1970年代、R&Bは音楽的に最盛期を迎えました。
ニューソウルを筆頭に、ソウルミュージック、ファンク、そしてディスコミュージックが大流行し、才能溢れるミュージシャンがたくさんの名盤や名曲を生み出した、古き良き時代です。
今回は、ボイストレーナーを務めながらAOR/ソウル系バンドで活動もしている私が、1970年代R&Bのおすすめアーティストと名盤・名曲を紹介していきます!あなたもこの記事を読めばきっと1970年代R&Bの虜になるはず!
1970年代R&Bは3つのジャンルに分けて捉えると分かりやすい!
1970年代のR&Bはソウルミュージックの進化系である「ニューソウル」と、R&Bが持つ泥っぽさ、荒々しさや賑やかさを凝縮させた「ファンク」によって幕を開けました。
そこにモータウン・ソウル(デトロイト・ソウル)やフィリー・ソウル、サザンソウルも入り混じり、各々が個性あふれる魅力的な楽曲を発表していったのが70年代前半という時代でした。
70年代中盤になるとディスコブームが起き、それに前後してディスコミュージックも台頭したのです。こうした流れの中、ソウル勢はアダルトさやクールさ、洗練された雰囲気を纏ったブラコン(ブラック・コンテンポラリー)や、我が道を行くジャズファンクや限りなくポップスへ接近していった楽曲も多数生まれました。
この記事ではR&Bを「ソウルミュージック」と「ファンク」、「ディスコミュージック」の3つに大別して、アーティストごとのおすすめ名盤と名曲・有名曲を紹介していきます!
ソウルミュージック
ソウルミュージックとは
ソウルミュージックとは、アフリカン・アメリカンのゴスペルとブルースが混ざって生まれた、R&Bの一種です。
R&Bは、白人のポピュラーミュージックやジャズなど、他の音楽ジャンルの影響を受けながら大衆に馴染む形で発展していきました。
そして、1960年代中盤からR&Bはソウルミュージックと呼ばれるようになり、次第に社会や政治、哲学といった諸問題を取り扱うようになりました(ニューソウル)。
70年代のソウルミュージックは既存のR&Bからより演奏面でも思想面でもより複雑になり、またジャズや白人のポップスなど別の音楽ジャンルを跨ぎながら(こうした現象を「クロスオーヴァー」と言う)発展していったのです。
ソウルミュージックの音楽的特徴
ソウルミュージックの音楽的特徴は、以下の4点です。
- ゴスペルの厳かさ、ブルースの哀しさ、侘しさといった要素が薄い
- キャッチーで分かりやすいメロディラインやコード進行、リズム
- コールアンドレスポンスやアドリブ・フェイクを多用している
- ノリノリで陽気な雰囲気やラブソングのメロウでスイートな雰囲気の親しみやすい楽曲が多い
いわば「聴きなじみやすい歌モノ」として、ソウルミュージックは60年代〜80年代初頭にかけて発展していきました。
Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)
ダニー・ハサウェイは70年代R&B/ソウルミュージックを代表するシンガー、作曲家、編曲家、プロデューサー、そして卓越したピアノ/キーボーディストです。
ニューソウルの代表格であるダニー・ハサウェイは、シャウトを使わず、しなやかで力強い声から柔らかく温かい声まで幅広く使いこなしながら、エレピやピアノを使って弾き語りするスタイルを好んでいたのが特徴です。
おすすめ名曲 – Little Ghetto Boy(リトル・ゲットー・ボーイ)
「リトル・ゲットー・ボーイ」は、貧しいエリア(ゲットー)に住む子ども達へ向けて、「全てはきっと良くなる」というメッセージを込めて歌った名曲です。
ダニー・ハサウェイ自身は高等教育を受けていながら、黒人の人権やアイデンティティに関する諸問題に踏み込んでいき、音楽活動を通して同胞を扇動していくようなスタンスが特に見え隠れしている曲です。
おすすめ名盤 – LIVE!
ダニー・ハサウェイについてはあえてスタジオ盤でなく、ライブハウスで録音されたライブ盤「LIVE!」をおすすめします。
R&B/ソウル界隈のライブアルバムでも最高傑作と評されるほど本作は、狭いライブハウスでの録音越しに熱気や体温、臨場感がひしひしと伝わってくるほど素晴らしいサウンドです。
Marvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)
マーヴィン・ゲイは、70年代のR&B/ソウルミュージックを牽引したシンガーです。
現代のアメリカでも、スーパーで彼の曲が流れていると黒人が皆口ずさむような(※何度も遭遇した実話です)、黒人シンガーの中でも今なお最も人気を誇る偉大なる存在です。
おすすめ名曲 – What’s Going On(ホワッツ・ゴーイン・オン)
マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」は、反戦運動での警察と若者の衝突や、ベトナム戦争へ従軍していた弟からの手紙に影響を受けて作られた70年代R&B/ソウルミュージックの最高傑作です。
柔らかくて悲しげな歌声で「何が起きているんだ?」と問いかけるようなメッセージが込められた本作は、R&B/ソウルミュージックの中でも最も衝撃的な作品のひとつです。
おすすめ名盤 – What’s Going On(ホワッツ・ゴーイン・オン)
マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」は、R&B/ソウルミュージックにとどまらず、ポピュラー・ミュージック史に残る名盤です。
ビルボード全米最高2位を記録しただけでなく、70年代のR&Bのトレンドとなった、社会的なことや内面的なことをテーマにしたニューソウルの出発点となるような名盤としても多くの人々に親しまれています。
Curtis Mayfield(カーティス・メイフィールド)
カーティス・メイフィールドは70年代R&B/ソウルミュージックを代表する、自らギターを持って歌うシンガー・ソング・ライターです。
カーティス・メイフィールドの切れ味抜群なギターのサウンドは、同時代や後世のファンクに大きな影響を与えました。
そして、柔らかくて包容力あるファルセット(裏声)や、社会的なメッセージが盛り込まれた楽曲もまた、同世代や後のR&B/ソウルミュージックに大きな影響を与えたのです。
おすすめ名曲 – Move On Up(ムーブ・オン・アップ)
「ムーブ・オン・アップ」は、当時立場の弱かった黒人へ向け「さあ立ち上がろう!」というポジティブなメッセージを歌った名曲です。
ファンキーなベースやパーカッションにキレッキレなホーン・セクションがクールでカッコ良いですね!
おすすめ名盤 – Curtis(カーティス)
アルバム「カーティス」は、「ニューソウルの旗手」というカーティス・メイフィールドの立ち位置を決定付けた70年代R&B/ソウルミュージックのマスターピースです。
まだファンクという音楽ジャンルが確立していなかった1970年代初頭に、これほどキレッキレでゴキゲンなサウンドでプレイしていたアーティストは他に思いつきません。
Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)
世界一有名なR&B/ソウルシンガーはおそらくスティーヴィー・ワンダーです(もしくはマイケル・ジャクソン)。
スティーヴィーのキャリアは60年代からスタートしますが、音楽的に最も勢いがあったのは70年でした。
基本的に歌いながらピアノを弾き語るスタイルで、ピアノや歌の他にも、ハーモニカ、クラリネットなど様々な楽器を演奏するマルチ・プレイヤーです。
おすすめ名曲 – Higher Ground(ハイヤー・グラウンド)
スティーヴィーの名曲を「70年代R&B/ソウルミュージックの名曲」という観点から選ぶならば、「ハイヤー・グラウンド」は欠かせません。
一流のポップスであるとともに、スティーヴィーのコアな部分であるファンキーな要素もゴリゴリに出ている名曲です。
おすすめ名盤 – Innervisions(インナーヴィジョンズ)
そんな「ハイヤー・グラウンド」が収録されている「インナーヴィジョンズ」は、スティーヴィーのアルバムの中でも特にアーティストとしての勢い、楽曲のクオリティの高さやアイデアの豊かさが分かる名盤です。
今聴いても全く古さを感じさせないこのサウンド。
なんとスティーヴィー自身がほとんどの楽器を演奏してレコーディングしていることが何よりの衝撃かもしれません。
Al Green(アル・グリーン)
アル・グリーンはスイートで優しい歌い方から、サザンソウルのフィーリング溢れる強靭なシャウトまで駆使する70年代R&B/ソウルミュージックを代表するアーティストです。
おすすめ名曲 – Let’s Stay Together(レッツ・ステイ・トゥゲザー)
「レッツ・ステイ・トゥゲザー」は70年代R&B/ソウルミュージックの中でも最も人気の高い名曲のひとつです。
4つ打ちのドラムを基調としたタイトなビートと柔らかく包容力あるヴォーカルが魅力的ですね。
おすすめ名盤 – Let’s Stay Together(レッツ・ステイ・トゥゲザー)
アル・グリーンの良さについて考えた時、程よい脈動感や勢い、熱量なのではないかと思うのです。
ダニー・ハサウェイやマーヴィン・ゲイほど切実で情熱的でもなく、スティーヴィーほどキャッチーでポップでもなく、JBやカーティス・メイフィールドのようにファンキーでもない。
この極端でなく程よい感じが溢れた名盤が「レッツ・ステイ・トゥゲザー」なのです。
The O’Jays(オージェイズ)
オージェイズは今なおソウル・レジェンドとして活躍する、フィリー・ソウルの代表格です。
おすすめ名曲 – Back Stabbers (裏切り者のテーマ)
「裏切り者」のテーマは全米チャート最高3位に輝いたオージェイズの名曲です。
豪華なオーケストレーションをバックに軽快なサウンドを繰り広げるフィリー・ソウルの要素がひしひしと感じられる有名曲です。
おすすめ名盤 – Back Stabbers (裏切り者のテーマ)
先に触れたフィリー・ソウルを土台に、パワフルなヴォーカルが乗った名盤がアルバム「裏切り者のテーマ」です。
エディ・リヴァートとウォルター・ウィリアムスのツイン・リードによる圧倒的な歌唱力と、楽曲やアレンジの華やかさや斬新さ、ブラック・コミュニティーへ向けた作品の熱量が伝わってくる名盤です。
Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ)
アイズレー・ブラザーズは、1957年にデビューしてから現在まで活動を続けているソウル/ファンクバンドです。
彼らは「ビートルズ以前」から半世紀以上に渡り第一線で活躍し続ける中で、今で言うロックンロールのような音楽からファンクミュージック、そしてソウルミュージックといった音楽まで、あらゆるジャンルを横断し、ヒット曲を量産してきました。
おすすめ名曲 – For the Love of You, Pts. 1 & 2(フォー・ザ・ラブ・オブ・ユー)
アイズレーの楽曲の中でも1,2を争うほどの人気を争う名曲が「フォー・ザ・ラブ・オブ・ユー」です。
クラヴィネットがセクシーでワイルドな雰囲気を醸し出し、また柔らかくスイートな歌声が織りなすメロウな雰囲気が堪りません。
ホイットニー・ヒューストンやジョス・ストーンもカヴァーしているソウルミュージックの代表曲です。
おすすめ名盤 – The Heat Is On(ザ・ヒート・イズ・オン)(1975)
アイズレーの名盤選びは悩むところですが、ここは最もバンドの勢いや化学反応を感じられる「ザ・ヒート・イズ・オン」をおすすめします。
「フォー・ザ・ラブ・オブ・ユー」のようなバラードあり、黒人へ向けて歌ったメッセージソング「ファイト・ザ・パワー」のようなファンク系の楽曲も入ったアイズレーの一つの到達点とも言えるアルバムです。
The Stylistics(スタイリスティックス)
スタイリスティックスは、フィリー・ソウルの代表格である5人組コーラス・グループです。
甘くとろけるようなヴォーカルやコーラスと、フィリー・ソウルの代名詞である精緻で煌びやかなストリングスやホーンセクションのアレンジで数々の名曲を世に送り出しました。
おすすめ名曲 – I Can’t Give You Anything(愛がすべて) (1975)
「愛がすべて」は、キムタクこと木村拓哉が出演したギャツビーのCMで起用されたこともあり、日本でも広い世代に耳なじみのある名曲です。
豪華なストリングスやホーンとリードヴォーカルのファルセット、クールなコーラスがカッコ良いですね。
おすすめ名盤 – Thank You Baby(サンキュー・ベイビー)
「サンキュー・ベイビー」は、彼らの代表曲「愛がすべて」も収録されたフィリー・ソウルの名盤です。
The Jackson 5(ジャクソン・ファイブ)
キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンが音楽的素養を養った兄弟バンド、ジャクソン5。
ソロアーティストとしてのマイケル・ジャクソン以上に、ジャクソン・ファイブ時代の黒人のフィーリングが前面に出ている楽曲や雰囲気の方が好きなファンも多いようです。
おすすめ名曲 – ABC(エービーシー)
ジャクソン5だけで名曲特集の記事が組めるほど、後世に残るヒットソングを量産していましたが、その中でも「ABC」は地球上で最も有名なポップスソングの一つです。
まだ声変わりを迎える前のマイケルが無邪気にノリノリで歌う姿が眩しいですね!
おすすめ名盤 – ABC
そんな名曲「ABC」と同名のアルバム「ABC」は、キャッチーでポップながらグルーヴ感溢れる楽曲が詰まった名盤です。
カーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイが明確に思想やコンセプトを持った音楽を繰り広げる一方、ジャクソン5はどちらかと言えば60年代のモータウンの牧歌的な雰囲気を踏襲した「古き良き時代のR&B/ソウルミュージック」だったのかもしれません。
Bill Withers(ビル・ウィザーズ)
70年代から80年代初頭にかけて活躍し、その後表舞台から去り引退してしまったビル・ウィザーズ。
「エイント・ノー・サンシャイン」や「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」などの名曲を生み出しながら、どこか既存のR&B/ソウルミュージックの系譜に当てはまらない独自路線を行くサウンドには不思議な魅力があります。
おすすめ名曲 – Lovely Day(ラブリー・デイ)
そんなビル・ウィザーズの「ラブリー・デイ」は底抜けに明るくてビル・ウィザーズの優しい歌声が響き渡る、70年代R&B/ソウルミュージックの定番曲です。
ニューヨークのアポロシアターに行ったことがある方は、アマチュアナイトを盛り上げるべく、バックバンドが景気付けに観客を煽りに煽りながら演奏しているのを耳にしているかもしれません。
おすすめ名盤 – MENACERIE(メナジェリィ)
先ほど紹介した名曲「ラブリー・デイ」を含むこのアルバムは、ギターで「ゴーストバスターズ」のレイ・パーカー・Jrが、パーカッションにはダニー・ハサウェイとロバータ・フラックのレコーディングにも参加したラルフ・マクドナルドらが起用されている名盤です。
Minnie Riperton(ミニ・リパートン)
ミニ・リパートンは、5オクターブの歌声にホイッスルボイスの使い手で知られる、70年代R&B/ソウルミュージックを代表する女性シンガーです。
わずか31歳という短い生涯の中で、アーティストとして活躍しただけでなく、スティーヴィー・ワンダーのバック・コーラスとしても起用されていた実力派シンガーです。
おすすめ名曲 – Lovin’ You(ラヴィン・ユー)
テレビやラジオで必ず耳にしたことがあるであろう「ラヴィン・ユー」。
実はこの曲、R&B/ソウルミュージックの名曲として高い人気を誇っています。
この曲の中で登場する、鳥が鳴くようなハイトーンのことを「ホイッスルボイス」と言います。
ホイッスルボイスが使われている最も有名な曲がおそらくこの曲です。
おすすめ名盤 – Perfect Angel(パーフェクト・エンジェル)
「ラヴィン・ユー」をはじめ、ミニ・リパートンの表現力豊かな歌詞や楽曲の多様性を味わえる名盤が「パーフェクト・エンジェル」です。
大人の事情でクレジットには書いていないものの、スティーヴィー・ワンダーが実質的にプロデュースを手掛けた作品としても知られています。
Roberta Flack(ロバータ・フラッタ)
70年代R&B/ソウルミュージックの女性アーティストで最も活躍したと言っても過言でないのがロバータ・フラックです。
彼女の楽曲やアレンジ、歌い回しには既存のR&B/ソウルミュージック独特の粘っこさや泥臭さのようなものがなく、同世代のカーペンターズやキャロル・キングと並べて聴いても分からないほど洗練されているのが彼女の特徴です。
おすすめ名曲 – Killing Me Softly(やさしく歌って)
「やさしく歌って」は、ロバータ・フラックの最も有名な曲のひとつです。
原曲はロリ・・リーバーマンが歌っていますが、これを飛行機の中で偶然耳にしたロバータが気に入ってカヴァーしたところ、全米チャート1位に輝くほど大ヒットしたのです。
そして、グラミー賞・最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ボーカル賞まで獲得し、ロバータ・フラックの評価を決定付けました。
国内外でさまざまなアーティストがカヴァーし、日本でもネスカフェのCM曲として起用されたので聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか?
おすすめ名盤 – Killing Me Softly(やさしく歌って)
同名のアルバム「やさしく歌って」もグラミー賞の最優秀アルバム賞にノミネートされるほどヒットした名盤です。
ロバータ・フラックの卓越した表現力やポップでクールな楽曲はいずれも外れなしです。
Marlena Shaw(マリーナ・ショウ)
R&B/ソウルミュージック、あるいはソウルファンクというくくりで語られがちなマリーナ・ショウ。
BLUE NOTEレーベル初の女性歌手、という経歴ゆえにジャズシンガーと呼ぶべきなのでしょうが、彼女が70年代の中盤に産み落とした名盤の存在感ゆえに、ここではソウルミュージックのアーティストとして取り上げることにします。
おすすめ名曲 – Feel Like Makin’ Love(フィール・ライク・メイキン・ラブ)
もともとは先ほど紹介したロバータ・フラックが歌った「フィール・ライク・メイキン・ラブ」は、個人的に70年代R&B/ソウルミュージック女性アーティストによる最高傑作です。
当時台頭してきたファンクやジャズの要素が溢れ出ていて、この世のものとは思えないほどにグルーヴィーな音の海に飲み込まれてしまいそうになります。
おすすめ名盤 – WHO IS THIS BITCH, ANYWAY(フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?)
「フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?」は、名曲「フィール・ライク・メイキン・ラブ」も収録されている、やはり70年代R&B/ソウルミュージック女性アーティストによる最高傑作です。
ダニー・ハサウェイの名盤「LIVE」にも登場する名ベーシスト、チャック・レイニーのグルーヴ感溢れる強烈なベースにハーヴィー・メイスンのドラム。デヴィット・T・ウォーカーとラリー・カールトンによるセクシーで情熱的なギター。
世界最強の名手が揃った演奏は異次元のグルーヴ感を放つが故、音楽関係者の間でも「名盤中の名盤」と評されることもしばしば。
今回取り上げた名盤の中から1枚だけ選べと言われたら、一番好きなダニー・ハサウェイの「LIVE!」よりも本作を選ぶほどおすすめです。
ファンク
ファンクとは
ファンクは主にソウルミュージックとジャズが融合し発展していった音楽です。
後述するディスコミュージックのルーツとも言えるファンクは、ヒップホップのルートにもなっています。
60年代後半から、スライ・ストーン、JBを筆頭にベイエリアのタワー、デトロイトのPファンク、東海岸のクール&ザ・ギャングなど、各地域でファンクバンドが台頭して、ソウルミュージックと並び二大勢力となりました。
70年代中盤からは、ディスコブームに伴い電子楽器を使用し、エレクトロな色彩を強めたファンクも登場しました。
ファンクの音楽的特徴
ファンクの音楽的特徴は、以下の3点です。
- ブラックミュージック以外にも、カリビアン、アフリカン、サイケデリックロックなど、多様な音楽のエッセンスを取り込んでいる
- 基本的に16ビートのリズムやフレーズの繰り返しを多用している
- ベースとドラム、パーカッションのリズム隊が細やかに緩急を付けたプレイをする
- カッティングギターやホーン・セクション、クラヴィネットなど上物がリズミカルなプレイをする
同じリズムやフレーズの繰り返しによって高揚感や音のうねり、ノリが生まれること、これがファンクの醍醐味です。
JAMES BROWN(ジェイムズ・ブラウン)
「ファンクの帝王」ことジェイムズ・ブラウン(以下「JB」)は、60年代から大活躍し、カリスマ的人気を誇っていました。
ファンクという音楽の礎を築いたのはJBと言っても過言ではありません。
JBが追求したファンクという音楽は、後のスライやプリンスの作風に大きな影響を与えただけでなく、80年代以降に台頭したヒップホップのひとつの到達点がJBという位、ブラックミュージックに大きな影響を与えました。
おすすめ名曲 – Sex machine(セックス・マシーン)
日本でもJBを模した「ゲロッパ!」という映画がヒットしましたが、あの「ゲロッパ!」の元になったのが、JBの名曲「セックス・マシーン」です。
煽るようなJBの掛け声に乗って、軽快なカッティングギターとゴキゲンなベースがダンサブルな音楽を紡ぎ出すのです。
ホーンセクションやダンサー、そしてJBもノリノリでステップを刻み、ワンコードのリフレインが続くことで次第に熱を帯びていくこの雰囲気こそがまさしくファンク!
おすすめ名盤 – Sex Machine(セックス・マシーン)
70年代R&B/ファンクの迷盤(名盤でもある)として有名なアルバム「セックス・マシーン」は60年代にスターダムをのし上がった勢いそのままに、70年代を駆け抜けようとする勢いが溢れた名盤です。
スライやPファンクのように豪華メンバーに豪華なサウンドというわけではなく、バックは音数の多さや華やかさではなく、一音一音の切れ味やワンコードの持続によるグルーヴ感の高揚を狙ってプレイしています。
Sly & The Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)
性別や人種を超え、音楽性の違いをも超え、多様性あふれるメンバーが集結して奇跡的なバランス感覚でファンクという音楽ジャンルを築き上げていったのがスライ&ザ・ファミリー・ストーンです。
ある時はポップス、ある時はファンク、ある時はサイケデリックロック、またはロックンロール。
彼らにとって音楽ジャンルなど後付けでしかなく、ゴキゲンにグルーヴしているかどうかが最重要課題だったのです。
おすすめ名曲 – If You Want Me To Stay(イフ・ユー・ウォント・ミー・ステイ)
「ダンス・トゥー・ザ・ミュージック」でも「エヴリデイ・ピープル」でもないのか!
と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、この2曲は60年代の名曲ということもあって今回は「イフ・ユー・ウォント・ミー・ステイ」をチョイスしました。
歌っているかのように表情豊かなベースに、気怠くうだるように歌い、語るヴォーカル、そこに絡みつくホーン・セクションや鍵盤の音がまさしくファンクしている名曲です。
おすすめ名盤 – Fresh(フレッシュ)
スライは「フレッシュ」以外にも名盤がありますが、やはりここは「イフ・ユー・ウォント・ミー・ステイ」が収録されている「フレッシュ」を推します。
60年代の名盤「スタンド!」をリリースした頃、リーダーのスライ・ストーンはドラッグに溺れ精神的異常をきたしてしまい、後にバンドは不仲で空中分解してしまいます。
そんな中でリリースされた「フレッシュ」は、ロックでポップな印象が強かった60年代の楽曲と打って変わって、うだるような密室の中でもっさりと蠢くようなグルーヴが堪らない名盤です。
Parliament(パーラメント)
パーラメントは60年代後半からファンクの代表的バンドとして有名なグループです。
前身の「ザ・パーラメンツ」というバンドの名前を権利問題で使えなくなってしまい、「ファンカデリック」を名乗ったのち、問題が解決した「パーラメント」として活動を始めました。
2つのバンドのメンバーはほぼ一緒ということもあり、ファンカデリックとパーラメントを合わせて「Pファンク」と呼ばれています。
おすすめ名曲 – Give Up The Funk(ギブ・アップ・ザ・ファンク)
パーラメントの中でもシングルとしてもヒットした「ギブ・アップ・ザ・ファンク」はファンクに馴染みのない方でも楽しめる名曲です。
リズム隊によるビートのうねりと、人海戦術で厚く重く畳み掛けるコーラスの掛け合い、後ろでうっすら聴こえるシンセの音色の組み合わせに、R&Bという音楽ジャンルの新しい可能性を感じさせられます。
おすすめ名盤 – Mothership Connection(マザーシップ・コネクション)
「マザーシップ・コネクション」はそんなPファンク絶頂期にリリースされたパーラメントの代表作です。
UFOのような円盤から地球をファンクで救うべくクリントンが登場する一幕が描かれたジャケットが印象的です。
このふざけたジャケットにして中身はド正統なファンクなのが堪りません!
Average White Band(アヴェレイジ・ホワイト・バンド)
アヴェレイジ・ホワイト・バンドはなんと白人の、そしてアメリカ人でなくスコット人のファンク/ソウルバンドです。
白人バンドとはいえ、ホーン・セクションを前面に打ち出したタイトでファンキーな雰囲気ゆえに、ホワイト・ファンクと呼ばれて人気を博しました。
おすすめ名曲 – Pick Up The Pieces(ピック・アップ・ザ・ピーセズ)
「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」は日本でもよく耳にするインストの楽曲です。
歌が入らないものの、腰を揺らしたくなるようなホーンの音色に、中毒性あるカッティングギターが堪りません!
インストの楽曲にもかかわらず全米1位を獲得した名曲です。
おすすめ名盤 – Average White Band(アヴェレイジ・ホワイト・バンド)
バンド名と同名のアルバム「アヴェレイジ・ホワイト・バンド」は、先に紹介した「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」やアイズレー・ブラザーズの「ワーク・トゥ・ドゥ」のカヴァーなどが収録された作品です。
本作も全米1位を飾り、ゴールド・ディスクを獲得するなど商業的に大成功しました。
それだけでなく、1970年代中盤からのディスコサウンドの先駆けとなり、後のアシッド・ジャズの原点ともなった名盤です。
OHIO PLAYERS(オハイオ・プレイヤーズ)
オハイオ・プレイヤーズは70年代ファンクの旗手として人気・実力共にトップクラスのファンクバンドです。
おすすめ名曲 – Skin Tight(スキン・タイト)
サイケデリックロックやスライの薫り漂う彼らの楽曲の中でも、「スキン・タイト」はクールかつソリッドなサウンドがカッコ良い名曲です。
ワウを用いたカッティングギターとセクシーなエレピに、ピンポイントで入ってくるファルセットのコーラスが独特の魅力を発しています。
おすすめ名盤 – Skin Tight(スキン・タイト)
シングル「スキン・タイト」と同名のアルバム「スキン・タイト」は、スロー・ファンクやインスト・ファンクも盛り込まれている70年代ファンクの名盤です。
コテコテと言うより、どこか精緻でクールな雰囲気を纏わせている節があって素敵です。
Tower Of Power(タワー・オブ・パワー)
タワー・オブ・パワーは、1968年に結成以来、現在まで途切れることなく活動を継続している伝説的ファンク・バンドです。
リズムがタイトでソリッドかつ重厚なホーンセクションが彼らの特徴です。
おすすめ名曲 – What is Hip(ワット・イズ・ヒップ)
ワット・イズ・ヒップは、タワー・オブ・パワーの中でも1、2を争う名曲です。
16ビートのタイトなリズム隊やソリッドなブラスがクールで堪りません!
おすすめ名盤 – Tower of Power(タワー・オブ・パワー)
バンド名と同名のアルバム「タワー・オブ・パワー」は、先に紹介した「ワット・イズ・ヒップ」をはじめ、ファンクバラード屈指の名曲「ソー・ベリー・ハード・トゥ・ゴー」も収録されたファンクの名盤です。
重厚でソリッドなホーンセクションやベースのロッコ・プレスティア、ドラムのデヴィッド・ガリバルディによるタイトなリズム隊、そして、熱量あふれるレニー・ウィリアムズのヴォーカルが織りなすプレイは今聴いても全く色褪せません。
WAR(ウォー)
ウォーは、クール&ザ・ギャング、アース、ウインド&ファイヤーと共に最も人気だったファンクバンドです。
タワー・オブ・パワーと同様、色々な人種のメンバーで構成されているため、ファンクやラテンを土台に、ソウル、スカ、ジャズ、ロックといったあらゆる音楽ジャンルの要素を組み合わせたハイブリッドなサウンドが特徴です。
おすすめ名曲 – Low Rider(ロー・ライダー)
「ロー・ライダー」は、70年代中盤に西海岸のチカーノ(メキシコ系移民)の間で流行っていた自動車文化に由来する名曲です。
どこかお気楽で陽気な雰囲気のサウンドは聴きやすく、ファンク入門者にもおすすめです!
おすすめ名盤 – Why Can’t We Be Friends?(ホワイ・キャント・ウィー・ビー・フレンズ)
「ホワイ・キャント・ウィー・ビー・フレンズ」は「ロー・ライダー」やアルバムと同名曲などが収録されたファンクの名盤です。
曲としての「ホワイ・キャント・ウィー・ビー・フレンズ」は1975年、当時冷戦下だったアメリカとソ連の共同プロジェクトの際、米ソ友好の象徴としてNASAが宇宙船内でこの曲を流したというエピソードも残っています。
「仲間よ目をさませ!」という邦題が似合う、最高の一枚です。
Kool & The Gang(クール&ザ・ギャング)
クール&ザ・ギャングは、アメリカナンバー1のパーティーバンドと評されたほどイケイケなファンクバンドです。
一般的にディスコミュージックのイメージが強いですが、当初はインストを中心とした正統派のジャズ・ダンクをやっていました。
おすすめ名曲 – Jungle Boogie(ジャングル・ブーギー)
「ジャングル・ブーギー」は、ファンクのコテコテな要素と、派手なホーンセクションにファンキーなギターが楽しい名曲です。
この曲をきっかけに彼らはスターダムを駆け上がっていきました。
おすすめ名盤 – Wild And Peaceful(ワイルド・アンド・ピースフル)
「ワイルド・アンド・ピースフル」は、クール&ザ・ギャングがキャッチーでポップな楽曲制作へ舵を切り大ヒットした出世作です。
「ジャングル・ブーギー」や「ファンキー・スタッフ」、「ハリウッド・スウィンギング」などが収録された本作は、ジャズやファンクのベストバランスが掴め、かつポップさも醸し出すことに成功した名盤です。
Earth, Wind & Fire(アース・ウインド&ファイアー)
日本で最も有名なディスコミュージックのバンドはアース・ウインド&ファイアー(以下「EWF」)です。
卓越した音楽性や楽曲の幅広さゆえに「ポップス」としても語られがちな彼らですが、実は、キャリアの前半ではファンクに勤しんでいました。
ここではそんなEWFを「ファンク枠」として紹介してまいります。
おすすめ名曲 – Shining Star(シャイニング・スター)
EWFがファンクからディスコミュージック、あるいはポップスを志向し始めた頃の名曲が「シャイニング・スター」です。
ファンキーな鍵盤やホーンセクションにカッティングギターはまさしくファンクです。
おすすめ名盤 – That’s The Way Of The World(暗黒への挑戦)
EWFが初めて全米チャート1位を獲得したのが「暗黒への挑戦」です。
EWFはこのアルバム以降、どんどんポップでキャッチーで、そして洗練されたクールなディスコミュージックの名曲を連発していきます。
その出発点として、ファンキーな演奏をしながらも上質なポップスの萌芽を感じさせるのが本作です。
Wild Cherry(ワイルド・チェリー)
ワイルド・チェリーは、オハイオ・プレイヤーズと同じく、オハイオ出身の白人ファンク・バンドです。
一旦メジャーデビューしたものの不発に終わり、1976年に再デビューして「一発のドデカい花火」を打ち上げました。
おすすめ名曲 – Play That Funky Music(プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック)
「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」は、全米1位を記録した彼らの大ヒット曲です。
ディスコとロックが融合した当時斬新だったサウンドは、ディスコミュージックの定番として大変人気が高いです。
おすすめ名盤 – Wild Cherry
「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」が収録されている本作は、一発屋で終わった彼らの凄まじい「瞬間風速」を感じられる名盤です。
白人とは思えないブラック・フィーリングあふれる粘り気あるプレイが堪りません。
Graham Central Station(グラハム・セントラル・ステーション)
グラハム・セントラル・ステーションは、スライ&ザ・ファミリー・ストーンでも大活躍したベーシスト、ラリー・グラハムを中心に結成されたファンク・バンドです。
ソウルやゴスペルなど、様々な音楽のエッセンスを吸収したクロスオーバーなファンクサウンドが特徴です。
おすすめ名曲 – POW
指でベースの弦を叩いたり弾いたりする「スラップ奏法」の金字塔が「パウ」です。
ブリブリのベースが目立つファンキーなサウンドですが、多用されている効果音やヨーデルのようなヴォーカル、一見おバカな感じに聴こえるアレンジが堪りません!
おすすめ名盤 – My Radio Sure Sounds Good to Me(いかしたファンキー・ラジオ)
「いかしたファンキー・ラジオ」という邦題に騙されず、素直に手に取った方はファンクの極楽浄土を垣間見ることになります。
何を持ってしてファンクか。
そんなことを考える前にとにかく聴くことでファンクが何たるかを体感せざるを得ない名盤中の名盤です。
Prince(プリンス)
その美しく妖しげな佇まいや才能ゆえに「殿下」と称されるプリンス。
プリンスはジャンル分けが困難なほど広範に及ぶ名曲を量産していますが、やはりファンク系のアーティストとして扱うのが妥当です。
おすすめ名曲 – I Wanna Be Your Lover(アイ・ワナ・ビー・ユア・ラヴァー)
「アイ・ワナ・ビー・ユア・ラヴァー」は、デビュー翌年の1979年、ディスコ全盛期が終ろうとする時期にリリースされたプリンス初のヒット作ともいえる名曲です。
感情豊かに裏声で歌い上げることによって、セクシーかつ激しいヴォーカルワークとなっているのが見どころです。キーボードとギターによるキャッチーでポップなサウンドが魅力的ですね。
おすすめ名盤 – プリンス(愛のペガサス)
「アイ・ワナ・ビー・ユア・ラヴァー」が収録された本作は、他のアーティストが有名プロデューサー/ミュージシャンを起用して商業的に楽曲制作をする中、ハタチそこそこの青年・プリンスが一人で作詞作曲、編曲から全ての楽器の演奏にヴォーカル、コーラス、プロデュースまで行って作り上げた歴史的名盤です。
ディスコミュージック
ディスコミュージックとは
ディスコミュージックは、「踊れる音楽」であるファンクを土台に、「耳なじみが良い歌モノ」であるソウルミュージックや白人のポップスが融合した音楽です。
70年代中盤のディスコブームに伴い、既存のファンクバンドはより単純明快で踊れるようなパーティーソングを作る方向にシフトしていきました。
ディスコミュージックの音楽的特徴
ディスコミュージックの音楽的特徴は以下の4点です。
- 歌モノとして聴きなじみしやすい、ポップでキャッチーなメロディライン
- ファンクで好まれた複雑なリズムパターンがシンプルになった
- ホーン・セクションやストリングス、コーラスをふんだんに盛り込まれている
- キーボードやエレキギターがバッキングを盛り立てている
言わば、ファンクの演奏の複雑さを単純にして、ソウルミュージックの持つ親しみやすさを盛り込んで気軽に踊れるようにしたのがディスコミュージックです。
KC & The Sunshine Band(KC & ザ・サンシャイン・バンド)
KC & ザ・サンシャイン・バンドは、世界中で起きたディスコブームの着火点的な位置付けだったディスコ/ファンクバンドです。
おすすめ名曲 – That’s The Way (I Like It)(ザッツ・ザ・ウェイ)
ディスコミュージックと言えばこの曲!
と言っても過言ではない「ザッツ・ザ・ウェイ」。
キャッチーなメロディやリズム、中毒性の高いフレーズのリフレインが冴え渡るディスコ・クラシックです。
おすすめ名盤 – KC & THE SUNSHINE BAND(KC & ザ・サンシャイン・バンド)
そんな「ザッツ・ザ・ウェイ」と、もう一つの超名曲「ゲット・ダウン・トゥナイト」も収録されている名盤がバンド名と同名のアルバム「KC & ザ・サンシャイン・バンド」です。
大ヒットした本作は、ファンキーなサウンドをしているものの、ファンクが持つ泥臭さやうねりといったブラック・フィーリングは感じられず、ディスコミュージックが持つ軽快でシンプルな雰囲気が特徴的です。
ファンクからディスコミュージックへの結節点のような位置付けの名盤です。
Chic(シック)
シックは1970年代後半のディスコブームの中心にいた、スタイリッシュなダンスミュージックを志向したディスコ/ファンクバンドです。
おすすめ名曲 – Le Freak(おしゃれフリーク)
「おしゃれフリーク」は、ディスコミュージックの代名詞的存在です。
「Ah〜! Freak out!」という、インパクト抜群なフレーズや、エンドレスに何をするわけでもなく続く間奏は中毒性Maxで、シングルチャート1位に輝くほどのヒットを飾りました。
おすすめ名盤 – C’est Chic(エレガンス・シック)
「おしゃれフリーク」が収録されたシックのセカンドアルバム「エレガンス・シック」は欧米各国で大ヒットした名盤です。
Gloria Gaynor(グロリア・ゲイナー)
パワフルで骨太な歌声が魅力的なグロリア・ゲイナー。現在でも音楽活動を続けている、ディスコミュージックを代表するタフネスなアーティストです。
おすすめ名曲 – I Will Survive(「恋のサバイバル」)
「恋のサバイバル」はゆったりとした歌い出しから、グロリア・ゲイナーのどっしりとしたパワフルなヴォーカルを堪能できるディスコミュージックの定番曲です。
ロックテイストなドラムにファンキーなカッティングギター、派手なストリングスが曲を盛り立てています。
おすすめ名盤 – 恋のサバイバル
全米アルバムチャート7位に輝いた本作は、ディスコブームの中で流行るべくして大ヒットした名盤です。
個人的には後述するシェリル・リンやドナ・サマー以上にブラック・フィーリングが溢れているグロリアのヴォーカルが大好きです。
Cheryl Lynn(シェリル・リン)
「ダンス・ミュージックの女王」ことシェリル・リン。
ゴスペルやミュージカルをバックボーンに、ひょんなきっかけで受けたオーディションで「うっかり」プロになってしまった稀有なR&B系ヴォーカリストです。
それだけでなく、当世最強のプロデューサー陣/プレイヤー陣が集結してしまい、70年代を代表するR&B/ディスコミュージックの名曲を生み出してしまうのです。・・・「うっかり」とか「しまう」というがミソですね(笑)
おすすめ名曲 – Got To Be Real(ガット・トゥ・ビー・リアル)
「ガット・トゥ・ビー・リアル」は、ディスコブームにも乗って大ヒットを記録したディスコミュージックの名曲です。
TOTOのデヴィッド・ペイチ、後に名プロデューサーとして大成するデヴィッド・フォスターがプロデュースした本作は、
緻密かつグルーヴィーなノリやアレンジが魅力的です。
おすすめ名盤 – Cheryl Lynn(シェリル・リン)
本人と同名のアルバム「シェリル・リン」は、先の2人がプロデュースを、やはりTOTOのスティーヴ・ルカサーや、レイ・パーカーJr,をはじめとするトッププレイヤーが参加した70年代R&B/ディスコミュージックの名盤です。
シェリル・リンのゴスペル・フィーリング溢れるパワフルで強烈な歌声やビブラート、それにどこまでも突き抜けるようなファルセットが堪りません!
Donna Summer(ドナ・サマー)
「ダンス・ミュージックの女王」がシェリル・リンですが、ドナ・サマーは「ディスコの女王」として一斉を風靡しました。
おすすめ名曲 – Hot Stuff(ホット・スタッフ)
「ホット・スタッフ」は、グラミー賞の最優秀女性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞したディスコミュージックの名曲です。
ロック色が強いシンプルでストレートなビートやエレキギターの音色ゆえに、ディスコミュージックがファンクから分離していった様が分かりやすい楽曲です。
おすすめ名盤 – 華麗なる誘惑
アルバム「華麗なる誘惑」は、「ホット・スタッフ」をはじめ、「バッド・ガール」や「ディム・オール・ザ・ライツ」などが収録された名盤です。
全米チャートで6週連続1位を記録したのを筆頭に、日本ではオリコンチャート9位、12万枚以上の売り上げと大ヒットしました。
おわりに
1970年代R&Bの名盤と名曲・有名曲を、アーティスト別に30つずつ厳選して紹介していきました。
ソウルミュージック、ファンク、ディスコミュージックの3種類に分けてその魅力をお伝えしていきましたがいかがでしたか?
50代以上の方は、懐かしさを感じるかもしれません。
40代以下の方は、1970年代R&Bの多様性や豊かな音楽性に圧倒されたかもしれません。
ソウルミュージック、ファンク、ディスコミュージックは、40年以上前の古い音楽かもしれませんが、実は現在の音楽にも大きな影響を与えているんですよ。
2010年代のR&Bはブルーノ・マーズを筆頭にファンクやディスコミュージック的なサウンドへ回帰する現象が起きました。ヒップホップでも、ラリー・グラハムの甥であるドレイクが大活躍しています。
日本でも、星野源やOfficial髭男dismなどを筆頭に、R&Bをバックボーンにしたアーティスト/バンドが台頭し、楽曲やプレイからブラック・フィーリングが垣間見れることが少なからずあります。
この機会にぜひ、この記事を足掛かりに1970年代R&Bのディープでファンキーで、スイートでメロウな世界を堪能してみてはいかがでしょうか?