ここ数年、「シティポップ」という70〜80年代の邦楽が世界的にブームとなっています。
シティポップとは一体どんな音楽で、どんなアーティストや楽曲が存在するのか。そもそも、なぜ流行っているのか。
今回は、ボイストレーナーを務めながらAOR系バンドで活動もしている私がシティポップのおすすめアーティストと名盤・名曲を紹介していきます!あなたもこの記事を読めばきっとシティポップ通になれるはず!
シティポップについて
シティポップとは?
シティポップとは、1970年代中盤から1980年代後半にかけて流行った「都会的な雰囲気を持つ、洗練されたポップス」のことを指します。日本のAORとして位置付けられているシティポップは、既存の歌謡曲やフォークソングといった音楽ジャンルとは異なる特徴を有しています。
シティポップの音楽的特徴
シティポップの楽曲には、ソウルミュージックやファンク、ジャズのようなブラックミュージックが基調となっているものもあれば、アメリカンポップスやロック、AORのようなポピュラーミュージックにインスパイアされたものもあります。
あらゆるジャンルをバックグラウンドにする新進気鋭のミュージシャンが、これまでになかった新しくて洗練されたサウンドを作ろうと試行錯誤する中で生まれたのがシティポップです。
そのため、基本的にドラムやベースのリズムセクションのビートが細かく、上物のギターはカッティングやオブリガートを多用する傾向にあります。また、複雑なコード進行やテンションコードの多用もよく見られます。
ニューミュージックとの違い
ニューミュージックは、フォークソング直系の音楽ジャンルである一方、シティポップはそれ以外のあらゆる音楽ジャンル、特にAORやフュージョン、アメリカンポップスといった「お洒落なサウンド」と同じ系統の音楽ジャンルです。
歌詞の内容も、ニューミュージックはどこか湿っぽく牧歌的な感じがする一方で、シティポップは都会的、リゾート、爽やかといったキーワードを連想するようなものとなっています。
ヴォーカルスタイルで見ると、ニューミュージックはやはりフォーク的で「語る」感じがある一方、シティポップは爽やかに、陽気に、クールに歌う傾向があります。
AORとの違い
ボビー・コールドウェルやボズ・スキャッグスといったAORとシティポップは、ほぼ同様の音楽ジャンルだと私は考えています。
現に、これから紹介する名盤の中には海外のAOR系ミュージシャンを起用して、海外でレコーディングした作品もあるほどです。
そのことからも、シティポップは「日本のAOR」とも言われています。
シティポップの元祖は誰?
一般的に、シティポップの元祖はシュガー・ベイブと言われています。
シュガー・ベイブの歴史的名盤「SONGS」に始まり、大瀧詠一や松任谷由実、大貫妙子らも先進的なサウンドの楽曲を発表していき、彼らの楽曲が後付けで「シティポップ」と呼ばれるに至ったのです。
ここからは年代順に、音楽的な文脈が分かりやすいようにシティポップのおすすめ名盤と名曲・有名曲を紹介していきます。
シュガー・ベイブのおすすめ名盤 – SONGS
シュガー・ベイブはシティポップの第一人者である山下達郎や大貫妙子らが集まった1970年代の伝説のバンドです。
そんなシュガー・ベイブ唯一のアルバム「SONGS」はシティポップの元祖とも言われており、邦楽ポップス史に燦然と輝く名盤として日本だけでなく、世界中で人気を誇っています。
冒頭の「Show」から明るく眩しくゴキゲンなサウンドが繰り広げられ、クリーントーンのギターや重層的なコーラス、細かいノリのドラムやベースが本当に40年以上前に演奏されたものなのか・・・。
グルーヴィーな演奏に、アルバムを通して圧倒されること間違いなしです!
シュガー・ベイブのおすすめ名曲:Down Town
そんな名盤「SONGS」の中でもおすすめな曲は「Down Town」です。
色々なアーティストがカヴァーしているので耳にしたことがある方も多いと思います。
シティポップの名曲として有名なこの曲は、松村邦男のカッティングギターやヴォイシングのアイデアが聴きどころです。
小坂忠のおすすめ名盤 – ほうろう(1975)
伝説のバンド、ティン・パン・アレイのメンバーに加え、山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子がコーラスとして参加して収録された邦楽R&Bやシティポップの原点とも言える名盤が小坂忠の「ほうろう」です。
エレピやストリングス、ギターの切れ味抜群な音色に小気味良いリズム隊、ソフトかつスイートなコーラスが印象的な一枚です。
タイトル曲「ほうろう」をはじめ、「しらけちまうぜ」、「ゆうがたラブ」などクールでカッコ良い名曲揃いです。
小坂忠のおすすめ名曲:しらけちまうぜ
「ほうろう」の中で特におすすめなのが「しらけちまうぜ」です。タイトなグルーヴのリズム隊に上物のカッティングギターと煌びやかなエレピが絶妙にマッチしているのが聴きどころです。
演奏も歌も前に出過ぎず、適度な存在感でさらっと歌い上げるのが素晴らしいです。
また、大貫妙子・吉田美奈子・矢野顕子という信じられないメンバーによるコーラスも必聴です。
大貫妙子のおすすめ名盤 – SUNSHOWER(1977)
シティポップを代表する名盤として人気が高い、大貫妙子の「SUNSHOWER」。
山下達郎と結成したシュガー・ベイブを経て、ソロ活動を通して音楽的才能がいよいよ開花したのが本作です。
1970年代後半に流行っていたAORやフュージョンの薫りがする爽やかで洗練されたサウンドは、40年以上経った今聴いても全く色褪せません。16ビートの繊細でタイトなリズム、エレキギターやエレピが前面に出た演奏は「歌モノ」というよりインスト主体のフュージョンに近い様相を呈しています。
そんなサウンド作りの中核を担ったのは、アメリカの人気フュージョンバンド、スタッフ(STUFF)のドラマー、クリス・パーカーと、実質的にプロデュースを手掛けた坂本龍一と言っても過言ではありません。
名曲「都会」をはじめ、人気曲「サマー・コネクション」、シュガー・ベイブでも歌われていた「からっぽの椅子」などが収録されています。
大貫妙子のおすすめ名曲:都会
そんな名盤「SUNSHOWER」から一曲選ぶとしたらやはり「都会」です。
うっすらと音の海を泳ぐようなサックス、繊細な16ビートに乗っかる浮遊感あるエレピやブリブリでゴキゲンなベースが堪らないですね!
シティポップ屈指の人気を誇る名曲と言われているものの、実は都会の華やかさや表層的な部分を憂いたような歌詞であることも見逃せません。
松原みきのおすすめ名盤 – Pocket Park(1980)
海外で最もアツいシティポップの名盤として大人気なのが、松原みきのデビューアルバム「Pocket Park」です。
歌謡曲とニューミュージックが混在していた時代に、日本人離れした歌唱力でR&Bっぽい曲もロックっぽい曲も歌いこなす様は必聴です。
10万枚を超えるヒットを記録し、Youtubeでも1000万回以上の再生回数を誇る名曲「真夜中のドア / Stay With Me」が収録されている他、「MANHATTAN WIND」や「It’s So Creamy」、「Cryin’」といった曲も見逃せません。
松原みきのおすすめ名曲:真夜中のドア〜Stay With Me
そんな松原みきの名曲と言えば、やはり「真夜中のドア〜Stay With Me」です。
当時19歳という若さでこの大人びた色気や歌唱力を発揮しているのがもう凄まじすぎます。
作編曲・ドラムの林立夫、ベースの後藤次利、ギターの松原正樹によるグルーヴィーなプレイも堪りません!
大瀧詠一のおすすめ名盤 – ア・ロング・バケイション(1981)
「シティポップで一番好きなアルバムは?」
こう聞かれたら私は迷わずに大瀧詠一の「ア・ロング・バケイション」と答えます。
シティポップの最重要作品ともいえるこの名盤は、シティポップを語る上で語れないイラストレーター・永井博が夏のリゾートを想起させるジャケットを手掛けており、60〜70年代のアメリカンポップスの文脈が溢れる「ナイアガラ・サウンド」と松本隆の歌詞とが完全に合致したマスターピースです。
「はっぴいえんど」でもお馴染みの細野晴臣、鈴木茂をはじめ、林立夫、松下誠、井上鑑、松任谷正隆といった伝説的ミュージシャンが総出で参加しているのも見逃せません。
100万枚以上の売り上げを記録し、後の邦楽全般に大きな影響を与えた本作は、今でも良く耳にする「君は天然色」をはじめ、「カナリア諸島にて」、「恋するカレン」といった名曲が収録されています。
大瀧詠一のおすすめ名曲:君は天然色
大瀧詠一のおすすめ名曲といえば、やはり「君は天然色」です。
キャッチーでキラキラした夏っぽいサウンドが特徴的ですが、この曲が生まれるに際して盟友・松本隆は非常に苦労したのです。当時、松本の妹が病気で急逝してしまい、心そこにあらずな危機的状況の中、大瀧は松本を待ち続け、結局予定から8ヶ月ほど遅れてリリースに至りました。
松本が紡ぎ出した歌詞はどこか亡くなった妹を思うような節があり、底抜けに明るいサウンドと、どこか哀愁が漂う歌詞の組み合わせを大瀧が歌うことによって、曲に魂が宿ったのです。
松下誠のおすすめ名盤 – First Light(1981)
ショーグン、A.B’Sでの活躍した名ギタリスト・松下誠がソロ名義でリリースしたファーストアルバム「First Light」は、海外での人気も非常に高いシティポップの名盤です。
洗練されたアレンジ、巧みなコードワークやグルーヴィーな演奏が光る仕上がりとなっています。
スタジオミュージシャンとしての豊富な経験を自らの思い通りのサウンドに落とし込んだだけあって、バッギングもソロも魅力的なフレーズの宝庫となっています。
松下誠のおすすめ名曲:FIRST LIGHT
そんな名盤「First Light」と同タイトル曲「FIRST LIGHT」はイチオシの名曲です。
本作の中でも特にシティポップ色が強いこの曲は、スティーリー・ダンを彷彿とさせるソリッドなサウンドで、特にベースの縦横無尽ぶりが凄まじいです。もちろん、松下のパッキパキのカッティングギターも必聴です。
寺尾聰のおすすめ名盤 – Reflections(リフレクションズ)(1981)
寺尾聰の「Reflections(リフレクションズ)」は、織り込んで160万枚以上の売上を記録したシティポップの名盤です。
ダンディで渋い低音が魅力的な歌声は、ライトで高い声のヴォーカルが一般的だったシティポップの中では珍しく、それゆえに一段と際立っています。
本作には国民的名曲「ルビーの指環」をはじめ、「SHADOW CITY」、「出航 SASURAI」が収録されています。
寺尾聰のおすすめ名曲:ルビーの指環
「ルビーの指環」は、シティポップというより歌謡曲として有名かもしれません。
カッティングギターとブリブリのベース、ちょっとハネたノリのリズムがクールでカッコ良いですね!
大橋純子のおすすめ名盤 – Tea For Tears(1981)
パワフルなヴォーカルが魅力的な大橋純子が、美乃家セントラル・ステイションを経てソロ名義でリリースしたファーストアルバム「Tea For Tears」は、AORテイストが強いシティポップの名盤です。
ホーン・セクションが前面に出ている一方、伸びやかで耳心地の良い歌声やキャッチーなメロディと相まって独自のサウンドに仕上がっています。
大橋純子のおすすめ名曲:テレフォン・ナンバー
大橋純子のおすすめ名曲は「テレフォン・ナンバー」です。
洗練されていて都会的な雰囲気漂うサウンドが魅力的ですね。今剛によるカッティングギターに、随所随所に登場するキメやホーン・セクションが堪りません。
吉田美奈子のおすすめ名盤 – MONSTERS IN TOWN(1981)
日立マクセルのCMに自ら出演し、CM曲として起用された艶やかなミディアムバラード「BLACK EYE LADY」を取り上げる形でリリースされた「MONSTERS IN TOWN」。
AORを語る上で外せない吉田美奈子のアルバムの中でもファンクに最接近していた名盤です。
数多くのシティポップの名曲を支えたギタリスト、土方隆行が初参加した本作は、バックの演奏がタイトかつグルーヴィーで今聴いても日本人が演奏していたとは思えない雰囲気です。6人編成のホーン・セクションやストリグスも加わった重厚感あふれるサウンドが魅力的です!
吉田美奈子のおすすめ名曲:Town
吉田美奈子だけで特集を組めるほど、音楽性が豊かアーティストなのでどの曲をおすすめするか迷うところですが、ここでは「Town」を推すことにします。
ブリブリの重たいスラップベースとタイトなドラムに、土方隆行の歌うような軽快なギターが特徴的です。
本人の声による多重録音でのコーラスが独特のグルーヴ感を生み出しているのも見逃せません。
松任谷由実のおすすめ名盤 – PEARL PIERCE(パール・ピアス)(1982)
ニューミュージックの代表格であるとともに、シティポップの先駆け的存在でもある「ユーミン」こと松任谷由実。
そんなユーミンのシティポップ的名盤は「PEARL PIERCE(パール・ピアス)」です。
80年代初頭の雰囲気が詰まった本作は、当時流行ったAORやブラコン的要素が混ざった、洗練された都会的なサウンドが魅力です。
本作は「真珠のピアス」や「DANG DANG」など、グルーヴィーでクールな雰囲気の楽曲が収録されている、ユーミン流シティポップの最高峰というべき作品です。
松任谷由実のおすすめ名曲:真珠のピアス
そんなユーミンのおすすめ名曲は「真珠のピアス」です。
「彼のベッドの下に片方捨てた真珠のピアス」というフレーズがセンセーショナルなこの曲は、楽曲のアレンジや雰囲気が目立ちがちなシティポップの中でも、歌詞をしっかりと紡ごうとするユーミンならではの姿勢が見え隠れする名曲です。
黒住憲五のおすすめ名盤 – Again(1982)
黒住憲五の「Again」は爽やかで耳触りの良いシティポップの名盤です。長らくCD化されておらず、ようやくCD化されたら今度は売り切れてしまい希少価値が特に高い作品となってしまいました。
黒住憲五の軽やかでスイートな歌声やキャッチーなメロディ、サウンドプロデュースを手掛けた名ギタリスト、松原正樹のアレンジやギターが見どころです。
黒住憲五のおすすめ名曲:Rainy 246
ミディアム〜バラードが多めな黒住憲五の楽曲の中でおすすめな名曲は「Rainy 246」です。
ドラムに青山純や林立夫が参加しており、シティポップのイメージそのままな、洗練されていて大人な雰囲気漂うアレンジが秀逸な作品です。
山下達郎のおすすめ名盤 – FOR YOU(1982)
ミスターシティポップこと、ヤマタツこと山下達郎がようやくここで登場します。
大瀧詠一の門下生とも言える山下達郎は、長いキャリアを通して数々の名曲を生み出していますが、その中でも名盤として特に名高いのが「FOR YOU」です。
大ヒット曲「RIDE ON TIME」の勢いのままに制作された本作は、山下達郎の代表曲である「SPARKLE」に始まり、テレビでもよく使用される「LOVELAND, ISLAND」、「あまく危険な香り」などが収録されたシティポップの最重要作品のひとつです。
山下達郎のおすすめ名曲: SPARKLE
日本屈指のメロディメーカーである山下達郎の曲をひとつだけ選べというのは酷な話です。
そんな中選んだおすすめ名曲は、やはり「SPARKLE」です。ライブのオープニング曲で良く演奏されるこの曲は、冒頭のカッティングギターだけでご飯が3杯食べれるほど堪りません。
そんなカッティングギターに合流するのは伊藤広規のゴキゲンなベースと青山純のタイトなドラム。
海沿いで夏の太陽を浴びながらのんびりと聴きたくなる、永遠のマスターピースです。
佐藤博のおすすめ名盤 – awakening(1982)
ハックルバックやティン・パン・アレーで活躍しながら細野晴臣や吉田美奈子、大瀧詠一、山下達郎らの楽曲制作にキーボードや作曲、アレンジで参加した佐藤博は個性豊かなシティポップの中でも少々異色の存在感を放っています。
そんな佐藤博がアメリカでの活動を経てリリースした「awakening」は、世界初のデジタル・ドラムマシン、LM-1を国内で初めて全面的に使用した前衛的な作品です。
デジタルがもたらす近未来的要素と、美しいピアノやギターの音色の組み合わせが織りなすグルーヴが秀逸なシティポップの名盤として高い人気を誇っています。
山下達郎や松木恒秀、鳥山雄司らシティポップの名プレイヤーを集めたプレイは見逃せません。
佐藤博のおすすめ名曲:Say Goodbye
佐藤博のおすすめ名曲は「Say Goodbye」です。
シティポップはアナログなアレンジやプレイが基本線でありながら、YMOのようなテクノポップを彷彿とさせるデジタルサウンドに、エレピのソロや山下達郎が手掛けた16ビートのカッティングギターが絶妙にマッチしていてカッコ良いです。
芳野藤丸のおすすめ名盤 – YOSHINO FUJIMAL(1982)
シティポップの中でも最重要なギタリストの一人、芳野藤丸のファーストソロアルバム「YOSHINO FUJIMAL」はシティポップの隠れた名盤です。
ベースがゴキゲンに駆け回りながら、シンプルな鍵盤とコーラスがよしなに絡むサウンドがファンキーでカッコ良いです。
芳野藤丸のダンディな歌声も渋くて堪りません!
芳野藤丸のおすすめ名曲:Who Are You
芳野藤丸のイチオシの名曲はアルバム「YOSHINO FUJIMAL」の一曲目を飾る「Who Are You」です。
ブリブリのベースと2本のギターが左右で16ビートのカッティングを刻んでいてグルーヴィな仕上がりとなっています。
間宮貴子のおすすめ名盤 – Love Trip(1982)
今回おすすめする間宮貴子の「Love Trip」はシティポップの名盤として、大貫妙子の「SUNSHOWER」と双璧を成すほどの人気を誇る名作です。
そんな間宮貴子は本作を出した当時はさほど話題にならず、業界から姿を消してしまいます。その後、シティポップが再評価される流れの中で人気を誇るようになったのが興味深いですね。
難波弘之や井上鑑、鳴瀬喜博ら豪華メンバーによるグルーヴィーでタイトな演奏が素晴らしいだけなく、間宮貴子の古臭さを感じさせない肩肘の力が抜けた歌声が、後世の人間からしたらツボだったのかもしれません。
本作には、名曲「LOVE TRIP」をはじめ、「真夜中のジョーク」や「WHAT A BROKEN HEART CAN DO」などが収録されています。
間宮貴子のおすすめ名曲:真夜中のジョーク
日本で人気なのはアルバムと同タイトルの「Love Trip」ですが、ここでは海外のリスナーの間でより評価されている「真夜中のジョーク」をおすすめします。
鳴瀬喜博のグルーヴィーなベースと沢井原兒の歌に絶妙に絡むサックスが素敵な名曲です。
杏里のおすすめ名盤 – Timely!!(1983)
「オリビアを聴きながら」や「CAT’S EYE」で有名な杏里の中でも、「Timely!!」はオリコンチャートでも1位を獲得したシティポップの名盤です。
角松敏生をプロデューサーに迎えた本作は、「CAT’S EYE」や「悲しみがとまらない」が収録されており聞き応え抜群です。
プロデューサーであり、名ギタリストもある角松敏生に加え、土方隆行や松原正樹といったメンツも加わった本作は商業的にも音楽的にも秀逸な仕上がりとなっています。
杏里のおすすめ名曲:Remember Summer Days
杏里のおすすめ名曲はあえて、有名どころの「CAT’S EYE」や「悲しみがとまらない」でもなく、夏のリゾート感が溢れる「Remember Summer Days」をチョイスしました。
実は海外で一番認知されているのはこの曲で、海外のミュージシャンがリミックスを手がけ竹内まりやの「プラスティック・ラブ」と双璧を成すほど人気を誇っているのです。
低音から高音までさかんに行き交うベースに、うっすらとバックで支えているカッティングギターがカッコ良いですね。
浜田金吾のおすすめ名盤 – MUGSHOT(1983)
都会的で洗練されたサウンドが特徴的な浜田金吾の「MUGSHOT」は、浜田の最高傑作とも言われるシティポップの名盤です。
ディスコファンクやブラコン、AORの薫りがするアレンジや、柔らかくしなやかにハイトーンを歌いこなす浜田金吾の歌声が堪りません。
濱田金吾のおすすめ名曲:Rainy Heart
そんな浜田金吾のおすすめ名曲はミディアムテンポの「Rainy Heart」です。
ギタリストの松下誠と鳥山雄司が参加し、左右で異なるフレーズを弾き分けているのが聴きどころです。
ファンキーなビートに乗った浜田のスモーキーなヴォーカルも光っています。
亜蘭知子のおすすめ名盤 – 浮遊空間(1983)
初期ビーイングから、長戸大幸によるプロデュースでリリースされた「浮遊空間」はシティポップの隠れた名盤です。
FENCE OF DEFENSEの西村昌敏をサウンドプロデュースに起用した本作は、打ち込みによるデジタルサウンドが前面に出たロックテイストなサウンドが印象的な作品です。
メロウで斬新な音作りが特徴的な「I’m In Love」や艶やかな雰囲気の「Midnight Pretenders」が収録されており、シティポップブームが再燃してから再評価され、海外のリスナーからも人気が高いようです。
亜蘭知子のおすすめ名曲:I’m In Love
そんな亜蘭知子のおすすめ名曲はやはりI’m In Loveです。
メロウでキャッチーなメロディを、艶やかでさらっとしたヴォーカルが歌い上げていて聴き心地のよい曲調です。
八神純子のおすすめ名盤 – COMMUNICATION (1984)
キャッチーでポップな楽曲をテクノ風のビートに乗せた楽曲が際立つ「COMMUNICATION」はシティポップがデジタルサウンドへ変容していく過程を楽しめる名盤です。
打ち込みによるリズム隊や、コンプがかったカッティングギターによるデジタルサウンドは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、アップテンポな曲からバラードまで、幅広い種類の楽曲を楽しむことが出来る作品です。
八神純子のおすすめ名曲:Imagination
そんな八神純子のおすすめ名曲は「Imagination」です。
打ち込みによるベースやドラムが無機質さを醸し出す反面、どこか無邪気で軽やかな声質のヴォーカルが加わることで音楽的なバランスが完璧に整っていて面白いですよ。
竹内まりやのおすすめ名盤 – Variety(1984)
シティポップを語る上で絶対に欠かせない人物のひとりが竹内まりやです。
デビュー当初はアイドル的人気を誇ったものの、そこに違和感を感じた彼女は休養宣言し、1982年に山下達郎と結婚しました。
そんな彼女が1984年に発表したアルバム「Variety」はシティポップ屈指の名盤です。
竹内まりやはアルバムに収録された全楽曲の作詞作曲を手掛け、夫・山下達郎はプロデューサー/アレンジャーとしてサウンドメイク全般に関わり、人気曲「もう一度」や「マージービートで唄わせて」、「プラスティック・ラブ」が生まれたのです。
竹内まりやのおすすめ名曲:プラスティック・ラブ
シティポップと言えばこの曲、という楽曲こそがアルバム「Variety」に収録されている「プラスティック・ラブ」です。
原曲のこの動画だけでも3000万回近く再生されており、そのコメント欄は英語をはじめ、あらゆる言葉で埋め尽くされているというグローバルな人気を誇っています。あえて説明は控えますのでただ純粋に曲を聴いてみてください。
角松敏生のおすすめ名盤 – After 5 Crash(1984)
ギタリストとしての実力も素晴らしい角松敏生もまた、シティポップを語る上で欠かせない存在です。
「SEA LINE」が最も有名かもしれませんが、ここでおすすめしたい名盤は「After 5 Crash」です。
本作はそれまでの夏の爽やかな雰囲気やリゾートのイメージでなく、ネオン輝く夜の都会を感じられる名盤です。
キレッキレなカッティングギターにファンキーなベース、煌びやかなシンセによるアレンジが光る最高の一枚です。
角松敏生のおすすめ名曲:After 5 Crash
アルバムと同名の「After 5 Crash」は、ジャケットのような夜の摩天楼が似合うクールな名曲です。
リズム隊と上物の縦のラインが揃ったタイトなアレンジが堪りません!
円道一成のおすすめ名盤 – Run To Live, Live To Run(1984)
ジャパニーズ・アーバン・ソウルの名作、シティポップの隠れた名盤のひとつが、日本のウィルソン・ピケット(すごい二つ名w)こと円道一成の「Run To Live, Live To Run」です。
山下達郎も作曲、アレンジ、ギターとして客演しており、山下達郎ファンの間でも人気が高い名作です。
山下達郎の他にも、村上”PONTA”秀一、鳥山雄二、青山純 、伊藤広規 、佐藤博、難波弘之、斉藤ノブ、土岐英史など一流ミュージシャンが大集結し制作されており、お洒落で都会的なテイスト漂う他のシティポップの楽曲とは一味も二味も異なります。
というのも、円道一成の日本人離れしたパワフルでハスキーな歌声が、主流派の柔らかくて軽やかな歌声とは一線を画するからです。未だCD化されていないのが悔やまれますね。
円道一成のおすすめ名曲:酔いしれてDeja Vu
「酔いしれてDeja Vu」は、山下達郎が自身で一番気に入っているギタープレイと語る傑作で、オブリガート全開の遊び心溢れるギターサウンドが聴きどころです。
彩恵津子のおすすめ名盤 – PASSIO(パシオ)(1986)
80年代中盤〜90年代中盤にかけて活動していた彩恵津子の「PASSIO(パシオ)」はシティポップ後期の名盤です。
シンセ・ホーンやエレキベースの音色が前面に出たデジタルサウンドによるプレイに、透明感あるハイトーンボイスが組み合わさることで独特の魅力を醸し出しています。
全体的に都会的でファンキーなテイストが溢れており、「都会に生きる良い女」像が見え隠れする歌詞や世界観が80年代らしいです。
彩恵津子のおすすめ名曲:天使のタキシード
存在感が強いシンセホーンやエレキベースと、軽やかでうっすらと佇むヴォーカルとのコントラストが魅力的な「パシオ」は、80年代中後半のテイスト漂う名曲です。
また、ブレイク前の久保田利伸とのデュエット曲「永遠のモーニング・ムーン」は必聴ですよ!
秋元薫のおすすめ名盤 – Cologne(コロン)(1986)
後に国分友里恵とカシオペアのメンバーと「シャンバラ」を結成した秋元薫。
そんな彼女の唯一のソロアルバム「Cologne(コロン)」は、発売枚数が少なくマイナーだったものの、後に海外発となったシティポップブームの中で人気を得た名盤です。
エリクトリック・ファンク、ディスコミュージック的サウンドが特徴的で、スイートでジャズテイスト溢れる「Two Call」や、都会的なディスコファンク「我がままなハイヒール」などが収録されています。
一応CD化していますが、非常にレアで高価な一枚です。しかし、Amazonのストリーミングサービスで聴くことが出来ますので試してみてはいかがでしょうか。
秋元薫のおすすめ名曲:我がままなハイヒール
「Cologne(コロン)」の中でも特に高い人気を誇る都会的なディスコファンク「我がままなハイヒール」は名曲です。
80年代中後半からはシティポップの定義が「リゾート、海」から「都会的、夜」へ変わっていくのですが、この曲はまさに後者で「大人のイケてる女」感が魅力的です。
和田加奈子のおすすめ名盤 – KANA(1987)
現在はマイク眞木の妻でもある和田加奈子のアルバム「KANA」もまた、近年のシティポップ再評価の中で特に話題となっている名盤のひとつです。
鳥山雄司が収録曲の大半を編曲し、青山 純 (ds)、伊藤広規 (b)、芳野藤丸 (g)、森村 献 (key)、斉藤ノヴ (perc)といった一流ミュージシャンが多数参加しているのも見どころです。
80年代ブラコン歌謡最高峰と言われる「SUNDAY BRUNCH」を皮切りに、TVアニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』エンディング・テーマ「悲しいハートは燃えている」、「誕生日はマイナス1」などが収録されています。
その中にはなんと、日本が世界に誇る名作曲家、久石譲が作編曲した「鳥のように」という曲も含まれています。久石譲がポップスの歌モノを手掛けているとは意外ですね。
和田加奈子のおすすめ名曲:SUNDAY BRUNCH
アルバム「KANA」の収録曲「SUNDAY BRUNCH」は歌の間の取り方が独特なファンクテイストな名曲です。
シンセベースやオクターブ上に付く人工的なハモりが特徴的ですね。
まとめ
フォーク、ソウルミュージック、ファンク、AOR・・・。あらゆるバックグラウンドを持つミュージシャン達が良い音楽を作ろうと化学反応を起こし、いつからか「海、リゾート、夏」といった雰囲気あふれる楽曲が巷を席巻していきました。
そこを基調としながら、80年代中後半になるにつれ、電子楽器の進化や洋楽のトレンドの変化も相まって「都会、夜、キラキラした世界」を想起させるような楽曲が主流となっていったのです。
アナログで生音感溢れるサウンドから、デジタルで近未来感溢れるサウンドへ。
昔の日本にはこんなに斬新で色あせない、優れた音楽が溢れていたのです。
この記事は、音楽的な文脈を踏まえて書いているので、上から順に見ていくことでシティポップのトレンドや多様性を俯瞰出来るようになっています。
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本記事で紹介した秋元薫の「Cologne(コロン)」のように、ほとんど市場に流通していないレアな名盤も聴き放題に含まれているのでとても魅力的です。
大貫妙子や松原みき、佐藤博、杏里etc…。今回取り上げたアーティストの名盤・楽曲も聞き放題なので、この機会に試してみてはいかがでしょうか?
Amazon Music Unlimitedについてまとめた記事も書いているので、参考になれば幸いです!
⇨Amazon Music Unlimitedをおすすめする6つの理由【料金・特徴・機能を解説】