「歌うときに地声で張り上げてノドが痛くなる」
「EXILEみたいな甘い声で高いところを歌えたらなぁ・・・」
高い声を出そうとするとノドに力が入って声が出なくなりがちですよね。
あるいは、きれいな裏声で歌いたいけれど感覚がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
もし裏声を出せたら、音域が広がって歌える曲のバリエーションが増えます。
EXILE系や平井堅さんのようなオトナな曲を、甘くふわっとした声で歌えるようになります。
しかし、実はひとくちに「裏声」と言ってもいくつか種類があります。そして、それぞれ出し方や感覚が異なります。
歌っていて「裏声」を使えているけれど、なんだかしっくりこない方は使っている音色選びが間違えているかもしれません。
というわけで、今回は裏声の種類や特徴を、実例をお題にしながら解説していきます。
裏声とは?
裏声とは、高い声を出そうとしてひっくり返ってしまった声のことを指します。
ちなみに、世間的に裏声は息漏れ気味で声に芯がない声のことを指しているのですが、実はこの声は「ファルセット」と呼ばれる裏声の一種です。
その他「ヘッドボイス」、「ホイッスルボイス」も含めたものが「裏声」とされています。
これらの違いは声帯をどのように閉鎖させて発声するかで規定されるものの、声も声帯も目に見えるものでないので、あくまで音色を聴いた上での感覚的な区分けにとどまります。
ファルセットとは?
特徴:息漏れが多い、ふんわりとしていて芯がない声
改めて、世間一般でいう裏声のことを「ファルセット」といいます。
ファルセットの特徴は息漏れが多い感じの音色です。
声帯が開き気味な状態で息が抜けていくためこのような音色となります。
また、ファルセットはふんわりとしていて芯がない音色をしています。
以下の実例を見ると「あぁーこの感じね!」となるはずです!
EXILE ATSUSHI – Just The Way You Are
0:34頃〜のイントロで”Ha〜”と甘い声で歌うところがファルセットです。
ATSUSHIさんの声はどこまでがミックスボイスでどこからがファルセットなのが判別しにくいですが、いずれにせよATSUSHIさんのように歌いたかったらファルセットを練習すると良いでしょう。
Rihanna – We Found Love ft. Calvin Harris
0:58頃〜サビ中の高い声は地声からファルセットへ裏返して歌っています。
洋楽R&Bはおもむろにファルセットやヘッドボイスを繰り出すという特徴があります。こういうアゲアゲな雰囲気の曲で不意にファルセットが入ってくることで緩急を付けることができるのです。
R&Bをそれらしく歌えるようになりたい方は、ファルセットが必須テクニックです。
大原櫻子 – 真夏の太陽
1:03頃〜のサビのふわっとした高音がファルセットです。
大原櫻子さんは結構ファルセットを多用します。本人は高音域までスコーンと抜けの良い声を出せるのですが、高い声が出ないのではなく、あくまで表現としてこんな感じで挟んできます。
他にも女性だと絢香さんが似た系統の引き出しを持っていますね。ポップスを歌う上でもファルセットは大事な技術です。
ヘッドボイスとは?
特徴:息漏れが少ない、輪郭が丸めで芯がある声
ヘッドボイス(Head Voice)とは、息漏れのない裏声のことを指します。
ファルセットと比較すると声の息漏れ感が少なく、輪郭が丸くて芯がある感じの音色が特徴です。
ヘッドボイスの「ヘッド」は「頭」のことです。頭に響く感覚が強いことから日本語では「頭声」という名前が付いています。
Maroon5 – Sugar
1:13頃〜のサビの、特に高めなところはヘッドボイスで歌っています。
Maroon5のヴォーカルであるAdam Lavine(アダム・レヴィン)はファルセット〜ヘッドボイス、そしてミックスボイスを曲中で良い感じに使い分けます。
だから、単に裏声でMaroon5の曲を歌おうとするとおそらく雰囲気が出ないのです。
Maroon5に限らず、洋楽ポップスは柔らかい声で歌えると雰囲気が出ます。ヘッドボイスを練習することで、このように色気のあるカッコいい声が出せるようになっていきます。
Carmen – L’amour est un oiseau rebelle (Elina Garanca)
歌劇「カルメン」です。クラシックやミュージカル系の音楽ではヘッドボイスが多用されます。
冒頭からヘッドでガンガン歌い倒していきます。それでもこれだけ響き渡るのがスゴいですね!
Brian Mcknight – One Last Cry
3:05頃〜、間奏の終わりがけにハイトーンで歌うところがヘッドボイスです。
洋楽R&Bは、特に8-90年代にかけてファルセットやヘッドボイスで歌うことが一つのトレンドでした。
ヘッドボイスとミックスボイスの間
ややこしいことに、ネットのボイトレ関連の記事を見聞きするとブライアンのような「ヘッドボイスでしょ」という声もミックスボイスと説明する節があるように思えます。
私は以前、ニューヨークで黒人からボイストレーニングを受けた際にその辺の質問をしました。
「あなたたちの歌声はブレイクをきれいにグラデーションさせているが、どういう感覚で発声しているんですか?ファルセット、それともヘッドボイス、それともミックスボイス??」
返ってきた答えは「ぜーんぶ一緒!」でした(笑)
日本人はあらゆるものを定義づけたり分類することが好きですが、大事なのは「出したい声質になっているのかどうか」です。
定義はしょせん後付けでしかないので、私はヘッドボイスのつもりでStevieやBrianのようなR&Bの曲を歌います。
ホイッスルボイスとは?
特徴:息漏れが少ない、細く鋭い声
ホイッスルボイスは、まあ声の種類ではありますがどちらかというと飛び道具的な立ち位置の声です。
ホイッスルボイスの特徴は、ヘッドボイスと同様で息漏れが少なく、かつ細く鋭い音色をしているところです。
国内ではMISIAさんが、海外ではMariah Carey(マライア・キャリー)やMinnie Riperton(ミニ・リパートン)らがホイッスルボイスの名手です。
MISIA – つつみ込むように
0:21頃〜のイントロで見せる超高音、これがMISIAさんの必殺技であるホイッスルボイスです。
Minnie Riperton – Lovin’ You
突然ホイッスルの箇所から聴くとびっくりしてしまうので(笑)、0:44頃〜から流してみてください。
Minnie Riperton(ミニ・リパートン)のすごいところは、歌のメロディラインの中にホイッスルボイスを混ぜている点です。
こんな風に歌えたらとても気持ち良さそうですね!
まとめ
今回は、実はいろいろ種類がある裏声について解説していきました。
ファルセット、ヘッドボイス、そしてホイッスルボイス。
ホイッスルボイスはオマケみたいなものですが、ファルセットやヘッドボイスは使いこなせると大きな武器となります。
歌える曲のバリエーションが増えたり、音程が良くなったりとメリットが多いのでぜひ練習してみてはいかがでしょうか?
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