多くのウエイトを割いています。そこがまどろっこしい方には向いていませんが、発声理論をきちんと学びたい方には「「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム」と同じ位おすすめの一冊です。
今では「声帯をつまむ感じ」とか「ショートニング」といった表現で、高音発声時に声帯の一部だけを動かして発声することが定着しつつありますが、これを公に向けて最初に言及したのはおそらく高田さんではないかと思います。高田さんは大量の著書があるためどれを選ぶべきか迷うでしょうが、10冊以上「高田本」を持つ私としては本書を最もおすすめします。
対象
難しい本なので、「高音発声の理論をがっつり理解したい」高い声を出せるようになりたい方が主な対象です。感覚的に高音発声を目指したい方はロジャー本、理論的なことも明瞭に学びたい方は「ボーカリストのための 高い声の出し方」をおすすめします。
筆者
高田三郎さんは昭和音楽大学非常勤講師、ヤマハ ゴスペルコーラス講師、ゴスペルクワイヤの指導者もこなすサポート・ヴォーカリストです。浜田省吾、谷村新司、小柳ゆき、村下孝蔵など、あらゆる歌手のレコーディングやツアーに参加しています。また、マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダーらのボイトレを手掛けたに「世界一」のヴォイス・トレーナー、セス・リッグス氏に師事していました。
JAYE公山 高音ボイストレーニング教材
分かりやすさ | ◯ PDF+動画で本と動画、両方の良さが活かされている |
テーマ | 高音発声 / ボイトレ全般 |
対象 | 初級者〜上級者、トッププロのボイトレを手軽に味わいたい方 |
参考音源・動画の有無 | ◯ web動画 / 見本あり |
内容
今回紹介する唯一のPDFと動画中心のボイトレ教材です。
JAYEさんについては後ほど述べますが、本教材の特徴は著者が邦楽R&Bの有名アーティストらのレコーディングやコーラスや指導を手掛けている「トッププロ」による教材であるという点です。80年代に世界進出した伝説のメタルバンド・ラウドネスの二井原さんお墨付きですし、真横で信じられない歌唱力を目の当たりにした私もお墨付きです(笑)
JAYEさんの高音発声は私が知りうる歌手の中でもトップクラスです。往年の黒人歌手を思わせるソウルフルな野太く艶やかな声をされていて、本教材ではその発声の秘密を徹底的に解説しています。テキストだけでなく動画の資料も充実しているのが斬新です。
対象
「お金をかけても良いので、その替わり圧倒的な成果を出したい」と思う方におすすめです。1万数千円出すかはあなたの自由ですが、JAYEさんは有名歌手のボイトレやレコーディングを手がけるトッププロで、仮にボイトレを習うと1時間1万円以上かかります(しかも全国を行き交う方なので習えるのは不定期)。
JAYEさんは「直接習ったほうがええで〜」とおっしゃっているものの、そんなトッププロのレッスンをテキストで読み返せて動画で繰り返し見ることが出来るのはやはり魅力的です。
筆者
JAYE公山さんはヴォーカリスト、ボイストレーナー、ゴスペルクワイヤのディレクターです。HUMAN SOULのメンバーとして活動、ニューヨーク・アポロシアターで東洋人初のグランプリ受賞を果たし、全国を行き交いながらプロアマ問わずボイストレーナーやレコーディング・コーラス等を手掛けています。
動画の赤い服の方がJAYEさんです。サザンソウルを地で行っているこの歌声、マジで凄まじいです。
おすすめのボイトレ教材・教則本【歌唱表現】
ここで紹介するのはボイトレ本の中では珍しめな、歌唱表現に特化したおすすめのボイトレ本です。
DVDでよくわかる もう一曲聴きたい! と言わせるヴォーカルテクニック
分かりやすさ | ◯ DVDと並行した内容で、図解が多い |
テーマ | 歌唱表現、ボイトレ基礎 |
対象 | 中〜上級者、プロ志向、カラオケ好きな方 |
参考音源・動画の有無 | ◯ 練習用DVD付 / 見本あり |
内容
「歌が上手いとはどういうことか」がある意味最も分かるボイトレ本です。著者はB’zやZARD、TUBEら、全盛期ビーイングのレコーディングやコーラス、編曲などを手掛けていた音楽プロデューサーなので信頼性はピカイチです。
この本は、ボイトレ(ボイストレーニング)というよりはヴォーカルトレーニング、つまり「実践向けの歌のトレーニング」本なのです。「いかにして人の心を動かすか」、「どうやって表現力のある歌を歌うか」の答えがびっくりするほど明快に、分かりやすく書かれています。
そして、80分以上に及ぶあらゆるレッスンが収録されたDVDがかなり実践的で、本と連動しているため、最も本当のボイトレの雰囲気を味わえる本でもあります。
カラオケに出てくるビブラートやしゃくりだけが歌唱表現だと思っていたら大間違いです。もっと重要で、かつボイトレ本はもちろん、多くのボイストレーナーも指摘しない(出来ない)ような話が続々出てきて私も目から鱗の一冊でした。
対象
そういう意味で、初心者にはあえて見ていただきたくない一冊です。呼吸や発声がままらないのに技を知ってしまうと、手抜きで「それっぽい歌」を歌えるようになってしまうほどの事が書かれた本なので。
逆に、ある程度歌に自信がある中〜上級者やプロ志向の方は必見です。または、ボイトレを習っているけど上手くなった気がせず悩んでいる方なんかにもおすすめです。
著者
鈴木康志(すずきやすし)さんはかつて一時代を築いたレーベル、ビーイングに所属しB’z、TUBE、ZARD、大黒摩季など数多くの一流アーティストの楽曲制作に携わっていた音楽プロデューサーです。本人もメジャーで活動したのちに、音楽プロデューサーやディレクターに転身。現在では独立し、ヴォーカルスタジオラッシュを開校されています。
カラオケで68点が92点にアップした!プロも使う♪秘密の歌唱テクニック17
分かりやすさ | ◯ イラストや構成が分かりやすい |
テーマ | 歌唱表現 |
対象 | 中〜上級者、プロ志向、カラオケ好きな方 |
参考音源・動画の有無 | ◯ |
内容
本書はAmazonのボイトレ本ランキングで常に上位をキープしている人気ボイトレ本の著者・AKIRAさんによる歌唱テクニックに特化した本です。なんで「3オクターブは当たり前! 喉に優しい魅惑のハイトーンボイス養成メソッド」を紹介しないかって?それは・・・AKIRAさんの本はいずれもとても分かりやすい一方、見本が充実していないのと、私が紹介した他の本より中身が濃くないからです(※個人の意見です)。
とはいえ、本書は分かりやすさが功を奏していて、やはり見本はさほど充実していないものの他の歌唱表現系の本より内容も濃く優れています。
繰り返しですが「ボイストレーニング」と「ヴォーカルトレーニング」は別物です。ボイストレーニングは言わば身体を鍛える筋トレ、ヴォーカルトレーニングは身体を使って行う「実技」です。ほとんどの本が「筋トレ」に特化している中、物事を伝えるのが上手い著者が「実技」について書いているからこそ、おすすめ出来ます。
対象
本書も初心者にはあえて見ていただきたくない一冊です。ある程度歌を学んだ方や、発声や身体の使い方を理解した上で、「実技」を上達させたい方にはおすすめ出来ます。または、ボイトレを習っているものの、上手くなった気がせず悩んでいるような方にもおすすめです。
著者
AKIRA(アキラ)さんはIPC VOICE STUDIO 代表、VoiceerF Method Trainer Asocciation主宰、日本ボイスアドバイザー協会会員 上席ボイスアドバイザー、メンタルウェルネストレーニング指導者2級とあらゆる肩書きを持ったボイストレーナーです。都内のスタジオでプロアマ問わずボイトレの指導をするほか、全国各地でワークショップや出張レッスンを展開しています。
まとめ:ボイトレ本を選んで歌うまを目指そう!
今回はおすすめのボイトレ教材・教則本10選をご紹介していきました。
結構長くなってしまいましたが、ボイトレ教材・教則本選びのコツやボイストレーナー目線で本当におすすめ出来るものをざっくりとご紹介できたかと思います。
ボイストレーニング全般に言えることですが、ボイトレ本を買ったり読んだりして知識を得て終わりではなく、実際に練習を積み重ねて知識を技術にしていきましょう!
今回お伝えした選び方やおすすめの教材・教則本を参考に、自分に合った教材を手に入れることが出来れば幸いです。
もし実際に取り組んでみて上手くならなかったら、あるいは確実かつ楽しく成長したければ声の専門家であるボイストレーナーに見てもらうのが良いでしょう。
今回は以上です。