ボイストレーニングのスクール・音楽教室と先生の選び方

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「上手く歌えるようになりたい」

「声って練習したら変わるのだろうか」

「ボイトレ・・うさんくさ!」

どれもこれも過去から現在まで僕がずっと思っていることです。

私の本業はヴォーカリストです。

とて、音楽活動も含めたパラレルワークをしたいので、ステージに立つ傍ら、現役でボイストレーナーをしています。最近まで貿易もしていました(!)

先に結論を言うと、練習をすれば必ず上手く歌えるようになります。

また、うさんくさいと思われても仕方のない業界です。・・・自分が散々うさんくさいのに巻き込まれたからこれだけは自身を持って言えます!!w

さて、うさんくさい要素がその辺にとっ散らかっている「ボイストレーニング(以下ボイトレ)」。

なんでうさんくさい感じがするのか、そんな世界にはどんな教室や先生がいて、どんな基準を元に良い教室や先生を探すと良いかを紐解いていきたいと思います。

ボイトレ業界(音楽教室)の今昔

 

「カラオケで上手く歌えるようになりたい!」

「ピアノは昔から習ってたから弾ける。ピアノで弾き語り出来たらカッコいいのにな・・」

「なんで聴いた通りに歌えないんだろう・・」

 

そんな憧れやコンプレックスを抱え、ネットで

「歌 うまくなるには」

「ボイストレーニング」

なんて調べると、たくさんの教室のホームページが出てきます。

動画サイトで検索をかけると、色々なボイストレーナーの方々が動画をアップロードしています。

僕は十数年前、まだパソコンやインターネットがそこまで一般に普及していなかった時代に音楽活動を始めました。

元プロミュージシャンであった親に

「プロになりたかったら絶対にボイトレを受けなさい!!」

とけしかけられ、図書館でタウンページを開き、学校がある街、住んでいる街の近くの歌の教室の電話番号を片っ端からメモして、何件も電話して実際に見に行って話を聞いたものです。

当時はまだ「歌の教室」なるものが街場にそんなになく、ボイトレはかなり珍しいものだったように思えます。

今はと言うと、よく分からないけど(少なくとも都市部には)溢れるくらい教室がたくさんあります。昔と事情は違えど、本質的な部分は変わらなくて、

「選ぶ基準がわからない」

というのが正直なところだと思います。選ぶ基準がわからなくて、そしてこれから書くことが相まってうさんくさく見えてしまうのだなあと感じています。

音楽教室の種類

さて、音楽教室にはいくつか種類があります。主なものを書き出すと、以下のように分類されます。

①楽器メーカー/楽器屋さんの教室(ヤマハ、河合、島村楽器など)

②独立系の教室(会社っぽいところ)

③独立系の教室(個人で営んでいるところ)

④レーベル、事務所が運営する教室(ビクター、avex、beingなど有名どころ)

⑤レーベル、事務所が運営する教室(有名どころではないところ)

 

正直に言って、諸悪の根源は一部の②や⑤のせいです。

最近も、芸能事務所の社長が従業員の顔を鍋に突っ込んで云々というニュースが話題になっていますが、実際グレーな筋が絡んでいることはしばしばあります。

一般の方々が普通に歌を習いたくて⑤のようなところで習うことはないでしょうが、プロ志望であったり、活動実績があって⑤と絡む機会がある方は要注意です。

また、②については、これは本当にピンキリです。僕も②のタイプの教室で指導していますし、これまでに10校以上②を、見学や体験レッスンで確認しましたが、まあ当たりと思えるのが少ないこと!

要因はちゃんとあります。それは、先生の種類と教室の種類が、レッスンの質に直結しているからです。

先生(ボイストレーナー)の種類

先生は大きく分けて4種類のタイプがいます。

 

①音大、音楽の専門学校出の方

②アーティスト/ミュージシャンの方

③現役のプロデューサー/アレンジャーまたはそれに近い裏方の方

④上記以外の方

 

街場の教室で③を見かけることはほぼないです。③は大抵レーベル、事務所が運営する教室で指導をしているからです。(僕は過去に「ASAYAN」でデビューした2人組の楽曲を手がけるアレンジャー(自称)と出くわしましたが、あまりに上から目線で不快だったのでそこは外しました)

あなたがもし教室を探して、体験レッスンや見学先で出会う先生は①か②がほとんどです。

ちなみに僕は②です。たまに同業者から素で「音楽の学校出てないのによく先生になれましたね!」なんて言われますが(大手の多くは採用基準で①が必須なのもあって)、心の影にいるブラックmassuは

「おまえこそよくそれで先生やってやがるなああーーたわけがぁぁーーー!」

と思うこともあります。たまに、ですよ。笑

その理由はまた後ほど。

やっていることや効果が目に見えない

 

教室や先生の性質を知ったところで、肝心なのは内容です!

これがまた曲者で、歌は楽器や他の多くの習い事と違って

「目で見せて形を示すことが出来ない」

のです。だからこそ、先生の知識、技術、経験やそれを言葉にする「説明力」が大事です。

だがしかーし!人に教えることって本当に難しくて、自分が「なんとなく」出来ることならなおさら。

だから「出来ないこと出来るようになりたい」方が体験レッスンを受けたり話を聞きに行く時に、なんだかピンと来ないことがしばしばあるのです。

ただ、実力のあるボイストレーナーは、どんな方でも短時間で「変化」させられます。

それはなぜか。傾向と対策が知識、技術、経験レベルでインプットされていて、それを噛み砕いて説明して、体を動かして声を出してもらうところまでの「軌道」に乗せることがうまいからです。

先生が先生でない

知識も技術も十分に有している①の方々なら、きっと「軌道」に乗せるのがうまいように思えるかもしれません。学校を出ていない②や④と比べたら、さあ一体どうなのかと言うと・・・

全然そんなことはないんです!

びっくりするくらい(笑)

いや、同業者として笑えないです、申し訳がなくて。

これは、全ての弁護士や学校の先生が話上手、説明上手でないのと全く一緒です。

知識や技術、経験と「教えることが上手か」は全然別物なのです。

そして、この業界は学歴だけあればとりあえず先生になれてしまうからタチが悪い。

自分が出来ることにかまけ、それを人に噛み砕いて教えようとする、寄り添う気持ちや熱心さに欠けた方も中にはいます。

では②はどうかと言うと、こちらも同様でピンキリなのですが、どうも②は客商売が本筋であるせいか、魅力的な人が多くて、それってイコール求心力高めみたいなところがあるので、習っていて面白い先生、分かりやすい先生が多いのが特徴です。

僕はというと、レッスンの際にピアノだけでなく、ギター、果てはウクレレやドラムといった楽器を繰り出しながら「音楽を楽しんでいただけるよう」心がけています。生演奏で歌ったり、それにリズムを合わせたりすることは技術の向上に繋がるのです。

また④は、そもそも全然違うバックグラウンドと歌を掛け合わせているという、一見するとブランド力が低そうですが、実はそうではなく、バックグラウンドが掛け合わさっているからこそレッスン内容が明瞭、という先生が少なからずいます(極端なところだと、耳鼻科の医師でトレーナーもやっている方も居たり・・)

僕も、レッスンの際にヨガやダンス、スポーツの動きを取り入れることがしばしばあります。

効果はあります!※ただし良い先生と出会えて頑張れたら

さて、そうこうして教室や先生を選び、習い始めたらどうなっていくのでしょうか。

個人差はあるものの、私のこれまでの経験上、「ひと季節〜半年位」もあれば、大抵の方に声の変化を感じて頂けております。もちろん一回のレッスンで全然変わってしまう方もいます。

この「差」は何で生じるかというと、先生との相性であったり、「良い感覚」をパッと掴めてしまったからであったり、様々な要因があります。

良い先生の条件

良い先生の条件とは、私が思うに

  • (人として)相性が合う
  • 説明力がある
  • 寄り添ってくれ、時に突き放してくれる
  • 先生の声が好き(これが最重要!)

です。

人として相性が合えば指導内容がすっと入ってくるし、踏み込んで聞きたいことや本音も言いやすいのでコミュニケーションが密に取れます。

説明力が高いと、もし最初の説明でわからなくても色々なたとえで置き換えてくれたり、言葉だけでなく体を動かしたり特定の条件で声を出したりすることで説明がピンとくることが多々あります。

また、良い先生は、生徒さんの長所、短所や課題、要望を見極めながら、寄り添う姿勢で適切なレッスンをしてくれます。

ただ、本人がやりたいことを実現するには、寄り添うだけでなく、時に回り道をしたり突き放したりすることもあるかもしれません。

例えば、「音痴を治したい」という方の音程を改善する為に、音程の練習だけするのはよろしくないです。

実はリズム感が悪くて、どのタイミングで声を出せばいいのかが分からなくて結果的に音程がズレる、なんてことが多々あります。この見極め(ジャッジ)を適切に行い、

「実はリズムが苦手だと音程がズレてしまいやすくなるんです。ちょっとリズムに乗る練習をしてみましょうか!」

といったアプローチをして、改善していけるのが良い先生ということになります。

あるいは、単純に厳しいことを言われたりしても

「でも付いていきたい!」

と思わせる人柄や人間力があるかどうか、という意味でやはり相性は重要です!

そしてなにより、

先生の声が好き

これは最重要要素です。

なぜなら、教える人の声がいまいちとピンとこなかったら、乗り気になれないから!

僕はこれまで何人かの先生の下で指導を受けるまでに、これが引っかかって体験レッスン難民になったのは内緒です(笑)

「この先生の声カッコいい!!」

「こんな声出せたらいいなー!」

と思えることって、本当に多くないのです。

ただ、こればかりは時と運なので、先生を選べる教室に入るのが良いのかもしれませんね。

ちなみに、プロ志望やプロ向けの方向けに言うのであれば、先生との相性が未知数でも、声に明らかな説得力を感じるならば、また絶対に学びたいことがあるならば、食らいついてでも習ってみるべきです。

私は、大して英語を喋れませんが、本物のR&Bとは何なのかを少しでも掴みたくて、最近ニューヨークで黒人の先生からレッスンを受けました。
グラミー賞を獲ったアーティストのサポートをするような凄い方々のレッスンは、きっと10年経っても忘れられないくらい衝撃的でした。

良い先生=良い教室?

ところで、良い先生がいる教室が良い教室なのかはまた別問題です。

教室も、習うのにはお金がかかります。数ある音楽教室の中にはこの制度が◯ソみたいなところが少なからずあります。ちなみに相場は1レッスン5000円程度〜です。これが表に出て来ないプロ向けのボイトレだと10000円以上はざら。余分に色々な費用がかかるスクールは要注意です!

少し話がそれますが、僕がNYで受けたボイトレは1回150ドル。2018年11月現在のレートだと16000円位です。おそらく一般の方々からしたら信じられないかもしれませんが、私からしたら、むしろそんなに安くていいの、と思うほど良質で濃密なレッスンでした。

また、発表会ライブ飲み会といった「おまけコンテンツ」が充実しているかも見どころです。

レッスンだけ、というところもあれば、教室主催の合コンみたいなことをやっているところもあります。凄い世界ですなあ・・・

まとめ

ここまで、教室や先生の種類から、良い先生や教室を見極める基準をさらさらと書いてきました。

改めて言いますが、自分にとって良いと思える先生と出会えて、ちゃんと練習をすれば必ず歌は上手くなります。

そう。習っただけでは上手くなりません。習った内容をちょっとでもいいので練習することで、良い感覚が馴染んでいって上手くなっていくのです。

ちなみに、今は情報社会で色々なことを独学でも勉強できますが、歌は目に見えないもので、果たしてやっていることが合っているかどうかをジャッジしにくいです。適度なジャッジがなされないまま練習を続けることで、変にクセが付いたり、間違えた方向へ進む恐れがあります。

それをジャッジして、正解へ導くのがボイストレーナーの役割だと思います。

なので、歌については人から習うことをおすすめします。

その際にこの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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3月 28, 2020
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