こんにちは!ボイストレーナーのまっすーです。
今回は「ピアノ弾き語り系!男性アーティストおすすめ20選」、「ピアノ弾き語り系!女性アーティストおすすめ20選」の続編として「ピアノ弾き語り系!洋楽・外国人アーティスト」をお届けしてまいります。
音楽界のレジェンドから新進気鋭のアーティストまで厳選して20名とは?ぜひ最後までお楽しみください!
この記事は以下のような方におすすめです。
- ピアノ弾き語りに興味がある方
- ピアノ弾き語りをしていて、色々なアーティストや楽曲を知りたい方
- ピアノ弾き語りアーティストのプレイスタイルや歌い方の特徴に興味がある方
- 洋楽のピアノ弾き語り系アーティストや楽曲を知りたい方
まずは男性のピアノ弾き語り系アーティストから見ていきましょう!
【男性編】ピアノ弾き語り系アーティスト / シンガーソングライター
Ray Charles(レイ・チャールズ)
黒人のピアノ弾き語り系歌手のパイオニアとしてお馴染みのレイ・チャールズ。
もはや中高年の方でもない限り、レイ・チャールズの歌声やピアノをちゃんと聴いたことのある方はいないかもしれません。
レイ・チャールズは6歳のときに病気で失明し、盲目というハンディキャップを背負いながら、クラシック・ピアノとクラリネットを習得し、ジャズやゴスペル、ブルースといった黒人音楽を土台に今日のR&B/ソウルミュージックの基礎を築きました。
そんなレイ・チャールズの音楽的特徴はブルージーな旋律とゴスペルの和音やコール&レスポンスの概念を織り交ぜたサウンド、それに加えてジャズやポップスの軽やかさやキャッチーさを加えた独自のスタイルです。
レイ・チャールズのおすすめソング – ジョージア・オン・マイ・マインド(我が心のジョージア)
数々の名曲がありますが、最も耳なじみがあるのはジャズ・スタンダードのカヴァー作品でもある「我が心のジョージア」でしょう。
繊細なバイオリンの音色とレイのスイートで包容力ある歌声、厚みを帯びた美しいコーラスが魅力的なこの曲はアメリカ・ジョージア州の州歌となるほど現地でも愛されています。
レイ・チャールズのおすすめアルバム
レイ・チャールズ映像作品 – 自伝的映画「わが心のジョージア」がおすすめ!
ちなみに、レイ・チャールズは自伝的映画「わが心のジョージア」から入るとその魅力が分かりやすいですよ!
この映画はアカデミー音響賞を受賞すると共に、主人公のジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞を受賞したことでも話題となりました。
Little Richard(リトル・リチャード)
ロックンロールの創始者であると共にR&Bのレジェンドとして有名なピアノ弾き語り系アーティストがリトル・リチャードです。残念ながら2020年春に亡くなってしまいましたが、その際はロック畑、R&B畑両方のミュージシャンやリスナーからも追悼されるという特異な存在感を放ちました。
リトル・リチャードの音楽的特徴はなんと言ってもパワフルなシャウトや高音が冴え渡る歌声、打楽器のようなタッチでプレイするピアノ、ブルース由来のいわゆるロックンロールなサウンドです。
リトル・リチャードがビートルズやストーンズらにも影響を与えたロックのレジェンドとして取り沙汰されるのは当然ですが、それ以上にR&Bのレジェンドとしても話題を博したのは、彼がR&Bとロックの分水嶺の真上で音楽していたからに他なりません。ロックの原点が何なのか、R&Bの原点が何なのか知りたい方は必聴です!
リトル・リチャードのおすすめソング- ロング・トール・サリー
リトル・リチャードの名曲の中でも特にノリノリで有名なのが「ロング・トール・サリー」です。
・・・「それってビートルズの曲じゃないの!?」
と思ったあなた。ビートルズのバージョンはリトル・リチャードのカヴァーなんですよ!黒人差別が当然のように吹き荒れる1950〜60年代。ブルースやロックンロールに魅せられたビートルズはリトル・リチャードやチャック・ベリーに焦がれて、ブルージーでロックンロールな路線を歩み出したのです。詳しく特集している記事もありますのでぜひご覧ください!
リトル・リチャードのおすすめアルバム
Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)
スティーヴィー・ワンダーは半世紀以上に渡って第一線で活躍し続ける超一流のR&B歌手です。ピアノで弾き語りをしているのはお馴染みですが、それだけでなくハーモニカやクラリネットなども演奏するマルチプレイヤーとしても知られています。
歌手として卓越しているのは、低音から高音まで淀みなく滑らかに発声出来る音域の広さ、バラードからアップテンポまで、信じられないほどカッコ良く歌いこなす緩急の豊かさや表現力です。最近の歌手のようにテクニカルな歌い回しはさほどしない一方、良く聴くと信じられないロングトーンやハイトーンの安定感があるのが特徴的です。
また、ジャズ、ソウル、ファンクといった多様な音楽をミックスさせポップスへ昇華させる才能はアメリカ音楽史上屈指と言っても過言ではありません。
スティーヴィー・ワンダーのおすすめソング – スーパースティション(迷信)
スティーヴィー・ワンダーほど「一曲選べ」と言われて悩むアーティストはいません!その中で今回推したいのは「迷信」です。
シンプルなドラムパターン(スティーヴィーが叩いている)に重厚なホーンセクションやクラビネットのリフ・・・一見簡単そうに聴こえるかもしれませんが、実際にプレイしてみてこんなに雰囲気・ノリが出せない曲はなかなかありません。
また、モータウン的なポップスから脱却し、内向的な世界へ没入していったニューソウル的楽曲としてファンやリスナーの間でも高く評価されている曲でもあります。
スティーヴィー・ワンダーのおすすめアルバム
Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)
ダニー・ハサウェイは70年代R&B/ソウルミュージックを代表するシンガー、作曲家、編曲家、プロデューサー、そして卓越したピアノ/キーボーディストです。
ニューソウルの代表格であるダニー・ハサウェイは、シャウトを使わず、しなやかで力強い声から柔らかく温かい声まで幅広く使いこなしながら、エレピやピアノを使って弾き語りするスタイルを好んでいたのが特徴です。
ダニー・ハサウェイのおすすめソング – リトル・ゲットー・ボーイ
「リトル・ゲットー・ボーイ」は、貧しいエリア(ゲットー)に住む子ども達へ向けて、「全てはきっと良くなる」というメッセージを込めて歌った名曲です。
ダニー・ハサウェイ自身は高等教育を受けていながら、黒人の人権やアイデンティティに関する諸問題に踏み込んでいき、音楽活動を通して同胞を扇動していくようなスタンスが特に見え隠れしている曲です。
ダニー・ハサウェイのおすすめアルバム
Billy Joel(ビリー・ジョエル)
世界で最も有名なシンガー・ソング・ライターといえばビリー・ジョエルと言っても過言ではありません。
「ピアノ弾き語り」、というとスティーヴィー・ワンダーやエルトン・ジョンを思い浮かべる方が多いでしょうが、サウンドも含めて常にピアノが前面に出ているのはやはりビリー・ジョエルです。
ビリー・ジョエルの音楽的な特徴はやはり、ヒットメーカーとしての才能が光るポップでキャッチーなメロディと洗練されたサウンドです。特に1970年代後半の楽曲に見られる都会的で洗練されたサウンドはまさしく「AOR」でありながら、ロックテイストな楽曲もリリースするなど楽曲の多様性は他を圧倒しています。
ビリー・ジョエルのおすすめソング – ニューヨーク・ステート・オブ・マインド(ニューヨークへの想い)
「ニューヨーク・ステート・オブ・マインド」はビリー・ジョエルの数多くの名曲の中でも特に意義深い曲です。
納得のいかない内容でのレコードでデビューしたのち、ニューヨークからロサンゼルスへ移住したビリー・ジョエルの、ニューヨークへの想いが込められた内容となっています。
大人しい出だしが徐々に盛り上がっていき、途中からサックスが渋くセクシーな音色でビリー・ジョエルのエモーショナルなピアノと絡み合っていくこの曲は必聴です。洋楽好きかつピアノに興味のある方であればいつか絶対に弾き語りしたいと憧れる、珠玉の名曲です。
ビリー・ジョエルのおすすめアルバム
Elton John(エルトン・ジョン)
ビリー・ジョエルと並んでピアノ弾き語り系アーティストの筆頭格として挙げられるのがエルトン・ジョンです。
2019年に自伝的映画「ロケットマン」が大ヒットしたことで話題を博したエルトン・ジョンですが、その際たる特徴は楽曲の幅広さにあります。プログレッシブ・ロック系の楽曲からカントリー、アメリカン・ロック、R&B系、果ては映画音楽まで多岐に渡っており、老若男女問わず万人に愛されている偉大なシンガーソングライターです。
エルトン・ジョンのおすすめソング – ユア・ソング(僕の歌は君の歌)
エルトン・ジョンの代名詞とも言える「ユア・ソング」。エルトン・ジョンが影響を受けたレオン・ラッセルのように煌びやかで流れるようなピアノとフォークソングのような穏やかさが混ざった暖かい雰囲気が魅力的です。
作詞を担当したバーニー・トーピンは、当時下宿していたエルトン・ジョンの家で朝食を食べながらこの曲の歌詞を書きました。そして、エルトン・ジョンがピアノに座ってバーニーの書いた詞を読むなり、インスピレーションが滝の水のように溢れ出てわずか10分で曲を作ってしまったというエピソードは音楽ファンの間では有名です。
この曲もビリー・ジョエルの「ニューヨーク・ステート・オブ・マインド(ニューヨークへの想い)」同様、いつかはピアノ弾き語りをしたいと思える憧れの一曲としてよく挙げられます。
エルトン・ジョンのおすすめアルバム
フレディー・マーキュリー(Queen/クイーン)
ビリー・ジョエルやエルトン・ジョンと同時期を駆け抜けた、イギリス屈指の人気ロックバンド・クイーンのヴォーカリストであるフレディー・マーキュリー。
強烈なビジュアルやキャラクター、バラードからアップテンポまで、多様な楽曲にロックとは思えないクオリティの高さ、卓越した歌唱力に観客を意のままに操る天才的なステージパフォーマンス。フレディー・マーキュリーはこういった部分に注目されがちですが、ピアノ演奏をふんだんに盛り込み、情熱的に弾き語る「ピアノ弾き語り系アーティスト」としての側面も見逃せません。
フレディー・マーキュリー(クイーン)のおすすめソング – ドント・ストップ・ミー・ナウ
クイーンの中でも特に軽快で爽やかなロックナンバーといえば”Don’t Stop Me Now”(ドント・ストップ・ミー・ナウ)です。
優しいフレディーの歌とピアノから入り、バンドインしてからはラスト直前までひたすらノリノリで駆け抜けていくこの疾走感が堪りません!
ヴォーカル的視点から見ても、この凄まじい緩急の尽き具合や音色の使い分けは特筆するものがあります。ピアノ的視点から見ても、このサウンドにピアノは欠かせないことは明らかで、ピアノ弾き語りをバンドサウンドへ昇華させた際のかっこよさをひしひしと思い知らされます。
フレディー・マーキュリー(クイーン)のおすすめアルバム
Michael Mcdnald(マイケル・マクドナルド/ドゥービー・ブラザーズ)
「白人によるソウルミュージック(黒人音楽)」のことを「ブルー・アイド・ソウル」(最近でいえばアデルなんかが良い例です)と言うのですが、マイケル・マクドナルドほどブラック・フィーリング溢れる白人歌手はそうそう滅多にいません。
ソロとしても、70〜80年代にかけて一時代を築いたロックバンド「The Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)」のピアノヴォーカルとしても、その圧倒的な歌唱力や楽曲作りのセンス、卓越したピアノワークを通して数々の名曲を生み出してきました。AORやR&B系の歌やピアノもやる身としては「なんでこんなフレーズを弾きながら歌えるの!?」と驚くことばかり。
マイケル・マクドナルド(ドゥービー・ブラザーズ)のおすすめソング – ワット・ア・フール・ビリーブス
ロックテイストなサウンドだった初期から、マイケル・マクドナルド加入に伴って洗練されたAOR系サウンドへと変遷していった中〜後期ドゥービー・ブラザーズの名曲「ワット・ア・フール・ビリーブス」。
近年、自動車のCMソングとして起用されたこともあってピアノのリフを聴いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この曲ではマイケル・マクドナルドのハスキーでスイートな歌声とピアノを中心とした爽やかなウエスト・コースト・ロックを堪能出来ます。こんな難しいピアノを弾きながら聞き惚れるような歌を歌って、しかもバンドのアンサンブルやコーラスも絶品なのだからドゥービー・ブラザーズは侮れません。アメリカン・ロックを代表するバンドのひとつです。
マイケル・マクドナルド(ドゥービー・ブラザーズ)のおすすめアルバム
Brian McKnight(ブライアン・マックナイト)
90年代〜2000年代のR&Bを代表するピアノ弾き語り系アーティストといえばブライアン・マックナイトです。
低音域から高音域まで縦横無尽に行き交う美声、マネの仕様がないテクニカルなフェイク、「美メロ」という呼び名がふさわしいシンプルにして洗練された名曲の数々・・・、
近年ではEXILEのATSUSHIさんや三代目 J Soul Brothersの今市隆二さんとコラボしたりもするので邦楽好きなリスナーの間でも耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?
ブライアン・マックナイトのおすすめソング – Back at One
ブライアン・マックナイトを代表する有名曲が「Back at One」です。原曲は打ち込みのリズムトラックにシンプルな上物が乗っかり、そこにブライアン・マックナイトのスイートでセクシーな歌声が絡み合う90年代R&B屈指の名曲です。
ブライアン・マックナイトが凄いのは歌だけでなくピアノ演奏のスキルです。ブラックミュージックを土台にした複雑なテンションやリズムを織り交ぜた弾き語りのピアノは黒人ならでは。そこに来てCメロから大サビにかけてのブリッジで高音域の高速フェイク!
90年代R&Bは80年代の流れで美メロ×ヴォーカルの技巧が深まっています。ブライアン・マックナイトはそこを極めたアーティストのひとりとしても見逃せません。
ブライアン・マックナイトのおすすめアルバム
John Legend(ジョン・レジェンド)
ブライアン・マックナイトの次世代にあたるのは、アッシャーやNe-Yo(ニーヨ)といった、ヒップホップとR&Bの中間地点に立つようなセクシーなアーティスト達です。セクシーでデンジャラスな雰囲気の漂う2000年代R&Bの中で独自路線(R&Bの文脈としてはむしろ正統派)を貫いたのがジョン・レジェンドです。
近年、アリアナ・グランデとデュエットで「美女と野獣」をコラボしたことで一般のリスナーにも知れ渡ったのではないかなと。
ジョン・レジェンドもまたピアノの腕とメロディセンスに長けている一方、多くのR&Bシンガーより派手な歌い回しや高音発声をしない傾向が特徴と言えます。なんというか、日本で言えばアンジェラ・アキさんのような聡明さや知性、そして優しさが音楽から溢れ出ているんです。この辺はルーサー・ヴァンドロス、ライオネル・リッチーらオールド・スクールの系譜を感じさせます。
ジョン・レジェンドのおすすめソング – All of Me
アルバム「ラブ・イン・ザ・フューチャー」に収録されている「All Of Me」。
ひとたび話題になると全米シングル・チャート55週に渡りランクインを続け、全米シングル・チャートで見事1位にも輝いた名曲です。2000年代を代表するアーティストのひとりでありながら、楽曲の派手さや整ったキャラクターのせいか、ジョン・レジェンドがシングル・チャートで1位を獲得するのはデビュー以来初の快挙となりました。
ピアノ単品で勝負しにかかる姿勢、セクシーでスイートでありながら知性や爽やかさも感じさせる佇まいや歌声。クラブミュージックとヒップホップの勢いに押され、セックスシンボルと化してしまったコンテンポラリーR&Bがほとんど忘れ去ってしまったR&Bのエッセンスが、この曲には詰まっています。
ジョン・レジェンドのおすすめアルバム
【女性編】ピアノ弾き語り系アーティスト / シンガーソングライター
Nina Simone(ニーナ・シモン)
女性のピアノ弾き語り系アーティストではじめにご紹介したいのはニーナ・シモンです。一般的にあまりメジャーではないかもしれませんが、ビリー・ホリデイ、エディット・ピアフ同様、20世紀屈指の名歌手として母国アメリカだけでなく、ヨーロッパやアフリカでも活躍していました。
ニーナ・シモンは若き日にジュリアード音楽院を出たのち、生活のためにクラブシンガーとして歌い始め、ジャズ、ゴスペル、クラシック、ブルースを縦横無尽に行き交うような独自路線で人気を博しました(本質的にはフォークやソウルミュージックにカテゴライズされるべき、強い主義主張が楽曲や生き様から見られます)。どっしりと地に足が付いた、枯れた歌声は内面の力強さを感じさせるとともに、とても個性的かつ魅力的でリスナーを虜にさせる存在感を放っていました。
ニーナ・シモンのおすすめソング – Ain’t Got No, I Got Life
ニーナ・シモンの「Ain’t Got No, I Got Life 」はシンプルな歌詞に「自分の生を全うしよう」というメッセージを込めたソウルフルな楽曲です。
どっしりとした雰囲気で語りかけるような歌は全く浮ついておらず、どこかサイモン&ガーファンクルやボブ・デュランの楽曲のようなフォークの要素を感じさせます。20世紀前半〜中盤という、黒人が芸術を含めた高等教育を受けられる機会が少ない時代、女性が社会進出して黒人の公民権や自立を訴えかけるというのはとても困難だったと思います。
ニーナ・シモンが凄いのは、そんな時代に生まれ育った女性がピアノを操りながら骨のある主張を歌に乗っけて発信し続けた点にあるのではないでしょうか?
ニーナ・シモンのおすすめアルバム
Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)
「クイーン・オブ・ソウル(ソウルの女王)」、「レディー・ソウル」と呼ばれて久しい元祖ディーヴァ、アレサ・フランクリン。牧師の父を持ち、幼少よりゴスペルの影響を受けて育ち、1961年にデビューを飾ってから長きに渡って第一線で活躍を続けた女性アーティストです。
ゴスペルがルーツのパワフルで豪快な歌声と数多くの名曲の数々でソウル/R&Bを牽引し、女性アーティスト初の「ロックの殿堂」入りを果たし、ローリング・ストーン誌「歴史上もっとも偉大なシンガー」第1位にも輝くなど、その実力や存在感は唯一無二です。
そんなアレサ・フランクリンですが、ピアノ弾き語りスタイルでのパフォーマンスでは一際魂がこもった演奏をします。
アレサ・フランクリンのおすすめソング – ナチュラル・ウーマン
ソウルミュージックの代表曲として名高い「ナチュラル・ウーマン」。
数々の名演や有名アーティストのカヴァーが際立つ中、このバージョンは後ほど登場するキャロル・キングの2015年度ケネディ・センター名誉賞授賞式でアレサがサプライズ登場し、キャロル・キングの受賞に花を添えた名演中の名演です。
終始盛り上がっているブロンドの年配の女性はキャロル・キング、時折登場するスタイリッシュな佇まいの黒人男性はオバマ元大統領(冒頭から涙ぐんでいる姿が胸アツ!)。この豪華布陣の中で途中、ピアノの席を立ち、分厚い毛皮のアウターを脱ぎ捨てて絶唱し、それに呼応するように観客が熱を帯びて最後にはスタンディング・オーベーションというこの持って行き方はまさにゴスペルそのものであり、本物の歌唱力を持ったごく一部のアーティストにしか出来ない芸当と言えるでしょう。
アレサ・フランクリンのおすすめアルバム
Roberta Flack(ロバータ・フラッタ)
70年代R&B/ソウルミュージックの女性アーティストで最も活躍したと言っても過言でないのがロバータ・フラックです。
彼女の楽曲やアレンジ、歌い回しには既存のR&B/ソウルミュージック独特の粘っこさや泥臭さのようなものがあまり見られず、同世代のカーペンターズやキャロル・キングと並べて聴いても分からないほど洗練されているのが特徴です。
ちなみに、先ほど紹介したダニー・ハサウェイとは大学時代に出会って以来、深い交友関係にあって共作のアルバムもリリースしています。
ロバータ・フラッタのおすすめソング – キリング・ミー・ソフトリー(やさしく歌って)
「やさしく歌って」は、ロバータ・フラック屈指の人気曲です。原曲はロリ・リーバーマンが歌っていますが、その後ロバータがカヴァーしたことで全米チャート1位に輝くほどヒットし、現在に至るまでR&B/ソウルミュージックやアメリカン・ポップスのスタンダードとして親しまれています。
日本でもネスカフェのCM曲として起用されたことがあるので聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか?改めて聴いてみるとベースやギター、ピアノ、コーラスetc…どれもシンプルかつ存在感があって渋いです。
ロバータ・フラックのおすすめアルバム
Carole King(キャロル・キング)
中高年の方々にとって「ピアノ弾き語り系の外国人女性アーティスト」と言われて真っ先に思いつくのはキャロル・キングか先のロバータ・フラックではないでしょうか?
70年代初頭に「つづれおり」というアメリカン・ポップス史上に燦然と輝く名盤をリリースして以降、70年代のシンガー・ソングライターを象徴する存在として今なお人気を誇っています。グラミー賞4部門制覇、ロックの殿堂入り、そして2015年にはケネディ・センター名誉賞受賞(先のアレサ・フランクリンの「ナチュラル・ウーマン」の映像はその受賞式の一幕です)するなど、凄まじい経歴の持ち主でもあります。
キャロル・キングの音楽的特徴はなんと言っても女性目線から見た日常的な感情の機微を切り取った歌詞や楽曲の幅広さや深さであり、ルーツであるR&Bやロックンロールの雰囲気を感じさせるエッジの効いた勢い良く、かつ包容力ある歌声です。
キャロル・キングのおすすめソング – ユーヴ・ガット・ア・フレンド(君は友だち)
「女性の洋楽ピアノ弾き語りソング」の筆頭格として挙げられるのがこの「君は友だち」です。
1971年にリリースされた名盤「つづれおり」に収録されているこの曲は当時、ベトナム戦争や公民権運動等で精神的に疲弊していたアメリカの人々の心に刺さったという時代的背景も相まって70年代を代表する名曲、アメリカン・ポップスを代表する名曲として親しまれています。
シンプルなピアノのバッキングとキャロルの少し嗄れたような枯れた歌声が堪りません!
キャロル・キングのおすすめアルバム
Vanessa Carlton(ヴァネッサ・カールトン)
ヴァネッサ・カールトンは2000年代のアメリカンポップスに強烈なインパクトを残したシンガーソングライターです。
2002年にデビューアルバム「ビー・ノット・ノーバディ」でデビューし、アルバムにも含まれるシングル「ア・サウザンド・マイルズ」が大ヒットして翌年のグラミー賞で「最優秀レコード賞」と「最優秀楽曲賞」にダブル・ノミネートされ話題となりました。日本でもCMソングとして起用され、いまだに街中で流れていることもあるほどです。ワンオクロックがライブでカヴァーしたバージョンもとても素敵ですよ!
透明感ある清楚な雰囲気や歌声、美しくストイックなピアノ、ポップでキャッチーな楽曲がヴァネッサ・カールトンの魅力です。
ヴァネッサ・カールトンのおすすめソング – ア・サウザンド・マイルズ
このイントロはリリースから20年近く経った今でも強烈な印象を残しています。ビートルズの「レット・イット・ビー」、ジョン・レノンの「イマジン」、アリシア・キーズの「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」らと同格と言っても過言でないこの絶対的名曲感たるや。
弾いてみたいピアノのイントロベスト10に間違いなくランクインする一曲です。
ヴァネッサ・カールトンのおすすめアルバム
Norah Jones(ノラ・ジョーンズ)
ノラ・ジョーンズはビートルズにも影響を与えたシタール奏者を父に持つジャズヴォーカリスト/シンガーソングライターです。ジャズを土台にソウル、カントリー、フォークといったポピュラーミュージックやブラックミュージックを織り交ぜたスタイルやエキゾチックな容姿、温かみがあって柔らかく儚げな歌声が魅力を放っています。
日本でも大ヒットしたデビューアルバム「ノラ・ジョーンズ」は全世界で累計で2300万枚を売り上げ、グラミー賞主要4部門を含めて8冠を獲得、ビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートで143週連続1位を記録するなど、デビュー時点で伝説的な記録を残したアーティストでもあります。
ノラ・ジョーンズのおすすめソング – ドント・ノウ・ホワイ
ノラ・ジョーンズの最も有名な名曲「ドント・ノー・ホワイ」。
ノラ・ジョーンズの素朴で優しい歌声、ゆったりとしたバンドサウンドがとても心地良く、どこかしらでBGMとして聴き覚えのある方も多いのではないでしょうか?
このシンプルな曲が収録されたアルバム「ノラ・ジョーンズ」が2002年に世界中を席巻したのは、思うに前年に起こったアメリカ同時多発テロによる精神的ショックを和らげる何かがあったからなのではないかと、大げさでなく思います。キャロル・キングが1971年に「つづれおり」を出し、凄まじい人気となったのと同様の構造です。
アメリカの音楽的トレンドは邦楽以上に世相と紐づいている部分が多く、特にR&Bやフォークは楽曲が時代を牽引しているフシすらあります。
ノラ・ジョーンズのおすすめアルバム
Alicia Keys(アリシア・キーズ)
コンテンポラリーR&Bを代表するピアノ弾き語り系女性アーティストといえばアリシア・キーズです。
7歳からピアノを始め、クラシックからジャズまで幅広く音楽を学び、アーティストとしての素養を積みました。頭脳明晰な一面もあり、16歳で高校を卒業するとコロンビア大学に入学した秀才でもあります。
2001年のデビュー・アルバム「ソングス・イン・Aマイナー」でグラミー賞5部門受賞、2003年のセカンドアルバム「ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ」もグラミー賞4部門受賞し、2020年までにグラミー15冠&全世界累計売上6,500万枚超を誇る21世紀を代表するアーティストです。
アリシア・キーズの音楽的な特徴はハスキーでずっしりとした意志の強そうな歌声、オールドスクールのR&Bを踏襲したポップでキャッチーかつグルーヴィーな楽曲、社会問題や女性のアイデンティティといった部分へ問題意識を向けた歌詞にあります。
アリシア・キーズのおすすめソング – イフ・アイ・エイント・ガット・ユー
「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」は、数々のヒット曲を生み出したアリシア・キーズの楽曲の中でも最も有名な楽曲です。21世紀のアメリカンポップスやR&Bを代表する曲として、国内外のアーティストがカヴァーしたり、日本でもよく耳にします。
これぞアリシアの真骨頂と言わんばかりのずっしりとしたハネたビート、意志の強さや女性ならではのしなやかさを感じさせる感情豊かな歌声。アリシアが凄いのは、リズムトラックやサウンドメイク全般が今日で言うところのクラブミュージック的な打ち込みで支配されていた2000年代に、70年代風な生演奏のグルーヴを重要視してそれを貫いたところにあります。
アリシア・キーズのおすすめアルバム
Lady GaGa(レディー・ガガ)
日本でも話題となったピアノ弾き語り系アーティスト、レディー・ガガ。
先にトラックメイカーとして音楽業界に入った後、2008年にデビューすると個性的な衣装、過激なパフォーマンス、並外れた歌唱力、ポップでキャッチーな楽曲が話題となり世界中で人気を博し、世界を代表するポップ・アイコンとなりました。2010年代に入ってから映画「アリー/スター誕生」に主演するなど、女優としても成功を納めています。
レディー・ガガの音楽的特徴はマドンナやクイーン、デヴィッド・ボウイのスタイルを踏襲したクラシカルかつ斬新なパフォーマンスや楽曲です。見た目や言動が過激な面もある一方、あらゆる分野に精通していて活動家としても認知されて、その信念を楽曲や歌詞にも込めているところが彼女の魅力です。
レディー・ガガのおすすめソング – パパラッチ
過激なMVが話題となった「パパラッチ」。ガガ様の手にかかると変幻自在に刺激的なピアノバラードにもなるというこのアレンジ力、引き出しの多さが魅力ですね。注目と名声について、愛と成功はいずれかしか得られないのか、それともどちらも得られるのか、そういった葛藤をモチーフにした曲のようです。
レディー・ガガの楽曲は非常に示唆に富んでいて、曲調や歌詞、パフォーマンスの背後にダブルミーニング、トリプルミーニングといった具合に複雑な伏線が敷かれているのが特徴です。きっと「コレ」という正解などなくて、各々が抱いた正解らしきものを大事にすべきという、古来の芸術家のようなスタンスで音楽をやっていると思います。
レディー・ガガのおすすめアルバム
Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)
今世界で最も注目されている新進気鋭のアーティストといえばビリー・アイリッシュです。
デビュー・シングル「Ocean Eyes」をリリースして以来、スター街道まっしぐらな彼女ですが、デビュー・アルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」は世界17ヵ国・地域でチャート1位に輝き、2019年最大のヒット・アルバムとなり、日本でも話題となりました。
2020年のグラミー賞では史上最年少で年間優秀レコード、年間優秀アルバム、年間優秀楽曲、最優秀新人賞の主要4部門を制覇(最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞を含めると合計5部門受賞)、し1981年にクリストファー・クロスが打ち立てた前人未到の記録を更新しました。
ビリー・アイリッシュの音楽的特徴はジャンルを跨ったハイブリッドなサウンドや楽曲、囁くような歌声(本人はそういう声に反論している)、メンタルヘルスやアイデンティティー、社会や個人の諸問題をモチーフにした歌詞や楽曲を打ち出しているところです。
ビリー・アイリッシュのおすすめソング – リッスン・ビフォー・アイ・ゴー
「リッスン・ビフォー・アイ・ゴー」はデビューアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」に収録されている「病み系」なバラードソングです。自殺をテーマにしていると見られる歌詞はどこまでもどんよりとしていて救いがありません。そんな自分の声に耳を傾けてほしいというメッセージが薄らと感じられます。
ビリー・アイリッシュのおすすめアルバム
H.E.R.(ハー)
アメリカでビリー・アイリッシュと同じく注目されている若手女性アーティストH.E.R.(ハー)。2020年のグラミー賞でも主要2部門を含む計5部門にノミネートされた彼女は、13歳の時に「BET Awards」でライブパフォーマンスを行うなどして「アリシア・キーズの再来」と言われるほど注目されてきました。
H.E.R.の音楽的な特徴は最近楽器の世界でトレンドになっている「ネオソウル」のような曲調の楽曲です。ローリン・ヒルやアリシア・キーズのような雰囲気を漂わせながら、それ以前のクラシックソウルの薫りも纏っています。
H.E.R.のおすすめソング – フォーカス
アリシア以前のR&Bが好きなリスナーが聴いたら即食いつくこと間違いなしな、独創性と普遍性溢れる歌声や歌い回しが堪りません。日本ではビリー・アイリッシュ推しも相まってかあまり知名度がないのが現状ですが、個人的には完全にH.E.R.推しです。ビリー・アイリッシュとH.E.R.の関係性はアデルとジョス・ストーンと似ているなと思ってしまいます。
H.E.R.のおすすめアルバム
まとめ:ピアノ弾き語り系アーティスト、アツいです!
レジェンドから新進気鋭の若手まで、あらゆるタイプのピアノ弾き語り系外国人アーティスト / シンガーソングライターを厳選して20名ご紹介していきました!どのアーティストも個性豊かで見どころ溢れる方ばかりなのでぜひ音源をチェックしてみてくださいね!
ピアノ弾き語りのすすめ
また、今回紹介したアーティストのように弾き語りしてみたいと思った方はぜひおすすめの電子ピアノの記事やピアノ弾き語りを簡単に覚えるためのコツや練習方法の記事もチェックしてみてくださいね!ピアノ弾き語りの需要は年々高まっていて、私のボイストレーニングの生徒さんにも一からチャレンジして簡単な弾き語りが出来るようになった方が少なからずいます。
そして、ポップスピアノが弾けるとバンドやユニットでも重宝するのでミュージシャンから引っ張りだこになります。電子ピアノは4〜5万円ほどで入手出来、本体を立てかけて保管出来る卓上タイプを選べばギター以上に場所を取りません。今回紹介したアーティストの中には10代後半〜大人になってからピアノを始めた方もいます。興味のある方は家にいる時間が多くなりがちな今が始めるチャンスかもしれません。
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