ボイストレーナーをしていると
「声が低くても歌いやすい曲、なにかありますか?」
と、かなりの頻度で質問されます。
多くの方々にとって悩みとも言える「声が低い問題」。いかんせん、最近の曲は高い声で歌わなければいけない曲が多く、ネットで調べて出てくる「声が低くても歌えるカラオケソング」みたいな記事を見ても載っている曲のキーが高いことがしばしば・・・。
そこで、今回はボイストレーナーとしてこれまでに数百人の指導に携わっている私が男性の皆さんへ向けて「声が低くても歌いやすい曲」を厳選して紹介してまいります。年代別に分けてお伝えしていくのでレパートリーを増やす参考にしてみてくださいね!
プロが選ぶ「声が低くても歌いやすい曲」の基準とは?
大きく分けて3つの基準があります。
・年代ごとの定番曲の中から音域の高低差がなく、最高音が低めで歌いやすい曲
・年代ごとの定番曲の中でも盛り上がる曲、聴かせやすい曲(リアクションが得られやすい曲)
・実際にボイストレーニングの生徒さんの課題曲としている曲、おすすめしている曲
歌いやすいからといって盛り上がったり聴かせたりしにくい曲もあれば、確かに最高音は低くてもメロディラインが難しくて歌いにくい曲はたくさんあります。そういった曲を選んで覚えようとするとなかなか上達しにくいのに、イマイチ「曲の選び方」が分からない・・・。こういった方がたくさんいるのが現実です。
ボイストレーナーは、というか私はボイストレーニングする際に、そういったところも見越して生徒さんから好みや要望を聞き出し、課題曲を設定してレッスンをするので皆さん早く上達していきます。
レパートリーに加えたい曲の選び方や見極め方は別途記事にしますのでぜひチェックしてみてくださいね!
声が低い男性でも歌いやすいカラオケの定番曲・人気曲:2010年代の曲
さよならエレジー – 菅田将暉(2018年)
俳優・菅田将暉が2018年にリリースした「さよならエレジー」。
日本テレビ系列のドラマ「トドメの接吻」の主題歌にもなっていてとても流行りました。
Cメロは少々高めな音域ですが、シンプルなメロディラインなので歌いやすい一曲です。
星野源 – 恋(2016年)
シンガー・ソングライター・星野源が2016年にリリースした「恋」。
社会現象にもなった「恋ダンス」で有名なこの曲は低めな音域で歌われているので声が低いあなたにも歌いやすい一曲です。
それだけでなく、振り付けも覚えて「恋ダンス」を交えて披露すれば盛り上がること間違いなし!
アップテンポで音域が低めな曲はあまりないのでぜひチャレンジしてみてくださいね。
星野源 – SUN(2015年)
シンガー・ソングライター・星野源が2015年にリリースした「SUN」。
カッティング・ギターの音色が特徴的なR&Bテイストの「SUN」は「恋」よりもテンポがゆっくりで音程差もあまりなく、かつ高い音もほとんど出てこないので声が低いあなたにもカラオケで歌いやすい曲です。
海の声 – 浦島太郎 (桐谷健太)(2015年)
auのCMで、桐谷健太演じる浦島太郎(浦ちゃん)がCMの中で歌うために作られた「海の声」。
沖縄っぽい雰囲気のゆったりした曲調が素敵で聞き惚れた方も多いのではないでしょうか?
音域が狭めでミディアムテンポの曲調なので声が低い方にも、歌がニガテな方にもオススメできる一曲です。
家族になろうよ – 福山雅治(2011年)
シンガーソングライター・福山雅治の「家族になろうよ」。
この曲は福山雅治の数多くの楽曲の中でも特にメロディが綺麗で、しかもあまり音域も広くないので歌いやすい曲です。
また、結婚式でもよく歌われている名曲です。結婚を考えている方や家族がいる方は相手のことを思い浮かべながら歌うとグッと気持ちが乗ること間違いなしです。
声が低い男性でも歌いやすいカラオケの定番曲・人気曲:2000年代の曲
若者のすべて – フジファブリック(2007年)
ロックバンド、フジファブリックの中でも一、二を争うヒットソング「若者のすべて」。
この曲はゆったりとしているものの夏が似合うリズミカルな曲調で、ところどころ高いところもあるものの、メロディがシンプルなので歌いやすい曲です。
飾らずにまっすぐな声で歌うことで原曲の淡い雰囲気が出せるようになりますよ。
宙船 – TOKIO(2006年)
TOKIOの「宙船」はシンガーソングライター・中島みゆきが作詞作曲したTOKIOのヒットソングです。
TOKIOというと高い声のイメージがあるかもしれませんが、意外と他のジャニーズの曲よりも歌いやすい曲があるのでぜひチェックしてみてくださいね。
この曲はあまりキーが高くないので歌いやすく、低い声が映えるパワフルな曲なのできっとカラオケでも盛り上がりますよ!
花 – ORANGE RANGE(2004年)
ORANGE RANGEが2004年にリリースした「花」は、彼らにとって初めてミリオンセラーを達成したヒットソングです。
カラオケの定番曲として常にランクインしているこの曲を知らない人はほとんどいないのでは?
音程が高いところはほとんどなく、全体的に歌いやすいのが特徴です。
誰かと一緒に歌っても盛り上がるのでぜひレパートリーに加えたい一曲です。
sailing day – BUMP OF CHICKEN(2003年)
声が低いけれどバンプの曲を歌えるようになりたい!そう思っているあなたにオススメなのが「sailing day」です。
この曲はメロディの音域があまり広くないので口ずさみやすいのが特徴です。
また、音程も低めながら盛り上がりやすいアップテンポな曲なので歌えるととても楽しいですよ!
ハナレグミ – 家族の風景(2002年)
Super Butter Dogのヴォーカリスト・永積タカシのソロ・ユニット、ハナレグミの1stシングル「家族の風景」。
アコースティック・ギターの優しい音色と永積タカシの温かい声が特徴的なこの曲は、難しいテクニックは一切なく、スローバラードで高い音もほとんど出てこないためとても歌いやすいですよ。
曲を知らない人も少なくないのですが、中毒性がある曲なのでひとたび聴くとハマってしまうことも。
有名どころだけでなく、あまり皆が歌わない曲も少しおさえておくことでカラオケで存在感を放つことが出来ます!
クレイジーケンバンド – タイガー&ドラゴン(2002年)
クレイジーケンバンドが2002年にリリースした「タイガー&ドラゴン」は、ヴォーカルの横山剣が「和田アキ子さんに歌って欲しい」という思いで作曲し、サビ終わりにアッコさんでおなじみの「ハッ!」が登場するのが盛り上がりどころです。
ゆっくりしたブルース・ロック調のこの曲は低く渋い声で歌うことで雰囲気が出るので声が低い方にはもってこいの一曲ですよ。
轍 – コブクロ(2001年)
人気男性デュオ・コブクロの中でも特に有名な「轍」。
シンプルなギターの音色が特徴的なこの曲は、音程を取りやすいメロディラインでキー設定も低めなので声が低いあなたでも歌いやすいはずです。
明るい曲調なので最初の一曲目に歌うと場の空気が盛り上がりますよ!
世界に一つだけの花 – SMAP(2002年)
解散してしまった人気アイドルグループ・SMAPの中でもおそらく最もヒットしたのが「世界に一つだけの花」です。
この曲は音域も広くなく、最高音も低め(F#3)なのでとても歌いやすいですよ!
この曲も井上陽水「少年時代」と同様、音楽の教科書に掲載されており、知らない人はいないほど有名な曲なのでぜひ練習してあなたのレパートリーに加えると何かとお役立ちな一曲になるはずです。
明日があるさ – ウルフルズ(2001年)
「明日があるさ」は元々は1963年に坂本九がリリースした楽曲で、こちらは2001年にウルフルズがカバーしたバージョンです。
ウルフルズのトータス松本は高音もパワフルに発声するシンガーですが、この曲は低めのキー設定で優しく包容力ある雰囲気で歌っているので声が低めなあなたにも歌いやすいはずです。
ぜひリズムに乗りながら軽快なノリで歌ってみてください!
桜坂 – 福山雅治(2000年)
シンガーソングライター・福山雅治が2000年にリリースした「桜坂」。
春になると必ず耳にする超が付くほどの有名曲です。
全体的に低めな音域でゆったりとした曲調なのでとても歌いやすく、あなたの低い声が映えるメロディーラインとなっているのが特徴です。
じっくりと丁寧に歌い上げて聴かせられるように練習してみてはいかがですか?
声が低い男性でも歌いやすいカラオケの定番曲・人気曲:1990年代の曲
フラワー – KinKi Kids(1999年)
人気アイドル・デュオ、キンキ・キッズの名曲「フラワー」。
ミリオンセラーも記録した大ヒットソングです。
キンキの楽曲はジャニーズ系の曲の中で歌いこなすのが難しいのですが、この曲は音域も狭く最高音も低めなので歌いやすいですよ!
POISON – 反町隆史(1998年)
「相棒」でお馴染みの俳優・反町隆史は福山雅治のように、かつて歌手としても活動していました。
「POISON」はドラマ「GTO」の主題歌として今の30代にとっては青春の象徴のような一曲です。
今回の特集の中でも屈指の音域の狭さと低めな最高音(E3)なので、この曲だったらどんなに高い声がニガテな方でも歌えるはずです!ノリも良いロックな曲なので、ぜひカラオケで歌って皆で盛り上がってみましょう。
イージュー★ライダー – 奥田民生(1996年)
シンガーソングライターの奥田民生の中でも一、二を争う大ヒットソングが「イージュー★ライダー」です。
もう一つの大ヒットソングである「さすらい」を含め、奥田民生の曲は音域が高めなのですが、この曲はあまり高くなく、底抜けに明るい雰囲気なので場が和みやすくなりますよ。
「旅猿」のテーマソングとしても起用され、あらゆる年代の方が知っているのでどのシチュエーションでも歌える即戦力的な一曲と言えます。
日曜日よりの使者 – ↑THE HIGH-LOWS↓(1995)
ハイロウズは数々の名曲がありますが、最も広い年代に親しまれているであろう曲がこの「日曜日よりの使者」なのではないでしょうか。
テレビCMやドラマ、映画だけでなく、サッカー・Jリーグの大分トリニータが試合に勝利した際、サポーターが替え歌として「大分よりの使者」を歌唱するというこの曲。
誰もが耳にしたことがあり、繰り返しのメロディが多いので覚えやすいのが良いところです。
しかも、高い部分もほとんどなく、歌詞もとても良いのであなたがカラオケで入れたらみんなで大合唱になってしまうかも!?
歩いて帰ろう – 斉藤和義(1994年)
シンガーソングライターの斉藤和義が1994年にリリースした「歩いて帰ろう」。
この曲は「ポンキッキーズ」の主題歌として有名な楽曲で、とてもシンプルなメロディの繰り返しなので覚えやすいのが特徴です。高音があまり出てこないのも魅力的ですね。
そして、誰もが知っていると言っても過言ではない名曲なのでカラオケで盛り上がりやすい一曲です。
TRUE LOVE – 藤井フミヤ(1993年)
元チェッカーズの藤井フミヤの一番のヒットソングといえば「TRUE LOVE」です。
ゆっくりしたテンポのバラードソングで、全体的に低めなキー設定となっているのでかなり歌いやすいはずです。
出だしを綺麗な低い声で、正しい音程で歌えれば周りがあなたの歌に聴き入ってしまうかもしれませんよ。
接吻 – ORIGINAL LOVE(1993年)
ORIGINAL LOVEが1993年にリリースした「接吻」。
ヴォーカルの田島貴男さんのセクシーな色気溢れる声が魅力的なこの曲は、R&Bテイストな曲にしては珍しく声が低めなので歌いやすいのです。
一見とっつきにくく、あまり多くの人に歌われている曲ではなさそうですが、それ故に上手く歌えるとカッコ良さが際立つのでぜひチャレンジしてみてください。
情熱の薔薇 – THE BLUE HEARTS(1990年)
ロックバンド・THE BLUE HEARTS(ザ・ブルー・ハーツ)の中でもお馴染みの「情熱の薔薇」。
音域があまり高くないので低い声のあなたにも比較的歌いやすいはずです。
ハイテンションでノリノリで歌うことでみんなで盛り上がれる切り札的な曲ですよ!
少年時代 – 井上揚水(1990年)
シンガーソングライター・井上揚水の「少年時代」は音楽の教科書にも掲載されているほどの超有名曲です。
この曲はミディアムテンポの明るい曲で、音域も狭く歌いやすいので非常におすすめです。
歌をちゃんと練習してみたい、と思う方は最初にこの曲を選んで歌い込むのが良いでしょう。
声が低い男性でも歌いやすいカラオケの定番曲・人気曲:1980年代の曲
Runner – サンプラザ中野くん(1988年)
サンプラザ中野くんの大ヒットソングといえば「Runner」。
情熱的に体を揺らしながら歌うこの曲は、最高音も低め(F#3)でシンプルなメロディラインなのでとても歌いやすいです。
力強く低い声で歌えるとより一層雰囲気が出るので、低い声が得意なあなたにきっと合うはずです!
浪漫飛行 – 米米CLUB(1987年)
米米CLUB屈指のヒットソング「浪漫飛行」。
米米のヴォーカルであるカールスモーキー石井は奥行きのある低音が持ち味なので興味のある方は一通りさらっておくと好きな曲と出会えるかもしれませんよ。
この曲はゆったりした曲調で、キーも低めなので低い声のあなたにとって歌いやすい一曲です。
40代以上の方にとっては定番中の定番ソングなので歌えるようになればカラオケできっと盛り上がれます!
BOOWY – MARIONETTE(1987年)
BOOWY(ボウイ)の「MARIONETTE」(マリオネット)はロック好きにはお馴染みの定番ソングです。
ヴォーカル・氷室京介のロックで刺々しい歌い回しをマネしながらノリノリで歌えると場がとても盛り上がります。
最高音がF#3とかなり低めなので声が低い方も歌いやすいですよ。
安全地帯 – 悲しみにさよなら(1985年)
安全地帯のヒットソング「悲しみにさよなら」はゆったりとした爽やか系の曲です。
この曲を歌う際、気にすべきところは「高過ぎないか」ではなく「低過ぎないか」です。Aメロの低いところも歌えそうであれば、ぜひチャレンジすると良いでしょう。
カラオケだけでなくスナックやクラブで歌っても映える曲調なので働き盛りのあなたの十八番にすると強い味方になってくれるはず!
村下孝蔵 – 初恋(1983年)
村下孝蔵の「初恋」は、もしかしたら40代以下の方はほとんど耳にしたことがないかもしれません。
しかし、歌謡曲の中ではかなり有名なこの曲。あまり高い声も使わないので声が低い中年以上の方や、年長者との接待や付き合いがある若い方にオススメです。
特に若い人がこの曲をが歌えると「おぉ君、若いのによくこの曲を知ってるな!」となること間違いなしです。
ルビーの指環 – 寺尾聰(1981年)
寺尾聰の「ルビーの指環」は低い声が得意な30代以上の方にはぜひ押さえていただきたいヒットソングです。
渋く低い声でさらっと歌い上げることで映えるこの曲は、年長者との接待やスナック、クラブで歌うにはもってこいの一曲です。
最近の男性にはあまり見られないクールで渋い雰囲気が出せるようにぜひ練習してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は声が低い男性でも歌いやすい人気曲・名曲を厳選して紹介してみました。
今回紹介した曲は、いずれも私がボイストレーニングの現場で声が低い男性や、歌やカラオケが苦手な男性の生徒さんにもおすすめしているものです。
こちらの記事も参考にして、カラオケで上手く歌えるよう練習してみてくださいね!
女性曲をキー変更して歌っても良いんです!
ここまで30曲を厳選して紹介してきましたが、これら以外にも声が低くても歌いやすい曲はたくさんあります。
それは「女性曲」です。ただし、ただ低い声で歌うのではなく、あなたの声に合ったキーに変更して歌うのがコツです。
裏声をあなたの武器にしよう!
今回取り上げた福山雅治、星野源、コブクロらは、裏声を武器にして上手に歌を歌っています。裏声は、もし現時点で上手く出せなくても簡単に出すコツがつかめます。
裏声の練習をすることで首やのど周辺の力が抜けやすくなり、地声の高い声を出しやすくなる効果もあるので、以下の記事を参考にぜひ裏声の練習をしてみてくださいね!
声が低い=短所、ではなく才能です
声が低めな方は高音が得意なヴォーカルの曲が溢れる昨今、歌えそうな曲が少なくてコンプレックスを抱いている方はとても多いです。
しかし、低い声というのは高い声とは違って、練習したからといってほとんど音域は変わりません。
ということは、声が低めというのは高い声以上に、一つの「才能」とも言えるのです。
声が低めな人は、声が高めな人よりも落ち着いていて奥行きのある声質である場合が多いです。
そういう声質の方がより歌に説得力があり、直感的に人が歌声を聴いて魅力的に思う傾向があるので、声が低めであることをぜひポジティブに捉えていただき、今回特集した曲で歌を楽しんでもらえれば幸いです。
そして、以下の低い声を出しやすくする練習方法についての記事を参考にして、低音ボイスを鍛えてみてはいかがですか?