こんにちは!ボイストレーナー/ヴォーカリストのまっすーです。
ボイトレやライブの現場で生徒さんやお客さんから良く聞かれるのが
「プロの人から見て上手い人って誰ですか?」
という質問です。
また
「そもそも(歌が)上手いってどういうことなんですかね?」
と聞かれることもしばしばあります。
前回の記事「【ボイストレーナーが選ぶ!】本当に歌が上手い歌手ランキングトップ20!!【邦楽編】」がネット検索だけでなくSNSでも反響があったので(ありがとうございます!!)、今回は第2弾・洋楽編です!
まず「歌が上手いとはどういうことか」を私なりに簡単に定義して、主観ながら「プロが見て本当に上手い歌手」を洋楽から男女合わせて20名、厳選してランキング形式で紹介していきたいと思います!
ちなみに私は今回紹介する多くのアーティストのパフォーマンスをライブやイベントにて見聞きしています。また、私の音楽仲間(中には今回出てくる歌手のバックコーラスやサポートミュージシャン、テレビ出演するボイストレーナー含む)からもヒアリングしているのである程度信憑性はあるかと思います。
それではまず「歌が上手いとはどういうことか」について見ていきましょう!
歌が上手いとはどういうこと?
ここでは「歌が上手いとはどういうことか」を、私なりに簡単に定義してお伝えしていきます。
発声技術
身体を適切に使って理にかなった呼吸や発声をしているかはとても重要です。
ちなみに、元の声質や歌唱表現、感情表現にセンスがあって「発声下手だけど上手く聴こえる人」というのは、少ないですが存在します。
ボイストレーナーという立場上、本記事では「発声下手」な方は好きな声でも好きな歌があっても取り上げません。今回紹介する方は皆、発声技術がしっかりした歌手です。歌を上手に歌えるようになりたい方はぜひ見本になさってください!
音程やリズムを外さずに歌える
曲のメロディーやリズムを外さずに歌えることもとても重要です。どちらかが少しでもズレることがあると歌の安定感が欠けてしまい、心地良く聴けない歌になってしまいます。
音域がある程度広い / 得意な音域で歌唱している
歌が上手い条件のひとつは「音程がある程度広い」ことです。発声技術がある程度整っていると必然的に広い音域で歌えますが、さらに「当人が得意な音域で歌唱しているか」もまた重要です。
例えば、高い声が得意な人が低いキーの曲を歌っても映えないですし、逆もまた然りです。歌が上手い人は自分の得意と苦手を抑えた上で、得意な部分が活きるような曲を歌ったり作ったりしています。
声量や迫力がある
歌が上手い条件のひとつは「声量や迫力がある」ことです。声量が大きいと、自然と迫力が出て歌を聴く人を惹きつけやすくなります。ただし、歌手の中には「声量以外の要素で勝負している人」もいます。近年の若手アーティストに多い傾向かもしれませんね。
緩急・抑揚
声量以上に重要なのが緩急や抑揚です。感情表現の結果と言えるかもしれませんが、声の強弱の幅や付け方に意図があると歌が上手く聴こえます。
歌唱表現
ビブラートやこぶし、ロングトーン、音の当て方(しゃくり、フォール、ポルタメントetc…)、音の動かし方など、曲の解釈に沿ってしっかりとコントロールしながら意図的に歌唱表現が出来ると歌が上手く聴こえます。
感情表現
曲や歌詞をどう解釈して、どういう風に歌いたいか。そのイメージや世界観に基づいて、感情を乗せて歌うことを感情表現と言います。歌唱テクニックが上手な人は掃いて捨てるほどいますが、プロが皆感情表現に富んでいるかと言うとそんなことはありません。
お仕事的に、「上手に歌ってはいおしまい♪」という歌を歌うプロが溢れかえっているのが昨今の音楽業界の実情です。
ただ、ここは非常に見極めにくいポイントです。ですので、本記事では感情表現がほとばしっていない方は、他の要素が一流でもランクインさせていません。
本当に歌が上手い歌手ランキング 第20位〜11位
第20位:ノラ・ジョーンズ
第20位にランクインしたのはジャズ歌手のノラ・ジョーンズです。
ジャズを土台に、ソウル、カントリー、フォークなどルーツミュージックやポップスを混ぜ合わせたテイストの楽曲が特徴的です。父親はビートルズにも影響を与えた有名なシタール奏者、ラヴィ・シャンカルというのは有名なエピソードです。
デビュー・アルバム「Come away with me(邦題:ノラ・ジョーンズ)」がビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートで143週連続1位を獲得し(累計売上2300万枚以上!)、グラミー賞では主要3部門を含めノミネート部門すべてで受賞し本人名義で5冠、作品としては8冠を獲得したという大記録の持ち主です。
ジャンル的に声量はさほど大きく出さないものの、緩急豊かで温かみがあって落ち着いた歌声が魅力的な歌手です。
第19位:アダム・ランバート
アダム・ランバートはアメリカのオーディション番組「アメリカン・アイドル」での準グランプリをきっかけにメジャーデビューした俳優・ロック歌手です。デビュー時点で既に卓越した歌唱力を誇っており、その実力ゆえに2012年以降、ロックバンド・クイーンのヴォーカリストとして加入するなど、華やかにスターダムを駆け上がった「アメリカン・アイドル」です。
アダム・ランバートが凄いところは、ヴォーカリストとしてというより俳優の下積み時代に蓄積していったドラマチックな表現力や「神の声域」と評されている高音発声の技術です。常人では到底出せない音域まで、シャウトでなくクリアな声質で力まずに出せるところに21世紀のヴォーカリストとしての矜恃が見られます。
第18位:リアーナ
リアーナは南米・バルバドス出身でエキゾチックな魅力を放つR&B系歌手です。
日本ではケイティ・ペリーやアリアナ・グランデらと「流行りの洋楽アーティストのひとり」みたいな扱いをされている気がしますが、アメリカでの知名度は随一です。アメリカ各地のライブハウスに行くとおもむろに「アンブレラ」や「ウィー・ファウンド・ラブ」などが演奏され、会場がその日一番沸くのを現地で何度も体験しました。
リアーナの魅力はなんと言ってもハスキーでセクシーな声質です。いわゆるディーヴァーと称されるビヨンセやマライヤ、ホイットニーほど声量や歌唱力が卓越しているとは思いませんが(ファンの方ごめんなさい、あくまで主観です)、卓越した声量やステージパフォーマンスが魅力的な歌手です。
ビルボード全米チャートトップ10にランクインした楽曲はこれまでに31曲もあり、この「アンブレラ」は全米チャート7週連続1位を獲得するなど、セールス的にも21世紀最高に成功したアーティストのひとりと言えるでしょう。
第17位:ブライアン・マックナイト
ブライアン・マックナイト(以下「ブラマク」)は90年代から2000年代にかけて最も活躍したR&B歌手のひとりです。
プロデューサー業も手がけるだけあって、ピアノ、ギター、ドラム、パーカッション、トロンボーン、トランペットなど数多くの楽器を演奏出来る「超絶」マルチプレイヤーでもあります。なぜ「超絶」としたか。それは映像をご覧頂ければ分かります!
歌手としてだけでなく、卓越した楽器の腕前やメロディセンスも相まって、1997年の3rdアルバム「Anytime」ではダブル・プラチナ、1999年の4thアルバム「Back at One」ではトリプル・プラチナを達成したほど。しかもその数字を、HipHopやラップがトレンドになりつつあった時代の中で「これが本物のR&Bだ」と言わんばかりの勢いで正統派のR&Bチューンをかまし続けて叩き出したのが偉大なのです。
そんなブラマクが特に秀でているのは低音から高音まで超高速で駆け巡るフェイクの美しさやバリエーションです。R&Bは基本的な歌唱力だけでなく、歌詞のストーリーやそこから生じる感情表現、そしてその先にほとばしるフェイクが見どころの音楽です。その真骨頂が見られるブラマクの歌声は堪りませんよ!
第16位:クリスティーナ・アギレラ
クリスティーナ・アギレラは黒人よりも黒人のパッションを持ち合わせた「ポップスの女王」と称される歌手です。
グラミー賞5冠、全米No.1シングル5曲、そして1990年代、2000年代、2010年代それぞれでビルボード・ホット100の1位を獲得したという稀有な記録も持ち合わせています。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第58位にランクインを果たしているクリスティーナ・アギレラが卓越しているのはこのほとばしる表現力や声量、そしてアクシデントを恐れないちょっとがむしゃらな発声です。
そう、発声だけで言えば高音域のベルティングやシャウト時に力みがあるように聴こえるものの、それで長年やっているのできっと本人の中ではバランスが取れているのかなと思います。R&B好きな女性はアギレラを真似るとちょっと危ないので、ビヨンセやリアーナの感じに寄せていくことでこういう歌が歌えるようになるかもしれません。
第15位:ボビー・コールドウェル
第15位にランクインしたのはミスターAORこと、ボビー・コールドウェルです。40代以上の方はタバコのCMや80年代に流行ったカフェバーでお馴染みの、渋い歌声が特徴的な歌手です。
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、ボビー・コールドウェルの歌唱力はAOR系歌手の中でも随一です。渋い低音の勢いそのままに高音まで伸びやかに出る声や感情表現のバリエーションの豊富さは、発声や表現がテクニカルになってしまった21世紀の歌手にあまり見られないものがあります。
声域や歌唱表現をテクニックでカヴァーしようとするだけでなく、こうやって淡々と歌っていても惹きつけられるほど、その雰囲気に魅せられてしまう歌手はアメリカの商業シーンですら絶滅危惧種かもしれません。
第14位:アリシア・キーズ
2000年代のR&Bをトレンドのクラブミュージックでなく生演奏系のサウンドで牽引したアリシア・キーズ。
2001年にデビューして以来、発表したアルバム7作中なんと5作が全米1位を獲得しており、グラミー計15冠、アルバムセールスは累計4,000万枚以上を誇る歌姫です。アリシアの天才ぶりは歌だけに止まらず、自ら作詞作曲を手がけ、ピアノの腕前も卓越していて、かつ名門コロンビア大学へ通っていた(のちに中退)ほどの秀才でもあります。
ピアノ弾き語りで正統派R&Bをやるスタイルは、21世紀のR&B歌手では他にジョン・レジェンドぐらいしかおらず(実際に弾ける人は多々います)そこもアリシアの魅力と言えます。
歌手として凄いのは、弾き語り系歌手ならではの、歌と楽器(とバンド)のサウンドがシンクロするグルーヴ感やパッション溢れる歌い回しです。動画はアリシア最大のヒット曲「If I Ain’t Got You」です。この曲は6/8系のシャッフルビートという、黒人が得意とするノリで作られており、リズムの海を自由自在に泳ぐ歌とピアノは21世紀屈指の名曲と言わざるを得ません。かなりハスキーに聴こえますが、この声質のままどこまでも高く、伸びやかに歌えるのも特筆すべきところです。
第13位:サミー・ヘイガー(Van Halen)
洋楽のロック系バンドの需要が低迷していることもあり(だから日本にたくさん来てくれる)、実力派が揃うロックヴォーカリストが影を潜めている昨今。ここで登場いただくのは80年代のロックシーンを牽引した人気バンド、Van Halen(ヴァン・ヘイレン)のヴォーカリスト、サミー・ヘイガーです。
サミー・ヘイガーが歌手として卓越しているのは、レコーディングでもライブでも一切ブレることのない高音やシャウト、エッジのかかった歌声です。私が初めてヴァン・ヘイレンを聴いたのはライブ盤の音源だったのですが、その後聴いたスタジオ盤の斜め上を行く歌唱力に度肝を抜かされたのをよく覚えています。
ぜひエディ・ヴァン・ヘイレンのギターだけでなく「ヴォイス・オブ・アメリカ(アメリカ(を代表する)声)」と称賛されただけある声も堪能して頂きたいものです!
ロックヴォーカリストを選ぶ難しさ
「実力派が揃う」とは言ったものの、実はライブでも常にガンガン歌えるロック歌手は限られています。なので、本記事にはロバート・プラント(レッド・ツェッペリン)もデイビッド・カヴァー・デイル(ホワイトスネイク)もアクセル・ローズ(ガンズ・アンド・ローゼス)もジョン・ボン・ジョヴィ(ボン・ジョヴィ)も登場しません。
皆大好きな歌手・バンドですが、ライブはちょっとアレなのです。ボイストレーナーがこういう記事を書くからには「発声上手」を出すという責任が発生するので、好きだからといってランクインさせるわけにはいかないのです。
本当はロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)やブルース・ディッキンソン(アイアン・メイデン)らを登場させたいのですが、一般の方が聴いて直感的に腹落ちするとは限らない音楽ジャンルなのでまた別の機会にします!
第12位:アデル
21世紀で最も売れている歌手のひとりがアデルです。
2008年にアルバム「19」でデビューを果たすと、翌年のグラミー賞で最優秀新人賞と最優秀女性ポップボーカルパフォーマンス賞の2部門を獲得し、一躍有名になりました。さらに、2012年には同賞で主要3部門を含む全6部門の賞を獲得し、これまでに累計6000万枚以上売れているトップアーティストです。
そんなアデルが秀でているのは、R&Bの影響を受けた感情溢れる歌唱表現や綺麗なファルセット、力強い高音域の発声です。まだ30代前半ということもあり、今後更なる活躍が期待されます!
第11位:サム・クック
この手の記事を執筆する際に迷うのがレジェンドの扱いです。テクニックで言えば21世紀の歌手の方が昔の歌手より秀でています。しかし、その存在感や功績、歌声の説得力をも含めて「歌唱力」とするならば、この順位にするのも気が引けるのが伝説的ソウルシンガー、サム・クックです。
まだ黒人差別が当然のものとして横行していた1950年代〜60年代前半にかけて、端正なルックスとスマートかつ情熱的な歌声を武器に、音楽を通して平和や平等、黒人への啓蒙を訴えかけ、公民権運動にも積極的に参加していたことがサム・クックの偉大さです。
今回紹介する「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」はR&B/ソウル屈指の名曲とされていて、「今は(不当に差別されて)甘んじているが、きっと変化は訪れる」というメッセージが込められる名曲です。サム・クックのブラック・フィーリング溢れる歌声は決して今どきのR&Bのようにテクニカルではないものの、歌声の説得力は愛だの恋だのに興じたポップソングとは比較にならないものがあります。
本当に歌が上手い歌手ランキング 第10位〜4位
第10位:アレサ・フランクリン
第10位に輝いたのは「クイーン・オブ・ソウル(ソウルの女王)」と称されるソウル歌手、アレサ・フランクリンです。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」にて第1位に選ばれているだけあって、その歌唱力や音楽的な功績は折り紙付きです。ゴスペル歌手の母と牧師の父を持つアレサは幼少期から教会に通い、ゴスペル・フィーリングを身に付けていったのち、デビューしてその実力を遺憾無く発揮するようになります。
アレサ・フランクリンが素晴らしいのは圧倒的な声量、ゴスペルに裏打ちされた豊かな緩急や感情表現、そして有無を言わせない圧倒的説得力です。アレサが歌えば何でも「ソウル」になり、たとえありふれたラブソングでさえ「人類愛について歌ったスケールの大きい歌」に聴こえるほど、全てをひっくり返すような勢いや説得力があります。その辺はこの「Natural Woman」を聴いて頂けると腑に落ちるのではないかと思います。
ホイットニーやビヨンセ、リアーナ、アデルもアリアナも皆アレサの歌を聴いて育っている、アメリカでは流行りの歌よりもアレサやサム・クックを歌う方がオーディエンスが盛り上がる。これがアレサの偉大さの何よりの証明です。
第9位:マライア・キャリー
「7オクターブの音域を持つ歌姫」というキャッチフレーズの歌姫、マライア・キャリー。
全米ナンバー1シングル18曲という記録は伝説のロックバンド、ビートルズにつぐ記録であると同時に、女性アーティストとしては1位の大記録です。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第79位にランクインしていて、グラミー賞、アメリカン・ミュージック・アワーズ、ビルボードミュージックアワードといった音楽賞を総なめにした功績の持ち主です。
マライア・キャリーの卓越している点は、やはり幅広すぎる音域を自由に使いこなせる歌唱力です。通常の音域に加えてホイッスル・ボイスという特殊な発声で超高音を出す様は圧巻です!その他にも、R&Bのフィーリングが溢れる細かいメロディやフェイクを歌いきる音感や声量の大きさ、抑揚を付ける上手さも卓越しています。
第8位:スティーヴ・ペリー(Journey)
スティーヴ・ペリーは70年代から80年代にかけて大活躍したロックバンド、ジャーニーのヴォーカリストです。若い世代の方は映画「海猿」の主題歌の人、と言えば分かるかもしれません。
「ザ・ヴォイス」、「百万人に一人の声」と称賛されたほどの歌唱力は凄まじく、ハスキーで伸びやかなハイトーンボイスや豊かな緩急、広い音域etc…。いずれもロック歌手随一の実力を誇っています。
ただでさえ高い歌唱力は、ライブになると衰えるどころか最高潮を迎えます。テレビでもよく耳にする名曲「ドント・ストップ・ビリービン」、伸びやかな高音に圧倒されること間違いなしです!
第7位:セリーヌ・ディオン
日本だけでなく、世界中で映画「タイタニック」の主題歌「My Heart Will Go On」が大ヒットしたことで知られているセリーヌ・ディオン。カナダ人歌手として史上最多セールス記録を持っており、2018年時点でCDの総売上が2億枚を突破しています。
セリーヌ・ディオンの特筆すべき点は、まずフランス語が母語であるにもかかわらず、ワールドワイドな活躍を夢見て英語を猛勉強した末に習得し、フランス語でも英語でも楽曲をリリースして成功を収めている点です。母語でない言葉で歌を歌って、それが世界中に称賛されるというのは、日本人がフランスでフレンチを手がけてミシュラン3つ星を獲得するようなものです。
また、セリーヌ・ディオンの歌手として秀でいている点は、なんと言っても音程やリズム、抑揚等が完璧にコントロールされている点です。その前提で、歌詞や楽曲が持つ世界観やストーリーを歌で完璧に伝え切れる表現力が凄まじいのです。それを母語のフランス語だけでなく、勉強し出すまで全く話せなかった英語でもやっているが偉大なのです。
第6位:スティーヴィー・ワンダー
スティーヴィー・ワンダーは半世紀以上に渡って第一線で活躍し続ける超一流のR&B歌手です。ピアノで弾き語りをしているのはお馴染みですが、それだけでなくハーモニカやクラリネットなども演奏するマルチプレイヤーとしても知られています。
これまでに30曲以上、全米チャートトップ10入りを果たし、22部門においてグラミー賞を受賞と、グラミー賞の長い歴史の中で最も受賞回数が多い男性ソロ・シンガーです。また、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第9位、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第15位、「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第34位に選ばれています。
歌手として卓越しているのは、低音から高音まで淀みなく滑らかに発声出来る音域の広さ、バラードからアップテンポまで、信じられないほどカッコ良く歌いこなす緩急の豊かさや表現力です。最近の歌手のようにテクニカルな歌い回しはさほどしない一方、良く聴くと信じられないロングトーンやハイトーンの安定感があるのが特徴的です。
第5位:ブルーノ・マーズ
「マイケル・ジャクソンの後釜が務まるとしたらあの男しかいない!」
そう思わせるほどデビュー以降、華やかなエンターテイメント界のトップを走り続けるのがR&B歌手のブルーノ・マーズです。
ダンサブルな楽曲から爽やかなポップソング、ロック、レゲエ、ヒップホップ、古典的なソウル系の楽曲まで、幅広い音楽性に親しみやすいメロディが相まって、現在最もクオリティの高いポップスを紡ぎ出していると言えるでしょう。アリシアやジョン・レジェンドが2000年代に守り抜いた正統派R&Bを踏襲しながら、1970〜80年代位まで遡ったレトロなサウンドとモダンなサウンドをミックスさせ、2010年代のR&Bの方向性を決定付けた点も見逃せません。
歌手として優れているのは圧倒的な幅広さを誇る音域、柔らかいトーンの声からシャウトまでカラフルな声色です。こんなに卓越した歌唱力にもかかわらず、あくまでそれを前面に打ち出さず、むしろステージパフォーマンスを重視する姿勢がブルーノ・マーズの魅力であり、「キング・オブ・ポップ」と称されたマイケル・ジャクソンそっくりな部分でもあります。
第4位:ビヨンセ
マヘリア・ジャクソン、アレサ・フランクリン、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー・・・。R&Bには「ディーヴァ(歌姫)」の系譜というものがあります。その系譜の最後尾に位置付けられているのがビヨンセです。
R&Bグループ「デスティニーズ・チャイルド」のメンバーとして活動したのち、ソロ活動を開始するとグラミー賞6冠(女性アーティストで最多受賞)を果たし、現在までにCDの総売上は1億6000枚を突破しています。歌手にとどまらずセクシーでクールな雰囲気も相まってファッションアイコンとして世界中を魅了するアーティストでもあります。
そんなビヨンセが歌唱面で卓越しているのは高音発声の美しさやフェイク、緩急、歌唱表現のバリエーションの豊かさです。さも当然のようにエッジをかけながらハイトーンを連発したかと思えば、息漏れ気味なウィスパーボイスで低音を綺麗に聴かせる。ビヨンセが「ディーヴァ」たる由縁はこの、有無を言わせぬ圧倒的歌唱力ゆえです。
本当に歌が上手い歌手ランキング 第3位〜1位
第3位:ホイットニー・ヒューストン
第3位に選んだのは、ビヨンセのひと世代前のディーヴァ、日本でも非常に人気が高いR&B歌手、ホイットニー・ヒューストンです。
自身が出演し、そして主題歌を担った映画「ボディガード」のサウンドトラックは全世界で累計5,000万枚という記録的ヒットを叩き出し、日本でも当時の洋楽史上最高の280万枚売り上げる歴史的ヒットとなりました。映画の主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は、シングルカットされると全米シングルチャート14週連続1位獲得し、これまでにグラミー賞6回受賞、CDの総売上1億7千万枚以上を記録しました。
そんなホイットニーの凄さ、それはゴスペルフィーリング溢れる類稀なる声量や音域の広さ、どこまでも伸びやかな声、繊細な歌唱表現や震えるようなビブラートです。その中でも特に、動画の「オールウェイズ・ラヴ・ユー」でも見られる、静かな歌い出しですら観客を圧倒させる説得力は凄まじいです。
第2位:マイケル・ジャクソン
第2位は「キング・オブ・ポップ」と称されたアメリカンポップスの神様、マイケル・ジャクソンです。
マイケル・ジャクソンは数多くの名曲を生み出すと同時に、歌やダンス、演出、演奏、映像等で世界最高峰のパフォーマンスで人々を熱中させてきました。これまでにCD・レコードを合わせて累計3億枚以上を売り上げ、グラミー賞を13回も受賞しており、1970年代から2010年代までの5つの年代で全米トップ10を記録した唯一のアーティストとしてその名を刻んでいます。
マイケル・ジャクソンは凄まじい歌唱力よりもパフォーマンスに目が行ってしまいがちですが、ステージを駆け巡り、踊り倒しながらも全くブレない音程やリズム、正確無比な歌、そしてバラードで観客を泣かせ、アップテンポで観客を卒倒させるほどパッション溢れた歌を紡ぎ出せる稀有な歌手です。
第1位:フレディ・マーキュリー
はてさて。栄えある第1位に選んだのはイギリスのロックバンド、クイーンのヴォーカリストを務めたフレディー・マーキュリーです!
R&B、ソウルフリーク(と言ってもロックも好きですが)の私がフレディーを推すのは、数あるロックバンドのヴォーカリストの中で最も振り幅が広く多様性溢れる楽曲を、曲に負けることなく歌いこなせる唯一無二の表現力やハスキーで艶やかな声質、低音からファルセットまで縦横無尽に駆け巡る音域の広さetc…。「上手い」とされる要素を完璧に備えているからです。
そんなフレディーが何より優れているのは、今回選出した猛者たちの中でも、恐らく最も観客の心に火を付けて熱狂させるパフォーマンス力、吸引力のような力です。ロックは演奏の音量や音圧のおかげで騒がしくて盛り上がれる音楽、ではありません。少なくともクイーンがやっていた音楽は、もっと奥底でグルーヴしていて、そのうねりや熱気で観客を興奮の渦に引きずり込んでいたのです。
ワールドワイドなバンドであるにもかかわらず、まるで小さなライブハウスで観客を沸き立たせるかのように立ち回るフレディー。そうかと思えばその類稀なる歌唱力で五感を揺さぶりにかかることも。しかも現代のアーティストのように舞台装置を使わずに。こういうステージングや歌唱が出来る歌手は超一流の中でもほぼ皆無です。
というわけで、人を惹きつける全ての要素を持ち合わせていたと言っても過言ではないフレディー・マーキュリーを1位とさせて頂きました!
まとめ
「【ボイストレーナーが選ぶ!】本当に歌が上手い歌手ランキングトップ20!!【洋楽編】」はいかがだったでしょうか?
ポップス、ロック、R&B、、、あらゆるジャンル、あらゆる年代から、ボイストレーナー、ヴォーカリスト目線で本当に歌が上手い歌手を厳選して20名紹介してまいりました。洋楽ともなると20どころか30名に絞るのも一苦労し、しかも神様のような猛者たちにランク付けをするなんて愚かな企画だったかもしれません。
あくまでこのランキングは私の主観です。とはいえ、この中の多くのアーティストのライブを観ており、海外の音楽事情にもそれなりに精通したボイストレーナー(や第一線で活躍する音楽仲間の声も踏まえた)によるものなので、ある程度の信憑性があるのではないかと自負しています。
「【ボイストレーナーが選ぶ!】本当に歌が上手い歌手ランキングトップ20!!【邦楽編】」と同じく、歌手ごとに秀でた点、特筆すべき点を盛り込みましたので、ぜひこの記事を参考に歌が上手い歌手の楽曲をお楽しみ頂ければと思います!
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