ジャズ発祥の地・ニューオーリンズ。この街では到るところで音楽が演奏されています。高級ホテルからバー、果ては道端まで、平日・休日問わず、雨の日も晴れの日も必ずどこかしらから音楽が聴こえてくるのです。
そんなニューオーリンズを訪れた際に外せないのがライブハウス巡りです。ニューオーリンズには数多くのライブハウスが点在しています。厳密に言えば、それはホテルのラウンジであったりバーであったりして日本人的な感覚の「ライブハウス」とはまた異なります。
今回は、そんなニューオーリンズに数多く存在するライブハウスのうち、実際に訪れてプロミュージシャンとしておすすめ出来る場所だけを厳選して紹介していきます!なお、ニューオーリンズはいくつかの地区に分かれているため、今回は3つのエリアに分けてお伝えしていきますね。
ニューオーリンズのライブハウスについて
ニューオーリンズには音楽の生演奏を楽しめるお店が点在しています。
日本と決定的に違うのは、繁華街のお店の多くで演奏する設備が整っていて、ミュージシャンの生演奏をどこでも気軽に楽しめる点です。
いわゆるバーやレストランに入ると生演奏をしているわけですが、彼らに払うのは高くても20ドル程度のミュージック・チャージとチップだけです。音楽のクオリティを考えると申し訳ないぐらいコスパに優れているのが特徴です。
また、ニューオーリンズは、ライブハウスに限らずバーやレストランのドリンクが非常に安いことで有名です。5ドルも出せばでっかいグラスに並々注がれたビールを楽しむことが出来るので、やはりライブを安く楽しめます。
ニューオーリンズでは、店の外で演奏を聴いてみて、気に入ったら中に入ってドリンクを1杯頼み、1セットほど堪能したら退店するのが暗黙のマナーとなっています。
フレンチ・クォーター(The French Quarter)のライブハウス
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フレンチ・クォーターとは
ニューオーリンズの中心地は、ヨーロッパの雰囲気漂うフレンチ・クオーター(French Quarter)です。そのフレンチ・クオーターを東西に横断するバーボン・ストリート(Bourbon Street)という通りこそが、ニューオーリンズで最も栄えているエリアなのです。
バーボン・ストリートでは一日中、バンドの生演奏の音色があちこちから聞こえてきて、日中も夜中も多くの人々で賑わっています。美味しい食べ物、珍しいお土産、部屋に飾りたくなるようなアート、呪われた人形(!)etc…。ニューオーリンズの全てがここには詰まっています。
フレンチ・クォーターのライブハウスの傾向
フレンチ・クォーターの目抜き通り、バーボン・ストリートを歩いていると、通り沿いの店から大音量でロックやR&Bの生演奏が聴こえてきます。そのため、ジャズを求める方は期待外れと思ってしまうかもしれません。とはいえ、一番の観光スポットなだけあって、ジャズクラブも存在します。
「ジャズの殿堂」と呼ばれている伝説のジャズ・クラブ、「プリザベーション・ホール」もフレンチ・クォーターにあります。ジャズが聴けるお店もしっかり紹介していくのでご安心ください!
Fritzel’s European Jazz Bar(フリッゼルズ・ヨーロピアン・ジャズ・バー)
Fritzel’s European Jazz Bar(フリッゼルズ・ヨーロピアン・ジャズ・バー)は、世界中から人々が集まる、ニューオーリンズを代表するジャズクラブです。その歴史は古く、1969年から営業している老舗です。
人気が高いため混雑していることもしばしばあります。とはいえ、こじんまりとした雰囲気が魅力的で、ゲストの年齢層が高めなため、ゆったりと寛ぎながらジャズの生演奏を味わえるのが魅力です。
住所:733 Bourbon St, New Orleans, LA 70116
営業時間:12:00~26:00
電話番号:504-586-4800
予算:20〜30ドル
HP:http://www.fritzelsjazz.net/html/
House of Blues New Orleans(ハウス・オブ・ブルース・ニューオーリンズ)
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House of Blues New Orleans(ハウス・オブ・ブルース・ニューオーリンズ)は、アメリカの大手イベントプロモーター会社、ライブ・ネーション社が経営しているライブレストランです。
ハウス・オブ・ブルースは全米に13店舗点在しており、ニューオーリンズのハウス・オブ・ブルースはフレンチ・クォーターの少しミシシッピ川寄り、ディケーター・ストリートにあります。
ハウス・オブ・ブルースの特徴はやはり、ゴスペルブランチを堪能できるところです。ゴスペルブランチは、日曜の朝〜昼前にかけて、アメリカの郷土料理(マック&チーズ、フライドチキンなど)や南部料理をビュッフェ形式で楽しみながらゴスペルクワイアのライブを楽しめるお得なイベントです。ニューオーリンズでは観光客がゴスペルを見られる場所が意外とないため、ゴスペルランチは必見です!
ゴスペルブランチ以外にも、有名なアーティストやライブショーを食事しながら楽しめるのが魅力的です。
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住所:225 Decatur St, New Orleans, LA 70130
営業時間:日 12:00 – 22:00 / 月 – 土 11:30 – 22:00
電話番号:504-310-4999
予算:40〜60ドル
HP:http://www.houseofblues.com/neworleans
Maison Bourbon Jazz Club(メゾン・バーボン・ジャズ・クラブ)
Maison Bourbon Jazz Club(メゾン・バーボン・ジャズ・クラブ)は、バーボン・ストリート沿いにある人気のジャズクラブです。
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ニューオーリンズの多くのライブハウス、ジャズクラブは店先で演奏を聴いてもOKです。ミュージック・チャージはなくお手軽に楽しめるのが魅力的です。まずは店先で演奏を聴き、気に入ったら入店してドリンクを1杯注文し、通りすがりに小一時間ほどジャズの生演奏を堪能するのがニューオーリンズでの音楽の聴き方です。
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住所:641 Bourbon St, New Orleans, LA 70130
営業時間:日 – 木 11:00 – 1:00 / 金 – 土 11:00 – 2:00
電話番号:504-522-8818
予算:5〜20ドル
HP:http://www.maisonbourbon.com/
The Jazz Playhouse(ジャズ・プレイハウス)
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The Jazz Playhouse(ジャズ・プレイハウス)は、バーボン・ストリート沿いの「ロイヤル・ソネスタ・ホテル」内にあるジャズクラブ、ラウンジです。
ジャズ・プレイハウスは、その立地ゆえにじっくりと落ち着いてジャズの生演奏を聴けるのが特徴です。しかも、ホテル内にもかかわらずミュージック・チャージなし、飲食代(とチップ)のみでOKという素晴らしいジャズクラブです。
バーボン・ストリートの騒がしさに辟易した時はここへ入るのが一番おすすめです。
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住所:300 Bourbon St, Royal Sonesta New Orleans, New Orleans, LA 70130
営業時間:16:00 – 0:00
電話番号:504-553-2299
予算:30〜70ドル
HP:https://www.sonesta.com/us/louisiana/new-orleans/royal-sonesta-new-orleans/jazz-playhouse
Preservation Hall(プリザベーション・ホール)
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ニューオーリンズを語る上で絶対に欠かせないのがPreservation Hall(プリザベーション・ホール)です。18世紀中頃に建てられた、フレンチ・クォーターでも最古の建物のひとつであるこの場所は、現在に至るまでに酒場になったりアートギャラリーになったりしたのち、1960年代からディキシーランド・ジャズ(※古典的なジャズ )専門のライブハウスへと転身し、今に至ります。
毎晩約1時間の演奏を4〜5回行っており、25ドルという良心的な価格で超一流のジャズメンの演奏を聴くことができます。
毎回違ったミュージシャンがランダムに登場するため、私も滞在中はほぼ毎日通ってしまいました。
入場のシステムがユニークで、最近は予約を受け付けているものの、基本的にはお店の道沿いに並び、先着順で入場できるようになっています。公演の30分位前には列ができ、直前に並んでも入れないことがあるのでご注意ください!また、飲み物や食べ物は扱っておらず、飲み物を持ち込む(持っていなくても大丈夫ですよ!)のが特徴です。
私が行ったとある回では、エリック・クラプトンのレコーディングに参加した年配のプレイヤーがいて、MCで「クラプトンの音はまだまだ若いね」なんて言っていました(笑)
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住所:726 St Peter, New Orleans, LA 70116
営業時間:17:00 – 19:00 / 20:00 – 23:00
電話番号:504-522-2841
予算:25ドル
HP:https://www.preservationhall.com/
フレンチメン・ストリート(Frenchmen Street)のライブハウス
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フレンチメン・ストリートとは
ニューオーリンズ観光の中心地、フレンチクォーターの右側に隣接するフレンチメン ・ストリート。賑やかすぎるバーボン・ストリートからほど近いこのエリアはずばり!アートがさかんなエリアです。
バーボン・ストリートが日本で言うところの、昔の週末・深夜の六本木のように騒がしくてスリル溢れる場所だとしたら、フレンチメン・ストリートはちょっと賑わっている代官山みたいの一角みたいな、お洒落な雰囲気を放っています。
フレンチメン・ストリートのライブハウスの傾向
フレンチメン・ストリートは南寄りのエリアにライブハウスがギュッと点在しているのが特徴です。そこで演奏するミュージシャンは、興味深いことに曜日ごとに周辺のハコを転々としながら毎晩演奏する傾向にあるのです(後に知りましたが、これはシカゴのブルースバンドも同じでした)。
音楽的なクオリティで言えば、バーボン・ストリートのハコの演奏よりも上手です。どのライブハウスでも良質な演奏を味わうことが出来るのがこのエリアのライブハウスの特徴です。
バーボン・ストリートのハコと違うのはミュージック・チャージです。フレンチメン・ストリートのハコは5〜20ドル程度のミュージック・チャージがかかります。その替わり、飲み物は買わなくても大丈夫(というか混みすぎてバーカウンターまでたどり着けないことも・・)な場所もありました。
Blue Nile(ブルー・ナイル)
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Blue Nile(ブルー・ナイル)は、フレンチメン・ストリートのライブハウスの中でも特に人気の店です。
私は”Corey Henry & Treme Funktet”というファンクバンドを観に行きましたが、ブルー・ナイルはジャズ・ファンク界隈のバンドが多い印象です。お店の中は青系の照明が綺麗でそれなりに広く、ほとんどテーブルがない空間です。日本で言うところのクラブっぽい作りですね、
私が見たバンドはリズム隊がめちゃくちゃにグルーヴしていて、日本では絶対に聴けないようなシロモノでした。
ブルー・ナイルはチャージが10〜20ドル程度、ドリンクは1杯5〜10ドル程度。安すぎて申し訳なくなります(笑)
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住所:532 Frenchmen St, New Orleans, LA 70116
営業時間:19:00~25:00(※日によって変動)
電話番号:504-766-6193
予算:30〜40ドル
HP:http://bluenilelive.com/
Snug Harbor Jazz Bistro(スナッグ・ハーバー)
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私がニューオーリンズで最もおすすめなライブハウスはSnug Harbor Jazz Bistro(スナッグ・ハーバー)です。
なぜかと言うと、ニューオーリンズのライブハウスの中で食事ができ(しかもかなり美味しい!)、接客もアメリカの割りに皆親切で、落ち着いた雰囲気の中で他の賑やかなライブハウスで出るミュージシャンを見れるからです。
私は滞在中に2,3回、ディナーがてらライブを見に行きましたが、ダントツで素敵だったのが”CHARMAINE NEVILLE BAND”でした。
「ネヴィル」という名前にピンときた方!そうです。あの伝説的ファンクバンド、ネヴィル・ブラザーズで活躍したチャールズ・ネヴィル(サックス)の娘がフロントマンを務めるのがこのバンドなのです。
ジャズ、ファンク、この辺を行き交うような演奏をバックに歌うシャーメイン・ネヴィルの歌声はパワフルかつ艶やかで、しかも自分でガンガンリズムを出しながらバンドを煽ってグルーヴしていくというスタイルがもう堪らない。
どうやらスナッグ・ハーバー以外では出没頻度が低いので、ネヴィル好きやファンク好きは要チェックですよ!
ちなみに、食事はアメリカの普通のレストラン程度(30ドルもあればいくつか食べられる)、ドリンクはビールが5ドル程度でミュージック・チャージは20〜30ドル程度でした。
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住所:626 Frenchmen St, New Orleans, LA 70116
営業時間:17:00 – 23:30
電話番号:504-949-0696
予算:40〜60ドル
HP:https://snugjazz.com/
The Spotted Cat Music Club(スポッテッド・キャット・ミュージック・クラブ)
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The Spotted Cat Music Club(スポッテッド・キャット・ミュージック・クラブ)は、ファンク勢が強いフレンチメン・ストリートのライブハウスで珍しく、クラシカルなジャズも聴けるジャズクラブです。
ローカルの人から観光客まで、平日休日問わず人がごった返している人気店で、他のハコよりも開放的かつアットホームな雰囲気が魅了的です(先の「ブルー・ナイル」は1人で入るには少し気が引ける雰囲気があります・・・)。
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住所:623 Frenchmen St, New Orleans, LA 70116
営業時間:14:00 – 2:00
電話番号:504-943-3887
予算:20〜40ドル
HP:https://www.spottedcatmusicclub.com/
ディケーター・ストリート(Decatur Street)のライブハウス
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ディケーター・ストリートとは
ディケーター・ストリート(Decatur Street)は、ニューオーリンズの中心地、フレンチ・クオーター(French Quarter)内という位置付けではありますが、この通り単独で賑わっているため、別で取り扱うことにします。
改めて、ディケーター・ストリートはミシシッピ川に沿って続く一番川に近い通りです。ニューオーリンズを縦に貫くカナル・ストリートと、フレンチメン・ストリートとの間に位置するこの通りには、ぜひ押さえておきたいライブハウスが2つあります。
ディケーター・ストリートのライブハウスの傾向
ディケーター・ストリートでライブハウスと呼べる建物はこの2件だけですが(違ったらすみません)、このエリアが面白いのはむしろミュージシャンのストリートライブです。
古典的なディキシーランド・ジャズを10人位で奏でる若者から、ベンチに座って颯爽とトランペットを吹くおじいさんまで、あらゆる人が「その辺」でパフォーマンスを繰り広げているのです。
ライブハウスで聴く音楽も良いですが、ニューオーリンズの広い空の下で真昼間から聴く音楽も堪りません。
Palm Court Jazz Cafe(パーム・コート・ジャズ・カフェ)
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Palm Court Jazz Cafe(パーム・コート・ジャズ・カフェ)は、伝統的なディキシーランド・ジャズを楽しめる老舗ジャズクラブ・ライブレストランです。
街場のライブハウスより高級感があり、美味しいケイジャン料理やクレオール料理を堪能しながらゆったりと生演奏を楽しめるのが魅力的です。出演者の年齢層も高めなので、安定した大人の演奏を楽しむことができますよ。
「ニューオーリンズでジャズを聴きたい!」と考えている方は、先に紹介したプリザベーション・ホールとここを訪れることをおすすめします。
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住所:1204 Decatur St, New Orleans, LA 70116
営業時間:水 – 日 19:00 – 23:00
電話番号:504-525-0200
予算:40〜60ドル
HP:https://www.palmcourtjazzcafe.com/
B.B. King’s Blues Club(B.B.キングス・ブルース・クラブ)
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B.B. King’s Blues Club(B.B.キングス・ブルース・クラブ)は、全米各地に点在する人気のライブレストランです。
その名の通り、亡くなったB.B.キングがオーナーを務めていた店で、ニューオーリンズでは珍しくブルースバンドの演奏が見られるのが特徴的です。その他にも、一般の方が分かりやすいR&Bを演奏するハウスバンドも演奏しており、私が行った日はマツコ・デラックスさんよりも大柄の女性がアレサ・フランクリンやスティーヴィー・ワンダーの曲を歌っていて大迫力でした。
B.B.キングス・ブルース・クラブはミュージック・チャージがなく、飲食代とチップだけで素晴らしい音楽を楽しめます。お昼からバンド演奏付きで営業しているのでディナーだけでなく、ランチにもおすすめです!
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住所:1104 Decatur St, New Orleans, LA 70116
営業時間:日 – 木 11:00 – 23:00 / 金 – 土 11:00 – 24:00
電話番号:504-934-5464
予算:30〜60ドル
HP:https://www.bbkings.com/new-orleans/
おわりに
ジャズ発祥の地・ニューオーリンズのおすすめライブハウス特集、いかがでしたか?
2週間ほど滞在する中、毎日街に繰り出してはライブハウスをハシゴする中で、特に印象に残ったお店や、観光でライブハウスやジャズクラブに行ってみたい方が気軽に立ち寄れるお店を紹介していきました。
今のニューオーリンズは、ジャズだけでなくファンクやR&B、メインストリートではロックも流れています。ライブハウスを紹介してみたものの、ライブハウスに行かなくてもストリートパフォーマンスでニューオーリンズの音楽を堪能出来るのがこの街の素敵なところです。
毎日がお祭り騒ぎで、変に洗練されておらず、ゆったりとした時間が流れるニューオーリンズ。
日本からは乗り継ぎも必要でアクセスの良い場所とは言い難いですが、他の大都市以上にアクティビティが多く、色々なことを楽しめる街です。いつか訪れた際は、ぜひライブハウスやジャズクラブを訪れてみてくださいね!