「ミスターAOR」と称されるボビー・コールドウェル。
今回はボビー・コールドウェルの数ある楽曲から選りすぐりの名曲・有名曲を紹介していきます。
人気曲だけに留まらず、隠れた名曲も紹介していくのでぜひチェックしてみてくださいね。
Bobby Caldwell(ボビー・コールドウェル)について
デビューまで
1951年8月15日、ニューヨークのマンハッタンで生まれたボビーは、両親がブロードウェイのショービジネス関係の仕事をしていたこともあり、幼少期よりジャズ・シンガーの歌を聴きながら育ちました。
また、12歳の頃にギターを始めたから音楽に夢中になり、デビューする頃には主要な楽器ほぼ全てを弾きこなすマルチマルチプレイヤーとなり、1978年に「イヴニング・スキャンダル」でレコード・デビューを果たしました。当時は顔出しせずに売り出されていたため、そのお洒落なサウンドと黒人のようなソウルフルな声が相まって先に黒人の間で話題になったというエピソードがあるほどです。
日本ではその頃、ちょうどカフェ・バーが登場し、また車でのドライブが定着しはじめた時期だったこともあり、都会的で洗練された雰囲気のサウンドが大ヒットしたのです。
不遇の時代から復活、そしてジャズの道へ
その後、所属していたレーベルが倒産するなどし、楽曲のクオリティの高さの割にプロモーションされなかったことで世に露出することが叶わず不遇の時代を過ごすことに・・。しかし、本国アメリカから離れた日本では変わらずに愛され続け、80年代後半に「ハート・オブ・マイン」が大ヒットすることによって「ミスターAOR」としてその卓越した実力が再認識されることになったのです。
しかし、その座はボビー自ら手放すことになりました。
1991年リリースのアルバム「ソリッド・グラウンド」に収録されていたジャズ・テイストな実験的ナンバーが大ヒットしてしまい、それがきっかけとなってジャズへと方向転換して現在に至っているのです。
とはいえ、日本では最も愛されているAOR系アーティストのひとりであり、AORと近接している「シティ・ポップ」ブームも相まって、近年は再評価されつつあります。
ボビー・コールドウェルが影響を受けたアーティスト
ボビー・コールドウェルはフランク・シナトラやカウント・ベイシーといったジャズ・シンガーだけでなく、スティーヴィー・ワンダー、スティーリー・ダンといっR&B、AOR系のアーティストから影響も受けています。
ボビー・コールドウェルの楽曲の特徴
ボビー・コールドウェルの楽曲は都会的で洗練された雰囲気が持ち味でありながら、どこか「トロピカル」だと多くの人が例えます。
どこか影があるような、決して底抜けに明るいわけではないのにもかかわらず、リズミカルでつい体を揺らしたくなるような、そんな雰囲気も纏っているのが彼の楽曲の特徴です。
What You Won’t Do for Love(風のシルエット)
ボビー・コールドウェルのデビュー曲にして最大のヒット曲が「風のシルエット」。
1978年にリリースされた「イヴニング・スキャンダル」に収録されているこの曲は、細やかな16ビートのリズム隊にボビー・コールドウェルのソウルフルなヴォーカルが心地良く乗っかった、リズミカルなバラードソングです。
日本ではもちろん、アメリカやカナダ、イギリスでもヒットし、マイケル・ボルトンやゴー・ウエストらもカヴァーするアメリカン・ポップスのスタンダードともいえるナンバーです。邦題がまた渋くてカッコいいですよね。
Special To Me(スペシャル・トゥー・ミー)
「風のシルエット」と同じ「イヴニング・スキャンダル」に収録されている「スペシャル・トゥー・ミー」は、ホンダの自動車・「ゼスト・スポーツ」のCMソングとして起用されていたアップテンポのナンバーです。
日本でのみシングルカットされていて、松田聖子やWINK(ウインク)がカヴァーしたこともあり、ボビー・コールドウェルの楽曲の中でも日本人にとっては特に馴染み深い曲かもしれませんね。
リズミカルなホーン・セクションが聴きどころですよ!
Come To Me(カム・トゥー・ミー)
「カム・トゥ・ミー」は先に取り上げた「風のシルエット」や「スペシャル・トゥー・ミー」と同じアルバム「イヴニング・スキャンダル」に収録されている美しいピアノ・バラードです。
当時、都会的な洗練された雰囲気で、しかも黒人のようにソウルフルに歌い上げるようなヴォーカリストはあまりいなかったのですが、デビュー当初はまず黒人たちの間で流行り始めたというのも「カム・トゥ・ミー」を聴けば納得です。
後にボビー・コールドウェルは80年代に入って第一線から退場してしまうものの、「カム・トゥ・ミー」は10数年後にタバコの「パーラメント」のCMソングとして起用されてリバイバル・ヒットを果たします。
Wrong Or Right(ワロング・オア・ライト)
「ワロング・オア・ライト」は1980年リリースの「ロマンティック・キャット」に収録されています。
リズミカルなビートとセクシーなファルセットが絶妙に絡み合う「ロマンティック・キャット」はボビー・コールドウェルの色気がムンムン出ていて当時の勢いを感じます。ピアノとエレピの絡み合いや間奏でのサックスソロが曲を盛り立て、トロピカルなテイストを醸し出しているのもボビー・コールドウェルの特徴です。
Sunny Hills(サニー・ヒルズ)
「サニー・ヒルズ」は1982年リリースの「キャリー・オン」に収録されているミディアム・テンポの楽曲です。どこか哀愁漂うメロディとボビー・コールドウェルの緩急溢れる歌声が秋の夕暮れのような雰囲気を醸し出しています。
ところで、ボビー・コールドウェルは「サニー・ヒルズ」が最も気に入っている曲だと過去に来日した際、インタビューで答えています。ボビー・コールドウェルの楽曲はどこか淋しさや心の「引っ掛かり」みたいなものを想起させるものが多く、その中でも特にこの曲は暗い曲調ではないのに哀愁が漂っている、彼にとっての「王道」のサウンドなのかもしれません。
Never Loved Before(ネバー・ラブド・ビフォー)
「ネバー・ラブド・ビフォー」は1983年リリースの「オーガスト・ムーン」に収録されているシンプルなバラードソングです。
元々は盟友・ボズ・スキャッグスに提供するはずが、ボズが歌いこなせず代わりにロバータ・フラックが歌い、感極まって涙を流しながら歌ったというエピソードもあったり。
こんなにシンプルであるにもかかわらず、感情豊かに、かつ繊細に歌い上げ「名曲」の域まで持っていくボビー節は必聴です。
Heart Of Mine(ハート・オブ・マイン)
「ハート・オブ・マイン」は1988年リリースの同名のアルバム「ハート・オブ・マイン」に収録された楽曲です。
ボビー・コールドウェルの楽曲の中でも1,2を争うほど人気なこの楽曲、もとは盟友・ボズ・スキャッグスから(自身の名バラードである)「ハーバー・ライト」みたいな曲を書いてくれないか?と依頼されたのがきっかけで出来た曲なのです。実際にボズ・スキャッグスは1988年に「アザー・ローズ」で「ハート・オブ・マイン」を収録し、またシングルでもリリースしたところ、ビルボードチャート第35位を飾り、低迷していたボズの復活のきっかけとなりました。
ボズ・スキャッグスのバージョンと聴き比べると楽しいのでぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
そして、ボビー・コールドウェル自身も「ハート・オブ・マイン」が200万枚以上売れ、改めて世間に実力を知らしめたのです。
「ハート・オブ・マイン」はイントロの煌びやかなサックス、キラキラしたキーボードやシンセの音色と円熟味を増してより魅力的になったボビー・コールドウェルの歌声が絶妙にマッチしているのが見どころです。
そして後に、フィリップ・モリス社のタバコ「パーラメント」のCMソングとして起用され、日本では「色気のある大人のロック」、すなわち「AOR」の楽曲として改めて広い層に認知されていったのです。
Stay With Me(ステイ・ウィズ・ミー)
「ステイ・ウィズ・ミー」は先の「ハート・オブ・マイン」と共にアルバム「ハート・オブ・マイン」に収録されたバラードソングです。
「ステイ・ウィズ・ミー」も「ハート・オブ・マイン」に負けず劣らずの名曲で、後に「パーラメント」のCMソングとして起用されて話題になりました。都会の高級感溢れるナイト・プールや夜景の映像にぴったり合っていて、今の時代にはほぼ絶滅した「大人の色気」が存分に垣間見れるのがオススメなポイントです。
Back To You(バック・トゥー・ユー)
「バック・トゥー・ユー」は1991年にリリースされた「ソリッド・グラウンド」に収録されています。
マリリン・スコットとのデュエットを飾ったこの曲、なんとまたもやタバコ「パーラメント」のCMソングとして起用されることに。
円熟味が出てきたボビー・コールドウェルの包容力ある声と、優しくも力強い歌い回しをするマリリン・スコットとの絡みが見どころです。
Stuck On You(スタック・オン・ユー)
「スタック・オン・ユー」も先の「バック・トゥー・ユー」と同じく「ソリッド・グラウンド」に収録されています。
「ボビー・コールドウェルといえばAOR」なのですが、実はこの曲は全米のジャズ・チャートでヒットし、その後ボビーはジャズへ傾倒していくことになります。これはこれで非常にカッコ良いものの、「AORのボビー・コールドウェルが歌う曲」として聴くと「早く戻ってこーい!」と、複雑な気持ちになる曲です。
まとめ
ボビー・コールドウェルの名曲をこうして年代順にならして聴いてみると、デビュー当初の勢いやアレンジの多彩さはそのままに、時代に翻弄されつつもより洗練され、円熟味を帯びていった形跡が見え隠れしています。
私が最も好きなのはソウルフルで情感あふれる「風のシルエット」ですが、それから10年ほど経ってリリースされた「ハート・オブ・マイン」を聴くと声やまろやかに艶やかになり、この時期の声もまた素晴らしいなと感動してしまいます。
最後に、ボビー・コールドウェルは現在でも時折来日し、しれっとライブをしています。今のボビーは還暦を過ぎて「おじいちゃん」と言っても過言ではない年齢に差し掛かりましたが、ハリのある歌声は今でも健在です!
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