「足は肩幅で!背筋をピンと伸ばして!胸を張って!みんな、これが正しい姿勢ですよ」
こんにちは!ボイストレーナーのmassuです。
学校の音楽の授業でこんなことを言われたことはないでしょうか?
実際のアーティストはアンジェラ・アキさんや秦基博さんみたいにギターやピアノで弾き語ることもあれば、B’zの稲葉さんやONE OK ROCKのTAKAさんみたいに広いステージを端から端まで駆け回ることもあります。
また、安室奈美恵さんや三浦大知さんみたいにダンスや振り付けをキメながら歌う方もいますよね。
しかし、「正しい姿勢」なるもので歌っているアーティストを見る機会があまりせいか、わざわざ姿勢を意識する方はあまりいません(本人たちは各々なりにバランスが取れた状態でパフォーマンスしているかと思いますが、一般の方がパッと見ても分かりにくいのです)。
今回はなぜ正しい立ち方をする必要があるのか、そして「正しい立ち方」とはどんな姿勢なのかをお伝えしていきます。
立ち方が重要な理由
運動と同様、フォームを整えることで余分な力を抜くことができるから
野球、サッカー、水泳、マラソン・・・どのスポーツにも必ず基本となるフォームがあります。
例えば、ボールを投げるには下半身をねじるように動かし、利き手と反対の腕で勢いをつけながら動かし、利き手の手首のスナップや指先の握り方に注意することで良い球が投げることができます。
ところが、もしフォームが悪いと、バランス良く体を使えないため、ボールを上手く投げることができないでしょう。
ヴォーカルも同様で、声を出す際に正しい姿勢を取ることはとても重要です。
プロのアーティストはしばしば変則的な姿勢で歌うことがありますが、体が正しい姿勢を覚えていればムダに力が入らず、リラックスした状態で歌うことができるのです。
呼吸をスムーズにするため
また、正しい姿勢をとることで体の力が抜けるため、呼吸がスムーズになります。
他方で、悪い姿勢をとることで、呼吸のコントロールに支障が出てしまい、発声にも影響を与えてしまいます。
試しに少し前かがみの状態で、あるいは肩を逸らしてみた状態で大きく息を吸ってみましょう。
これらの状態では、胸が潰れたり周辺の部位が力むことにより、発声時の肺活量(肺の容量)が減ってしまいます。
立ち方をリセットしてみる
まず、正しい立ち方をつかむためには、身体をゆるめてリセットする必要があります。
順番は以下の通りで、上半身のムダな力みを取り、肩や首をほぐすところから始まります。
日頃の練習前にも、意識付けとして取り組むことで立ち姿が良くなるので、順番通りに試してみてくださいね。
①足を肩幅くらいに開く
②前かがみになり、上半身の力を抜いて「だらん」と首を下げる
③尾てい骨から、背骨をひとつずつ積み上げるイメージで上半身を起こす
④背骨が積み上がったら、ゆっくり首を起こす
⑤肩を何回か回し、両腕を「ぶらり」と体の横に下ろす
立ち方をチェックしてみる
次に、いよいよ正しい立ち方を確認していきます。
気をつけるポイントが多いですが、どれも重要なので下半身と上半身に分けて解説します。
下半身のチェックポイント
①足を肩幅くらいに開く
②ひざを少しだけゆるめる
③重心を若干、つま先寄りにする
下半身の「あんばい」で重要なのは「力が入っていても良いけれど、その力が上半身へ影響を与えたらいけない」という点です。
たとえば、「②ひざを少しだけゆるめる」を踏まえ、あえてひざをピンと伸ばしてみると、胸や肩が力みます。
また、「③重心を若干、つま先寄りにするを」を踏まえ、こちらもあえて重心をかかと寄りにしてみると、あるポイントから突然胸や肩に力が入ってしまいます。
下半身は、適度に身体の重さを感じながら、上半身を支えるように意識することでどっしりと安定した形になります。
上半身のチェックポイント
①目線はまっすぐ前、もしくは少し上を見る
②アゴを引く
③背筋を伸ばす
④肩の力を抜き、「だらん」とする
上半身の「あんばい」で重要なのは「なるべく力みを取り、目線を下げない」という点です。
上半身については、この解説と反対のことをすると、全てが力みにつながります。
正しい立ち方をするためのイメージ作り
正しい立ち方をするためには、まず立ち方をリセットし、次に下半身、上半身のチェック項目をひとつずつ見直していくことが大事です。
きれいな姿勢が取れていると、天井から自分の頭が糸で吊られているような感じでまっすぐ立てているはずです。
下半身はどっしりと安定しているためフラフラせず、上半身はなるべくリラックスした状態がベストです。
まとめ
みなさん、正しい立ち方をするためのポイントや段取りをお伝えしてきましたがいかがでしたか?
おそらく「長っ!」と思った方が多いのではないかと思います(笑)
ただ、本当にスポーツと同様で、あらゆる要素が複合的に作用し合うことでベストパフォーマンスができるのです。
歌の場合も、今回取り上げたポイントのうち、ひとつでも逆のことをするとバランスが崩れてしまいます。
逆に、全てをこなせていると、下手したら発声練習するまでもなく声が出やすくなるので生徒さんに驚かれることもあります。
ボイトレというと発声練習をするイメージが強いと思いますが、声を出す以外にもやれること、やるべきことは色々とあります。
立ち方に気をつけることで見た目も良くなり、声も出しやすくなるので、早速試してみていただければと思います。
コメントを残す