以前、「【音痴改善!】音程とは?正しい音程で歌えない原因を徹底解説!」という記事で、音程を取るのが苦手な原因について特集しました。
「自分は音を取るのがニガテで、きっと音痴なんですよね・・・」
と思ってボイストレーニングを受けにくる方が多いのですが、その大半は「歌っていて時々音程がズレてしまう程度」であるため、原因を特定して対策を取ることで比較的スムーズに解消されます。
今回はどうやってこのズレを解消していくか、以下の4ステップで解決策をお伝えしていきます。
- 曲の聴き方を学んで、「聴き逃し」を減らす
- 音程とリズム、発音、呼吸との関係を知り、ニガテなところを把握し、解消していく
- 音程をイメージする方法を学んで、音程の「ものさし」を用意する
- 音程の移動に慣れる方法を実践し、音程の「ものさし」の目盛りを正確にする
今回の記事を読んで実践していくことで、歌がより正確になり安定するようになります。
実際に人気の楽曲を引き合いに出してお伝えしていくので、レッスンを受けているつもりで楽しんでいただければと思います!
曲の「ポイントとなるところ」をよく聴く
音を外してしまう原因は曲をちゃんと聴いていないから!?
好きな歌を歌っていて、音程差が広いフレーズや出だしなどで音が外れてしまうことはありませんか?
あるいは、練習がてらボイスレコーダーに録音してみた歌を聴いてみたら音が外れている場所がありませんか?
歌っていて時々音程がズレてしまう方の多くは、実は自分が歌う曲を細かく聴けておらず、いわば「うろ覚え」や「なんとなく」で曲を歌ってしまいがちです。
そして、歌には音を外してしまいがちなところがいくつかあります。
そのポイントとは一体どこだと思いますか?
曲を聴く際に必ずじっくり聴くべきところとは?
あなたは歌を歌う時、出だしから正しい音で歌える自信がありますか?
あるいは、語尾をまっすぐ伸ばす時に音程が下がらずに歌えていますか?
実は、歌の出だしとロングトーンの語尾は音程がズレてしまいがちなところです。
また、音程の差が広いフレーズや一番低い音や高い音もズレてしまいがちなところです。
曲を聴く際に、こういった部分に注目してじっくり聴くことで「うろ覚え」が減って音程がズレにくくなっていくのです。
そして、曲を聴く際に、自分で歌うことを意識してメロディーラインやリズムに注意してみましょう。
秦基博『ひまわりの約束』でポイントを確認!
ここで、ボイストレーニングの課題曲としても人気のある秦基博さんの『ひまわりの約束』を例に、どこを聴くべきか見ていきます。
(以下の歌詞は秦基博『ひまわりの約束』より引用)
この曲のじっくり聴くべきところは以下の通りです。
- 出だし:Aメロ「どうして君が泣くの〜」の「ど」
Bメロ「ガラクタだった〜」の「ガ」
サビ「そばにいたいよ〜」 - 語尾:サビ「いつも君に〜」の「に〜」、サビ:「気づいたから〜」の「ら〜」
- 最高音:Bメロ「辛いのは〜」の「い」(Hi B♭)
サビ「これからは僕も〜」の「れ」(Hi B♭) - 最低音:サビ「いつも君に〜ずっと君に」の「ず」(Mid F)
- 音程差:Bメロ「辛いのは〜」の「つらい」のあたり
サビ「いつも君に〜ずっと君に」の「いつも」、「ずっと」
この曲は、こうしたポイントで多くの方が音程を外してしまいがちです。
この曲を上手く歌いたいのであれば、これらの部分をじっくりと聴きこんでみましょう。
そうすると、「うろ覚え」になっていた部分に気づいて正しい音程を意識するようになり、少しずつ音を外しにくくなっていきます。
リズムを刻みながら曲を歌う
リズムのズレに疎い人が多い!
音程にはある程度自信があるけれど、曲を先走って歌ってしまったり、逆に遅れて歌ってしまうことはありませんか?
このケースに心当たりがある場合、その原因は「リズムに乗れていないから」です。
リズムに乗れていないと、アップテンポの曲は歌っていて追いつけなくなり、ズレてしまいます。また、バラード系の曲も変な間合いで歌ってしまい、歌がカラオケや伴奏に対して前後にズレてしまいます。
音程のズレは気にする方は多いのですが、興味深いことにリズムのズレを気にする方はあまりいません。
特に最近の楽曲は歌詞が詰まっていたり、テンポが早く複雑でカラオケで歌うのが難しい傾向にあります。
リズムに乗るには?
ですので、歌うときにはなるべく身体でリズムを刻むようにしてみるのがオススメです。
首や肩、腰、足、手etc…どこでもいいので、上下に動かすなり左右に揺れるなりしてみましょう。
ただし、いきなり歌いながら実践するのがニガテな方も多いです。まずは曲を聴きながら、曲に合わせて「1、2、3、4」とリズムを刻んでみましょう。
慣れてきたら「1、3拍だけ」や「2、4拍だけ」リズムを刻んでみることで、「リズムの取り方による間合いの変化」を感じることが出来るようになります。
曲に合わせて身体を動かすことに慣れてきたらいよいよ歌いながらリズムを刻んでみましょう。
アーティストの中には全く動かずに歌う方もいますが、それでも頭の中でリズムを刻んでいる方がほとんどです。
ボイストレーニングの中でリズムは「おまけ」のように扱われがちなのですが、演奏やメロディの「縦軸」が「音程」だとすると、「横軸」は「リズム」です。
リズムは音程と同じくらい重要な要素なので、リズムをおざなりにしないようじっくり練習してみましょう。
歌詞をハミングや「ラ」に置き換えて歌う
発音しやすい言葉としにくい言葉がある!?
日常会話では気づきにくいですが、実は人それぞれ「発音しやすい言葉」と「発音しにくい言葉」があります。
歌っていて、頭の中ではちゃんとメロディを覚えているのにいざ歌ってみると不思議とズレてしまう。
こんな経験はないでしょうか?
特に低い音へストンと落ちるフレーズや、高い音へヒュっと移るフレーズの際にありがちです。
それは、身体の共鳴のさせ方や調音(口や喉で音の響かせ方を加工し、言葉にしていくこと)において得意不得意があるからです。
言葉を置き換えて音程だけに集中するのが◎
こうした場合、歌詞を置き換えて歌うことで発音のクセを取っ払うことが出来、音程を把握しやすくなります。
それでは、好きな曲を「ハミング」で口ずさんでみましょう。
あるいは「らりるれろ」の「ラ」に置き換えて口ずさんでみましょう。
なんだか音程が取りやすくなった気がしませんか?
これにはちゃんと理由があります。
まず、ハミングをすることで声を出す際の鼻腔共鳴が強くなり、自分が出している音が聞こえやすくなります。
「ラ」は、あらゆる発音の中でも力みにくく発声しやすい言葉であるため、やはり自分が出している音に対して敏感になります。
私も仕事などで曲を新しく覚える際、必ず言葉を置き換えてメロディを馴染ませていきます。
音程がつかめたところで再び曲を歌詞で歌ってみましょう。そうするときっと音程が安定するはずです。
お腹で支えた状態で声を出す
支えとは?
頭の中で思い描いているフレーズを口に出す時にイメージと実際の音程とがズレてしまうこと、ありますよね。
もしかしたら、吐き出す息が安定していないのが原因かもしれません。吐き出す息が不安定だと、音程もヨレヨレになってしまいがちです。
歌う際に、息は基本的にお腹に一定の力を入れて「支え」ながら一定のペースで吐いていくことが非常に重要です。
「支え」と言われても分かりづらいかもしれませんが、要は「腹式呼吸を徹底しましょう」ということです。
ちなみに「支え」のことを英語で「Breath Support(ブレス・サポート)」と言います。
お腹を使って息を安定させながら吐いていくことで音程がブレにくくなり、コントロールしやすくなるのです。
腹式呼吸は歌う上で最も大事なテクニックのひとつなので必ず練習して身につけましょう!
手を動かしてメロディの移動を捉える
音程がどれくらいの幅を移動するのか、具体的にイメージ出来ていないと音程がズレてしまいがちです。
この時、手を上下に動かすことで、特に音程が離れたフレーズが歌いやすくなります。
歌手では絢香さん、平井堅さんやドリカムの吉田美和さん、MISIAさんらがステージング(ライブでの立ち振る舞い)を兼ねて頻繁に手を動かします。
ざっくりと
- 高音は手を高く
- 低音は手を下げる
手を動かすに当たって大事なのは
「音程の幅を頭でしっかりイメージして手を動かすこと」
です。
このイメージのことを「音程を計るものさし」だと思ってください。
自分なりにどれくらいの幅なのかを目盛りで捉えるつもりでイメージすることで音感が良くなっていきます。
絢香『にじいろ』の手の動きを見てみる
この動画の1:21頃〜を見ていただくと、絢香さんが手を動かしながら歌っているのが分かりますね。
このように、音の移動に合わせて手を動かすことで音程のイメージがより掴みやすくなるのです。
それだけではなく、手を動かすことで歌っていて気持ちが入りやすくなります。
また、ステージングの最も定番となる動きのひとつなので手の動きを練習することで歌っている姿もカッコよくなります。
音程を行き交うフレーズを練習して慣れる
音程がズレるのは、どれ位の幅を移動するのかというイメージと、実際に歌ってみた時に移動する幅がズレているからに他なりません。
このズレをなくす一番の正攻法が音程の反復練習です。
鍵盤楽器や発声練習の音声教材・動画教材を使い、音程を行き交うフレーズを反復練習することで、音の移動に慣れていくのです。
頭の中にある「音程のものさし」の目盛りを緻密にしていくつもりで反復練習をしてみましょう。
ただし、出している音が合っているかどうかを自分で正しくジャッジメントすることは非常に難しいです。
音程を良くしたい場合は特に録音して練習し、正しい音程で歌えているか、イメージ通り歌えているか確認することをオススメします。
まとめ
音程を正しく取る方法がこんなに色々あったの!?
と、びっくりしたかもしれませんね。
ボイストレーニングというと腹式呼吸やピアノを使った発声練習ばかりを想像しがちですが、実はイメトレのような練習方法やリズムに乗る練習などバリエーションに富んでいます。
今回特集したように、音程を正しく取るのがニガテなのには必ず原因があります。
それを見つけて、今回お伝えしたような練習を重ねていくことで必ず音程は良くなっていきます。
音程が良くなることで歌が安定し、上手く聞こえるようになるのでぜひ練習してみてください。
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