ロングトーンとは?効果や練習方法・コツ

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歌の語尾を、長く伸びやかに歌うアーティストを見ると

「歌上手いっ!すごいなぁー」

と思いませんか?

同じ高さの音をまっすぐ、安定して長く出し続ける歌い方やテクニックのことを「ロングトーン」と言います。

今回お伝えするロングトーンは、非常に大事な基礎練習のひとつであるだけでなく、実際歌う際にもその良し悪しで歌の上手さが決まると言っても過言でないほど重要なテクニックです。テレビ番組でも良く見かけるカラオケの採点では、音程やビブラート等のテクニックと並んで、ロングトーンがしっかり出来ているかどうかが採点基準となっているほどです。

ロングトーンを練習することで、歌の安定感が増すだけでなく、歌うスタミナが付いたりとメリットがたくさんあります。

これからロングトーンの効果、やり方・コツ・ポイント・練習方法を徹底解説していきますのでぜひ最後まで目を通し、練習してみてくださいね!

ロングトーンが上手な歌手・楽曲

まずは、ロングトーンが卓越している歌手の名曲をいくつか紹介します。いずれも、ロングトーンの魅力が分かりやすいのでぜひ聴いてみてください。

(※それぞれの楽曲の聞きどころから流れるように設定しております)

Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)- I Will Always Love You

Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)はアメリカが誇る最強の女王のひとりでした。

そんなホイットニーの真骨頂は、なんといっても曲の随所で見られるロングトーンです。映画『ボディガード』の主題歌である”I Will Always Love You”はリリースから30年近く経った(厳密にはカヴァーで原曲は1974年リリース。ホイットニーのバージョンは1992年リリース)今でもR&Bを代表する名曲、ホイットニーの代表曲として人々の心に刻まれています。

長く伸びやかな声はとても心地良く、時にフェイクやビブラートをかけて揺れたりしながら、リスナーの心をわし摑みにするのがホイットニーのロングトーン です。

MISIA(ミーシャ)- 逢いたくていま

MISIA(ミーシャ)さんは日本を代表する歌姫ですね。彼女もホイットニーのようなR&Bの影響を受けており、『逢いたくていま』ではロングトーンが随所に散りばめられています。

特に、Bメロからサビにかけてはロングトーンとビブラートの嵐で、ビブラートする語尾の中に一部、ロングトーンがあることで歌が引き立っています。

Queen “Don’t Stop Me Now”

映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、再び人々の心の中で蘇ったQueen(クイーン)のヴォーカル・Freddie Mercury(フレディー・マーキュリー)。フレディーは幾多の有名なヴォーカリストの中でも特にロングトーンのテクニックやバリエーションが卓越しています。

“Don’t Stop Me Now”は最初からロングトーンの嵐です。ささやくような声で、あるいは叫ぶような声で自由に、そして伸びやかに歌う歌い回しが特徴です。フレディーは基本的に語尾がビブラートするのでノンビブラートでロングトーンすることはあまりありませんが、ビブラートはロングトーンの技術なしに出来ないテクニックです。

さて、もしフレディーがもう少し歌のフレーズを短く伸ばして歌っていたらこの曲は全く違うものとなってしまいます。この曲の疾走感やスケール感は、フレディーがこれだけ伸びやかにフレーズを歌っているからこそ成立するのです。

ロングトーンとは?

先に歌手のロングトーンを聴いて「真っ直ぐな声」のイメージは沸きましたか?聴いての通り、ロングトーンには聴き手の心を奪い、射抜くような直接的なパワーがあるのです。

さて、そんなロングトーンとは何かと言うと「声をまっすぐ長く伸ばす歌い方・テクニック」です。

「えっ、それだけ!?」

と思う方が多いのではないでしょうか?ええ、それだけです。それだけのことがとても難しくて、そして歌において、いや、音楽において本質的なことなのです。

厳密に言えばホイットニーもMISIAもフレディーもビブラートが掛かっていますが、ビブラートはロングトーンができる前提でのテクニックとなるので今回はあえてごちゃ混ぜで取り上げています。

念のため解説をすると、ホイットニーの歌の1番の終わり(1:02〜頃)を聴いてみてください。ホイットニーは「ロングトーンからビブラートへの切り替え」を時折用います。つまり「揺れちゃっている」のでは「揺らしている」のです。

MISIAの歌でも、Bメロからサビへ行くブリッジとなっている「教えて〜」というフレーズ(1:19〜頃)でロングトーンからビブラートへ切り替えて歌っているのが分かりますね。

この通り、ビブラートで声を「揺らす」ためには、「揺らさず」に声を出すロングトーンが出来ることが前提となるのです。ビブラートについては別途取り上げます。更新の際はぜひご覧ください!

ロングトーンの効果

ロングトーンが歌にもたらす効果は主に「声の安定感」です。真っ直ぐ長く声を出せるようになることで、音色も音程も声量も思い通りにコントロール出来るようになるのです。

声が安定する

歌っていると、声が震えたりかすれたり、思い通り出せないことはありませんか?声が揺れてしまうとモヤっとしますよね。ロングトーンの練習をすることでそれらの症状が改善されます。

声がフラフラせず、一定のトーンで声を出せるようになったら声や歌が安定するのです。

音程が安定する

よほど先天的に恵まれている方でもない限り、ほとんどの方が長くまっすぐ声を出そうとすると音程が下がっていきます。

ロングトーンの練習をすることで、安定した息の吐き方や発声のコントロールが身に付き、音程が安定していきます。

声量が安定する

声の揺れと似ていますが、歌っていて声量が不安定な方、コントロールが苦手な方が少なからずいますよね。

ロングトーンを練習すると、やはり安定した息の吐き方や発声のコントロールが身に付くため、音程と同様、声量も安定します。

歌に迫力が出る

こちらは冒頭で取り上げた歌を聴けばもう説明不要ですね!高い声やテクニックに憧れる人は多いかもしれませんが、シンプルに長い時間、声を真っ直ぐ伸ばすロングトーンが出来ることで、歌の説得力が増し、迫力が出るのです。

ロングトーンの魔力

人はまっすぐ伸びやかな歌声に対して、直感的に魅了されます。ポップスに限らず、オペラやミュージカルにおいても同様です。ここ数年、改めて玉置浩二さんがメディアで取り上げられ、若い世代の間でも大絶賛されています。玉置さんの何が凄いって、、全てが卓越した現人神のようなヴォーカリストですが、特に注目すべき点がロングトーンです。

このバージョンはほとんどアカペラで歌っているのですが、その中でも4:48頃〜はマイクから離れて、地の声で歌うのです!その最終部はロングトーンで締まります。どんな高音やテクニカルな歌回しより、ど真ん中に投げ込まれる渾身のストレートが直感的に「刺さる」ように思えませんか?

低音でも高音でも、音域を問わず、伸びやかに、そして突き抜けるようなロングトーンで歌う玉置さんの歌い回しは、細かい音の移動や高音発声がトレンドとなっている昨今の歌よりも「どストレート」なのです。

改めて言いますが、良い歌の条件のひとつは「ロングトーンがキマっているか」といっても過言ではありません。ぜひロングトーンを練習して、歌の中でロングトーンを実践して、魅力的に歌えるようにしていきましょう。

ロングトーンのやり方・練習方法

ロングトーンを上手に出来るようになるためには、息だけを吐き続ける「ロングブレス」から練習することをおすすめします。ロングブレスで息を流す感覚をつかんでから、その息に声を乗せていきましょう。

まずは息だけを「すーーー」っと出し続ける(ロングブレス)

まずは声を出す前に、息を「さしすせそ」の「す」で、音を付けずに息だけで、5秒くらい吐き出してみましょう。この時に、息を吐くスピードやペースが一定かどうか、息が揺れていないかを意識しながら練習することが重要です。

一定のスピード、ペースで息を吐くためには腹式呼吸で吐く息をお腹で支える技術が必要となります。おへそ周辺の腹筋が、息を吐く際に少しずつ締めていきましょう。腹式呼吸が良く分からないという方は下記の記事も読んでぜひ習得してくださいね!

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安定したペースで5秒間、息を吐き続けることが出来たら、今度は10秒を目指して吐き続けてみましょう。10秒でも息が持つならば、次に15秒間吐き続けていきます。どの長さで吐くにせよ、腹式呼吸で息を吐き、息を吐くスピードやペースが一定かどうかが最も重要な点です。

はじめての方だと、おそらく10秒も持たない方が少なからずいらっしゃいます。しかし、練習することで息の吐き方をつかむことが出来るようになるのでご安心ください!

吐き出す感覚や吐き続ける際の力加減は、練習を通して掴めてくるので、まずはこれを1日5セットやってみましょう。ちなみに、お風呂に入っている時やテレビを見ている時に「ながら」でやっていただいても構いません。

声を「あーーー」っと出し続けてみる(ロングトーン)

次は、今度は「あ」という声で、ロングブレスと同様、まずは5秒間声を出し続けてみましょう。やはりここでも意識すべきポイントは息を吐くペースやスピードが一定かどうかです。

真っ直ぐ声を出し続けることが出来たら、次は10秒間吐き出してみましょう。おそらく最初の頃から10秒以上声を出し続けるのはムズカシイのでまずはここまでです(10秒以上出せても、発声時にほぼ確実に力んでしまうので良い練習にならないのです)。

リップロールやタングトリル(巻き舌)でロングブレス&ロングトーン

ボイストレーニングの練習方法として定番となっている「リップロール」「タングトリル」。実はこれらとロングブレス、ロングトーンを組み合わせるのがとてもおすすめです。リップロールもタングトリルも、リラックスした状態かつ、腹筋を中心に必要な部分には力を入れて声を出す感覚がつかみやすく、良い発声の感覚をつかむのにはうってつけです。

リップロールやタングトリルの練習方法・やり方・コツなどについてはこちらをご覧ください。

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タングトリル(巻き舌)の効果とやり方・コツ・練習方法

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ロングトーンのポイント・コツ

最も大切なのは、息を吐くスピードやペースがブレないように注意しつつ、同じ音を一定の声量、一定の音色を保って伸ばし続けることです。

長く声を出していると音程が下がりがちになってしまうので、なるべく息の強さや音程を一定に保つよう意識しましょう。

腹式呼吸の他にも、身体が力まないようストレッチをし、良い姿勢で声を出すようにしましょう。

ロングトーンができない原因と対策

呼吸が安定していない

まず確認すべきは呼吸が安定しているかどうかです。呼吸は、「呼気」(吐く動き)と「吸気」(吸う動き)に分解できます。このうち、吐く動きが一定でないと声がフラフラしたり、声量や音色がガタガタしてしまいます。

呼吸を安定させるにあたって重要なのは「支え」の感覚を掴むことです。「支え」とは、ひらたく言うならば「一定のペースで一定の量、息を吐く時の力加減や感覚」のことを指します。

声を安定させるためには、その土台となる息を安定させることが重要です。なので、地味な練習ですが「息を長く、一定のペース吐く」のが最も直接的な対策となります。

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舌、あご、首、肩や胸に余計な力が入っている

声を出している時に舌、あご、首、肩や胸に力が入っていませんか?ロングトーンの際、つい力んでしまいがちなのですが、安定した声を出すには体がリラックスしていることが大事です。

対策としては、まず前屈し、そこから背骨を一本ずつ立てるような感覚でゆっくりと起き上がっていきます。

次に、肩をぶらぶらっと揺らし、首を左右に何回か回していきます。

最後に5回くらい、軽くジャンプしてみましょう。すると体全体の力が抜けて声が出やすくなるはずです!

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意識がぼやっとしている

ロングトーンは、声を出す動きの中でも特に体を意識的に動かす必要がある動作です。先ほど「ながら練習でも良い」と述べましたが、良い感じに息が吐けていない場合、自分の体の動きや感覚に集中してみましょう。しっかりとお腹を使えているか、一定のスピードやペースで息を吐き出せているか、身体は力んでいないかなど、色々な面を意識することが重要です。

ロングトーンを使った色々な練習方法

少しずつ強く発声する(クレッシェンド)

波の音をイメージしてみてください。波が近づいてくると「ザーーーーーー」っと、少しずつ音が大きくなっていきますね。波の満ち引きのうち「満ち」の方のつもりで息を吐き、声を出してみましょう。

だんだん弱く発声する(デクレッシェンド)

こちらはその逆で、波の満ち引きのうち「引き」の方のつもりで息を吐き、声を出してみましょう。

クレッシェンドとデクレッシェンドに慣れてきたら、両方を繋げて「満ち引き」とも行うことでさらに効果が出ます。

低い音、高い音で発声する

まずはあなたにとって出しやすい高さの音を、一定のペースで長く出せることが大事です。それに慣れてきたら低い声や高い声でも試してみましょう。それぞれ別の難しさがあるので一筋縄ではいかないはずです。

ちなみに、実際の歌の中では高めな音をロングトーンさせる場合が多いです。ただ、低めな声をしっかりと体に共鳴させながらロングトーンさせるのも難しいです。どちらも取り組んでみましょう!

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ビブラートを掛けてみる

ロングトーンのひとつの終着点はビブラートです。なかなか上手く掛けることが難しい、ひとつの憧れのようなテクニックですよね。実はロングトーンをしっかりと練習することによって「声がまっすぐ出る感じ」が掴めて、それによって「声が揺れる感じ」も掴みやすくなり、ビブラートを掛けやすくなるのです。

ビブラートの掛け方については別途触れますが、ビブラートとノンビブラートを使い分けられることで、歌の表現力が格段にアップします。

まとめ

ロングトーンの特集はいかがでしたでしょうか?

とてもシンプルなテクニックなのですが、ロングトーンが出来ることで格段に歌が安定します。また、思い通りに歌える足がかりとなるのです。

Mariah Carey(マライアキャリー)が歌う”Without You”(原曲はNilsson)。2:30過ぎからの大サビではビブラート、ノンビブラート、さらにフォールやフェイク、シャウトといったテクニックを思いのままに披露しています。

これらのテクニックは、どれもロングトーンを安定して出せる技術や感覚があってはじめて適切に使うことが出来ます。ロングトーンは、あらゆる表現をする際に最も重要なテクニックでもあるのです。

これからあなたもロングトーンを鍛えて、思い通りに歌えるようにしていきましょう!

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