「シャキッとした声が出ないんですよね・・」
「歌ってると声が裏返ってしまうんです」
こんな悩みを持っている方、いらっしゃるのではないでしょうか?
こんにちは!ボイストレーナーのmassuです。
今回はボイストレーニングの定番エクササイズ、エッジボイス(ボーカルフライ)について解説します。エッジボイス(ボーカルフライ)の効果や出し方、出来ない方も出来るようになる練習方法やコツなどをお伝えしてまいります。
練習することで声帯の締まりが良くなったり声が出しやすくエッジボイス(ボーカルフライ)。有益なエクササイズであるだけでなく、歌が上手く聴こえる歌唱表現のテクニックのひとつとしても用いられています。
エッジボイス(ボーカルフライ)とは
エッジボイスとは、喉の奥でブツブツと弾けるようなざらついた声のことです。ボーカルフライとも呼ばれています。
声帯を閉じた状態で発声することで、ホラー映画で聞き覚えのある、ちょっと気味の悪い声になります。
そう、映画「呪怨」で「あ″あ″あ″あ″あ″・・・」という声が出てきます。あれがエッジボイスなのです(この映像、見た目は怖いですが面白いのでぜひフルで見てみてくださいね!)
日本だと「呪怨ボイス」なんて言われるのですが、海外の情報に目を通すと「声帯をつまむ感じ」だとか、「ネコやライオンが「ゴロゴロ」とのどを鳴らす感じ」といった表現をよく見ます。
なんとなくお分かりになりましたでしょうか?
声の低い方は朝起き抜けの際、声を出した瞬間にゴロゴロした音が不意に出るかもしれません。
エッジボイス(ボーカルフライ)の効果
エッジボイスと歌。一見何の結びつきもなさそうな感じがしますが、実は様々な効果やメリットがあります。
- 声帯の締まりが良くなる
- かすれ気味な声、息もれ気味な声がしっかり出るようになる
- のど周辺のリラックス効果がある
- 高音を出しやすくなる
- フレージング(歌い回し)の武器になる
このように色々な効果が期待出来るため、ボイトレにおいて最も定番の練習とされているリップロールやハミングなどと遜色ないくらい、万能な練習方法なのです。
エッジボイスの本質的な部分は「声帯の締まりを良くする」ことにあります。
声帯の締まりが良くなることによって、声がしっかり出るようになりより広い音域の声を出せるようになるのです。
それだけでなく、歌を上手く聴かせる歌唱表現としても多様されています。歌唱表現のテクニックのひとつとしてのエッジボイスはこちらの記事に記載しているので併せてご覧ください!
エッジボイス(ボーカルフライ)のやり方・出し方
ここではエッジボイスのやり方・出し方についてお伝えしていきます。手順はたったの2ステップです!
①「あー」と声を出す
ここは特に深く考えずに、普通に発声してみましょう。
②声を出したまま、徐々に音を低くしていく
音を取れなくなるまで低くしていくと、「はぁ・・・」と息だけが漏れるように変化するか、もしくは「ガラガラ」とエッジボイスが出るようになります。
元々声が高めな男性や女性の中にはいきなり出来ない方も少なくありませんがご安心ください!この後、エッジボイスが出来ない方や出せているのかよく分からない方へ向けたコツや感覚をお伝えしていきます。
エッジボイス(ボーカルフライ)が出来ない方向けのコツ
ボイストレーニングの現場で生徒さんを見ていると、エッジボイスがスムーズに出来る方と、息だけが漏れてしまい「ガラガラ」と鳴らない方がちょうど半分位に分かれます。
ここではエッジボイスが出来ない方や出せているのかよく分からないあなたへ向けたコツがいくつかご紹介していきます。ひとつずつ試してみながら、「声帯が締まる感じ」、「ゴロゴロする感じ」をつかんでいきましょう。
せき払いしてみる
エッジボイスを出そうと低い声を出していく際、最終的に息だけ漏れてしまうケースがあります。
そんな場合は、声を出さず息だけを吐き続けながら軽く「せき払い」するのがコツです。
せき払いする時に動く場所、ここにゆっくり息を当てることでエッジボイスが出ればOKです!
うがいしてみる
エッジボイスの感覚は、先のせき払いの感覚に似ているのと同様、実は「うがい」の感覚にも似ています。
一旦、水を口に含んでのどでうがいをしてみてください。そうすると、のどが「ガラガラ」と鳴りますね。
次に、息を吐きながらうがいのような感覚のまま低い声を出すとエッジボイスが出やすくなります。
息を口で吸いながら声を出してみる
エッジボイスを教える方の中には、こちらでアプローチする方も多いです。
実際にやってみると、吸う息がのどを通って否応なく声が出てしまう感覚がするかと思います。
この感覚がする場所を、今度は吐く息で動かすつもりで声を出すことでエッジボイスができるようになります。
エッジボイス(ボーカルフライ)の色々な練習方法
エッジボイスを出し方を掴んだ方はこれからご紹介する色々な練習方法も試してみましょう!
発声練習やカラオケ、バンドなどで歌う前のウォーミングアップとして行うのも効果的です。
「ガラガラ」のスピードを上げ下げする
はじめはエッジボイスを保つのに精一杯で、スピードを調整するのが難しいかもしれません。
エッジボイスを出し慣れてきたら「ガラガラ」のスピードを速くしてみたり、遅くしてみたりしてみましょう。ちなみに、速くしていくとあなたが出せる最も低い声へ繋がります。
このことから、私はよくエッジボイスを「低い声より低い声」と説明するのですが、実際は高音や裏声でもエッジボイスを練習することもあります。
個人的にスピード調整を通してのどの感覚を研ぎ澄ませることにこの練習の目的や意図を設定しているため、ここでは高音や裏声のエッジボイスには触れません。
母音で発声する
てっとり早くエッジボイスをやるには「あ」の発音が適していますが、慣れてきたら今度は「あーえーいーおーうー」と母音の発声しながらエッジボイスを出せるか試してみましょう。
そうすると、「ガラガラ」している辺りの部位が微妙に形を変え、母音を形成していることが分かります。
このことに気づくと、自分が発声しにくい特定の発音や単語の存在に気づくことが出来るかもしれませんね。
この辺の話は応用編になっていきますのでまたいつか触れてみたいと思います。
エッジボイス(ボーカルフライ)の注意点
エッジボイスの注意点は上手く「カラカラ」させようと熱心に練習しすぎてしまうことです。
エッジボイスを出そうとして集中しすぎてしまうと首全体に力をかけてしまい「のど絞め発声」になってしまいがちです。それでは発声に悪い影響を与えてしまったり悪い発声のクセが付きかねません。
適切なエッジボイスは、全然力感なく、そして息もれの感覚がなく「ガラガラ」という音が出ます。
エッジボイスのように声帯にフォーカスを当てた練習は、技術習得の過程でのどや首に力が入ったり絞めてしまいがちなので注意して取り組んでみましょう。
歌唱表現・歌唱テクニックとしてのエッジボイス(ボーカルフライ)
冒頭で触れた通り、エッジボイスは歌唱表現のテクニックのひとつとしても用いられます。特に洋楽やR&B、ロックで多用されるのでお気に入りの楽曲をよく聴いてみましょう。
歌い出しがエッジボイスだと切ない感じや悲しい感じ、セクシーな雰囲気を出せるので歌の上手い方は意識的・無意識的に使っています。
Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー) – Love Yourself
Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)の”Love Yourself”の歌い出し”For all the time〜”、この”For”の「ふ」の音の前にエッジボイスが入っています。
あなたの好きなアーティストの曲にも使われているかもしれないエッジボイス。そんなエッジボイスが盛り込まれた楽曲の特集記事もご覧になった上でぜひ歌に盛り込んでみてください!
まとめ
今回はエッジボイス(ボーカルフライ)の効果や出し方、出来ない方も出来るようになる練習方法やコツなどをお伝えしてまいりました。
ボイストレーニングの世界では「呪怨ボイス」や「ボーカルフライ」とも言われますが、エッジボイスには色々な効果やバリエーションがあるのです。
エッジボイスは慣れてしまえば簡単に出来る練習なのですが、やり方や効果、意図を明確にして行うことでより高い効果が得られます。
これを機にぜひエッジボイスの練習をしてみてくださいね!
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