「今日はヒトカラでストレス発散だー!!」
「さあて。ギターで弾き語りでもしよっと♪」
そこのあなたちょっと待ったぁ!!もしかしていきなり歌っちゃう派ですか?
もしそうだとしたらアブナイです。何もせずに歌い出すと自由に歌うのは難しいですよ。
しかも下手したら故障につながりかねません。必ず「あること」をしてから歌うようにしましょう!
こんにちは!ボイストレーナーのmassuです。
今回は、歌う前に必ずやってほしい「あること」のお話をしていきます。
運動する前に必ずやるのは・・・ストレッチですよね?
当HPでは「歌はスポーツ」、「歌は身体が楽器」というキーワードが時々出てきます。
実は、歌う前のウォーミングアップとしてストレッチをすることで声を出しやすくなるのです。
カラオケや自宅の部屋にこもって歌うのはインドアな行為ですが、歌うという行為は身体を駆使するためアウトドアな要素が大いにあるのです。
どんなストレッチをすれば良いかを見ていく前に、果たして本当に「歌はスポーツ」、「歌は身体が楽器」なのか?を検証してみたいと思います。
本当に「歌はスポーツ」、「歌は身体が楽器」なのか?
世界一のフロントマンと言われるThe Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)のMick Jagger(ミック・ジャガー)やMr.Childrenの櫻井さん、他にもB’zの稲葉さんや矢沢永吉さん・・・。
ロック系ヴォーカリストをざっと挙げてみましたが、ロック系ヴォーカリストに限らずあらゆるヴォーカリストはライブやイベント、テレビ出演などで歌う際に想像を絶するほど激しく身体を動かしながら歌っています。
「いや、カラオケで歌いたいだけなんですけど・・・」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえ直立不動で歌っていても身体のあらゆる部分を意識的・無意識的に駆使して声を出しているのです。
身体を支えるために脚でバランスを取り、呼吸するために肩、胸、背中やお腹の筋肉を使い、発声の際に首を通し、口や鼻や頭に声を共鳴させながら発音する。
この通り、声を出して歌うことは全身を使った運動です。
ちなみに、先の動画のMick Jaggerは70才を過ぎてこれだけ動き回っています(それが「世界一のフロントマン」たる所以です)。
Mick Jaggerはその昔、酒池肉林のような生活をしていた後、ライフスタイルをガラッと切り替えてランニングや筋トレをはじめとしたエクササイズをルーティンにすることでいまだに第一線で活躍されています。
そしてなにより、2〜30代の頃よりここ1〜20年くらいの方が声が出ているくらいです(!!)
もしアイドル系の曲やR&B, HipHop系の曲を上手く歌えるようになりたいと思っているなら、ダンスや振り付けが伴うことが多く、たとえダンスや振り付けをしながら歌わなくてもリズムに乗って歌うことが重要です。
こうした話を踏まえると確かに「歌はスポーツ」で「声は身体が楽器」なのかなと思えてきませんか?
ウォーミングアップをする理由
スポーツをする前にストレッチをするのは、身体をほぐし、筋肉をストレッチさせてケガをしないようにするためですね。あるいは、動きやすくしてパフォーマンスを高めるためですね。
歌声は、特に上半身の様々の部位の筋肉を連動させながら使用することで成り立っています。
その中でも最重要なのは、声の元となる音を作る「声帯」の周辺の筋肉です。
ためしに軽く首を掴みながら声を「あー」と出してみましょう。
少し力を入れただけで声の出が悪くなるはずです。
声帯が位置している首の筋肉は、その上の顔や、その下の肩や胸といった部位の筋肉とも協調関係にあります。そのため、上半身を一通りストレッチすることが歌う上で重要なのです。
ちなみに、ストレッチだけでなくハミングやリップロールといった、発声を伴うウォーミングアップも同様に重要です。
いずれも練習方法やコツなどを詳しく解説している記事をご用意しているのでぜひお試しください!
歌う前にやるべきストレッチ
いずれも約10秒、2〜3セットこなすようにします。
省略しながら進めていけ2〜3分でこなせる内容ですが、5分から10分かけてゆっくり取り組むことをおすすめします。
顔・口のストレッチ
指を使ってこめかみの辺りから顔全体をゴリゴリともみほぐす
「あーうーあーうー」と、口を大きく開けた後すぼませるのを繰り返す
「ういすきい」と、ゆっくり顔で声を発するイメージで声を出す
首・ノドのストレッチ
指を使ってアゴの下からデコルテ(鎖骨の周辺)まで、首全体をゴリゴリともみほぐす
首を左右に回す
首を左右、前後にひねる
肩のストレッチ
肩をゆっくりと前後に回す
両手を組み上に伸ばす
両手を組み上に伸ばし、さらに左右へ伸ばす
お腹のストレッチ
ゆっくりと身体を左右にひねる
足を肩幅より少し広く開き、腰に手を当てて、ゆっくりと身体を後ろに反らせる
(パフォーマンスする方向け)下半身のストレッチ
アキレス腱を伸ばす
前屈して脚の裏側を伸ばす
足首をぐるぐる回す
ボイストレーニングの現場ではストレッチをどう取り扱っているか?
ストレッチはおまけ程度の扱い・・・というのが多いかもしれません
過去を振り返ってみると、ボイストレーナーやプロのヴォーカリストの中にはストレッチをやらない方も散見されます。
私自身はかなりストレッチをやる方だと自負しています。なぜなら、「身体ほぐして良い声が出るならじっくりこなすに限る!」と思うからです。
ライブでノドの調子がイマイチで、それを「身体がほぐれていないから」なんて言い訳してしまったらプロ失格です。
今できるベストなパフォーマンスを出し続けられるのが音楽の世界のプロなのです。
あなたがプロやプロ志向でなくとも、カラオケに行ったり、スタジオでバンド練習したり学園祭やライブハウスでパフォーマンスするとき、せっかくなら良い声を出したいのではないかと思います。
現場のボイストレーナーの中には、「発声さえ整えていけば良い声が出る」と考えている方も少なからずいます。
しかし、発声は「良い状態の身体」があって成り立つものです。
なので、すでにボイトレを習っていて、レッスンの中で発声練習や歌唱指導しかない場合も、自分のタイミングでストレッチをするよう心がけてみていただければと思います。
ボイストレーニングを習おうか迷っている方へ
スクールによってはビジネスライクだったりスケジュール管理やカリキュラムが微妙だったりするため、入れ替えの時間が限られていて「すぐ声出し」となることが少なくありません。
色々なスクールでボイストレーニングを受け、現役でボイストレーナーをしている立場としては「レッスン前にストレッチできる時間や広さがあるスクール」を選ぶことをおすすめします。
ボイストレーニングを習っていて、「すぐ声出し」している方へ
その場合は、エントランス等でできるストレッチだけでもやってレッスンに取り組むようにしてみてください。
ちなみに、腕の立つボイストレーナーであれば、あなたの声を聞いただけで身体のほぐれ具合や不調な部位や原因が概ねつかむことができるはずです。
普段のレッスン前にストレッチする習慣がなく、それでもあなたにストレッチをするよう促す先生であれば「すぐ声出し」をするレッスンをしていても信頼が置けるといえるかもしれませんね。
まとめ
歌う前にやるだけで声が出やすくなるストレッチの記事、いかがでしたか?
各々のストレッチについては、順番や決め事はさほどありません。「頭〜お腹にかけて上半身を満遍なくほぐす」というのが原理原則です。
レッスンをしていると時々
「(ストレッチを色々やってから歌った後で)あまりボイトレした感じしないのにやたら声が出る!」
「なんでストレッチやってないのバレてるんですか!?」
といったリアクションをされることがあります。
ボイストレーナーは声を聞けばレッスン前にストレッチをしてくださっていたか、どんな1日だったか、体調はどうかetc…大げさでなく多少は判別出来てしまいます。
カラオケやバンド練習、ボイトレのレッスンなどでいきなり歌いたくなる気持ちはとても良く分かります。しかし、歌う前のウォーミングアップとしてストレッチをすると声が出やすくなるのは明らかです。
実際に声を出す発声練習や歌唱指導だけがボイストレーニングではありません。ストレッチを通して身体をほぐしてコンディションを整え声を出しやすい身体にしていくこともボイストレーニングと言えます。
やはり「歌はスポーツ」で、「歌は身体が楽器」です!
歌う前のウォーミングアップとしてストレッチをじっくりこなし、楽に声が出るようにしていきましょう!
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