低い声が出なくてお悩みの方もいれば、声が低くてお悩みの方もいますよね。
なぜなら
「声が低い=声が暗い、冷たい感じがする」
という捉え方をしてしまいがちだからです。
しかし、実は声が低いことと、声が暗い感じや冷たい感じがするのは別の話です。これからご紹介する有名人の低い歌声や話し声を聞いていただくと「声が低いのに暗くもないし冷たくもない!」と驚くかもしれません。
今回は、低い声の特徴や魅力の話についてお伝えしてから、低音の出し方やコツ、練習方法について徹底解説していきます。低い声を使う曲や有名人についても取り上げていくので、実際の声を聴きながら低い声の出し方を練習してみましょう!
また、低い声の方や低い声に憧れる方のために私が厳選した歌いやすい人気曲・名曲の特集も併せてご覧ください!女性なら宇多田ヒカルさんやあいみょん、男性なら福山雅治さんやバンプのような、低い声が映える曲を上手く歌えたらカラオケで一目置かれますよ。
低い声の特徴、魅力とは?
大人らしい印象を与えることが出来る
あなたの身の回りにいる声が高めな人と、声が低めな人を2〜3人ずつ思い浮かべてみてください。
声が高めな人と、声が低めな人。直感で、どちらが大人らしく感じますか?
おそらく後者だと思います。
そしてこれは人柄とは関係ありません。
声が低いだけで、自動的に大人らしい印象を与えることが出来るのです。
学生時代を思い出してみてください。あるいはあなたが学生なら、周りを見渡してみてください。
低い声の人って、それだけで大人っぽく感じませんか?
もしかしたらあなたは自分の声が低くて嫌だと思っているかもしれませんが、低い声にネガティブな印象を持っている方はほとんどいません。
低い声ではなく、「暗い声」にネガティブな印象を持っていて、それが一緒くたになっていませんか?
低い声と暗い声は別物です。そして、ボイトレをすることで明るく低い声が出せるようになります。
安心感や落ち着いた雰囲気を与えることが出来る
あなたの周りに外国人(特に英語圏の方)はいますか?
もしいなければ、好きな海外ドラマや映画を5分でも10分でも、吹き替え版でなく字幕で見てみてください。
外国では、男性女性問わず「低い声の方がベター」という風潮があります。
なぜなら、その方が大人としての安心感や落ち着いた雰囲気を醸し出せるからです。
また、あなたが病院や銀行に行って、声が甲高くてテンションの高い医師や担当者に診察や説明をされたらどんな印象を抱きますか?
特に堅めなシチュエーションにおいては、ほぼ間違いなく低い声の方が印象が良いのです。
では、芸能人やヴォーカリストで声が高い人が多いのはなんでだと思いますか?
それは、「声が高い方が耳に留まりやすいから」に他なりません。
かといって、「耳に留まりやすい=優れている」というわけではありません。
あとで低い声が素敵な有名人の例をいくつか挙げますが、低い声でも素敵で耳に留まりやすい方ばかりです。
大事なのは、声のトーンをコントロールして、声色を明るくしたり暗くしたり出来るかどうかなのです。
明るい音色で、かつ低い声で話したり歌うことが出来ると、あなたの印象は間違いなく変わります。
説得力や信頼感を与えることが出来る
低めな声で説明されたりお願いごとをされると、なんだか切実な感じがしたり、やらなきゃいけない感じがしたりしませんか?
なぜなら、低い声は落ち着いた雰囲気や存在感を醸し出すため、無意識的に注意を引くことになるからです。
低い声の人の話している内容が、より頭にスッと入っていきやすいのもこうした理由があるからです。
低い声を出せる=発声上手!? 3つのメリットとは?
低い声を持つ有名人を紹介したところで、ここからは低い声が出せることによるメリットを紹介していきます。
低い声をきれいに出せることによって、声におけるあらゆる「良い感覚」をつかむことが出来ます。
喉を開く感覚をつかみやすくなる
低い声を上手く出せているとき、あなたの喉はイイ感じに開いた状態になっています。
喉を開く感覚は、歌う上で最重要と言っても良いくらい大事です。
喉を開く感覚をつかみ、色々な声を出す際に再現することが出来れば、声を楽に出せるようになるのです。
声の太さや深さを調整出来るようになる
のどが開き具合を調節することによって、声の太さや深みを調整出来るようになります。
これを高い声でいきなりやるのは至難の技です。
まずは、喉の力感をコントロールしやすい低い声をラクに、理想的な状態(力んでいなくて、のどが開いた状態)で出せるようにしていきましょう。その中で、声の音色を調節する練習をすることで実際に曲を歌う時の表現力が格段に上がります。
歌が上手い人は、ただ元の声が良いだけではなく、声の太さや深みを調整し、声色をコントロールする能力に長けているからこそ上手く聴こえるのです。
芯のある声を出せるようになる
あなたがもしか細い声や消え入るような声であれば、低い声を出す練習をすることで大きく改善されます。
なぜなら、低い声を出せることで、声に芯がある状態となるからです。
低い声がきれいに出せる人は、声の大小に関係なく、声が「スコーン!」と力強く抜けていますよね。
この「スコーン!」と抜ける声と、か細い声や消え入る声との違いは、声帯が適切に振動しているかどうかと、声が適切に体に共鳴しているかどうかの違いです。
低い声を練習することで、身体を上手く使って声を出す感覚が身につき、あなたの声は見違えるように良くなることでしょう。
低い声を上手く、きれいに出すコツ
ここでは低い声を上手く、きれいに出すコツを解説していきます。
コツはいくつもあるので、1つずつ慣れていくことでトントン拍子で声が良くなっていきます。
腹式呼吸を心がけて声を出す
低い声は、お腹を使って息のスピードや強弱を細かくコントロールしようと意識することで出しやすくなります。
特に、息を吐く際には「肺から首を通って、口から出て行く通り道」をイメージすることが重要です。
この通り道をイメージすることが出来ることで、声が身体の低いところで響く感じがつかみやすくなります。
胸に手を当てて歌う
低い声を上手く出すには、胸を響かせるつもりで声を出すことが重要です。
音声学的には、近年の研究で「胸に声が響くわけではない」というのが定説になっているのですが、それでも低い声は明らかに胸に響く感じがします。また、人の良い低い声を聴いてもやはり、胸に響く感じがします。
では、片手をパーにして、人差し指のあたりを鎖骨の中心(首の根元)に置いてみましょう。
いわゆる「胸」よりも上部ではありますが、上手く低い声を出せるとこの場所がビリビリと震える感じがします。
低い声を出しながらぜひ試してみてください。
首・肩・胸の力を抜く
これはどんな声を出すときにも気をつけていただきたいことです。
首・肩・胸のどれかに力が入ってしまうと、途端にその力みが連動して身体中がこわばってしまいます。
なので、低い声を出す時は、首や肩、胸のストレッチを入念に行いましょう。
首や肩を回したり、ジャンプすることで力がほぐれていきます。
リラックスした状態で発声することにより、低い声が出しやすくなるのでぜひ試してみてください。
下を向かない
低い声を出す時、思わず首や頭を下に向けていませんか?
首や頭を下に向けてしまうことで、喉の周辺が圧迫されて息の通り道が塞がれるため、低い声を出しにくくなってしまいます。
低音を出す時は、目線を下げずに喉だけ下げるように意識してみましょう。
ちなみに、声色は目線によって変わります。
たとえ低い声でも、まっすぐより上を向いて、上に向かって声を出すことによって声色は明るくなるのです。
逆に、下を向いて、地面に向かって声を出すと声色は暗くなります。
低い声を出す時はくれぐれも下を向かないように意識しましょう!
遠くの人に話すように歌う
低い声を出そうとすると、力で絞り出そうと力んでしまう方が多いです。
そこで試していただきたいのが
「5メートルくらい先にいる友達に「おーい!」というつもり」でふんわり、伸びやかに声を出してみることです。
力をほど良く抜いて、ふわっと声を出すことで低い声がきれいに出るようになります。
息をゆっくりと、ため息をするように吐き出す
低い声を出そう、出そうと慎重になることで、首や喉が力んでしまい、息を上手く吐き出せなくなることがよくあります。
それによって声帯が上手く振動しなくなって、声が「ゔゔ・・・」と詰まってしまったり、声がうわずってしまいがちです。
そこで、低い声を出す際は息をゆっくりと、ため息をするようにふわっと吐き出してみましょう。
息をゆっくりと吐き出すことで、首や喉に余計な力が入らず、声帯が上手く閉じ、きれいな声が出せるようになります。
低い声を出す練習方法
腹式呼吸
腹式呼吸には色々な練習がありますが、一番簡単なものをひとつだけお伝えします。
まず、いつも通り夜寝てみてください。
横になった時、仰向けで、お腹に手を当てて寝るのがコツです。
この時、手が上下に動きますよね。これが腹式呼吸です。
人間、寝る時は自動で腹式呼吸に切り替わるので、この時の「お腹を動かす感覚」をよく覚えてください。
腹式呼吸のやり方や練習方法についてはこちらで詳しく触れているので、併せてご覧くださいね。
ため息発声法
ため息をしてみましょう。
まずは息だけ、「ハァーーー」と出していきます。
3回繰り返したら次に、少しずつ息だけのため息に声を混ぜていきます。
「ハァーーー」
そうすると、どこかで必ず「息の通り道全てが振動する感覚」がするポイントと出会えます。
このポイントと出会うと、低い声が身体にズンズンと響いて、全然力んでいないのにもかかわらず、「スコーン!」と抜けるような良い声が出るようになります。
そのポイントをつかんで、歌う時にそこの力加減やバランスの取り方で歌えることで、あなたの低音はひとつの聴かせどころになります。
エッジボイス
エッジボイスとは、喉の奥でブツブツと弾けるようなざらついた声のことを指します。
エッジボイスが上手に出来るようになると、声帯をコントロールする感覚が養われ、低い声が出しやすくなります。
先ほどと同様、まずは息だけのため息をしてみましょう。
「ハァーーー」
これも3回繰り返したら、「ア」の音に点々をつけるイメージで声を出していきます。
「ハア〝ア〝ーーー」
すると、喉の奥でブツブツと弾けるような音色が鳴り出します。これがエッジボイスです。
さらに、この「ブツブツ」の音を早く出すようにしていくと・・・
「ハァーーー」
どうでしょうか?自分でも思いがけない位、低い声が出るようになります。
エッジボイスについては、こちらで詳しく解説しているので併せてご覧ください。
起き抜け発声法
最後に紹介するのは、朝一でしか出来ない練習です。
まずは寝てください。笑
そして、起きたら先ほど紹介したため息やエッジボイスを起点に低い声を出してみます。
すると、やはり低い声がきれいに出せるようになります。
これは、起き抜けで声帯が暖まっておらず、低い声の時の振動をしやすいからです。
私は声変わりが終わったあと、もともと人よりも多少音域が広かったものの、この練習をほぼ毎朝続けていくうちに2音(カラオケで言うところのキー4つ分)以上、「歌で実用できる低音」が広がりました。
低い声がカッコいいアーティスト・楽曲
音楽業界は高い声が出てくる曲が多いですが、福山雅治さんや宇多田ヒカルさん、あいみょんのような低い声がカッコいいアーティストも一定数存在しています。
また、芸能人を見ていくと、第一線で活躍している役者は低い声の持ち主ばかりです。なぜなら、役者は(特に男性は)声が低くないと存在感や男性的な雰囲気が出せず、埋もれていきやすいからだと、現役の俳優から話を聞いたことがあります。
福山雅治 ー “家族になろうよ”
低い声のアーティストと言えば、まず福山雅治さんを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
福山さんは音楽以外にも、テレビやラジオでトークしている姿を見聞きされている方が多いと思います。
福山さんの特徴はなんと言ってもこのダンディーで色気のある低音です。
高音域が得意なヴォーカルが目立つ近年の音楽業界の中で、なおさら存在感が光っていますよね。
玉置浩二(安全地帯) ー “悲しみにさよなら”
玉置浩二さんは、低い声はもとい、
「あの、、現人神(あらひとがみ)ですかね」
と言わんばかりの存在感の持ち主です。
最近はフェイクやオブリガートを多用して歌いますし、元々凄まじい声の伸びの持ち主です。
なので低音よりもテクニックや中〜高音域の印象が強いかもしれません。
しかし、玉置さんの真骨頂は低音にあります。
あとで詳しく触れますが、低い声でも声のトーンや緩急を使い分けながら感情豊かに歌えるからこそ、中〜高音域の音色もしっかりと太い音色で、深い声で歌えるのです。
ここまで力強く、そして若い世代のアーティストとも積極的に絡む方はあまりいないので、若者のハートもわしづかみにしていますね。
MONGOL800 ー “小さな恋のうた”
アラサーからアラフォー世代にかけて大流行したバンド・MONGOL800(モンゴル800/略してモンパチ)。
あまり知られていませんが、実はモンパチはかなり声が低いです。
「小さな恋のうた」はモンパチの中でも1、2を争う人気曲ですが、おそらく声の高い男性ではさらっと出ないくらい低いところまで下がっていく珍しい曲です。
しかし、低い声のコツをつかめればこの曲もかっこよく歌えるので頑張りましょうね!
AI ー “Story”
女性の生徒さんが選んでくる練習曲ベスト5に必ず入ってくるのがAIさんの”Story”です。
「ソ」の音まで下がるのですが、ここは声が高めの女性だとはじめはなかなか出ない音域です。
ちなみに、本人はかなり高音まで出せるものの、あまり繰り出さないという特徴があります。
AIさんの高音は、Youtubeで「AI マイケル」と打つとマイケル・ジャクソンの”Beat It”のカバーが出てきます。
その中で聴けるので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね!
あいみょん ー “マリーゴールド”
ヒット曲や「コレ!」という若手アーティストが不在だった昨今、一人の歌姫がいかつい声と強烈な歌詞の曲をひっさげて実力で続々とランクインさせています。
その名は「あいみょん」。
最初はふざけた名前だなあと食わず嫌いしていたのですが、必聴です。
心地よい低い声で、落ち着いた雰囲気で歌い上げる様は
「こういうの求めてたけど全然出てこなくて、それがやっと出てきた感じ」
といったノスタルジーを感じさせてくれます。
ボイトレをしていくと、声が高めな女性でもあいみょんの歌くらいまでは低いところまで出るようになります。
宇多田ヒカル ー “First Love”
宇多田ヒカルさんといえば脆くて儚い雰囲気の高音を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実は、宇多田さんはかなり声が低めです。というか低音が得意なヴォーカリストです。
「First Love」も例にもれず「F#」の音まで下がっていきます。
また、低音から高音まで縦横無尽に上下するメロディが多いのが宇多田さんのメロディーラインの特徴です。
宇多田さんのような低音域まで歌えるようになるには、あいみょんと違ってセンスが問われるかもしれませんね。
低い声で話す有名人
クリス・ペプラー
ラジオの名パーソナリティーであるクリス・ペプラーさん。
「声が低いはずなのに、明るい雰囲気がする!」
と思った方、いらっしゃるのではないでしょうか。
後々触れますが、実は声が低いからといって自動的に暗い声色になるわけではありません。
ボイトレをすることで、クリス・ペプラーさんのように陽気な低い声で話せるようになるのです。
ケンドーコバヤシ
私がお笑い芸人の中で一番好きな声をしているのがケンコバことケンドーコバヤシさんです。
芸風や人柄についてはツッコミどころ満載かもしれませんが(笑)、声は明らかに「イケボ」ですよね。
もしケンコバさんが甲高い声だったら、この存在感を発揮することはできないはずです。
低い声は、それだけで存在感があるのです。
斎藤工
俳優の世界からは斎藤工さんをピックアップしてみました。
斎藤工さんはラジオのパーソナリティーも務めていますが、この通り低めな声の持ち主です。
声が低いと、それだけで落ち着いた感じであったりどっしりした感じが醸し出てきてカッコいいですよね。
Lady Gaga(レディ・ガガ)
「女性は高くてかわいらしい声が良い!」
という価値観なのは日本以外の国では一般的ではありません。
外国人女性の声のトーンは総じて日本人より低めなのです。
なぜなら、声のトーンを落とすことでひとりの人間として、自立している大人、分別のつく、美意識の高い人間であることを追い求めている人が多いからです。
たとえば、ガガ様ことレディー・ガガは、この通りかなり低い声で話します。
ガガ様から貫禄というか覇王色(笑)みたいなのが出ているのは、佇まいだけでなく声が落ち着いているから。
と言われたら「確かに!」とうなずいてしまいますよね。
Taylor Swift(テイラー・スウィフト)
21世紀、日本で最も有名なアメリカの歌手といえばテイラー・スウィフトなのではないでしょうか。
テイラーは「かわいい系」で売っているフシがありますが、喋る時はかなり声が低いです。
ライブやMVを見るとキャッキャした若い感じに溢れている一方、話している姿は落ち着いていて、そのギャップが素敵です。
まとめ
低い声は、もし好きな歌に出てこないとしても練習するメリットがたくさんあります。
自分の声が低いのが嫌という方も多いですが、周りは思いのほかポジティブに見ていることが多いです。
私も自分の声が低いのが嫌だったのですが、ある時から周囲に
「話してる時の声、低くてイイ感じですよね!」
と言われるようになり、それからはコンプレックスが武器に変わりました。
歌声についても、低い声が出る分、中高音域も太めな音色で歌えるし、なにより声がキンキンしないのは「役得」です。笑
今回の記事を通して、低い声が出なくてお悩みの方も、逆に声が低くてお悩みの方も、低音の魅力やメリットに気づいてもらえたかと思います。
ぜひ、今回取り上げたコツを意識して、練習を頑張ってみてくださいね。
低い声が整うと、声全般のクオリティが上がるので必須の練習ですよ!