「大きい声を出せない」
「声が通らない」
前回の記事ではこういったお悩みをお持ちの方に向けて、大きい声や通る声のヒミツを伝授しました。
改めて、息を強く吐いたり力まかせに声を出したからいって大きい声や通る声が出るわけではありません。
大事なのは「声を身体に響かせる」ことなのです。
そのために必要なのは、「共鳴腔」の場所や特徴を知って、そこに声が共鳴するように練習することです。
前回の記事が声を共鳴腔に響かせるための知識・理論編とするならば、今回の記事は実践編のような位置付けとなります。
まずは声を身体に響かせるとはなんたるかを見ていきましょう!
声を身体に響かせるとは?Steve Perry(Journey)を見よ!
ロックバンド・Journey(ジャーニー)のヴォーカリスト・Steve Perry(スティーブ・ペリー)。
この”Don’t Stop Believin’ “や、映画「海猿」の主題歌で使用された”Open Arms”、
そして野球のWBCのテーマソングとして耳馴染みのある”Seperate Ways”など、
名前や曲名を知らなくても曲を聞いたことのある方は多いと思います。
Steve Perryは、幾多の一流のヴォーカリストの中でも群を抜いて身体が響きまくっています。
どんな高音を出しても決して力まずにスコーン!!と突き抜ける声。
音域の広さだけでなく、圧倒的な声の緩急と感情表現。
身体が響くとは、まさにこういう声のことを言います。
一体どうしたらこんなに声が出るのか、気になりますよね?
そのヒミツが「共鳴腔」にあるのです。
共鳴腔とは?
共鳴腔とは、身体の中で声が反響する空間のことを指します。
声は声帯が振動することで、声の元になる音(喉頭原音)が作られます。
しかし、それだけでは我々が普段耳にするような「声」にはなりません。
声の元になる音が、ノドや口、鼻といった部分にある共鳴腔に響き渡ることで音が増幅され、声として発しているのです。
詳しくはこちらにて解説しているので併せてご覧くださいね!
咽頭腔(いんとうくう)に声を響かせる方法とコツ
ノドを開く
声を身体に響かせるにあたって最も重要なのは「ノドを開く」ことです。
なぜなら、咽頭腔は声帯の最も近くに位置しており、「声の元になる音」が最初に共鳴する場所だからです。
ノドを開くには、まずあくびをしてみましょう。フリで構いません。
すると、喉仏(のどぼとけ)が下がって、口の中の上側が持ち上がる感じがしますね。これがノドを開いている状態となります。
そして、その状態のまま、片手で首に触れながら低めな声を「おー」と出してみましょう。
声を出すことで首が振動してる感覚があればOKです!
口腔(こうくう)に声を響かせる方法とコツ
口を大きく開ける
口腔とは、ずばり口の中のことを指します。
口の中を広げるには、まず入り口である口を大きく開けてみるのが重要です。
指2本を口に出し入れできる幅が目安です。
口の中を広げる
ノドが開いていても、口の中が閉じ気味な状態だと声がこもった音色になり声が増幅されにくいため、声量も出ません。
今回フォーカスを当てるのは「軟口蓋」です。読み方は「なんこうがい」、英語では”Soft Palate”と言います(英語の方が言いやすそう・・・)。
軟口蓋を上に広げることで、口の中のスペースが広くなります。
そのためには、まず舌で口の中を上の前歯の裏側からのどちんこ周辺に向かってなぞっていきます。
はじめは硬い部分(硬口蓋)に当たるのですが、口の中のちょうど真ん中辺りから柔らかくなっていきますよね。
この部分が軟口蓋です。ここで再びあくびをしてみると、この部分が持ち上がります。この感覚をつかんでおきましょう!
鼻腔(びくう)に声を響かせる方法とコツ
ハミング
鼻腔を響かせることを「鼻腔共鳴」といいます。
ハミングをするのが一番手っ取り早いです。
ハミングとは、「ん〜(Mm〜)」あるいは「ふーん(Fum〜)」と、口を閉じた状態で歌うことです。
声が鼻の中で振動している感じがすればOKです!
ファルセット
また、鼻腔共鳴はファルセット(裏声)を出すことでも感覚をつかみやすいです。
好きな曲をファルセットで口ずさんでみましょう。やはり鼻に声が響く感じがするかと思います。
共鳴腔を響かせる練習方法
ここでは、自宅やカラオケでも簡単にできる練習方法をいくつか紹介します。
いずれも、やってみることで筋肉がほぐれ、共鳴腔を広げやすくなります。
共鳴腔を広げることで声がより共鳴し、声量が大きくなったり音色が良くなっていきます。
リップロール
リップロールとは、閉じた唇をプルプルと震わせる動きのことを指します。
リップロールをすることで唇や表情筋、アゴの下や首周辺の筋肉がほぐれ咽頭腔や口腔を広げやすくなります。
目安は30秒ほどで、途中で止まっても構いません。
タングトリル
タングトリルとは、「巻き舌」のことで、舌を「トゥルルル」と早く震わせる動きのことを指します。
タングトリルをすることで、舌や表情筋、アゴの下や首周辺の筋肉がほぐれ、咽頭腔を広げやすくなります。
リップロールと似た効果があるのですが、振動によって舌の力が直接的に抜けるため、より咽頭腔を広げるために有効です。
「ウイスキー」で顔トレ
「・・・先生、まさかウイスキーを顔に塗ってパックしてとか、そういうやつじゃないですよね!?」
安心してください、そういうやつじゃありません。笑
ここで取り上げるのは「う・い・す・き・い」とゆっくり発音しながら顔をすぼめたり、引き締めたりするトレーニングです。
まず「う」と発してみましょう。口先がすぼまりますよね?
次に「い」と発してみましょう。すると、今度は顔が大きく動き、にこっとした顔になりますよね?
この動きを交互に繰り返すことで、表情筋が前後左右に動き、ほぐれるのです。
表情筋がほぐれることで口腔を広げやすくなる効果があります。
ため息発声
「ため息をついたら幸せが逃げていく」なんて言いますが、実は咽頭腔を響かせるためにため息が非常に有効なのです。
まずは5回ほど、「はぁー」といつもと同じため息をしてみましょう。
次に、そのため息に少しずつ声を入れていき、あと5回続けてみてください。
上手くいくと、咽頭腔が広がり、首のあたりが共鳴する感じがつかめます。
好きな曲の歌詞を全て「ナ」に置き換えて口ずさむ
ナ行の言葉はあらゆる母音・子音の中で特に鼻腔共鳴を感じやすいという特徴があります。
そこで好きな曲、できれば高めな曲を選んで歌詞を全て「ナ」に置き換えて歌ってみてください。
全部だと疲れるのでサビだけ、あるいは一番だけでも大丈夫ですよ。
なんだか歌詞で歌うよりも声が鼻に響く感じがしませんか?
まとめ
共鳴腔が響く感じ、声が身体に響く感じ、少しつかめましたか?
最後に、あなたの周りにいる「良い声の人」や「声が通る人」の声の音色を観察してみてください。
テレビのアナウンサーやラジオのパーソナリティーでも良いですよ。
私はラジオを聴くことが好きで、声の勉強がてらTokyo FMのLOVEさん、J-Waveの別所哲也さんの番組をよく聴きます。
お二人ともそれぞれシンガーソングライター、俳優として活躍されている方です。
良い声を聞くと、きっと今回お伝えした「響いている感じ」がするのではないかと思います。
大きい声や通る声のヒミツとは、ずばり「声を身体に響かせる」ことです。
それによって、音色が整い、いわゆる「良い声」となるのです。
声は練習することで必ず良くなっていくので今回取り上げた練習を参考にして「良い声」をゲットしましょう!
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