こんにちは!ボイストレーナーのまっすーです。
今回はプロの歌手や俳優、スポーツ選手らが愛用していることで有名なパワーブリーズを取り上げたいと思います。
私がパワーブリーズを知ったのは10年ほど前、B’zを特集するドキュメンタリー番組でヴォーカリストの稲葉さんが使用しているのを見たのがきっかけでした。
当時、「稲葉さんがくわえているあの謎の道具はなんだ!?」と話題になった際に私は購入し、それ以来日頃のトレーニングに用いています。
今では肺活量を鍛える定番アイテムとして抜群のシェアを誇っているパワーブリーズ。
- 一体どんな道具なのか?
- どのパワーブリーズを選んだら良いのか?
- どうやって使ったり、日々のお手入れをしたら良いのか?
- 歌やスポーツにおいてどんな効果が期待出来るのか?
あなたが気になっていることを徹底解説してまいります!
結論、パワーブリーズで呼吸筋を鍛えると肺活量や声量がアップします。
水泳やランニングにおいては明らかに持続力がアップし、スタミナが付きます。

「使い方次第」で歌声やロングトーン、ハイトーンが安定するのでぜひ最後まで読んでくださいね!
パワーブリーズについて
プロの歌手や俳優、スポーツ選手らが愛用する呼吸筋のトレーニング器具
パワーブリーズは、呼吸に必要な横隔膜や肋間筋、腹筋、背筋など呼吸筋を鍛えるトレーニング器具です。
歌手や俳優はステージ上で長時間、大きな声を出し続けることが求められています。
ランニングや水泳、ラグビーなどのスポーツにおいても、長時間バテずに動き続けることが求められています。
呼吸筋を鍛える最強アイテム
呼吸筋を鍛えることで肺活量がアップし、それによって表現やスポーツのパフォーマンスが改善されるのですが、呼吸筋は走ったり泳いだりしたからと言って簡単に鍛えられるわけではありません。
大事なのは、呼吸筋に焦点を絞ってトレーニングをすることなのです。
呼吸筋を鍛えるトレーニングとして定番なのが、ペットボトルや風船を口にくわえて呼吸を繰り返す練習です。
確かにこの練習をすることで腹式呼吸が身に付いたり呼吸筋が鍛えられるのですが、ペットボトルや風船では負荷の強さが調整出来ないのが難点です。
パワーブリーズは、目盛りを回すことで簡単に負荷を調整出来るだけでなく、他のトレーニングでは鍛えられないほど強い負荷をかけられるからこそ、高みを目指すプロの歌手や俳優、スポーツ選手らが愛用しているのです。
どんなプロが愛用しているの?
パワーブリーズが世間に知れ渡るきっかけになったのは、B’zの稲葉さんがライブ前に楽屋でウォーミングアップに使用していた映像です。それ以降、アイドルやダンサー、俳優や管楽器のプレイヤーなどが愛用するようになったのです。
- 山下達郎さん
- B’z 稲葉浩志さん
- 広瀬香美さん
- 元NMB48 山本彩さん
- E-girls
- Official髭男dism 藤原聡さん


パワーブリーズの種類


(引用:POWERbreathe Japan)
パワーブリーズは負荷の大きさ別で赤、青、緑の3種類あります。
最低負荷 | 最高負荷 | タイプ | |
赤 | 29 | 274 | 超重負荷 |
青 | 23 | 186 | 重負荷 |
緑 | 17 | 98 | 標準負荷 |
超重負荷(赤)
「赤」が最も負荷が大きいタイプです。「赤」をおすすめするのは以下の方です。
- 歌手、俳優、管楽器のプレイヤーなど、肺活量が多く腹式呼吸が出来ている方
- マラソンやロードバイク、水泳など、日常的に持久力が求められるスポーツに取り組んでいる方
- 「青」の最大負荷まで到達出来た方
- 体重90kg以上の方
- 肺活量と体力に自信がある男性向け
B’zの稲葉さんや元NMB48の山本彩さんは「赤」を愛用しています。また、私は現在「赤」を使用しています。
重負荷(青)
「青」は負荷の大きさが「赤」と「緑」の中間のタイプです。「赤」をおすすめするのは以下の方です。
- 歌手、俳優、管楽器のプレイヤーなど、肺活量が多く腹式呼吸が出来ている方
- マラソンやロードバイク、水泳など、日常的に持久力が求められるスポーツに取り組んでいる方
- 負荷が大きい「赤」を買うべきか心配な方
- 体重60kg以上の方
- 体力には自信があるが、肺活量はこれから鍛えたい男性向け
E-girlsの方々は「青」を愛用しています。また、私も初めて買ったのは「青」でした。
標準負荷(緑)
「緑」は最も負荷が少ないタイプです。「緑」をおすすめするのは以下の方です。
- あまり運動されない方
- 高齢者
- 女性や子ども
- 体力や肺活量に自信がない方
- はじめてパワーブリーズを利用する方
エントリータイプとして位置付けられている緑をおすすめしていない方が多いですが、「青」を購入した当初、肺活量6000cc以上だった私は目盛りが2か3程度でいっぱいっぱいでした。
負荷が少なめとはいえ、十分に負荷を感じて鍛えられること、赤や青よりも細かく低〜中負荷で取り組めるのが緑の特徴です。
パワーブリーズの選び方
3種類のパワーブリーズ。どれを選ぶべきなのか迷ってしまいますよね。
ネットでは「赤を買うべき!」という方が多いですが、私は「青か緑を買うべき」だと考えています。
なぜなら、いきなり「赤」を買ってもきちんと使いこなすのは難しいからです。
女性や腹式呼吸初心者には緑が最適
なぜ女性には緑が最適なのか。それは、緑が最も負荷を細かく調整出来るからです。
女性は基本的に男性よりも肺活量が少なく、赤で鍛えるべき範囲に到達するのに男性以上に努力を要します。
また、高負荷な赤や青を買うと適切な負荷を設定しにくく、トレーニングが捗らないというデメリットがあります。
確かに後々買い替えることでコストがかさんでしまうかもしれないですが、大事なのは「今のあなたにとって最も適切な負荷でトレーニング出来るかどうか」です。
以上より、女性には緑をおすすめします。
男性やスポーツをしている方、腹式呼吸が出来る方は青が最適
男性やスポーツをしている方は青が最適です。
赤よりも青がおすすめなのは緑をおすすめする理由同様です。
男性やスポーツをしている方、腹式呼吸が出来る方は体力もあり、肺活量が大きい傾向があります。
そして、赤よりも細かく負荷を調整出来るのが青を選ぶメリットです。
以上より、伸びしろが緑よりも多い青をおすすめします。
声楽やトライアスロンでもやっていて、肺活量に絶対の自信があるなら赤でも◯
私だけでなく、パワーブリーズの販売代理店の社長までおすすめしていないのが赤です(笑)
赤を(渋々)おすすめ出来るのは、声楽やトライアスロンでもやっていて、腹式呼吸をマスターしていて、肺活量に絶対の自信がある方ぐらいです。
また、確かに他の方がおっしゃる通り、緑が最も広範囲の負荷をカバーしています。
なるべくコスパ良くパワーブリーズで鍛えたい方は赤でも良いかもしれません。重ね重ねおすすめしませんが(笑)
パワーブリーズの効果
パワーブリーズの効果は大きく分けて筋力や肺活量の向上とスタミナの向上の2つです。
それらが歌やスポーツにどんな効果を及ぼすのかをお伝えしていきますね。
呼吸筋の強化 / 肺活量がアップ
パワーブリーズを使用して呼吸の練習をすることで、呼吸筋を鍛えることが出来ます。
4週間パワーブリーズを使用することで、呼吸筋の筋力が30%増加し、呼吸筋の持久力も40%増加したというデータが出ています。呼吸筋を鍛えることによって呼吸を行う能力がアップするため、肺活量もアップするのです。
呼吸筋とは?
呼吸筋は大きく内助間筋(ないろっかんきん)、外助間筋(がいろっかんきん)、横隔膜といったインナーマッスルや腹直筋、背筋といった部位に分かれています。
イメージしにくい筋肉について、以下で簡潔に解説しますね。
- 内助間筋:胸部の肋骨間に位置する筋肉。収縮することで肋骨を引き下げる動きをします。空気を取り入れる役割を果たしています。
- 外助間筋:胸部の肋骨間に位置する筋肉。収縮することで肋骨を引き上げる動きをします。吸い込んだ空気を押し出す役割を果たしています。
- 横隔膜:ドーム状の薄い筋肉で出来た膜。胸腔と腹部の間に位置しており、息を吸い込む際に重要な役割を果たす筋肉です。横隔膜が収縮することで、胸腔の長さや直径が増え、肺が膨らみます。
持久力 / 運動能力が向上
パワーブリーズを使用して呼吸筋を鍛えることで、呼吸筋の疲労が減り、長時間の運動や呼吸筋の酷使でも安定したパフォーマンスを発揮出来るようになります。
歌 / 演技における効果
パワーブリーズを使うことで、歌や演技における基礎体力が向上します。
基礎体力とはすなわち、呼吸筋の能力のことです。基礎体力が向上することで、以下のような効果が生じます。
- 深い呼吸が出来るようになる
- ブレスコントロールが上手になる
- 上記により、歌唱中のブレスが容易になる
- ロングトーンで声が揺れにくくなる
- 長時間歌唱していてもスタミナが持続する
- 走り回ったりダンスや振り付けをしながら歌っていても息切れしにくい
- 体幹を鍛えることが出来る
※パワーブリーズだけでは歌は上手くなりません!
一見魅力的なパワーブリーズ。しかし、これだけでは歌は上手くなりません!
なぜなら、呼吸筋の能力が良くなるからと言って歌唱技術も上達するわけではないからです。
- 呼吸筋:歌や演技における基礎体力
- 歌唱技術:全身の各パーツをコントロールして、思い通りの声を出すテクニック
パワーブリーズが作用するのはあくまで呼吸筋のパフォーマンスです。
上手に歌うには、呼吸筋以外にも声帯や各部位の共鳴をコントロールする必要があるので、歌唱技術を身につけるためのボイストレーニングも並行して行うべきです。
とはいえ、呼吸のコントロール力が向上するので基本的には歌や演技がしやすくなりますよ!
スポーツにおける効果
私自身の経験では、水泳やランニングといった運動時に息切れすることが少なくなり、スタミナが付いた実感があります。
実際に、パワーブリーズを用いた4週間のトレーニングによって、臨床実験で以下のように運動能力が向上した結果が出ました。


(引用:パワーブリーズ公式HP)
この通り、パワーブリーズはスポーツパフォーマンスの向上やスタミナ向上における効果が見込めます。
パワーブリーズの使い方
4つのステップで簡単に呼吸筋を鍛えることが出来るパワーブリーズ。
効果を上げるべく、それぞれのステップで意識すべきコツやポイントがあるので順を追って解説していきますね。
①:ダイヤルで負荷を適切な量に調節
パワーブリーズの底にはダイヤルが付いています。
ダイヤルを回すことで0から10までの間で負荷を調整することが出来ます。
はじめは1からスタートすることをおすすめします。
この時、30回ギリギリで呼吸を出来る負荷に設定することが重要です。
②:マウスピースをくわえる
パワーブリーズの上部には取り外し可能なマウスピースが付いています。
マウスピースをくわえてトレーニングの準備をします。
③:口から息を素早く「腹式呼吸」で吸い込む
トレーニング開始!まずは口から息を素早く、思い切り吸い込みます。
パワーブリーズを使ったトレーニングにおいて重要なのは「息を吸うスピードをなるべく速くすること」です。
ありがちなのが「負荷を大きく設定して、時間をかけて何とか吸って吐く」を繰り返してしまうケースです。
くれぐれも、あなたが口から息を素早く吸い込める負荷の範囲内でトレーニングしましょう!
また、多くの方が手早く息を吸おうとして胸式呼吸になってしまいがちです。
大事なのは、横隔膜や腹筋、背筋といった呼吸筋をより酷使する腹式呼吸を使ってトレーニングすることです。
腹式呼吸が良く分からない方、腹式呼吸について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧くださいね!
④:息をゆっくりと吐く
③の次は息を吐く動きです。
この際重要なのは「息を吐くのに3秒程度かけること」です。
パワーブリーズは息を吐く際には負荷がかかりません。思わず口から離したくなってしまうかもしれませんが、口はつけたまま器具に向けて息を吐いていきましょう。
また、もう一つ重要なのは「お腹の支えを意識して、腹式呼吸で息を吐くこと」です。
肩や胸を動かして浅く呼吸をしてもパワーブリーズの効果が薄まるのでくれぐれもご注意ください!
⑤:①から④を30回繰り返す
①から④を30回繰り返して1セットです。
1日2セット、出来れば間をあけて朝晩に行うのがおすすめです。
ちなみに、食後は呼吸しにくくなるので食前に行う方が良いでしょう。
パワーブリーズのワンランク上の使い方
パワーブリーズは、ただ息を吸って吐いてを繰り返しても効果がありますが、ここではさらにあなたのパフォーマンスを高める「ワンランク上の使い方」を紹介します。
パワーブリーズとトレーニングやストレッチ、ヨガを組み合わせることで呼吸筋以外のパフォーマンスも向上するのでぜひお試しください!
腹式呼吸×パワーブリーズ
パワーブリーズを使って呼吸をするには腹式呼吸が欠かせません。
腹式呼吸をしている感覚をつかむには、仰向けに寝転がりながらパワーブリーズを低負荷で使用するのがおすすめです。
パワーブリーズを1程度の目盛りに設定し、低負荷で呼吸することで腹筋や横隔膜などの呼吸筋が動く感覚がしっかりとつかめるはずです。
体幹トレ×パワーブリーズ
プランクやクランチを、パワーブリーズをくわえて呼吸のペースを崩さずに行うことでより効果を発揮します。
体幹トレのポーズに合わせて乱れずに呼吸を行うことがポイントです!
バランスボール×パワーブリーズ
バランスボールは体幹の強化や関節のストレッチの効果があります。
バランスボールを使ってクランチやプランクをしながら、さらにパワーブリーズもくわえてトレーニングすることで、より身体のコアを意識することが出来ます。
身体のコアを意識することで、より深い呼吸が出来、パフォーマンスが向上します。
ストレッチ・ヨガ×パワーブリーズ
身体の各部位をゆっくりと伸ばしながらパワーブリーズをくわえて呼吸のトレーニングを並行することで、より身体がストレッチされる効果があります。
現代人は呼吸が浅い傾向があるので、リラックスをしようとストレッチをする時でさえ、つい胸式呼吸をしてしまいがちです。
パワーブリーズを使って深い呼吸をすることによって、リラックス効果が高まります。
これはヨガでも応用可能です。ヨガにおいて重要なのはバランスボール同様、あらゆるポーズを取りながら丹田を意識して深い呼吸をし、無になることです。
ポーズを取ってしばらくの間はパワーブリーズをくわえて負荷をかけた状態で呼吸し、状況に応じて口から外すことでヨガの集中力がより高まります。
パワーブリーズのお手入れ方法と洗い方
パワーブリーズのお手入れ方法は基本的に水ですすぎ洗い+たまのつけ置きです。
説明書には以下のように書かれています。
週に2~3回→出来れば毎回:ぬるま湯に10分ほど漬ける→お湯ですすぎ洗い- 週に1回:うすめた消毒液に1時間以上浸ける(消毒洗浄)→お湯ですすぎ洗い
パワーブリーズはマウスピースをくわえて使用するため、衛生面を踏まえると週2〜3回でなく、トレーニングのたびに毎回洗うことをおすすめします。
パワーブリーズはマウス、本体、つまみ等を簡単に分解でき、洗いやすいのが魅力的です。
パワーブリーズのコスパ◎な洗い方
パワーブリーズを週に1回程度消毒洗浄する際に必要なのが、漬けおきに必要なパワーブリーズ専用の洗剤です。


ただでさえお高めなアイテムなのに、維持費もかさむのがデメリットです。
そこで、代用出来る消毒剤を色々と探したところ、ある商品に辿り着きました!
そう。「ミルクポン」という、赤ちゃんの哺乳瓶を浸けおきして消毒するための消毒剤です。
赤ちゃんの哺乳瓶に使うアイテムなので衛生面や安全面はお墨付きですよ!
浸けおきする容器はなんでも良く、私の場合はお風呂の桶か鍋を使っています。
ミルクポン半量を容器に入れ、水(ぬるま湯がおすすめ)2リットル程度を投入してパワーブリーズを1時間以上浸けおきするだけ!
1時間以上経過したら取り出してすすぎ洗いし、乾燥させて終了です。
専用の洗浄液は高いので、こだわりがなければ「ミルクポン」、おすすめです!
まとめ
パワーブリーズはなかなかお高いアイテムです。
正直、ペットボトルや風船でも呼吸筋のトレーニングをすることは可能です。
それでもパワーブリーズをおすすめするのは数々のメリットがあるからです。
- 呼吸筋が鍛えられて声量がアップし、ロングトーンが安定した
- ライブパフォーマンスをしていてバテにくくなった
- ランニングや水泳でバテにくくなり、タイムも改善した
- 負荷を細かく設定でき、自分のレベル感が「見える化」するので練習のモチベーションが上がる
ペットボトルや風船でのトレーニングはコスパが良いものの、慣れてしまうと負荷が小さく感じてしまうのがデメリットです。通常のあらゆる練習で追い込めない負荷をかけられるのはパワーブリーズだけです!
パワーブリーズを安く買うには?
私ははじめて青を買い、その後で赤を購入しました。
購入先はいずれもAmazonでした。
ボイストレーナーという立場からしばしば歌の練習に役立つアイテムについて質問をもらうことがあるため、パワーブリーズの価格はたびたびチェックしています。
基本的に最安値はAmazon、楽天やヤフーだと1000円程度高いようです。
ボイストレーナーとしてもスポーツ愛好者としても自信を持っておすすめ出来る数少ないトレーニンググッズです。
あなたもパワーブリーズで日々の練習を充実させてみませんか?