【独学のボイトレでミックスボイスをつかめ!】“歌う力”をグングン引き出す ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術【ロジャー本】

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先生がもし一冊、ボイトレの教本(ボイトレ本)を選ぶとしたらどれですか?
独学でなんとか上手くなりませんかねぇ・・・

私がもし一冊だけ、ボイトレの教本を選ぶとしたら迷うことなく「ロジャー本」をオススメします。

今回は、ボイストレーナーやプロのヴォーカリスト目線でロジャー本なるボイトレの教本について徹底解説していきます。

私もかつて、ロジャー本と出会い、ほぼ毎日格闘し試行錯誤した結果、ミドルボイス(ミックスボイス)の出し方がつかめました。

ミックスボイスとミドルボイスの違いについては別途詳しく触れたいと思いますが、ざっくりと下記のような違いがあります。

  • ミックスボイス:「低音から高音まで、ムラなくバランス良く発声された声 」と私は定義しています。世間一般では下記のミドルボイスと概念や表記がごっちゃになっている。
  • ミドルボイス:中音域の声。日本語では中声と呼ばれている。アメリカのボイストレーナーやアーティストはこちらを使っている場合が多い。

※ロジャー本の中ではミドルボイスで表記が統一されているため、今回の記事ではミドルボイスで統一します。

ミドルボイス(中声)の出し方や感覚・練習方法を徹底解説!!

2月 1, 2019

「ロジャー本」とは?

正式名称は『“歌う力”をグングン引き出す ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術』

この本は歌の世界で「ロジャー本」というあだ名が付くくらい有名な本です。

日本のボイトレ本の多くは理論や説明に紙面を割いており、理論と実践(発声)を結びつけるイメージ付けが難しいのが特徴です。

知識が大事なのは分かるけど、分かりやすく高い声の出し方を知りたいな!

あなたはこう思ったこと、ないですか?

今回取り上げる「ロジャー本」は説明がとてもわかりやすく、しかも練習用CD音源のコンテンツが充実しているのが特徴です。

監修はボイトレ界で有名な高田三郎氏

そんなロジャー本の日本語版を監修しているのは、おそらく日本で一番ボイトレ教則本を出している高田三郎氏です。

高田さんの本は説明や理論が多いのが難点なのですが(おっと)、シンプル過ぎるロジャー本の内容をほどよく注釈してくださっているおかげで発声理論を知らない方にとってもとっつきやすい内容となっています。

クリスティーナ・アギレラからネリー、マッチボックス20、デフ・レパードまでのヴォーカルコーチとして、エンタテインメントの本場アメリカはハリウッドで活躍するロジャー・ラヴ氏。そんな彼の、日本初登場のトレーニング方法を、『高い声で歌える本』の高田三郎氏が監修してお届けします。既存の教則本とは異なる斬新な方法でヴィブラートやミドルヴォイスを手軽に習得できるほか、ステージでの体の動かし方、舞台恐怖症への対処法、ヴォーカリストが口にするべき飲食物など、今まで触れられることのなかったノウハウがたっぷり。付録CDに収録のエクササイズもシンプルで分かりやすく、まるで専用コーチが優しく教えてくれているかのような内容です。

(高田三郎 ホームページより)

ロジャー・ラヴとはどんな人物か?

筆者のLoger Love氏(以下ロジャー)は世界的に有名なアーティストのトレーニングを手掛けている著名なボイストレーナーです。本人が”THE WORLD’S NO.1 VOCAL COACH”(世界で一番のボーカルコーチ)と言ってしまっているのも特筆すべきところです(笑)

特に洋楽好きの方にとってはコラムでLuther VandrossやUsherといったビッグネームが続々登場するので必見ですよ。

ロジャーのすごいところはなんと言っても「本人の歌がとても上手」だという点です。

・・・ボイストレーナーが歌上手いのは当たり前じゃないですか!何言ってるんですか!

心の中でこんなツッコミをしたのが私にはちゃんと分かっていますよ、ええ。笑

ところが、そんなことは全くありません。

たとえば、巷にあふれるボイトレ教則本の中で本人の声が圧倒的に優れているものは非常に限られています。

動画サイトでボイトレのコンテンツで、あなたがMISIAや米津さんの歌にシビれるのと同じような感動を味わったことはありますか?

ロジャーは本書に付属するCDの中でエクササイズの解説をしながら多々歌っています。
その中で注目すべきはNorah Jones(ノラ・ジョーンズ)、Christina Aguilera(クリスティーナ・アギレラ)、Usher(アッシャー)の楽曲を原曲の高さでさも当然のように歌っている点です。

男性のボイストレーナーが女性でも出せないハイトーンを軽々と歌ってしまうのです。

ミドルボイスや、本書では取り上げられていませんがヘッドボイス、そしてミックスボイスはそんなことを可能にしてしまうのです!どうですか、興味が湧きましたか?

ロジャー本の長所・おすすめポイント

圧倒的にわかりやすい解説!

腹式呼吸、ビブラート、ミックスボイスの実践やライブパフォーマンスetc…全てのトピックが、他の教則本を圧倒するほど分かりやすいのがロジャー本の一番の長所です。解説が分かりやすいと「お勉強」にならないで済むのでボイトレにチャレンジする気持ちも高まりますよね。

圧倒的に上手い歌声でデモンストレーションしてくれる

これは先ほども触れましたが、私が数十冊持っているボイトレの教則本の中ではロジャーが圧倒的に歌が上手いです。

付属のCDトラックには音源での解説やエクササイズが多数収録されているのですが、本書にあって他の本で見当たらないのは「悪い見本と良い見本を比較しながら示してくれる」ところです。

たとえば、あるエクササイズの中ではロジャーがあえて悪い発声をして、「こんな感じで出したらダメだよ!」とアドバイスしてくれます。

これは実際のボイトレの現場でもよくある光景なので、独学でボイトレをする方にとっては実際に習っているような気分になれて面白いはずです。

圧倒的に有名なアーティストを手がけており、信頼性がある

クリスティーナ・アギレラ、ネリー、マッチボックス20、デフ・レパードetc…ジャンルを問わず、世界的に有名なアーティストのボイトレを手がけている人が書いた著書と、著者の声も分からないような著書と、どちらがより信頼できますか?

チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスといった声区の解説が分かりやすい

声には色々な種類や区分けの仕方があります。

ロジャーは音の高さと声の性質を基準に、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスとファルセットの4つに声を分類しています。

日本における一般的な分類は地声、裏声の二種類ですよね。ちなみに音楽の世界では胸声、中声、頭声と区分されます。

ロジャーは本書の中で「あなたに3つの声、すなわちチェストボイス、ヘッドボイスとミドルボイスを授けます」といったことを述べています。日本語でいうところの中声がミドルボイスにあたるのですが、地声と裏声の概念しかない人からしたら想像がつかないと思います。

そんな方が付属CDでロジャーのミドルボイスを聴くと「!!!」となること間違いなしです。

ボイトレは声区を把握し、それぞれに準じた練習を重ねることが重要です。ロジャー本はそこを最も分かりやすく解説してくれている点においておすすめです。

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付属CD収録の「デイリーウォームアップエクササイズ」をやればあなたの歌は上手くなる!

本書の付属CDの最後には、約20分程度の「デイリーウォームアップエクササイズ」が男女別で収録されています。
他にこんなにまとまった時間のエクササイズを収録している本は他にありません。

ちなみに、市販されている教則本のほとんどは、解説に加えてちょっとだけ声を出しているような音源や、キーボードで歌うべきメロディーを簡単に収録しただけの音源が付いているだけです。

私はかつて、来る日も明くる日もこの音源をお風呂で流して練習をしたものです。

ミドルボイスの感覚はもちろん、低音域から高音域までを自由自在に行き交える感覚(私はこれを「ミックスボイス」と定義しています)をつかめたのはロジャー本の賜物です。

ロジャー本の短所・要注意ポイント

ミドルボイスに憧れて中〜高音の発声に固執してしまいがち

ロジャー本はミドルボイスの習得までの仕組みやプロセスをきちんと解説しているところが特徴です。
説明が明快なだけでなく、本人がきちんと歌っている様が分かるため、説得力があります。

「この先生の言う通りにすればオレもロジャーみたいになれる・・・」

そう考えるところまでは健全です。

しかし、歌を魅力的にする要素は高い声だけではありません。
低い声から高い声まで、全ての音域を自由自在に使いこなせることが重要なのです。

日本の音楽界では高い声を出せるヴォーカルが目立ちがちですが、芸能界に視野を移すとむしろ低い声を出せる人が生き残っています。なぜなら、高い声と低い声では低い声の方がより存在感があるからです。

ミドルボイスを習得するにはロジャー本が最適ですが、それ以外の要素もたくさんあることを見落としてはいけません。

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ボイトレの全体像が掴みづらい

本来、ボイトレには様々なトピックがあります。しかし、たとえば本書では音程やリズム・グルーヴに関する記載がありません。

そして、ミドルボイスは共鳴や呼吸の技術や感覚が伴っていないとただのか弱い声になってしまいがちです。

本書は非常におすすめな一冊ではあるものの、できれば別にもう一冊、ボイトレの教則本を購入して全体像の把握に努めることをおすすめします。

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日本人が苦手とする腹式呼吸〜発声を結びつける説明が見当たらない

ロジャー本では腹式呼吸〜発声までのプロセスに関する説明がシンプルすぎて、発声において腹式呼吸をどう紐づけるかのイメージがしにくいのが難点です。

思うに、紙面がそうなっているのは原著の対象者が呼吸の整った欧米人であるため、そこに重点を置く必要性が低いからではないでしょうか。

良い声は良い呼吸から生まれます。呼吸を適切にコントロールすることで、良い声を出すことができるのです。

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理論より実践!であるゆえに練習の意図が分かりづらい

ロジャー本のコンセプトは、“Don’t think. Just feel!”(考えるな、ただ感じろ)と言っても過言ではありません。

それ位、理論よりも実践を大事にした内容となっているがゆえに、付属CDのエクササイズの意図、すなわち練習目的が分かりづらいのが難点です。

練習する上で大事なのは練習の意図を明らかにすることです。

筋トレでも、むやみに腕立て伏せや腹筋をしても筋肉がつくわけではなく、あらゆるコツや効能を知った上で行うことでより効果的なのです。

約20分におよぶデイリーウォームアップエクササイズを習慣化するのはムズカシイ

これは独学全般に言えることですが、まとまった時間を確保し、地道にコツコツと練習するのは難しいです。

あなたは週に3〜4回、最低20分確保して発声練習できますか?
もっと言えば、それに加えて歌いたい曲の歌唱練習ができますか?

おそらく10人に1人も続かないのではないでしょうか。

巷にスクール・教室があふれているのは「習い事」にして、お金と時間を投資することで継続して上手になろうとする方が多いからに他なりません(独学で勉強するより専門家から習う方が効率が良く、間違えた方向へいかないから、という理由もありますが)。

また、歌に関しては、感覚に依る部分が多くの割合を占めるため、「これで合っているのか?」というのが非常に分かりづらいのが特徴です。その答えを正確にジャッジできるのは自分が正しい感覚を把握している専門家しかいません。

・・・とはいえ、私の現在の感覚は独学で習得し、時折あらゆる専門家のレッスンを受けて軌道修正してもらいながら得たものです。趣味の方はやはり習うことをおすすめしますが、プロ志向の方はあえて人に頼りすぎず、自分で手探りで良い声を確立していく努力も重要です。

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まとめ

ロジャー本の徹底解説、いかがでしたか?

冒頭でも述べた通り、ボイストレーナー/ヴォーカリストである私が自信を持っておすすめできる数少ない本のひとつがロジャー本です。

なぜなら、最もボイストレーニングにとっかかりやすく、多くの人が憧れる高い声の発声方法が特に分かりやすいからです。

ただ、ボイトレが俯瞰的に解説されているわけではないので、別の本を手に取って「ボイトレにはどんなトピックがあって、どんな練習をしたら良いのか」を把握すべきです。

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ボイトレに興味があるけど、スクール・教室で習うのは気が引ける・・・という方はぜひロジャー本を手に取って、「デイリーウォームアップエクササイズ」の音源を流しながらボイトレ体験をしてみてください!
思い通りに声を出せるというのはとても楽しいことですよ。

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