歌う時や声を出す上でとても大事な「声量」。
声量がないと、声が通らなくて、歌も不安定に聴こえてしまいます。
声量があることで、声が力強く感じられ、歌の安定感が上がります。
この通り、声量は、歌が上手い人や声が良い人が必ず押さえている要素なのです。
ワンオクのTAKAさんやSuperfly、MISIAさんのように歌うことが出来たらさぞかし気持ちですよね!
そこで今回は、声量を上げる方法について徹底的に解説していきます。
そもそも声量とは何なのか?
みなさんは、「声量」とは何だと思いますか?
この認識がズレていると、意識を向けるべきところや練習の方向性がズレてしまい、良い効果を出せないかもしれません。
そこで、まずは「声量」とは何なのかを解説していきます。
声量のある声≠大きな声
多くの方が誤解しているのが
「声量のある声=大きな声」である
ということです。
しかし、結論から言うと、声量は必ずしも「声の大きさ」とは限りません。
声量は、声の響きの豊かさや通りの良さのことを指します。
例えば、ファミレスやカフェで食事をしているとします。
お店には、声が大きいというわけではないけれども、やたら会話が耳に入ってくるような喋り方をしている女性の集まりがいると想像してみてください。
また、周囲に声は大きいわけではないのに、離れていても会話や電話の声がスッと聞こえてくるような話し方をしている方はいませんか?
この2つの例えは、いずれもどこかで出くわした覚えがあるのではないでしょうか。
「大きい声、じゃないけど良く聞こえるんだよな・・・」
声量がある声とは、良く響いている声や、良く通る声のことを指すのです。
ですので、これから声量を鍛える方法や意識すべきところ、そして具体的な練習に取り組んでいく際に
「大きな声を出せばいいわけじゃない」
ということを心に留めておいていただければと思います。
声量のある声=良く響いている声、良く通る声
改めて、声量のある声とは、良く響いている声や、良く通る声のことを指します。
例えば、スポーツの実況や解説やニュースを読む声を聞いていると、別に大きな声を出しているわけでなくてもしっかりと声が聞こえてきます。
歌も同じで、別に声が大きい人でなくても声が良く響き、良く通る声であれば、声が大きい人よりも声量があるように聞こえるのです。
良く響いている声、良く通る声を身につけることで、声量を上げていきましょう。
そのために、まずは声量がない原因を知り、声量を上げるために鍛えるべきことや意識することを押さえることが重要です。
声量がない原因とは?
声量がない原因は、大きく分けて以下の6つに分類されます。
「声が出る順番」である「呼吸」→「発声」→「共鳴」→「発音」の流れにそって見ていきましょう。
どの原因が当てはまりそうかチェックしてみてくださいね。
腹式呼吸が出来ていない
腹式呼吸が出来ていないと、コントロールしながら息を吐き出せないため、しっかりとした声を出すことが出来ません。
声は吐く息が土台であるため、吐く息をコントロール出来ないと、発声や共鳴が上手くいかず、声量が小さくなってしまうのです。
声帯が上手く閉まっていない
声帯が上手く閉まっていないと、思った通りに声を出すことが出来ず力んでしまうため、声量がない原因となってしまいます。
大きな声を出し慣れていなかったり、ささやくような声で喋るクセがあると、声帯をしっかり閉じにくくなってしまいます。
喉が閉じている
喉が閉じているとは、喉に余計な力が入ってしまい、声が共鳴する口から喉にかけての空間(共鳴腔/きょうめいくう)が狭くなってしまう状態のことを指します。
喉の力みによって口から喉にかけての空間が狭くなってしまうと、上手く声が共鳴せず、か細い声や苦しそうな声になってしまい、声量が弱くなってしまいます。
姿勢が悪い
声は、吐く息が声帯を通り、喉や口、鼻に反響し、口から発せられます。
猫背になってしまったり、首が前のめりになっていたり、アゴに力が入っていたりすると、その通り道が狭まってしまい、声量が小さくなってしまいます。
口の開きが小さい
声は最終的に口から発せられます。
そのため、口の開きが小さいと、声が口に共鳴しにくくなり、声量が小さくなってしまうのです。
自信がない
これはほとんどの方が見逃している重要な点です。
声を出すことや歌うことに苦手意識があって、緊張したり気持ちが内向きになってしまうことでも声量が小さくなってしまいます。
声量を上げるために鍛えるべきこと、意識すべきこと
声量がない原因は、必ず上記のどれか(複数の可能性も大いにあります)です。
ここからは、そんな原因を踏まえた上で、声量を上げるために鍛えるべきことや意識することをお伝えしていきます。
先ほどと同じく、「声が出る順番」である「呼吸」→「発声」→「共鳴」→「発音」の流れにそって見ていきましょう。
腹式呼吸を身に付ける
吐く息をコントロールさせながら安定して息を供給するには、お腹が膨らんだり凹んだりする腹式呼吸を身に付けることが重要です。
腹式呼吸を身に付けることで、お腹を使ってしっかりと息を吐けるようになります。
それだけではなく、吐く息を強めたり弱めたり、速く出したり遅く出したりといったコントロールが出来るようになるので、変に力むことなく声量を上げられるようになるのです。
腹筋を鍛える
先ほどと真逆の話になってしまいますが、腹式呼吸を身に付けただけでは声量が上がりません。
思い通りに息を吸うことが出来、思い通りに息を吐くためには腹筋が必要になります。
そして、声を出したり歌う上で使う腹筋は「いわゆる腹筋(シットアップ)」で鍛えられないので注意してください!
シットアップで鍛えられるのは腹筋の上部〜中部にかけてで、歌う上で使う腹筋は下部がメインです。
また、腹筋は他の部位の筋肉よりも付きにくく、付く筋肉も柔軟性に富んでいないので筋トレを通して腹筋を身に付けるのはおすすめ出来ません。
体幹トレーニングやヨガ、呼吸の練習を通して「インナーマッスル」(身体の内側の筋肉)を身に付けていきましょう。
肺活量を鍛える
腹式呼吸を通して吸う息は肺に溜まるため、肺活量を鍛えることでたくさん息を吐き出せるようになります。
吐き出せる息の量が多いと、大きな声を出しても安定し続け、力強い歌声が出せるようになります。
声帯を閉じる感覚を身に付ける
声量がない人は、声帯を閉じる感覚がつかめていない場合が多いので特に意識すべき項目となります。
声を出す際に、吐く息がきちんと閉じた状態の声帯を通ることで、しっかりとした声が出るようになります。
そのために、声帯を閉じる感覚を身に付けることが重要です。
声帯を閉じる感覚を身に付けていくと、声帯の閉まり具合が体感的に把握出来たり、コントロール出来るようになっていきます。
喉を開く
声帯はしっかりと閉じるべきである一方、喉は開いていく必要があります。
声帯と喉の関係性で頭がこんがらがってしまう方が非常に多いので、その説明からしていきます。
声帯とは、いわば喉の一部で、息が通る気道の上部に位置している「フタ」のようなものです。
喉に余計な力が入ってしまうとこの「フタ」が思った通りに動いてくれず、声量が小さくなってしまうのです。
ですので、喉はしっかりと開いて口〜喉の空間を確保し、息が自由に通れるようにして、その上で声帯はきちんと閉まるのが理想的な状態と言えます。
身体を響かせる
喉が開き、声帯はきちんと閉じた状態で発声出来ると、声が口や喉、鼻などに共鳴します。
その際、ただ声を出すのではなく、「身体を響かせる」ことを意識することで、しっかり声が身体に共鳴するのが分かります。
身体を響かせることで、芯のある太くて強い声となり、声量が上がります。
姿勢を整える
歌う時や声を出す際に正しい姿勢を取ることで、息の通り道が塞がらないので声量が上がります。
背筋や首を変に曲げず、スラッと立ってみて力感のない姿勢を意識してみましょう。
この時、顎を引くと同時に頭ごと後ろに並行移動させることで首が正しい位置に収まり、背筋がきれいになります。
口を大きく開ける
口を大きく開けることで、声がしっかりと響き渡り、空気の出し入れもスムーズに行うことが出来ます。
歌う時や声を出す時は、喉の奥までを広げるイメージで、あくびをする感覚で口を大きく開いてみましょう。
口の中の上側の奥のあたりが持ち上がる感じ、そして口の奥が後ろや下側へ広がっていく感じが掴めればバッチリです。
リラックスする
首、肩、胸・・・身体のあらゆる部位に力が入っていると、声を出す際に力んでしまいます。
そこで重要なのがリラックスして声を出したり歌ったりすることです。
ここまでに挙げたポイントをどれだけ意識出来ても、リラックス出来ていなければ良い声は出せないので非常に重要な点です。
声を出す前に身体をしっかりとストレッチしておきましょう。
気持ちを解放する
今、この瞬間までのあなたは、自分の声を小さく、通りにくいなと思っているかもしれません。
あるいは、音を外してしまわないか、声がひっくり返ってしまわないか、怖いかもしれません。
しかし、そんな気持ちを解放し、断ち切ることで声の出方は抜群に良くなります。
そうするためには「一人で気兼ねなく大きな声を出してみる」ことがオススメです。
一人カラオケでも良いです。スタジオをレンタルしても良いです。
あるいはお笑い番組を見ても良いです。気の置けない友人と久しぶりに会ってハメを外してみても良いです。
何かのはずみであなたの心のトリガーが外れた瞬間、驚くほど声量が上がるのです。
声量を上げる練習方法
ロングブレス
ロングブレスとは、長く息を吐く練習法のことです。
ロングブレスを通して腹式呼吸や「支え」の感覚が鍛えられます。まず、口を軽く開け、歯の隙間から「さしすせそ」の「す」の音で「スー」、と息を吐いていきます。
この時、きちんとお腹を使って息を吐けているかを意識しましょう。
はじめは時計の秒針を見ながら5秒間やってみましょう。
そこから1秒刻みで吐けるところまで続けていき、今度はその記録を更新出来るようチャレンジしていきます。
ペットボトルを凹ませたり膨らませる練習
ペットボトルを凹ませたり膨らませる練習は、ロングブレス以上に「お腹で吸う感覚」が鍛えられます。
これは、コーラや「いろはす」のような、厚さが薄めのペットボトルで試してみることをオススメします。
まず、ペットボトルに隙間なく口を付けて、思い切り息を吸い込みます。
するとペットボトルが圧力で凹んでいきます。
次に、ペットボトルを膨らませる要領で息を吹き入れていきましょう。
はじめのうちは難しいかもしれませんが、徐々にお腹を使って強い息の出し入れが出来るようになっていきます。
風船を膨らませる練習
風船は、100圴でも売っていて使い捨て出来るので、衛生的にも安心な素材です。
ロングブレスやペットボトルを使った練習と同様に、「お腹を使って息を吐けているか」を意識することが重要です。
表情筋トレーニング
一見声量と表情筋は関係がなさそうですが、実は声量を上げるために表情筋のトレーニングが必要不可欠なのです。
なぜなら、表情筋を鍛えることで口を大きく開きやすくなったり、顔周りがリラックスした状態になったりするからです。
まずは「あ・い・う・え・お」と、顔を大きく動かしながら声を出してみてください。
この時に、口角を上げるイメージで顔を動かすことがポイントです。
また、「う・い・す・き・い」と、同様に顔を大きく動かしながら声を出してみましょう。
「あ・い・う・え・お」との違いは、口先がすぼまったり、口角が引き上がることで表情筋が前後に動くところです。
声量がない人は、表情を見ていると顔がこわばっていたり、口が開いていないことが多いです。
顔で歌うつもりで声を出してみてください!
あくび
あくびを通して、喉を開く感覚や口を大きく開ける感覚を掴むことが出来ます。
「フワァーーー」と、口を大きく開けて、息を吸い込んでみてください。
この時に「口の中の上部の奥側が持ち上がる感じ」と「喉仏のあたりが下がっていく感じ」がするので、繰り返し試してみましょう。
ハミング
ハミングをすることで、声が身体に響く感覚を掴むことが出来ます。
「んん〜〜〜」と、出しやすい高さの音で口ずさんでみましょう。
声量がない方は、「自分の声が身体に響く感覚」を意識したことがないことが多いです。
喉、口、鼻・・・どこかしらに必ず声が響く感覚があるので、自分の身体と向き合いながら感覚を研ぎ澄ませてみてください。
まとめ
声量の大きさは、歌唱力アップに欠かせない重要な要素です。
声を出すことに苦手意識のある方は、まずは声を出すことに慣れていきましょう。
声が小さかったり通りにくくてお悩みの方は、声帯の閉まりや腹式呼吸、口の開き方を見直すのがポイントです。
大きい声は出るけれど、歌が上手く歌えないという方は、喉が閉まっていないか、身体が力んでいないかを意識してみましょう。
声量がない原因はさまざまですが、原因を突き止めることで対策が見えてきます。
また、原因が分からなくても、今回紹介したことが理解出来ると、歌う上で色々なヒントになるはずです。
声量を鍛える練習は、家で出来る手頃なものが多い反面、即効性がありません。
しかし、続けていくことで少しずつ効果が出るので、ぜひお試しください!
はじめまして佐藤と申します。
サッカ-の応援をしていて常日頃ボイストレーニングが必要と感じていました。
高校の時、放送部で少しかじった程度ですが思い出しながら自己流でトレーニングしていたところ
こちらに辿り着き、凄くわかりやすく応援にも応用できるのではないかと思っています。
そこで是非、友人等にも紹介したいのでSNS等で紹介する事を許可して頂きたくお願いいたします。
どうぞよろしくお願い致します。
佐藤さま
はじめまして。コメントいただきありがとうございます。
また、当ブログをご覧いただきありがとうございます!どうぞ気兼ねなく周囲の皆さまへご紹介ください。内容がお役に立てれば幸いです。
実は私自身、野球が好きで年間20試合ほど観戦しており、大声で応援することが楽しみのひとつとなっています。
ボイストレーニングをすることで声が疲れにくくなり、また声が通るようになるのでより一層応援が楽しくなるはずです!
今後とも当ブログの記事をお楽しみいただければ幸いです。
管理人