そのお悩み、解決します。
本記事の内容
- 電子ピアノとは?キーボード、シンセサイザーと違うのか
- 電子ピアノの特徴・メリット
- 電子ピアノの選び方
- 電子ピアノはどこで買うのが良いか
- 価格別・タイプ別おすすめ電子ピアノ15選
本記事の筆者
この記事を書いている私は楽器弾き語りの指導も行うボイストレーナー、ヴォーカリストです。過去に楽器の企画・開発〜輸入販売、管理まで一挙に手がけるような仕事をしており、各メーカーや卸売業者との交友もあったため、楽器の市場や動向についてはある程度詳しいのではないかと自負しています。
今回は「初心者におすすめの電子ピアノとその選び方」についてお話ししていきます。
なお、この記事は主に「コード(和音)弾きを覚えてピアノ弾き語りやジャズピアノを出来るようになりたい」といった方へ向けての内容となります。なので、記事の観点やおすすめするピアノの基準が「本格的にクラシックピアノをやりたい方」向けでない点、ご容赦ください。
ピアノの使用するアーティストやシンガーソングライターといえば、国内ではOfficial髭男dismのヴォーカル兼ピアノの藤原さんや槇原敬之さん、アンジェラ・アキさん、松任谷由実さんetc…色々な方がいますね。
海外ではレディー・ガガやビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダーなど、やはり沢山のアーティストやシンガーソングライターがピアノでの弾き語りがお馴染みとなっています。
そんな電子ピアノですが、いざ始めてみたいなと思っても、価格もピンキリだし種類もよく分からないし、どれを選んだら良いか迷ってしまいますよね。なるべくお手頃な電子ピアノが良いという方もいれば、高くても良いからずっと使い続けられるような高品質な電子ピアノが欲しいという方もいます。
そこで、電子ピアノ始めてみたい初心者の方へ、そもそも電子ピアノにはどんな種類があるのか、何を基準に電子ピアノを選べば良いかをお伝えした上で、相場や予算別・タイプ別におすすめな電子ピアノを15つご紹介します。モデルごとに音やビジュアルを確認出来る動画を用意し、どんなタイプの方に適しているかも記載しています。あなたに合った電子ピアノを見つけて、楽器がある人生をエンジョイしましょう!
電子ピアノとは?
そもそも、電子ピアノとはどんな楽器なのか?普通のピアノやキーボード、シンセサイザーと違う楽器なのか?そんな素朴な疑問についてまず触れていきます。
普通のピアノ(アコースティックピアノ)
普通のピアノ(アコースティックピアノ)は、本体の中に弦が張り巡らされています。鍵盤を押すことで、ピアノ内部のハンマーが弦を叩くことで音が鳴る仕組みです。
キーボード
キーボードとは、電子ピアノやオルガン、エレクトーン、シンセサイザーなど、あらゆる鍵盤楽器の総称です。アコースティックピアノだけはなぜかここに区分されません。
一般的に用いられるキーボードの意味合いは、脚がなく持ち運びが自由であらゆる音色を鳴らすことが出来る鍵盤楽器のことを指します。ちなみに、動画のキーボードは「Rhodes」という古いエレピ(エレクトリックピアノ)の一種です。
電子ピアノとの違いは鍵盤数と音色の数です。鍵盤数は一般的にキーボードの方が少なく、音色の数はキーボードの方が多く、ポピュラーミュージックのあらゆる場面に登場するのが特徴です。
シンセサイザー
シンセサイザーは、ざっくり言うと音色をイチからあらゆる組み合わせで調整出来る鍵盤楽器です。世界へ電子楽器による音楽を発信し、一斉を風靡した「YMO」で「教授」こと坂本龍一さんが弾く「あの音」こそ、シンセの音色です。
いわゆるキーボードとの違いは、元から決まった音色(「プリセット」と言います)があるかないかです。キーボードにはプリセットの音色が色々ある反面、シンセサイザーはそれをイチから調整して作り上げていくのです。
また、シンセサイザーは楽曲の中で「飛び道具」的なニュアンスで用いられることが多い楽器です。ドラムやベース、ギター、ピアノは演奏の「中核・土台」である一方、シンセサイザーの音色はそれらを彩る役割を担っているのです。
そして、キーボードやシンセサイザーは、のちに紹介する電子ピアノよりも鍵盤のタッチが軽い特徴があります。
電子ピアノ
電子ピアノは、普通のピアノの音色を再現出来る鍵盤楽器です。鍵盤を押すことでタッチの強さやスピードなどに基づいた音色を、デジタル処理を通してスピーカーから出力される仕組みとなっています。
鍵盤の数はシンセサイザーやキーボードより多く、基本的にアコースティックピアノ同様、88鍵盤です。
音色の数はキーボードやシンセサイザーほどでなく、音色を細かく調整出来ない機種も多い一方、プリセットの音色が本物のピアノに忠実、というのが電子ピアノの最たる特徴と言えます。
電子ピアノの特徴・メリット
ここでは、電子ピアノの特徴やメリットについてお伝えしていきます。
サイズがスリムかつコンパクトで軽い
ピアノとの大きな違いはサイズです。アコースティックピアノの場合は本体に音を共鳴させる必要があるため、どうしてもある程度幅を取る必要があります。他方で、電子ピアノは鍵盤と電子回路とスピーカーの3つを連携させて音を出す仕組みなので、奥行きや高さがスリムかつコンパクトに設計されています。
なので、リビングや寝室、お子さんのお部屋にもコンパクトに設置出来るのがメリットです。参考までに、今どきの多くの電子ピアノは高さ70~80cm、奥行き30~40cm程度に収まります。
お洒落な佇まいやカラー
電子ピアノのデザインはとてもお洒落になってきています。リビングに馴染む存在感あるモデルから一人暮らしや子ども部屋などにすっきり収まるシンプルなモデルまで、あらゆる佇まいの電子ピアノがあります。
また、ポピュラーな黒色だけでなく白やナチュラルな木目調のもの、メーカーによってはビビッドな赤色まであらゆるカラーバリエーションがあるのも特徴です。
安い
電子ピアノの嬉しい特徴は、アコースティックピアノよりも価格が安い点です。
日本の有名メーカーのモデルでも3万円代から手に入り、5〜10万円もあれば十分高性能な電子ピアノを手に入れることが出来ます。アコースティックピアノはまともなのを買おうとすると中古のアップライトピアノでも安くて2〜30万円はするのでかなり金額差があります。
電子楽器の相場は管楽器より断然安く(管楽器は、楽器として最低限まともなモデルで10万ほどはかかります)、ポピュラーなギターやベースといった楽器の初心者〜中級者向けモデルと比べても大差ありません。意外と低価格なので、楽器初心者でも気軽に始められそうですね!
調律不要で維持や管理が簡単!
電子ピアノは調律が不要なので特に維持費がかからないのがメリットです。
ほとんどの楽器は弦を交換したり湿度や温度の管理が必要なので、維持費や管理の手間がかかってしまいます。アコースティックピアノの場合、季節に一回から一年に一度程度、調律師に以来して調律をしてもらう必要があります。
- ピアノの調律費用
費用:7〜10,000円程度/回
頻度:季節〜一年に一度程度
(例)5年間、半年に一度、安めな業者にて定期的に調律を依頼した場合の費用
7,000円×2回×5年=70,000円
その点、電子ピアノの場合は調律が不要なので、長期的に見てコスト面でもお得です。この差額でピアノのレッスンを受けたり楽譜や教本を買ったり、あるいはグレードの高いモデルを購入するのも良いかもしれませんね!
ヘッドホンを使える!時間や環境を気にせずいつでも練習出来る
楽器を演奏するにあたって多くの方が最も気になるのが「騒音問題」です。近隣の方々に配慮して練習しないとご近所迷惑になりかねないから、楽器を始めたくても気が引ける方は非常に多いです。
その点、電子ピアノはヘッドホンを使えるという特徴があります。ヘッドホンを使用することで、たとえ大きめな音量でも音漏れせずに演奏出来るのはとても大きなメリットです!そのため、時間を気にせず深夜でも早朝でも、さらには場所を気にせずマンションや集合住宅でも気にせずに演奏することが出来るのは嬉しいですよね!
ちなみに、もう一つ気になるのが打撃音や振動音だと思います。そちらについても、防振ゴムと防振マットを使用することでかなり軽減出来ます(私はかつて「楽器禁止」のマンションの大家さんに防音・防振対策した上で使用して大丈夫か確認し、「これなら大丈夫ねえ」とお墨付きを貰いました!)。のちほど紹介しますね!
電子ピアノの選び方
ここでは、電子ピアノを選ぶコツやポイントを紹介していきます。
キーワードは「サイズ」、「鍵盤の重さ・タッチ感」、「同時発音数」、「音色」、「付属品」、「機能」の6つです。これらのポイントをどのように見極めるかは、あなたの現時点での演奏レベルや目指すレベルや目的、現在の環境や電子ピアノに求める要素等によって変化します。
選ぶコツやポイントをおさえることで、あなたにとって最適な電子ピアノを購入することが出来るので、ピアノを選ぶ際の参考にしてみてくださいね!
サイズ・重量
電子ピアノにはサイズの観点から見て3つのタイプがあります。脚部が別売で、キーボードスタンドや卓上で使用出来るコンパクトな卓上タイプ、奥行きがコンパクトなタイプ、そしてアコースティックピアノほどではないものの、ある程度大きい通常サイズのタイプです。
部屋のどこに電子ピアノを置くか、壁に立てかけたりどこかに収納したいか、場所を作って設置したいかなどを考えた上で選ぶのがおすすめです。
卓上タイプ
卓上タイプは脚部が別売で、キーボードスタンドや卓上に設置するタイプの電子ピアノです。最もスリムなタイプで、重量も軽くて移動しやすいのが特徴です。また、壁に立てかけて保管することが出来るのでほとんど場所を取らないのがメリットです。部屋のスペースが限られている方や一人暮らしの方におすすめです。
このタイプはスピーカーが小型で出力が小さく、機能が他のタイプよりシンプルな傾向がありますが、サウンドやタッチ感といった機能性を重視したモデルもあり、弾き語りの練習をするための電子ピアノとして過不足ないかと思います。本格的にピアノを練習したい方にとっては、通常タイプかコンパクトタイプをおすすめします。
コンパクトなタイプ
通常の電子ピアノより奥行きがすっきりしていて、全体的にコンパクトにまとまったタイプのピアノも各メーカーから発売されています。電子ピアノは通常88鍵盤で、必然的に横幅1.4メートルほど取ってしまうのですが、奥行きはモデルによって大きく異なります。
コンパクトなタイプの電子ピアノはスタイリッシュに見えるため、インテリア性も抜群なのが特徴です。機能的には普通の電子ピアノと特に変わらず、同機能の普通の電子ピアノと価格的にも大差はありません。
普通のタイプ
普通のタイプ、と言われても困りますよね。かなりざっくりですが、アップライトモデルに近いハイグレードなモデルでも1.5×1.5メートル程度のスペースがあれば十分設置出来ます。
高機能なものは本体が大きめになる傾向があります。本格的にピアノの練習をしていきたい方は、後に紹介していくポイントを踏まえた末に普通のタイプに落ち着くかと思われます。
鍵盤の重さ・タッチ感
電子ピアノを選ぶ上で、性能的に最も重要なのが鍵盤の重さ・タッチ感です。
アコースティックピアノの鍵盤は木で出来ている一方、電子ピアノの鍵盤は「木製」と「樹脂製」に分かれており、それぞれ重さやタッチ感が異なります。気になる方は楽器店や電気屋さんなどへ下見に行く良いかもしれません。
樹脂製の鍵盤の特徴
- 価格:安め
- タッチ:軽め
- メリット:初心者の場合、手が疲れやすい
- おすすめ:手軽にピアノを楽しみたい方
ピアノをこれから始める初心者の方や、簡単な演奏を目指す方は軽めな鍵盤がおすすめです。なぜなら、初心者は指に筋肉が付いておらず、腕〜手〜指の適切な使い方が分からないため、木製の重めな鍵盤で演奏すると指が動かしにくく慣れるのに時間がかかり練習のモチベーションが下がってしまいがちだからです。
木製の鍵盤の特徴
- 価格:高め
- タッチ:重め、生ピアノに近い
- メリット:弾きがいがある、指を動かしやすい
- おすすめ:本格的にピアノを弾きたい方、生ピアノに近い感覚が良い方
「絶対に頑張れる!」というモチベーションが高い方、小さい頃にピアノを習っていたという方、ギターやサックスなどが出来、他の楽器で細かく運指する感覚がある方、ピアノのレッスンをアコースティックピアノで受ける方は木製の鍵盤がおすすめです。
これらのタイプの方は、アコースティックピアノの打感に近い方がおそらくしっくり来ます。弾き語りの場合で言うと、気持ちが乗ってきた時は強く弾きたくなってくるのですが、そんな時にタッチが軽いと演奏がノらないんです。
同時発音数
同時発音数は「128」あれば充分!
同時発音数とは、鍵盤を弾いた際に同時に出せる音の数のことです。
ピアノはペダルを使って弾いた音を伸ばしたり重ねたりして演奏することもあるため、実際はかなりの頻度で数十の音を同時に鳴らしているのです。
この記事で紹介する電子ピアノは全て同時発音数が128以上なので大丈夫なのですが、もし同時発音数が少ないと多くの音数を弾く際に、始めに出した音から消えていってしまいます。すると、なんだか途切れ途切れで不自然な演奏になってしまうのです。
ですので、同時発音数は「128」以上のモデルがおすすめです。ちなみに、本格的なクラシックをやっていきたい場合は192〜256程度の高性能なモデルを選ぶ方が良いですよ。
音色
電子ピアノの「音色」には2つのニュアンスがあります。ひとつは「音色のクオリティ」、もうひとつは「音色のバリエーション」です。いずれもピアノを選ぶ上で重要なポイントです。
音色のクオリティ
電子ピアノは、グランドピアノの音を収録・分析し(「サンプリング」と言います)、生音のニュアンスを忠実に再現するための工夫(モデリング)がなされています。
サンプリングを行うピアノのモデルや音の収録・分析方法の違い、モデリングの仕方の違いやスピーカーの性能、電子回路や基盤の性能といった要素が音色のクオリティを左右しています。高いモデルほど多くの音色が搭載されており、スピーカーの数が多く、質が優れているのでより臨場感のある音色を楽しむことが出来ます。
音色のバリエーション
電子ピアノのメリットはピアノ以外の楽器の音色も楽しめるところです。同じ鍵盤楽器であるエレピ(エレクトリック・ピアノ)やクラビネット、オルガンからドラム、ギター、ヴァイオリンをはじめとした弦楽器やサックスのような管楽器の音を出せるものまであります。
クラシックだけやりたい方は音色のクオリティを気にすれば良いですが、ポップスやジャズをやりたい方、ピアノ弾き語りを楽しみたい方は音色のバリエーションにも注目することをおすすめします。
付属品
電子ピアノを弾く際、基本的に椅子、ヘッドホン、ペダル、スタンドが必要です。これらは目安10万円以上の本格的なモデルだと付属されている場合が多いですが、卓上モデルや初心者向けのエントリーモデルではペダルしか付属していない場合があります。また、卓上モデルはスタンドが別売となっているので注意しましょう。
ちなみに、椅子もヘッドホンも好きなものを選んで使う方が練習が捗るので、「付属だったら便利かな」程度に捉えると良いと思います。まずは日頃使っているリビングやデスクの椅子とヘッドホンでも構いません。変換プラグも数百円で販売されています。
弾き語りで使用したい場合は付属品のシングルペダルで問題ありません。本格的にピアノを練習したい方の場合は、ペダルが3本あるモデル、さらに言うならば踏み込み具合がしっくりくるモデルを購入することをおすすめします。
スタンドも、卓上モデルが気になる方は自宅など使う場所にキーボードを置けるテーブルやデスクがあれば不要です。別で欲しいなという方は、「キーボード スタンド」と検索すると、電子ピアノに最適なX字スタンドなどが2〜3,000円ほどで販売されています。
機能
アコースティックピアノにはない最先端な機能があるのも電子ピアノの魅力です。例えば・・・
- オリジナルアプリを通してスマホやタブレットで楽譜をダウンロード出来る
- オリジナルアプリを通して端末と電子ピアノを連携させ、楽曲をダウンロードし演奏やアンサンブルを楽しめる
- タブレットと電子ピアノを連携させ、楽譜の譜めくりが出来る
今どきの電子ピアノは驚くべき機能の数々が満載です。
おすすめの購入方法は意外とネットです
電子ピアノを選ぶ際は、せっかくなら楽器店で色々な機種のペダルを踏み込み、鍵盤を押し、音色を自分の耳で確かめるのがおすすめです。
「店として売りたい電子ピアノ」を提案する店員さん
ちなみに、もし平時の際に楽器店に行ってもここまでお伝えしてきたチェックすべきポイントを見極めるのは簡単ではありません。それに、どこからともなく店員さんがやってきて、あなたにとって適した電子ピアノでなく、「店として売りたい電子ピアノ」をセールスしてくることは良くあります。
5〜6万円の予算で考えているのに「電子ピアノは最低20万出さないとおもちゃ同然ですよ」なんて言われたらピアノをやる気も失せてしまいます。お客さんの予算内か、少し上乗せする程度の中で最良の提案をするのがあるべき営業なのに、良い提案をしてくれる店員さんが少ないので、私はインターネットで購入することをおすすめします。
実店舗より安く、配送無料で設置もしてくれる業者も!
電子ピアノは、ネットでは基本的に実店舗より安く売られています。そして、基本的に配送無料(大きめなモデルの場合、「フロア上げ料金(2F以上の階へ運搬する別途費用)」という費用数千円かかることもあります)で、場所を指定すると設置までしてくれるケースが多いです。
私はかつてK社の製品を取り扱う業務をしていましたが、K社の場合は購入者とK社がやりとりをして、日付や時間指定して配送を行い、設置までしてくれます。楽器運搬に長けている業者やスタッフが扱ってくれるので心配不要なのは嬉しいポイントです。
弦楽器や管楽器と違って個体差もない
電子ピアノはギターやヴァイオリンのような管楽器、サックスのような管楽器と違って個体差がないため、「ここで売っているクラビノーバ!」という買い方はしません。そもそも楽器メーカーの倉庫から直送されることが多いので、あくまで実店舗はショールームでしかないのです。
親切な店員さんがおすすめしてくれた電子ピアノが気に入ったらぜひそこで購入して頂きたいですが、このご時世、基本的に店舗では下見だけで良いのではないかと思います。
しかし、現在はコロナウイルスが猛威を奮っていて、たとえ仕事の前後にふらっと楽器店に寄れるタイミングがあっても、誰かが触っている鍵盤に触れるのは気が引けますよね。なので、なおさらネットで購入するのがおすすめというわけです。
おすすめのネットショップ
サウンドハウスは基本的に最安
音楽機材を取り扱う最大手のひとつ、サウンドハウスは電子ピアノを基本的に最安値で販売しています。一般の方にはなじみがないかもしれないですが、音楽業界で知らない人はいないような有名なネットショップなので安心して買い物して頂いて問題ありません。
【価格帯・タイプ別】おすすめの電子ピアノ15選
電子ピアノは「どんな方がどんな目的で弾くのか」によっておすすめなモデルが異なります。私はかつて中国の楽器メーカーと仕事した際に因縁があるので(笑)、この記事では日本を代表するヤマハ、ローランド、コルグ、カシオ、カワイの5メーカーの製品の中でおすすめなモデル15つを、4つの価格帯に分けて紹介していきます。
モデルごとに適した用途やタイプも記載していくので参考になれば幸いです!
価格帯ごとの特徴
各メーカーとも、約4〜5万円のエントリーモデルを筆頭に、そこから2〜3万円刻みで高性能なモデルを取り扱っています。それぞれの特徴をざっくりと以下の通りです。
価格帯・予算 | 特徴 |
3〜5万円程度 | 分かりやすくシンプルなタイプ 卓上タイプが多い タッチが軽く、初心者にはおすすめだが本格的にやるには適さない |
5〜7万円程度 | 音色のクオリティ、バリエーションが増える 卓上タイプ+スリムなタイプが多い 脚部付のモデルもあるがちょっと安っぽい タッチが軽く、初心者にはおすすめだが本格的にやるには適さない |
7〜10万円程度 | 安価なモデルより音が良い デザイン性、インテリア性に優れていてしっかりとした作りをしている タッチの重さが調整出来るモデル、重めな鍵盤のモデルもちらほらある 本格的にやるにはまだ物足りないが、基本的にここまでの価格帯で充分 |
10万円〜 | どっしりとした見た目、しっかりとした作りをしている スピーカーや鍵盤、電子回路のクオリティが上がり音が良い 機能が充実していて、使いこなすのは難しいかも 本格的にクラシックをやりたい方、ピアノ経験が過去にある方におすすめ |
弾き語りやジャズ、ポップスの演奏をやりたい方は、今回主に取り扱う5〜10万円程度のモデルがおすすめです。本格的にクラシックピアノをやりたい方、ピアノや楽器の経験があって運指の感覚が鍛えられている方は10万円〜のモデルをおすすめします。
シンプルな機能の初心者向け3モデル!4〜5万円程度の電子ピアノ
最低限電子ピアノとして弾くに耐えうるのが4〜5万円程度のモデルです。シンプルな機能で操作性が高く使いやすいのが特徴です。また、同時発音数は少なくタッチも軽めですが、これから紹介する2モデルともポップスを弾き語りする分には特に違和感はありませんでした。出来ればもうワンランク上の電子ピアノを選んで頂きたいものの、1円でも安くピアノを始めたい方にはアリかもしれません。
ヤマハ P-45
日本が世界に誇る楽器メーカーYAMAHA(ヤマハ)の電子ピアノのエントリーモデルが「P-45」です。
卓上モデルでスリムな本体なので、使用しないときは壁に立てかけて場所を取らずに収納出来ます。2〜3,000円程度の汎用品の折り畳めるキーボードスタンド(純正は10,000円程度)を一緒に買うことで、鍵盤の高さを自由に調整して弾けるのでおすすめです。
また、ヤマハ独自の「グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤」を搭載しており、タッチ感がアコースティックピアノに近いのが特徴です。この鍵盤は、タッチ感を低音部では重く、高音域では軽くなるよう、段階的に変化させられるようになっています。
手軽にポップスやジャズピアノをやってみたい、ピアノ弾き語りをしてみたい、保育園や幼稚園、リトミックなどで弾くために練習したいといった方におすすめな一台です。
■基本スペック
・タイプ:卓上タイプ
・鍵盤:グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:4段階調整可(ハード/ミディアム/ソフト/フィックス)
・最大同時発音数:64
・スピーカー:12cm×2、6W×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり
・脚部:スタンド別売(L-85)
コルグ LP-180
KORGは主に電子楽器を取り扱う楽器メーカーです。ちなみに「LP-180」より安価で人気なエントリーモデル「B2」は、タッチが軽すぎること、音がかなりイマイチ、取り扱いを注意しないとペダルの端子が壊れやすいといった理由で個人的におすすめしません。
のっけからネガティブなことを書きましたが、その点「LP-180」はタッチ感がB2より重めな印象です。音質も満足とは言い難いですが、ヘッドホンで練習する分には問題ないので妥協点です。
良いところは、奥行きわずか27cmのスリムボディである点です。このサイズ感だと、たとえ一人暮らしの部屋や子供部屋に設置しても圧迫感がないので、なるべくコンパクトかつ卓上タイプでないモデルを探している方にはおすすめです。
また、ダンパーに加えソフト、ソステヌートを使うことができる3本ペダル・ユニットが標準装備なのも嬉しい点です。ダンパー、ソフトはハーフ・ペダルにも対応しているので、細やかな演奏をすることが出来ます。
■基本スペック
・タイプ:コンパクトタイプ
・鍵盤:ナチュラル・ウェイテッド・ハンマー・アクション(NH)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:3段階(ライト、ノーマル、ヘビー)
・最大同時発音数:120(ステレオ時最大60音)
・スピーカー:16 cm x 8 cm x 2、11W×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(3本ペダル・ユニット)
・脚部:本体と一体型
カシオ CDP-S100
カシオをGショックや電卓のメーカーだと思っていた方はこの電子ピアノを前に驚くかもしれません。実はカシオの電子ピアノは性能やデザイン性が高くかなり人気があります。
カシオのエントリーモデルである「CDP-S100」は卓上モデルでスリムな本体なので、使用しないときは壁に立てかけて場所を取らずに収納出来ます。2〜3,000円程度の汎用品の折り畳めるキーボードスタンド(純正は10,000円程度)を一緒に買うことで、鍵盤の高さを自由に調整して弾けるのでおすすめです。
また、ハンマーアクション付きの「スケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ」が搭載されており、スリムなサイズながら弾き応えのあるタッチ感も兼ね備えているのが特徴です。タッチ感の重さニュアンスで言うとこの価格帯では「P-45」>「CDP-S100」>「LP-180」という印象です。
手軽にポップスやジャズピアノをやってみたい、ピアノ弾き語りをしてみたい、保育園や幼稚園、リトミックなどで弾くために練習したいといった方におすすめな一台です。
■基本スペック
・タイプ:卓上タイプ
・鍵盤:スケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ/88鍵
・タッチ感度:3段階
・最大同時発音数:64
・スピーカー:12cm×6cm x 2、8W×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(SP-3)
・脚部:スタンド別売
初心者向けモデルの主戦場!5〜7万円程度の電子ピアノ
5~7万円程度の電子ピアノは各メーカーが初心者向けのエントリーモデルを繰り出す主戦場となっています。卓上タイプ、コンパクトなタイプ、通常タイプ、いずれもバリエーション豊富なのが特徴です。
この価格帯でも、やはり総じてタッチは軽めな傾向があるものの、同時発音数は120以上あるものばかりで音質も4〜5万円程度のモデルより良いです。
個人的には手軽に弾き語りしたりポップスやジャズの演奏を楽しむために電子ピアノを買いたい方は、この価格帯のモデルで問題ないと思います。
ヤマハ P-125
先ほど紹介した「P-45」の上位機種である「P-125」。このモデルはいわゆる卓上タイプの電子ピアノの中でも最も人気なモデルのひとつです。スタイリッシュでコンパクトなデザインが特徴的な本機は、「P-45」と同じく、アコースティックピアノのタッチ感に近い「グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤」が搭載されています。各種口コミを見ても、概ねタッチ感が良好な点で評価されています。
また、P-45と異なるのは音色のクオリティの高さです。同社のコンサートグランドピアノから収録した「リアル・グランド・エクスプレッション(RGE)スタンダードIII音源」と、2Wayスピーカーが搭載されているので音の広がりや高音の響きがより豊かになっています。
また、ポップスやジャズ、ラテンなど、音楽ジャンルにあったリズムを20種類用意されているのも見逃せません。ただメトロノームを付けて演奏するより楽しく弾けるのがメリットです。
このあと同じ価格帯のモデルを3機種紹介していきますが、音色、タッチ感いずれも、正直シンプルな卓上モデルながら他の機種より断然おすすめです!
■基本スペック
・タイプ:卓上タイプ
・鍵盤:グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:4段階(ハード/ミディアム/ソフト/フィックス)
・最大同時発音数:192
・スピーカー:12cm×2 + 4cm×2、7W ×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(FC5)
・脚部:スタンド別売
ローランド FP-10
Roland(ローランド)は日本を代表する電子楽器メーカーです。日本で初めて電子ピアノを製造した他、数々の技術を世界に発信し続けるローランドが繰り出す電子ピアノのエントリーモデルが「FP-10」です。
FP-10は、ここまでに紹介したヤマハの「Pシリーズ」と同様、壁に立てかけて収納できるので置き場所に困らないのが特徴です。映像では別売の純正スタンドを付けて演奏しているのでスリムタイプに見えますが、本来は卓上タイプとして販売されているので、ご購入の際はお気をつけください。
また、コンパクトながらグランドピアノ以上に重いタッチの「PHA-4(プログレッシブ・ハンマー・アクション4)スタンダード鍵盤」や、タッチの強弱に応じて音色を無段階変化させる「スーパーナチュラル・ピアノ音源」の組み合わせで表現力の細かさはヤマハ「Pシリーズ」以上です。
加えて、ローランドの無料アプリとスマホ、タブレットを連携させて内臓曲の譜面を表示させたりソルフェージュを楽しめたり、本体の設定を行えたりと「今どき」な機能も満載です。Bluetooth MIDI機能にも対応しているのでスマホ、タブレットと連携させてiOS対応の作曲アプリ「Garageband」にて、シームレスに音楽制作に活用出来るのも見逃せません。
通常の弾き語りやポップス、ジャズの演奏にはもちろん、弾き語りの延長で、作詞作曲や編曲やDTMに興味がある方におすすめです。
■基本スペック
・タイプ:卓上タイプ
・鍵盤:PHA-4(プログレッシブ・ハンマー・アクション4)スタンダード鍵盤/88鍵
・タッチ感度:5段階
・最大同時発音数:96
・スピーカー:12cm×2、6W ×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(FC5)
・脚部:スタンド別売
コルグ C1 Air
先ほどご紹介したコルグ「LP-180」の上位機種が「LP-380」です。5〜7万円の価格帯の電子ピアノではベストセラーだった本機ですが、実は「C1 Air」という後継機がリリースされているのでそちらをご紹介します。
主な違いはBluetoothに対応しているかどうかです。「C1 Air」は対応していて、本体をスピーカー替わりに使ったり、練習時にスマホやタブレットから音源を流せるようになっています。
「C1 Air」の基本設計は「LP-180」と同様、スリムでスタイリッシュなタイプですが、タッチの質感はなかなか重めで「キーオフシミュレーション」という、鍵盤から指を離したときの音の余韻、弾き方による残響の変化を味わえる機能もついています。
その他、両方ともカラーバリエーションが豊富で、特に赤色の電子ピアノはレアです。質感や色に拘りたい方はおすすめのモデルですよ!
ちなみに「LP-380」はメーカーとしては終売したものの市場では販売されており、市場価格は55,500円程度、「C1 Air」は6万円代後半と差額が15,000円程度なので機能の違いでお好みの方を選ぶと良いでしょう。
■基本スペック
・タイプ:スリムタイプ
・鍵盤:RH3(リアル・ウェイテッド・ ハンマー・アクション3)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:5段階(軽め、標準、重め、安定、一定)
・最大同時発音数:120
・スピーカー:10cm×2、25W ×2
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり・一体型(3本ペダル)
・脚部:一体型
カシオ PX-S1000
カシオの「PX-S1000」は2020年4月時点で価格.comで電子ピアノランキング2位に輝く人気モデルです(1位は冒頭で紹介したヤマハ「P-45」)。
卓上タイプのモデルである「PX-S1000」は、奥行きわずか23cmという細身ながら、グランドピアノのタッチ感を追求した「スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤」を採用していてタッチが程良い重さで弾き心地抜群です。
加えて、音域ごとの発音タイミングの違いを再現したハンマーレスポンス機能やキーオフレスポンス、打鍵の強弱に応じてニュアンスを繊細に表現する「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」の組み合わせで、スリムな卓上タイプながら良質なパフォーマンスをしてくれます。
先の「C1 Air」と同様、Bluetoothに対応しており、電子ピアノのスピーカーをオーディオとして使用出来るだけでなく、「Chordana Play for Piano」というアプリと連携して譜面をタブレットで表示したり、譜めくりなども行えます。
こちらもカラーバリエーションが豊富なので、卓上タイプが気になる方だけでなく、デザイン性を重視する方にもおすすめです。
■基本スペック
・タイプ:卓上タイプ
・鍵盤:スマートスケーリングハンマー鍵盤/88鍵
・タッチ感度:5段階
・最大同時発音数:192
・スピーカー:16cm×8cm、8W + 8W
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり
・スタンド:別売
カシオ Privia PX-770 63000
同じくカシオから、入門者向け電子ピアノとして定番の「プリヴィア」より「PX-770」です。
3つのセンサーが順番に打鍵を感知し、打鍵のスピードによって応じてきめ細かくニュアンスを変化させることが出来る「3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II」が採用されていて、先の「PX-S1000」よりさらに打感がアコースティックピアノに近く、重めなタッチ感があります。
かつ、打鍵の強弱に応じてニュアンスを繊細に表現する「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」、88鍵盤の弦が全て解放された状態となる「ダンパーレゾナンス」などによって音色は「PX-S1000」と同じながらニュアンスの表現をより繊細に付けることが出来、かつレスポンスも俊敏です。
こちらはBluetoothに対応していないので、3本ペダルを活用して本格的に演奏したい方は本機を、Bluetoothを使って練習したい方や卓上タイプが良い方は「PX-S1000」を選ぶと良いでしょう。
■基本スペック
・タイプ:スリムタイプ
・鍵盤:3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II/88鍵
・タッチ感度:3段階
・最大同時発音数:128
・スピーカー:12cm×2、8W + 8W
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ちょっと良い目のモデル!7〜10万円程度の電子ピアノ
7〜10万円程度の電子ピアノは各メーカーが初心者向けのエントリーモデルをグレードアップさせたモデルを出しています。また、個人的に好きなカワイの電子ピアノもこの価格帯から参戦します。
5〜7万円程度の価格帯と同じく、卓上タイプ、コンパクトなタイプ、通常タイプ、いずれもバリエーション豊富なのが特徴です。また、各社独自の技術によってタッチ感がよりアコースティックピアノに近づき、音色のクオリティやバリエーションも向上します。それだけではなく、作りが安っぽくなくなく高級感漂うモデルが多いのも特徴です。
弾き語りやポップス、ジャズをあくまで手軽にやりたい方は先の5〜7万円のモデルでも十分です。ただ、実際触ると「2〜3万円ケチらずに、所有欲が満たされる一台が欲しいなぁ」となるのが人の性です。これからご紹介していくモデルの動画を見ると、明らかに7万円あたりを境に一線があることを感じて頂けるかなと思います。それでは見ていきましょう!
ヤマハ ARIUS YDP-144 / YDP-164
ヤマハの「ARIUS(アリウス)」シリーズは、不動の人気を誇る「クラビノーバ」シリーズより低価格帯の初心者向けながら本格的な作りや性能を誇っています。今回はコスパが高い「YDP-144」を主に紹介しつつ、その上位機種かつシリーズで一番人気の「YDP-164」、今ならお買い得に購入出来る型落ちモデルである「YDP-163」を比較しながらお伝えしていきます。
「YDP-144」と「YDP-164」の特徴は、まずヤマハ最高峰のグランドピアノ「CFX」の響きを再現した「ヤマハCFXサンプリング音源」を採用している点です。モデルチェンジに伴い、10万円代中盤以上〜の人気シリーズ「クラビノーバ」と同じ音源を搭載するという本気っぷりは伊達じゃありません。
また、「YDP-144」には低音から高音にかけて鍵盤の重さを段階的に変え、アコースティックピアノのタッチ感を追求した「グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤」が搭載されています。上位機種である「YDP-164」は、さらに3つのセンサーが鍵盤の動きを細かく正確に感知する機能が盛り込まれた「グレードハンマー3(GH3)鍵盤」が搭載されています。2機種を弾き比べると、さすがに後者の方がよりレスポンスやタッチ感が本物に近く、弾き心地が良いです。
また、「YDP-144」と「YDP-164」とではスピーカーの出力がそれぞれ8W×2、20W×2と大きく異なります。出力が大きい方が、より余力を持って音を奏でることが出来るため音質が良いのです。ただ、ヘッドホンを使用して練習する方には関係がない差かもしれません。
そして、地味な違いがもう一つ。それは!「YDP-144」に付属する椅子は固定式、「YDP-164」に付属する椅子は可変式という点です。椅子が可変式かどうかは、特にお子さんが弾く場合や複数の人間が弾く場合に重要です。
「YDP-144」と「YDP-164」の差額は約2万円ですが、音源が1世代前の「YDP-163」は市場価格90,000円程度なので差額1万円程度でお得に購入出来ます。正直、音源の差よりもタッチ感の差+椅子の差を考慮して「YDP-163」を選ぶのが現時点でのおすすめです!弾き語りやポップス、ジャズをやりたい方には十分ですし、「YDP-163」や「YDP-164」あたりであれば本格的にクラシックピアノをやっていきたい方にもおすすめ出来ます。
■基本スペック
・タイプ:通常タイプ
・鍵盤:グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:4段階(ハード/ミディアム/ソフト/フィックス)
・最大同時発音数:192
・スピーカー:12cm×2、8W + 8W
・椅子:あり(固定式)
・ヘッドホン:あり
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ヤマハ YDP-S34 / YDP-S54
ヤマハ電子ピアノの初心者向けモデル「ARIUS」シリーズのスリムなモデルが「YDP-S34」と上位機種の「YDP-S54」です。
コンパクトかつスタイリッシュな見た目ながら、先にご紹介した「YDP-144」と「YDP-164」と同様、ヤマハ最高峰のグランドピアノ「CFX」の響きを再現した「ヤマハCFXサンプリング音源」を採用しているのは嬉しいポイントです。
加えて、「YDP-S34」には低音から高音にかけて鍵盤の重さを段階的に変え、アコースティックピアノのタッチ感を追求した「グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤」が、「YDP-164」には3つのセンサーが鍵盤の動きを細かく正確に感知する機能が盛り込まれた「グレードハンマー3(GH3)鍵盤」が搭載されています。
通常サイズの「YDP-144」と「YDP-164」と同じ性能を誇りながら、本体がスリムな分よりインテリアに馴染むのが特徴です。白と黒の木目調は決して安っぽくなく、かつ奥行き約309mmという薄さなので、一人暮らしの部屋や寝室に置きやすいサイズ感です。
いずれも椅子やヘッドホンが付かず、先にご紹介した「YDP-144」と「YDP-164」より割高なのが難点に見えますが、むしろ椅子やヘッドホンは好きなものを選ぶ方が練習が捗るので「大きめな方が良い!」という方でもなければどちらかのモデルをおすすめします。
■基本スペック
・タイプ;スリムタイプ
・鍵盤:グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:4段階(ハード/ミディアム/ソフト/フィックス)
・最大同時発音数:192
・スピーカー:12cm×2、8W + 8W
・椅子:なし
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ローランド RP-102
ローランドの「RP-102」は初心者に最適な、シンプルかつ高機能なエントリーモデルです。
「FP-10」同様、コンパクトながらグランドピアノ以上に重いタッチの「PHA-4(プログレッシブ・ハンマー・アクション4)スタンダード鍵盤」やタッチの強弱に応じて音色を無段階変化させる「スーパーナチュラル・ピアノ音源」が搭載されていて、重めなタッチ感や豊かで伸びやかな音色が心地よいモデルです。
また、Bluetooth機能やアプリ関連の連携力や機能性の高さは他のメーカーを圧倒しています。オリジナルアプリ「Piano Partner 2」にて、ピアノ本体の設定をアプリ上で行うことが出来るほか、ソルフェージュや内臓曲の選曲や再生させたり出来ます。
「RP102」には236曲の内蔵曲が収録されているのですが、その中にはバイエルやブルグミュラー、スケールなど役立つ練習曲も盛りだくさんです。アプリで内臓曲の譜面を表示させ、「左手のみ」、「右手のみ」を弾いたりパート別に再生することも可能という・・・。ローランド、恐るべしです。
これからピアノを始める方、本格的にクラシックピアノにチャレンジしたい方にもおすすめですよ!
■基本スペック
・タイプ;通常タイプ
・鍵盤:PHA-4スタンダード鍵盤/88鍵
・タッチ感度:5段階
・最大同時発音数:128
・スピーカー:12cm×2、6W + 6W
・椅子:あり(固定式)
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ローランド F-140R 99000
ローランドの「F-140R」は先にご紹介した「RP-102」より少しお高いスリムタイプのモデルです。
鍵盤周りや音色に関しては先の「RP-102」と同じ組み合わせです。コンパクトながらグランドピアノ以上に重いタッチの「PHA-4(プログレッシブ・ハンマー・アクション4)スタンダード鍵盤」やタッチの強弱に応じて音色を無段階変化させる「スーパーナチュラル・ピアノ音源」が搭載されていて、重めなタッチ感や豊かで伸びやかな音色が心地良いのが特徴です。
Bluetoothやアプリとの連携機能も「RP-102」同様ですが、「F-140R」は出力する音質がより優れています。まず、スピーカーの出力が「RP-102」では6W×2ですが、「F-140R」では12×2と2倍であることから、音量や音質で本機に軍配が上がります。
また、本機にはヘッドホン装着時にもグランドピアノの立体的な響きを感じながら演奏出来る「ヘッドホン・3D・アンビエンス機能」が搭載されています。実際に「RP-102」とヘッドホン越しの音を聴き比べると分かるのですが、音の立体感やニュアンスの繊細さ、伸びや響きの広がりなどが本機の方が豊かなのです。
価格が2万円ほど高く、かつ椅子も付属していないのでお買い得に見えませんが、各種ネットショップを見ると同じ金額で椅子を無料プレゼントで付けてくれるところも多数あります。私ならスリムさとヘッドホンを通した時の音の良さを考慮して「RP-102」より「F-140R」を選ぶかなと思います。
■基本スペック
・タイプ;スリムタイプ
・鍵盤:PHA-4スタンダード鍵盤/88鍵
・タッチ感度:5段階
・最大同時発音数:128
・スピーカー:12cm×2、12W + 12W
・椅子:なし
・ヘッドホン:あり
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
高機能かつ所有欲をくすぐる本格派が勢揃い!10万円〜の電子ピアノ
私の周りの音楽講師を務める方々にヒアリングしていったところ、「クラシックをちゃんとやるなら確かに10万円以上の、クラビノーバみたいな機種が良いと思う」といった声が多かったです。私も仕事であらゆるメーカーのピアノをプレイ面、スペック面、機能面で情報収集や分析しまくっていましたが、確かに10万円が「一線」なんです。ここを超える電子ピアノは基本的に「ピアノらしさ」があって、どっしりとしていてアコースティックピアノに近い演奏感があるのです。
ただ、この価格帯の電子ピアノは、初心者が弾き語りやポップス、ジャズなどを気軽に演奏するにはオーバースペックのように思えます。もっと安いモデルを買って譜面や教本を手に入れたりレッスンを受けたり、ブルーノートのようなライブハウスで最高の演奏を生で聴く方が腕が上がるのではないでしょうか。
他方で、ピアノの経験がある方や楽器経験があって音色の良し悪しが分かってしまう方、クラシックピアノを本格的に取り組んでいきたいといった方にはここから先のモデルがおすすめです。
カワイ DIGITAL PIANO CN29
ここに来て初登場となる、ヤマハと並ぶ国内2大ピアノメーカー・カワイの「CN29」です。メーカーの位置付けとしてはエントリーモデルであるものの、その性能の高さや楽器としての存在感は圧巻です。
まず、グランドピアノのしっかりとした弾き応えを再現するため、鍵盤の質量、ハンマーのおもりといった細部に拘り「鍵盤ウェイト」を備えた「レスポンシブハンマーアクションIII(RHIII)鍵盤」を搭載しているのが特徴です。タッチ感の重さや押し心地は同価格帯までの電子ピアノを圧倒するほどで、本格的にクラシックを弾きたい方にもおすすめ出来るクオリティの高さを誇っています。
さらに、最高峰のフルコンサートグランドピアノSK-EX、フルコンサートグランドピアノEXなど、カワイが世界に誇るグランドピアノの88鍵すべてを、タッチの強さに分けてサンプリングした「PHI音源」を搭載しています。
そして、強弱の表情豊かな音色に加え、提携関係がある高級オーディオ機器メーカー・オンキヨーと共同開発した、デジタルピアノに特化した回路基板とスピーカー(20W×2)を搭載しており、電子ピアノの4大要素である「鍵盤×音源×基板×スピーカー」の組み合わせは黄金比と言っても過言ではありません。
加えて、立体感と臨場感のある音を再現する「スペイシャル・ヘッドホン・サウンド」機能まで付くばかりかほぼスリムタイプに近い奥行き405mmにして可変式の椅子やヘッドホンまで付属なのは大きなメリットです。
「CN29」の実売価格は115,000円程度ですが、旧製品である「CN27」もまだ実売されていて、基本性能は全く同じながら(「CN29」にはBluetooth関連の機能が搭載)93,000円程度とかなりお得感があります。クラシックピアノの演奏やレッスンにも対応出来る、ある程度しっかりとした品質の電子ピアノを購入したい方におすすめします。
■基本スペック
・タイプ:通常タイプ
・鍵盤:レスポンシブ・ハンマー・アクション鍵盤/88鍵
・タッチ感度:「コンサートチューナーおまかせ設定」に10パターン組込済
・最大同時発音数:192
・スピーカー:12cm×2、20W + 20W
・椅子:あり(高低自在式)
・ヘッドホン:あり
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ヤマハ Clavinova CLP-635
ヤマハの看板製品である「Clavinova(クラビノーバ)」シリーズ。これからピアノを始める人から上級者まで幅広く愛用するこのシリーズの中でも特に人気が高いのが「CLP-635」です。
まず、リアルなグランドピアノのタッチを再現する「グレードハンマー3エックス(GH3X)鍵盤」が搭載されているのが特徴です。弾いたときの手ごたえや自然な鍵盤の戻り、低音域では重く、高音域では軽く感じるピアノ本来の鍵盤タッチが再現されており、さすがクラビノーバという弾き心地の良さがあります。
また、力強くきらびやかなヤマハ最高峰のコンサートグランドピアノ「CFX」、繊細でうるおいのあるベーゼンドルファーベーゼンドルファー「インペリアル」の音色をサンプリング・モデリングされているのも見逃せません。
その他にもヘッドホンから流れる包み込まれるような響きを味わえる「ヤマハCFXバイノーラルサンプリング音源」や長時間ヘッドホンをしても快適で自然な聴き心地が体感出来る「ステレオフォニックオプティマイザー」といった機能もあり、ヘッドホンを付けての練習も捗りそうです。何気に、スピーカーも30W×2と高出力で、楽器全体で音を豊かに響かせる音響システムが本体内の各所に組み込まれていることにより音質も10万円以下のモデルとは一線を画しています。
カワイ「CN29」同様、本格的にピアノを練習していきたい方や電子ピアノを初めて購入されるピアノ経験者、楽器経験者におすすめです。
・タイプ:通常タイプ
・鍵盤:グレードハンマー3エックス(GH3X)鍵盤/88鍵
・タッチ感度:8段階(ハード2、ハード1、ミディアム、ソフト1、ソフト2、固定)
・最大同時発音数:256
・スピーカー:16cm×2、30W + 30W
・椅子:あり(高低自在式)
・ヘッドホン:あり
・ペダル:あり(3本ペダル一体型)
・スタンド:本体と一体型
ローランド カリモク Kiyola KF-10 350000
最後にご紹介するのはローランドと国内最大手の家具メーカー・カリモクのコラボによって誕生した存在感Maxな電子ピアノ「Kiyora(きよら)KF-10」です。
「温かみを持った天然木がつなぐ、人とピアノ」をコンセプトに、厳選された天然木を使用し職人技でモダンかつ温もり溢れる家具仕上げのキャビネットはグッドデザイン賞を受賞するほどです。4種類それぞれ違う木材が使われており、天然木に刻まれたナチュラルマーク(湾曲した木目や濃淡)は個体差の証で個体ごとに雰囲気が異なるのが特徴です。
存在感やインテリア性Maxでありながら、楽器としても剛性の高い木製鍵と、耐久性のある樹脂鍵をかけ合わせた「PHA-50鍵盤」を搭載し、弾き心地もばっちりです。さらに、デジタルで仮想的なピアノを作り出して発音する「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源や、鍵盤を演奏して耳に返ってくる音の気持ち良さにこだわって専用設計したスピーカーボックスとサウンドシステムも相まって音質・音色共に上位機種のクオリティを誇っています。
ローランドの「お家芸」でもあるBluetoothやアプリとの連携はもちろん、あえて前面に打ち出していないものの、人間工学に基づき座り心地を追求したオリジナルの椅子も付属しているのがポイントです。
もし予算に拘りがなければ、私なら問答無用で本機を買います。おすすめとしては、子どもよりは大人向けのモデルです。これから長く付き合うパートナーとして、弾き込む中でピアノも持ち主も熟成されていく・・・そんな感覚を味わえるのが本機の一番のおすすめポイントに違いありません。
■基本スペック
・タイプ:スリムタイプ
・鍵盤:PHA-50鍵盤(ハイブリッド構造:木材×樹脂センターフレーム)/88鍵盤
・タッチ感度:5段階
・最大同時発音数:384(グランドピアノ音色でのソロ演奏時は無制限)
・スピーカー:12cm×2、5cm×2、30W + 30W
・椅子:あり
・ヘッドホン:なし
・ペダル:あり(3本ペダル)
・スタンド:本体と一体型
まとめ
今回は、「初心者におすすめの電子ピアノとその選び方」をご紹介してきました。
色々なメーカーが電子ピアノを発売していますが、その中でも初心者の方におすすめ出来る電子ピアノは意外と少ないのが現実です。
しかし、電子ピアノを始めてみたい方や、どうやって電子ピアノを選んだら良いのか分からない方でも「サイズ」、「鍵盤の重さ・タッチ感」、「同時発音数」、「音色」、「付属品」、「機能」の6つを基準にして、予算を踏まえて今回のおすすめの中から選ぶことできっと最適な電子ピアノが見つかります!
クラシック、ポップス、ジャズ、、、どんなジャンルの曲でも練習を通して意外と弾けるようになります!そして、ピアノだけでなく歌を乗せて弾き語りが出来たら・・・ワクワクしませんか?ピアノがある暮らし、楽しいですよ。