ジャズの聖地・ニューヨーク。ニューヨークでは街を歩き、地下鉄を乗る際ジャズを耳にすることが少なからずあります。公園や地下鉄の車内、駅のホーム、、あらゆる場所で聴こえてくるジャズの音色がきっかけで、せっかくだから旅の思い出にジャズ観賞をしてみたいと思う方も多いようです。
とはいえ、外国のライブハウスやジャズクラブに入るのは勇気が要りますよね。実際、私も最初は不安でした。
しかし、ご安心ください!ニューヨークのジャズクラブはどこも観光客を優しく迎えてくれるんですよ。
素敵な雰囲気のお店ばかりなので、たとえジャズに詳しくなくても素敵なひとときを楽しむことが出来ますし、隣の席の観客と仲良くなることもしばしばあるほどです。
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今回は、プロミュージシャンであり全米各地のライブハウス、ジャズクラブを巡ってきた私がニューヨークにある数多くのライブハウス、ジャズクラブを巡った中で特におすすめできるところを厳選してお伝えしていきます。
この記事を読んだらきっとあなたもニューヨークのジャズクラブに行きたくなるはず!
ジャズ以外のポピュラーミュージックを楽しめるおすすめライブハウスの特集記事も執筆したので併せてご覧くださいね!
ところで、あなたはジャズクラブがどんなところかご存知ですか?
日本にもあるものの、行ったことがない方も多いと思うので少しだけ解説しますね!
ジャズクラブとは?ライブハウスと違うの?
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ジャズクラブはジャズの生演奏が行われるライブハウスのことを指します。
日本でおなじみのコンサートホールとは違って狭い会場が多く、ステージと観客席が近いので臨場感や迫力を存分に味わえるのが特徴です。
ジャズの聖地・ニューヨークには世界中から耳の肥えた観客が集まり、また新進気鋭の若手から世界のトッププレイヤーまでが新旧入り乱れてジャズ・セッションを繰り広げているのです。
ところで、ニューヨークがなぜ「ジャズの聖地」と言われるか、ジャズ好きか歴史好きでなければ知らない方がほとんどではないかと思います。
ニューヨークが「ジャズの聖地」である理由
ジャズは1900年ごろ、南部の街・ニューオーリンズでその原型が生まれたと言われています。
1917年、第一次世界大戦の影響でニューオーリンズの歓楽街である「ストリーヴィル」が閉鎖されたされたことで、ニューオーリンズのミュージシャンは仕事にあぶれてしまい、ミシシッピ川沿いを北上し、シカゴへ辿り着きました。
その後まもなく、彼らは全米随一の都市・ニューヨークにも到達しました。
彼らは歌や踊りのバックに流れる音楽を演奏するようになり、いつしか人気者となっていきました。
その後も禁酒法の制定や世界恐慌、第二次世界対戦etc…時代の荒波に翻弄されながらミュージシャンは切磋琢磨し続けました。
その中で「ビバップ」が生まれモダン・ジャズの中心地となるなどするうちに、いつしかニューヨークは「ジャズの聖地」として認知されるようになったのです。
そして、ニューヨークには伝説的なジャズミュージシャンがプレイしたジャズクラブが今もなお残っているのです。
そんなお店も交えながら、ニューヨークのジャズクラブを厳選してご紹介していきます。
Blue Note New York(ブルー・ノート・ニューヨーク)
世界で最も有名なジャズクラブ
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ジャズの聖地・ニューヨークで、いや、世界で最も有名なジャズクラブは間違いなくBlue Note New York(ブルー・ノート・ニューヨーク/以下「ブルー・ノート」)です。東京や名古屋にも系列店があるので名前を耳にしたことがある方も多いかもしれませんね。
ブルー・ノートは1981年オープンと、ニューヨークのジャズクラブでは比較的新しい部類に入ります。
そんなブルー・ノートには世界中の大物ミュージシャンがこぞって出演し、アメリカ国内だけでなく世界各国からたくさんの人々が訪れます。非常に人気ですが、今回ご紹介するジャズクラブの中でも特に気軽に入れる雰囲気のお店です。
ライブ初心者の方や、音楽のことは詳しくないけれど本場のジャズを聴いてみたい!という方には特にオススメですよ。
ブルー・ノートの熱気はあなたを虜にします
中に入ると「こんなに近い距離で演奏が見られるの!?」と驚くはずです。ミュージシャンの卓越したプレイと観客の熱気が織りなす高揚感を味わったらあなたもきっと音楽の、ジャズのファンになってしまうはずです。私は2018年の秋に見たCorey Henryの情熱的に歌うようなピアノに恋をしました。笑
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食事やドリンクも充実しているのと、TシャツやCD、その他グッズを取り扱うショップもあるので日本でも有名な「ハードロックカフェ」を訪れるような感覚でラフに行けるのがブルー・ノートの良いところです。
絶対に予約してから行ってくださいね!
ブルー・ノートを訪れる際は必ず事前に予約をしておくことをオススメします。
たまにふらっと入れることもありますが、基本的に前売りの時点でソールドアウトすることが多々あるからです。
予約と言ってもネットで簡単に出来るので、ぜひニューヨークを訪れる際は遊びに行ってみてくださいね。
もし予約をせずに行くと、オープンの数十分前から「キャンセル待ち/空席待ち」の列が出来るものの、1時間以上並んだ末にドアマンから「セカンド・ステージだったら入れるかも!」と言われる場合がほとんどなのでお気をつけください。
ブルー・ノートの周辺情報・アクセス
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場所はマンハッタンの「グリニッジ・ヴィレッジ」のほぼど真ん中。グリニッジ周辺は日本で言うところの広尾や恵比寿のような、洗練されていて落ち着いた雰囲気のエリアです。
地下鉄の最寄り駅はA, C, E, B, D, F, Mラインの「West 4 St Station」(ウエスト・4ストリート・ステーション)です。
駅から徒歩1,2分と、アクセスが良く治安も良好なエリアにあるのが魅力的です。同じ通りにはラーメン屋さんや日本でもおなじみ・セブンイレブンもあるので、この辺を歩くだけでもなんだかほっとするかもしれませんよ。
地下鉄の上にメイン・ストリートがあるので、安全に移動したい方は簡単にイエロー・キャブやUber、Lyftなどの配車アプリも利用しやすいです。
住所:131 W 3rd St, New York, NY 10012
営業時間:18:00~0:00
電話番号:212-475-8592
予算:40〜60ドル
HP:http://www.bluenotejazz.com/newyork/index.shtml
Village Vanguard(ヴィレッジ・ヴァンガード)
「遊べる本屋」こと「ヴィレバン」の由来になったジャズクラブ
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ブルー・ノートと双璧をなすニューヨーク屈指のジャズクラブ、Village Vanguard(ヴィレッジ・ヴァンガード)。
ヴィレッジ・ヴァンガードといえば、みんな大好きなあの雑貨屋さん・・・。
実はあの「ヴィレバン」の店名の由来となっているのが今回ご紹介するヴィレッジ・ヴァンガードなのです!
ヴィレバンの創業者である菊池氏は、「いつか自分が開く本屋で大好きなジャズのライブがしたい!」。そう思い、老舗中の老舗であるヴィレッジ・ヴァンガードの名前を拝借したようです。
ヴィレッジ・ヴァンガードの創業はなんと1935年。80年以上の歴史の中でMiles Davis(マイルス・デイビス)やBill Evans(ビル・エヴァンス)ら、伝説のジャズミュージシャンが幾多の名演を繰り広げており、その名は有名ミュージシャンのライブ・アルバムのタイトルとしても刻まれるほどです。
今でもその熱気を保っていて、一週間ほぼ毎日営業し、一流のジャズミュージシャンがこぞって出演しています。
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名盤の世界へ迷い込んだ気分
1Fでドアマンに予約した旨を伝えると(当日に予約なしでも入れるかもですがオススメしません)、扉の奥へ通してくれます。エントランスから階段を降りていくと、長く歴史が刻んできた場所だけが持つ独特の雰囲気に圧倒されます。
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それはまるで、マイルスやコルトレーンの名盤からひしひしと伝わる「あの空気感」そのもの。
赤を基調とした仄暗い店内、壁一面を彩るのは百戦錬磨の伝説のジャズメンの写真やサイン。それら全ての存在感に触れるうちに、あなたは名盤の世界へ迷い込んだ気分になっていきます。
ヴィレッジ・ヴァンガードのしきたり
ニューヨークのライブハウスはジャンルを問わず基本的に写真・動画ウェルカムです。
ところが、ヴィレッジ・ヴァンガードではミュージシャンがプレイに集中出来るよう、また、観客にしっかりと音楽に聴き入ってもらうよう、演奏中の撮影が禁止、そして携帯やスマートフォンの電源を切ることになっています。
ライブが始まる際に、バンマス(バンドリーダー)が恭しくその旨をMCで話してくれてからステージが始まるので、皆マナーを守って音楽を楽しんでいます。
出来れば予約して訪れることをオススメします
チケットはオフィシャルHPにて、1ヶ月前から予約出来るようになっています。
Blue Noteほどガンガン売れていく感じではないのですが、週末のステージや月曜日限定のハウスバンドのライブは数日前には必ずソールドアウトするのでご注意ください。
ヴィレッジ・ヴァンガードの周辺情報・アクセス
場所はブルーノートと同じくマンハッタンの「グリニッジ・ヴィレッジ」に位置します。
地下鉄の最寄り駅は1, 2, 3ラインの「14 St Station」(14ストリート・ステーション)です。駅から徒歩2,3分ほど歩いたところに赤く光るネオンがお店の目印です。
また、ブルー・ノートの最寄り駅でもある地下鉄A, C, E, B, D, F, Mラインの「West 4 St Station」(ウエスト・4ストリート・ステーション)周辺からも徒歩10分ほどの距離です。この2つのエリアの間はお洒落なレストランやバーが多く、閑静なエリアなので徒歩で移動しても楽しめますよ。
ちなみにこの周辺もアクセスが良く、治安も良好なエリアにあるのが魅力的です。
イエローキャブやUber、Lyftといった配車アプリも頻繁に走っているので、地下鉄での移動が不安な方にもオススメです。
店名:Village Vanguard
住所:178 7th Ave S (between 11th St & S 7 Ave) New York, NY 10014
営業時間:19:30~0:00
電話:212-255-4037
予算:35~50ドル
HP:https://villagevanguard.com/
Birdland(バードランド)
チャーリー・パーカーのニックネームが店名の由来
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偉大なるジャズメン・チャーリー・パーカのニックネーム「バード」が由来となっている「バードランド」。
創業は1949年。ミッドタウンのタイムズスクエアにほど近い52丁目にオープンしてから賃料の高騰などで移転や閉店を繰り返したのち、1996年にヘルズキッチン・44丁目へ移転してから今日まで営業している老舗ジャズクラブです。
Charlie Parker(チャーリー・パーカー)やMiles Davis(マイルス・デイビス)、Dizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)ら伝説のジャズミュージシャンが出演しており、老舗では珍しく大きめな規模のジャズクラブなので席がゆったりしているのが良いところです。
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子連れOK、ひとりOK、大人数OK、バリアフリーと配慮◎
ジャズクラブというと敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、ここは老舗の割に特に敷居が低く、なんと年齢制限がないので子どもを連れて家族で行けるのが一番の売りです。
しかも、バリアフリーが行き届いているので車椅子や階段の上り下りが辛い方でも安心してステージを楽しめるようになっています。
他のジャズクラブより大きい店内は、席と席の間が広いのでゆったり出来るのがありがたいです。
1人用の席から大人数用の席まで、席のバリエーションが富んでいるのでとにかく気兼ねなく楽しめるのが特徴です。
早めのライブ?遅めのライブ?あります
マンハッタンの中心に店を構えているだけあって、他のアクティビティとの兼ね合いも良く、なんと夕方17時からのステージやミュージカル終演後の23時すぎからスタートのステージもあるという配慮。
ミュージカルを見たいけどジャズのライブも見たい!、あるいは明日は早い時間から移動があるし・・・という方には特にオススメなジャズクラブですよ。
バードランドの周辺情報・アクセス
バードランドはヘルズキッチン、あるいはミッドタウン・ウエストに位置しています。
地下鉄の最寄り駅はA, C, Eラインの「42 St-Port Authority Subway Station」(42ストリート・ポート・オーソリティ・ステーション)です。
タイムズスクエアからも徒歩数分というアクセス良い立地なので、観光客が多いのが特徴的です。
このエリアはほぼ終日、道路が渋滞しているためイエローキャブやUber, Lyftなどの配車アプリでの移動はあまりオススメしません。
店名:Birdland(バードランド)
住所:315 W 44th St, New York, NY 10036
営業時間:17:00~1:00
電話番号:212-581-3080
予算:40~50ドル
HP:https://www.birdlandjazz.com/
Dizzy’s Club Coca-Cola(ディジーズ・クラブ・コカコーラ)
ジャズ・アット・リンカーン・センターの中にあるのが、ディジーズ
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ジャズ・アット・リンカーン・センターという、一言で言うならば「ジャズの総合施設」みたいな場所があります。
その中の目玉となっているのが、ディジーズ・クラブ・コカコーラなのです。
一見別々に見える2つの施設は日本語の情報だとごっちゃになっているので情報をお調べの際はお見知りおきくださいね!
景色が美しい最高のロケーション
ディジーズ・クラブ・コカコーラ最大の売りはなんといっても「景色」です。
お洒落でモダンな雰囲気の店内の時点でときめいてしまうのですが、ステージ後方はなんとガラス張りになっていて、セントラル・パークやマンハッタンのビル群を一望出来るという最高のロケーションなのです。
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ニューヨークの美しいサンセットや夜景をバックに旅先での素敵な時間を過ごしてみませんか?
エンパイア・ステートやロックフェラーの展望台から見る景色も絶品ですが、ディジーズ・クラブ・コカコーラでは最高の景色と共に、最高の演奏と美味しいお酒や料理も楽しめます。
私が巡った数多くのライブハウスの中で、最も誰かを連れていきたいのはこのジャズクラブです。
景色の良い席、ステージに近い席はお早めに!
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収容人数が140席と、中〜小規模なジャズクラブが多い中で大きめな会場です。
店内が広い分、席によってはステージから遠く、演奏や夜景が見づらくなってしまうことも。
ディジーズ・クラブ・コカコーラを訪れる際はぜひ、早めに予約してステージから近い席に座れると良いですね。
ディジーズ・クラブ・コカコーラの周辺情報・アクセス
ミッドタウン北部、セントラルパークの南西に位置するコロンバスサークル。
そこに面するタイム・ワーナー・センターの5階がディジーズ・クラブ・コカコーラです。
地下鉄の最寄り駅はA, C, B, D, 1ラインの「59 St Columbus Circle」(59ストリート・コロンバス・サークル・ステーション)です。
駅の真上にあるタイム・ワーナー・センターは、ニューヨークでは珍しい複合商業施設となっています。
コーチやマイケル・コースなど、ニューヨークを代表するブランドのショップやアメリカ版・成城石井(違)のようなホール・フーズが入っているので、ステージだけでなく観光やショッピングも楽しめるのが見どころです。
店名:Dizzy’s Club Coca-Cola(ディジーズ・クラブ・コカコーラ)
住所::10019 New York 60th Street, 5th Floor
営業時間:18:00~1:00(平日)/18:00~深夜(金・土)
電話番号:212-258-9875
予算:40~50ドル
HP:https://www.jazz.org/dizzys/
Jazz Standard(ジャズ・スタンダード)
料理メインで楽しむならココ!
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ジャズ・スタンダードは1997年創業の新しめなジャズクラブです。ニューヨークの人気店「シェイク・シャック」や「ユニオンスクエアカフェ」などを手がけるデニー・マイヤー氏の会社の系列店だけあって、他のジャズクラブを圧倒するほど食事が美味しいのがオススメポイントです。
お店の上の階にはアメリカ南部の味が楽しめる人気BBQレストラン「ブルー・スモーク」があるのですが、この2店舗が系列店ということもあり、なんとジャズ・スタンダードでステージを見ながらブルー・スモークの食事も楽しめるのです。
全米各地のライブハウスを巡っていてよく思うのですが、夕食とライブを別にするとかなりの出費になってしまうんですね。なので、ジャズ・スタンダードや先のディジーズ・クラブ・コカコーラみたいな食事がウリなお店というのはかなりありがたいなと思うのです。
ジャズをカジュアルにお手軽に味わえます
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ジャズ・スタンダードは商売上手な会社が手がけているだけあって、エンターテイメントとしてお手軽にジャズを楽しめるのが魅力的です。この後紹介していくジャズクラブはハーレムのちょっと怖いエリアで危機感を持ちながら行くべき場所もあります。笑
必死の覚悟(?)を持って聴くジャズよりも、ふらっと足を運べる方が多くの方にとっては良いのではないでしょうか。
お気軽と言っても、有名なジャズミュージシャンが多数出演していますし、月曜日に出演のハウスバンド「MINGUS BIG BAND」(ミンガス・ビッグ・バンド)に至ってはグラミー賞、ラージ・ジャズ・アンサンブル部門を受賞するほどの凄腕グループです。
オススメのライブは日曜日の昼に楽しめる子供たちの演奏!
なんと!ジャズ・スタンダードでは日曜日の昼間に子ども達のジャズコンサートをやっています。
中にはオーディションを勝ち抜いたアメリカトップクラスの子ども達が登場することも・・・。
家族で見に行ったらお子さんが楽器をやりたくなってしまうかもしれませんね!
ジャズ・スタンダードの周辺情報・アクセス
ジャズ・スタンダードはマンハッタンの真ん中〜南部、グラマシー・パークお隣のローズ・ヒルにあります。
と言われても、近年はローズ・ヒルでなくノマドあるいはグラマシーの一部として認識されているようです。
最寄り駅は地下鉄6ラインの「28 St Station」(28ストリート・ステーション)です。
駅を出たらパーク・アヴェニューをダウンタウン(南)へ向かって1ブロック歩き、左折します。1〜2分歩くと道なりにお店が見えますよ。
ちなみに、地下鉄6ラインが若干マイナー路線なので(失礼)、同じ地下鉄Q,R,Wラインの「28 St Station」(28ストリート・ステーション)を利用するのも手です。
ニューヨークの地下鉄は違う線で同じ名前の駅があるので少々ややこしいですね。
店名:Jazz Standard
住所:116 E 27th St. (Between Lexington & Park Aves.)
営業時間:18:30-23:00(月-木)、18:30-1:00(金・土)、13:00-23:00(日)
電話:212-576-2232
予算:30〜40ドル
HP:http://www.jazzstandard.com/
Smalls(スモールズ)
この狭さ、この熱気に酔いしれろ!
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ここから先はジャズをエンターテイメントというより音楽として真剣に聞き入りたい方向けのお店を紹介していきます。
まずは、グリニッジ・アベニューにあるニューヨーク屈指の小規模ジャズクラブ・スモールズから。
30人も入らない位、狭めな店内で繰り広げられるジャズの熱気たるや、これまで取り上げてきたような優雅な、煌びやかな、フォーマルな格好をして楽しむべきような、そんなジャズクラブでは決して味わえないものがあります。
これはミュージシャンとしての持論ですが、大きなハコより小さなハコでやる方が生音がしっかりと聴けて観客とミュージシャンの温度感が時にじわじわと、時にビンビンに伝わってくるのです。
スモールズは「こんなに近くて良いの?」という位、汗やピックやスティックが飛んできそうな間近な距離でプレイを見られるのがオススメポイントです。
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小さな店、大きな門戸
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スモールズのとっておきポイントは、お店は小さいのにミュージシャンが通る門戸が限りなく広いところです。
というのも、スモールズはこれまでにご紹介した有名なミュージシャンが出演するハコというより、世界からニューヨークへ引き寄せられてきた新進気鋭のミュージシャン中心のお店なのです。
ある時は日本人が、ある時はインド人が、白人も、黒人も、みんな、みーんな、この小さな店の屋根の下に吸い込まれていくのです。ある意味、ダイバーシティが進んでいるニューヨークを象徴するジャズクラブなのかもしれませんね。
スモールズは予約は出来ず、当日ふらっと訪れるタイプのジャズクラブです。
入り口にいる、バイオリンを楽しげに弾いているオーナーに20ドルを払えばよしなに入れるという気軽さは魅力的です(いかんせん狭いのですぐ入れるかは別です。笑)
スモールズの周辺情報と・アクセス
スモールズはヴィレッジ・ヴァンガードやブルーノートからほど近い、グリニッジ・アベニューに位置しています。
地下鉄の最寄り駅は1, 2ラインの「Christopher St Station」(クリストファー・ストリート・ステーション)です。
グリニッジ・アベニュー周辺は昔からニューヨークのカルチャーを牽引しているエリアで、かつては東海岸のカウンターカルチャーの発祥地として、今もLGBTのデモやフェスをやるような土地柄なのです。
洗練された街並が広がる一方、よく見渡してみると水タバコの店やアダルトグッズのショップがあったりとアングラ感も溢れていて、ビル群が広がるミッドタウンより個人的にはよほど突き抜けていて魅力的に思えるエリアなのです。
店名:Smalls(スモールズ)
住所:183 W 10th St, New York, NY 10014
営業時間:19:30~3:00
電話番号:646-476-4346
予算:20~30ドル
HP: www.smallslive.com/
Smoke(スモーク)
ジャズの日替わり定食はいかがですか?
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スモークは、アッパーウエストの限りなくハーレムに近い場所にある、これまた小さなジャズクラブです。
一口にジャズと言っても、ヴィレッジ・ヴァンガードやジャズ・スタンダードで見られるようなビッグ・バンドから2人のデュオ、3人のトリオといった具合に人数も多種多様です。
そして、20世紀初期〜中期の薫りが漂うようなジャズもあれば、インプロ(アドリブ)全開なジャズもあります。
そこを分かりやすく区切ってくれているのがスモークなのです。
月曜日はジャズセッション、火曜日はオルガントリオorカルテット、水曜は歌が入ったバンド、木曜は若手〜中堅バンド、そして週末は満を辞して有名ミュージシャンが出演するという「お品書き」となっています。
ライブは基本的に一晩に3セットで、日によっては夜な夜なセッションが繰り広げられることもあります。
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料理が美味しいのが売り!
名前が似ているスモークは度々、先にご紹介したスモールズと比較されます。規模感も同じ位で、隣席のお客さんとついつい話してしまうようなフランクな雰囲気。
違いは料理にあります。料理が美味しいと評判のスモールズは、ジャズクラブだけでなくレストランとしても人気店です。
週末にはジャズブランチもあるため、昼下がりに食事しながらジャズを聴けるようになっているのは魅力的ですね。
ちなみに、18:00〜21:00までのステージでは、テーブル席の場合に料理をオーダーする必要があるのでご留意ください。
スモークの周辺情報・アクセス
スモークはニューヨークの中でも高級住宅街にあたるアッパー・ウエスト・サイドに位置しています。
地下鉄の最寄り駅は1線の「103 St Station」(103ストリート・ステーション)と「110 St Station」(110ストリート・ステーション)で、両駅の中間にお店があります。
アッパー・ウエストの最北部、ハーレムとの境目近くにあるので怖いイメージがあるかもしれませんがご心配なく。
セントラル・パーク左上のはす向かいにある「モーニング・サイド・パーク」を境に、左側は世界屈指の名門・コロンビア大学がある「モーニングサイド・ハイツ」、右側がハーレムとなっています。
アッパー・ウエストは学生街のモーニングサイド・ハイツと隣接しているため、歩いていて怖い印象は特になかったです。
店名:Smoke(スモーク)
住所:2751 Broadway, New York, NY 10025
営業時間:17:30~3:30
電話:212-864-6662
予算:35~45ドル
HP:http://www.smokejazz.com/
Showman’s Jazz Club(ショーマンズ・ジャズクラブ )
ハーレムでジャズを聴くならココ!
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ショーマンズは1942年オープンのハーレムで最古参の老舗ジャズクラブです。
そもそもハーレムには意外とロウワー・マンハッタンほどライブハウスやジャズクラブが無く、(雰囲気的に)観光客が入れるお店は数えるほどしかありません。
その昔は、ライオネル・ハンプトンやサラ・ヴォーンなど、伝説的ジャズミュージシャンも出演していましたが、近年はあまり有名なジャズミュージシャンは出演していないようです。
しかしながら、「地元の昔ながらのジャズメンがよしなに宜しくやってる感じ」が商業主義的でなくて良いなあと。
ショーマンズは駅近ですし、黒人のエリアとはいえスタッフや常連さんが観光客を歓迎する雰囲気があるのでハーレムでジャズを聴くならココをオススメします。
ただし、ホームページはないのでどんなミュージシャンが登場するかは行ってみてのお楽しみです。
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飲み物代だけで存分に楽しめる
ショーマンズの魅力はチャージ一切なし、ドリンク代のみ!という良心的な料金体系です。
飲み物を2杯以上注文すれば良く、気軽にフラッと立ち寄れるのが魅力的です。
ショーマンズ・ジャズクラブの周辺情報・アクセス
ショーマンズはハーレムの中心街である125stのやや西側にあり、ハーレムと言えども比較的安全な場所に位置しています。
地下鉄の最寄り駅はA, B, C, Dラインの「125 St Station」(125ストリート・ステーション)で、地上へ上がったらアポロシアターと反対方向へ2分程歩いたところにひっそりとお店があります。
ガイドブックやネットの情報には「ハーレムは危険」と書かれていることが多いものの、近年は観光地化や白人の居住比率が高まるなどして安全な街になりつつあります。ある程度右側(スパニッシュ・ハーレム)や上側(140st以北)に行かなければあまり身の危険は感じません。
・・・とはいえ、他のエリアとは一味違った独特の空気感があってなんだか物騒な感じはあるので不安な方はタクシーやウーバー等を利用して移動することをオススメします。
住所:375 West 125th St (Between St. Nicholas & Morningside Avenues), New York, NY 10027
営業時間:16:00~朝方
電話:212-864-8941
予算:20~30ドル
HP:なし
Minton’s Playhouse(ミントンズ・プレイハウス)
ビバップが生まれた伝説の館
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ミントンズは1938年オープンと、冒頭でご紹介したヴィレッジ・ヴァンガードと同じ位長い歴史を持つニューヨーク最古参のジャズクラブです。
サックスプレイヤー・ヘンリー・ミントンによって設立されてまもなく、商業的な音楽の仕事をこなすミュージシャンの溜まり場となり、いつの間にか集まったミュージシャン同士で即興演奏を繰り広げる「ジャズ・セッション」が行われるようになりました。
ジャズ・セッションは日に日に熱を帯びていき、「お仕事」に疲れたミュージシャンが己の情熱をぶつけるがごとく、各々のテクニックやフィーリングの赴くままにプレイに傾倒し、新しい可能性に挑むようになったのです。
当時のニューヨークにはセロニアス・モンク、ケニー・クラーク、ディジー・ガレスピーらがこうした音楽をするようになり、そこに「モダン・ジャズの父」チャーリー・パーカーが加わり、このジャズ・セッションから生まれた音楽はいつの日からか「ビバップ」と呼ばれるに至ったのです。
ハーレムでゆったりとジャズを嗜むにはココ!
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ミントンは「ビバップ発祥の地」として、ジャズの歴史の中で歴史的な役割を果たしたことから、国とニューヨーク州の歴史的スポットとして登録されています。そんな歴史的名店とて、これまでに何度も開業と閉店を繰り返した末に現在に至っているのだからニューヨークで成功するというのは一筋縄ではありません。
現在のミントンは、暗めの照明で落ち着いた雰囲気の中でゆったりとジャズを楽しめるようになっています。
フードやドリンクのメニューも充実しているので食事も兼ねてステージを見に行くのがオススメですよ。
ミントンズ・プレイハウスの周辺情報・アクセス
ミントンズはハーレムの南寄りのエリアにあります。
地下鉄の最寄り駅はB, Cラインもしくは2, 3ラインの「116 St Station」(116ストリート・ステーション)です。
ほぼ大通り沿いなのでさほど危険な雰囲気ではないですが、ハーレムも目抜き通りの125st周辺以外は初めて踏み入れると他のエリアよりは物騒な気配があります。
なので、個人的には旅慣れた方でもなければタクシーもしくはUberなどを利用して行くことをオススメします。
住所:206 West 118th St. Harlem, NY 10026
営業時間:月~水 18:00-24:00 木~土 18:00-25:00 日 12:00-24:00
電話:212-243-2222
予算:20~30ドル
HP:https://mintonsharlem.com/
Bill’s Place(ビルズ・プレイス)
日本語の情報なし!世界が愛する最高のスピークイージー
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最後にご紹介するのは日本語の情報が一切見当たらないジャズクラブです。
ビルズ・プレイスは2006年にオープンした新しめなジャズクラブですが、その場所はなんとかつて、デューク・エリントンやビリー・オーシャンがパフォーマンスを繰り広げていた「闇営業の店」(スピークイージー)だったのです。
遡ること1920年代、アメリカでは禁酒法が成立し、それと同時に「もぐり酒場」が無数に存在していました。
そこではこっそりと酒が提供され、人々はひっそりと飲酒やパーティを楽しんでいたのです。
かつてそんな場所だったところにオーナーである世界的サックスプレイヤー・ビル・サクストンは「生まれ育ったハーレムにいつか自分のジャズクラブを開きたい」と思い立ってお店をオープンさせました。
「ハーレム・オールスターズ」を率いた演奏の評判はいつの間にか世界に知れ渡ったものの、いかんせん日本語の情報がゼロという・・・。
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BYOBとは?飲み物を持参してください!
ビルズ・プレイスはかつてのスピークイージーのスタイルを忠実に受け継いでいるため、ドリンクは各々好きに持ち込む必要があります。これを英語圏では「BYOB」、正しくは「Bring Your Own Bottle」と言います。
実際に店内を見渡すと皆ワインやビールなど、好きな飲み物を持ち込んでプラコップや髪コップでワイワイやっているわけです。
近くのエリアには観光客がフラッと入れる佇まいのスーパーやデリがないので、もし訪れる際は別のエリアで事前に購入しておくと良いでしょう。
予約必須!予約なしではまず入れません
ビルズ・プレイスは30人入るかどうか・・・という非常に小さなジャズクラブです。
奥に広いワンフロアの真ん中に猫の額のようなステージがあり、真正面に7〜8席のイスが、ステージ奥にテーブルとイスが20人分ほどあり、客入りに応じて入口よりに数席イスが増えることもあるようです。
そして、ライブの頻度が金曜と土曜日の20:00と22:00のみと非常に少ない中、観客はひっきりなしに訪れるため予約は必須です!予約は公式ホームページ上で簡単に出来るのでご安心くださいね。
そしてオープン時間の少し前に行かないとステージが見えない席に座らざるをえなくなってしまうので注意しましょう。
ビルズ・プレイスの周辺情報とアクセス
ビルズ・プレイスはハーレムの中央部に位置しています。同じ通りに消防署があり、夕方ぐらいまでは子どもがうろちょろ遊んでいるので治安に問題はなさそうですが、「なんか怖いなぁ」というのが正直な印象です。
地下鉄の最寄り駅は2, 3ラインの「135 St Station」(135ストリート・ステーション)です。
A, C, Bラインの同名の駅からだと10分ほど余分にかかってしまうのでご注意ください。
ハーレムのメインストリート・125 St周辺はまだ人通りも多く、色々な人種を目にするのでまだ安心出来るのですが、この界隈は「黒人の街・ハーレム」という感じがして他のエリアとは明らかに雰囲気が違うのでタクシーやUberなどで移動することをオススメします。
住所:148 W 133rd St, New York, NY 10030
営業時間:金・土 19:30-23:30
電話:212-281-0777
予算:30ドル
HP:http://www.billsplaceharlem.com/
まとめ
ジャズの聖地・ニューヨークには80年以上続く老舗から、21世紀になってからオープンして耳の肥えたリスナーに評価されて知名度が上がったところまで、個性が強く雰囲気が素敵なジャズクラブがひしめき合っています。
ニューヨークへお立ち寄りの際はぜひ、ジャズクラブでのライブ観賞にチャレンジしてみてくださいね。
また、腕に覚えがあるという方や世界に出たい方はセッションに挑んでみるのも良いかもしれませんよ!
R&BやSoul、Funk、ロック、ポップスのライブハウスにも興味がある方はこちらもご覧になってみてくださいね。